りか(@greenhouse_rika)/2013年06月

「……２日、いや３日だ」
「義一さん、さすがにそれは………」
「やってやる。島岡、余った日数はオフにしろよ」
オレは、子供達といちゃいちゃするんだ！なにがなんでも、帰ってきてやる！

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posted at 06:01:41

「納得しましたか？しましたね。はい、仕事してください」
「島岡………」
がっくり肩を落とし心の内で涙を流す。
一瞬か？一瞬でダディを忘れるのか？
「………詰め込んで前倒しにすれば、１日くらい短縮できそうですが」

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posted at 06:01:30

エレベーターのドアを拳で叩く寸前、鼻先に滑り込まされた携帯のディスプレイに、涙の粒を残しながらも、大樹と一颯にあやされて満面の笑顔を浮かべた咲未の顔が………。
あれだけ、オレに手を伸ばして「行かないで」と全身で表していたのに……。

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posted at 06:01:10

「ギイの姿が消えたら泣き止むんだから、さっさと行って」
首根っこをつかまれるように島岡がオレのスーツを引っ張り、放り込まれたエレベーター。
「さーくーらーーーっ」
「…………託生さんからのメールです」

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posted at 06:00:53

………託生。お前、その足癖どうにかしようか。
両手が咲未で塞がれているからって、靴を履いたまま………絶対、スーツに靴跡ついてるぞ。
まぁ、はらえばいいけど。
「島岡さん、連れていってください」
「了解しました」
「げほっ。お前ら………咲未………」

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posted at 06:00:34

「無理だ」
そうは言われても、オレを求めて大粒の涙を流して咲未が訴えているのに。
「島岡、出張は中……止………うぐっ」
「………つべこべ言わずに、さっさと行って来い！」
………託生。お前、その足癖どうにかしようか。

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posted at 06:00:15

大樹も一颯も、同じ時期があったけど、託生とそっくりの咲未がこうやって手を伸ばしているのを見ると、まるで託生がオレに「行かないでくれ」と言っているように見えて、後ろ髪を引かれるどころじゃないぞ。
「義一さん、お時間です」
「嫌だ」
「ギイ、時間だから、咲未は気にしないで」

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posted at 05:59:58

「咲未、泣いちゃダメ！」
「あー、とうとう始まった………」
ぼやく託生の声が耳に届いたが、オレに手を伸ばし全身で行かないでと訴える咲未に、胸の奥がぎゅーっと絞られる。
なんて可愛いんだ！

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posted at 05:59:44

「一颯、母さんの言うこと、よく聞くんだぞ」
咲未が生まれてから、自分が大きくなったような気分の一颯にもキス。
そして。
「咲未、ダディにバイバイは？」
託生の腕に抱かれた咲未の頬にキス………。
「………う」
「え？」
「びゃーーーん！」
「さ、咲未？」
「咲未、どうしたの？！」

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posted at 05:59:23

一週間の出張への、出発間際の玄関ホール。
「ギイ、いってらっしゃい」
「あぁ、あとを頼むな」
託生の頬にキス。
「父さん、いってらっしゃい」
「大樹、母さんの手伝い、よろしくな」
この頃、やけにしっかりしてきた大樹の頬にもキス。
「ダディ、いってらっしゃい」

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posted at 05:59:09

Permalink - 2013年06月29日

2013年06月25日(火)

「蚊を探してぶっ潰す時間が惜しいからな。夜は短いし」
「はぁ？そんなことより、ギイ、かゆい。薬ないの？」
「オレが塗ってやるよ」
「……って、こら、脱がすな」
「服に隠れているところも刺されてるかもしれないし♪」
「ギーイーーーッ！」

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posted at 04:19:16

「ほら、飛んでるじゃないか！」
「確かに。託生の肌に痕を残していいのはオレだけだし」
「バカなこと言ってないで、なんとかしてよ！」
「はいはい」
殺虫剤噴射。
ぶしゅわーーーーーーーっ！
「げほげほ、ギイ………撒きすぎ……げほっ」

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posted at 04:19:05

「あっ」
バチン！
「託生？」
「あーあ、逃げられちゃった。かゆいー」
「蚊か？かくなよ、痕が残るぞ」
「でも………あぁ、もう！」
バチン！
「よほど、託生の血が美味いんだろうな」
「ギイ、どうにかして！」
「よーしよし。どうにかしてあげよう」
「そっちじゃない！」
キー……ン。

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posted at 04:18:42

（おぉ、駒澤の背後に赤い炎が）
………キー……バチン！
「さすが、駒澤。すごいね」
「それより、野沢さん！薬塗らないと！」
「うん、駒澤塗って。あ、ここは違うからね（ちらり）」
「の……のざ………（鼻血）」
「駒澤、可愛いw」

