りか(@greenhouse_rika)/2012年07月

小さな歌声が聞こえてきたような気がして目を開けた。
体を起こしコンクリートの壁からそっと覗くと、ほっそりとした愛しい姿が柵に両手を預けて大海原の方向を見つめながら口ずさんでいる。

posted at 10:00:09

「部屋ではあまり吸うな」と章三に言われて、朝の一服しようと仕方なく屋上に足を運んだのだが、一日の始まりに葉山の姿を見れるなんて今日はラッキーだ。
何物にも邪魔をされず、葉山にも逃げられず、こんなにじっくりと見つめることができるなんて。

posted at 10:00:25

注意深く静かに葉山の歌声に耳を傾ける。優しい柔らかな声。滅多に聞くことができない、葉山の声。
『I would give you anything』の原曲なのか？
曲そのものに聞き覚えはあるものの、歌詞は全く意味が異なる。心に残る歌。これが葉山の本心なのだろうか。

posted at 10:00:40

しばらくすると歌声は止み、葉山はドアの向こうに姿を消した。
部屋に戻り章三に聞いてみたら『I would give you anything』のタイトルは知らなかったが、覚えた歌詞を伝えると、
「あぁ、赤い鳥の『翼を下さい』だ」
あっさりとタイトルを教えてくれた。

posted at 10:00:56

翼を下さい………。
頑なに殻に閉じこもっていても、いつかは羽ばたきたいと思っているのか？
出来るならば、そのきっかけにオレが携わっていたい。許してくれるのならば、羽ばたく瞬間をオレが見届けたい。

posted at 10:01:20

祈りのような小さな願いを秘め、もっと日本を知って葉山に近づきたいと、勉強することを胸に誓った。

posted at 10:01:31

「鳥」「赤い」「勉強する」を使って爽やかな短文を作りなさい。 #voitekatyan t.co/sMwEpf1j
140文字にはまとめられなかった；短文じゃないし、爽やかでもないけど；

posted at 10:01:48

あ、そうだ。『I would give you anything』の翻訳は、こちらにありました。なにが、どうなって「翼を下さい」がこういう歌詞になったんだろ。
⇒t.co/tThcIWhI

posted at 10:07:54

やっと見つけたよ。
普通バージョンの「翼を下さい」
⇒t.co/lb6EmTuQ
英語バージョンの「I would give you anything」
⇒t.co/wUb7YRCV
初めて聞いた時の、衝撃をお分けします。

タグ：プライベート短文問題集・お題

posted at 17:56:12

Permalink - 2012年07月05日

2012年07月08日(日)

見上げた小窓から月が見えなくなった。
「ということは、もうすぐ夜明けか」
早朝の密室。冷たい床の上で胡坐をかいて、頭の後ろで手を組んだ。
閉じ込められて数時間。ＳＰが、ここを突き止めるには十分余裕はあったはずだ。

posted at 20:17:31

オレを拉致監禁するなんて、どれだけ馬鹿な人間なんだ。ま、その根性だけは認めてやるけどな。
煙草を吸おうと無意識に内ポケットを探った指先に、カサリと薄っぺらい紙の感触が当たった。
託生のコンサートチケット。日付は……今日。
『新曲を演奏するんだ。誕生日プレゼントのつもりなんだけど』

posted at 20:17:59

島岡のことだ。オレがこういう状況になっていることは、託生の耳に入れていないだろう。
だからこそ、必ず脱出しなければならない。
オレが、託生との約束を破るはずがないのだから。
四角い紙片に軽くキスをして、内ポケットに滑り込ませた。

posted at 20:18:26

さて、どうしてやろうか。
にやりと笑って、靴のかかとに隠してあった小型の銃を取り出した。

posted at 20:18:54

greenhouse_rikaさんは、「早朝の密室」で登場人物が「約束を破る」、「月」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai t.co/0eltBoQb
やっぱり3つまでかな。恋愛お題ったーでした。

posted at 20:19:30

Permalink - 2012年07月08日

2012年07月09日(月)

12年7月9日

託生に恋をしているんだと思っていた。
恋焦がれて、振り向いてほしくて、オレを認めてほしくて、この恋心を受け止めてほしくて…。
音楽堂で想いをぶつけ口づけをしたとき、それは間違いだと思った。
これは、恋じゃない。
託生の過去も現在も未来も、オレは愛おしいんだと。

タグ：ギイ

posted at 21:47:49

12年7月9日

嫉妬もした。壁を殴りたくなるくらいの怒りを感じた。
それでも、お前を形作った全てが、オレには大切なものなんだ。
愛されることに慣れていないお前に、どうこの想いを伝えればいいのか。
いや、焦る必要はないさ。今、お前は、この腕の中にいるのだから。

タグ：ギイ

posted at 21:48:03

12年7月9日

愛に飢えたお前に「愛してる」と囁き続けよう。
真綿で包むように、この腕の中がこの世で最上の場所であるように、オレは演じ続けるから。
だからオレだけを見てくれ。
オレだけに、愛を囁いてくれないか？
オレは、お前を愛しているのだから。