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posted at 04:18:26

「あっ」
バチン！
「野沢さん？」
「あー、逃げられたか。かゆくなってきた」
「蚊に刺されたんですか？」
「そう」
（俺の野沢さんに……！）
「駒澤？」
ずずずずず、シャキーン！

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posted at 04:18:14

「じゃ、お前、帰れ」
「はい？！今日は葉山サンがいないから、お泊りしていいって！」
「かゆくて、お前の相手するのが面倒になった」
「そんなぁぁぁぁ。ア～ラ～タ～さぁぁぁぁん」
「うるさい」

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posted at 04:18:01

「ふー、追い詰めた。おーれーのアーラーターさーんにぃぃぃぃ！」
バチン！
「よっしゃ！」
「蚊くらい、一発でやれよ。それより、真行寺、薬」
「はははははい！」

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posted at 04:17:50

「………」
バチン！
「アラタさん？」
「くそ、逃げられたか」
「蚊に刺されたんスか？」
「見ればわかるだろ？」
「俺のアラタさんに～～～～！」
「ばかもの。お前のものになった覚えはない」
バチン！バチン！バチン！バチン！
「聞いてないな、こいつ」

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posted at 04:17:35

………キー……バチン！
「すごーい、吉沢！」
「そんなことより、泉！薬塗らなきゃ。痕が残ったら大変だよ！」
「吉沢……（うっとり）」

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posted at 04:17:06

「あっ」
バチン！
「泉？」
「あー、逃げられた！かゆい～」
「蚊に刺されたのかい？」
「うん」
（俺の泉の柔肌に……！）
「………吉沢？」
「しっ（精神統一）」
「…………」

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posted at 04:16:46

Permalink - 2013年06月25日

2013年06月15日(土)

このような方のガードにつかせてもらえるとは、ＳＰ冥利に尽きるというもの。
内ポケットに入れた託生さんの注意書きを、スーツの上から確認し心に誓う。
不肖桜井。我が命に代えましても、託生さんをお守りいたします。

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posted at 08:52:56

真っ直ぐに私を見つめ、深く頭を下げられた託生さんに慌てて頭を下げながら、託生さんの礼儀正しく謙虚な人柄に、感動で胸がいっぱいになりました。

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posted at 08:52:46

「そ……うですか。………そうですね。プロ…なんですね。ぼく、がんばらなきゃ」
苦し紛れに言い訳をした私の言葉に力強く頷いて、
「これから、よろしくお願いします」
「こ……こちらこそ、よろしくお願いします」

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posted at 08:52:29

託生さんにはお伝えできませんが、この部屋は副社長が用意したものなんです。
私も日本に来られた島岡さんから鍵を預かり、確認の為に一度部屋に入ったきりで、詳しいことはわかっていないんです。
「プロの方には、それなりの楽器が必要かと………」

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posted at 08:52:14

戦々恐々とした風情で、心細そうに私を見上げられたのだが、託生さん、申し訳ありません。実はベーゼンドルファーだと知ったのは、たった今だったりします。
「こんなすごいピアノ、ぼくには必要ないのに………」
と言われましても。

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posted at 08:51:53

そう言いながら重いドアを開けて照明をつけると、キョロキョロと部屋を見回し、壁際に置いてあるアップライトピアノの蓋を開けられ、
「えぇ？！」
と叫ばれ、なにか粗相があったのかと慌てて側に寄ると、
「これ……ベーゼンドルファー………ですよね？」

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posted at 08:51:16

と言いつつも、部屋を見ながら「やっぱり広い」とポツリと呟かれるのを見て思い出した。今まで屋根裏部屋で、慎ましい生活をされていたことを。
フランスでの託生さんのステュディオと比べられているんですね。
「こちらが防音室ですので、いつでもお好きなときに練習できます」

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posted at 08:51:01

「いいえ！とんでもないです！そうではなくて、こんなに広いところいいんですか？」
家賃高そう………。
「こちらは社宅扱いなので、託生さんは気になさらないでください」
「そう………ですか？」

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posted at 08:50:47

下階は１０畳ほどのリビングダイニングと８畳の防音室。上階はプライベートルームと洗面関係があるメゾネットマンション。
すっきりとしたシンプルな部屋。
「あの………」
「なにか、足りないものありますか？すぐに、用意させていただきますが」

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posted at 08:50:31

ドアの鍵を開け「どうぞ」と託生さんを促すと、
「お邪魔します」
ご自分の部屋なのに、なぜかそう挨拶して託生さんは入室し、
「え、階段？」
部屋の中にある階段に目を丸くされた。

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posted at 08:50:17