タグ：ギイ

posted at 21:48:41

Permalink - 2012年07月09日

2012年07月14日(土)

「ギイ、お帰り」
「ただい……どうしたんだ、大樹？」
「んー、なんか今日は機嫌が悪いみたいでさ。起きてからずっとグズグズ言ってて、ぼくもイライラしてきたから、気分転換に遊んでみた」
「………で、七三分け？」

タグ： Life

posted at 10:46:20

「うん、可愛いだろ？写真も撮っちゃった」
「たしかに可愛いけど……」
「次はちょんまげにしてやろうかなって。絵利子ちゃんに言ったら、可愛いゴム持っていくねって」
「大樹。あまりマミィを困らせるなよ。お前の恥ずかしい写真が増えるだけだからな」

タグ： Life

posted at 10:46:31

「ギイ、お帰り」
「ダディ、おかえんなさい」
「あぁ、ただいま、大樹。ただい……託生……」
「一颯、可愛いだろ？」
「かわい…い……けど」
「あのね、一颯、ずっと泣いてたの。抱っこしてもダメだったの」

タグ： Life

posted at 10:47:36

「そうか。大樹もお手伝いしてくれてたんだな」
「そうなんだ。あまりにもギャンギャン言うから、遊んじゃった」
「けどな、託生。モヒカンは止めてあげたほうがいいと思うぞ？」
「なんで？可愛いのに、ねー？」
「ねー？」
「……我が息子ながら不憫だ」

タグ： Life

posted at 10:47:50

Permalink - 2012年07月14日

2012年07月16日(月)

裏庭の陽だまり。背後から草を踏みしめる音が聞こえて振り向いた。
「ギイ、縦笛の追試どうだった？」
「追試って言うなよ」
むっすり黙って拗ねた様子のギイのボサボサの前髪を指で梳く。この分じゃ、再追試だな。

posted at 09:45:23

「高校生にもなって、なんで縦笛なんだよ」
「文句言ったって仕方ないじゃないか」
祠堂の芸術科目は音楽と決まってるのだから。
「……楽しそうだな、託生」
「そんなことないよ」

posted at 09:45:44

ぼくがギイに勝てる唯一の科目。じゃなくて、ギイが唯一苦手な科目。
少しだけ優越感を持ったっていいじゃないか。ギイに勝てるのこれしかないんだから。
「歌のプロデュースなら、オレが勝つのにな」
ギイは横目でチラリとぼくを見て、なにかを思いついたようにニヤリと笑った。

posted at 09:45:55

「歌？」
音痴のギイが、歌のプロデュース？
意味がわからないと顔に書いたぼくの頬に楽しそうにキスをし、
「オレ、ベッドの上では託生に歌わすの得意だろ？」
「…………ギイのばかーーーーっ！！！」
ぼくの平手打ちとギイが口唇を寄せたのと、どちらが早かったのかは不明である。

posted at 09:46:07

「笛」「ボサボサの」「勝つ」を使って感動する短文を作りなさい。 #voitekatyan t.co/sMwEpf1j
短文じゃないけど、短文問題集でした。

posted at 09:46:32

Permalink - 2012年07月16日

2012年07月22日(日)

「終わった終わった。託生、帰るぞ」
「うん。って、ちょっと、ギイ近寄らないでよ」
「なんでだよ」
「汗臭いから」
「あー、そんなに匂うか？あいつ逃げ足速かったからなぁ」
「捕まえたからいいじゃない。じゃなくて、ぼくが汗臭いから」
「かっわいいなぁ、託生」

posted at 18:19:16

「だから、ひっつくなって」
「はぁぁぁぁぁぁぁ」
「…………どうしたんだ、あいつは」
「うん、また三洲くんにデート断られたみたいで」
「何回目だ？」
「５回目」

posted at 18:19:30

「アラタさ～～～ん！どうして貴方はあの月のように遠いんですかぁぁぁぁ？！」
「ポエムってるよ」
「捜査一係の窓でやってもなぁ」
「アラタさ～～～ん」
「仕方ないな。おい、真行寺」
「はい？」
「これ食べるか？」

posted at 18:19:42

「………プチビット。アラタさんとの思い出。アラタさんの……うぉぉぉぉおおおん！」
「ダメだ、こりゃ。おい、章三。オレ達帰るぞ」
「こら、待て！こんな真行寺と当直なのか？！」
「くじで決まったんだから仕方なかろう？」
「赤池君、お先～。お疲れ様で～す」

posted at 18:20:08

「ギイ！葉山！」
「アラタさ～～～ん」
「黙れ、真行寺！」

posted at 18:20:18

「月」「遠い」「食べる」を使ってありがちな短文を作りなさい。 #voitekatyan t.co/sMwEpf1j
祠堂署設定で。ごめん、真行寺；「月」と聞いて、アルテミスしか思い出せなかったんだもん。