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にょんギツネ

@nyol2novel

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2022年07月10日(日)

昇華訓練 @syoukakunren

22年7月10日

@kamenosaburou 魔物の性癖の自由が問題になる…いや自由にさせちゃ駄目だけど

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posted at 22:47:02

昇華訓練 @syoukakunren

22年7月10日

@korenaradaseru 写真集は魔物達に行き渡ってる

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posted at 22:38:48

どすけべ魔人 @DOSUKEBEMJN

22年7月10日

@syoukakunren 「まだもう少し自分の気持ちを考えてから相談するよ」という言葉を言える関係なのが凄い、
このセリフ凄くないですか初めて見ましたよ魔王と息子の関係でこういう言葉が自然に出る作品

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posted at 22:34:35

亀の三郎 @kamenosaburou

22年7月10日

@syoukakunren ※なお、女神陣営は既に現魔王が通常とは大分異なる存在で有ることを把握している模様

魔王様、うまく行けば真の平和が手に入りますぜ!

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posted at 22:34:20

どすけべ魔人 @DOSUKEBEMJN

22年7月10日

@syoukakunren 魔王様とアー君の接し方凄く好きです
こういう「魔王とその息子」って結構よくある関係なのに、この作品の二人は距離感とか接し方が凄く珍しいというか個性的というか独特というか、上手く言葉に言い表せなくて申し訳ないですが凄く新鮮です

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posted at 22:32:11

(ボロォン @korenaradaseru

22年7月10日

@syoukakunren アーくん、その写真集を独り占めするのはズルいんじゃないかな?😡
それにしても魔王、良い上司であり良いお父さんだなあ😭😭😭

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posted at 21:11:13

非公開

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posted at xx:xx:xx

きくらげ @Suolan_

22年7月10日

海の家のおきつねさま🦊🍉 pic.twitter.com/U0aQgRjDYd

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posted at 08:06:54

天使うさぎ族『琴音』 @AneKotone

22年7月10日

@nyol2novel 昨日、汗かこうと思ってあったかくしてたら汗かかずに永遠に体だけあったかくなっていってしまったのだ
それが治った!

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posted at 06:59:24

天使うさぎ族『琴音』 @AneKotone

22年7月10日

お腹すきました!

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posted at 06:35:43

天使うさぎ族『琴音』 @AneKotone

22年7月10日

会社から休んでいいよ言われた

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posted at 06:35:31

2022年07月09日(土)

Cosmo @CrownCosmo

22年7月9日

🪫🤖🥱 Gigi does the cute thing while waking up! twitter.com/crowncosmo/sta... pic.twitter.com/cdUITD6Fev

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posted at 02:00:40

2022年07月08日(金)

大野英幸(ひでこう) @oonohidekou

22年7月8日

ザーサイの破片に見えますがホヤです pic.twitter.com/wJYm30hc84

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posted at 23:35:43

味噌月あやべ @ayabemiso

22年7月8日

「最強すぎてそろそろ敗北を味わいてぇ〜」って人にオススメ!VRCHAT!

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posted at 08:49:27

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

(おしまい)

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posted at 05:20:47

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

永遠に彼だけの所有に帰したのだから。

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posted at 05:20:40

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

従前より気の合わぬ宮廷魔導士の、愚かしいとしか思えない異界探索の試みにあえて志願し同行した際は、ただいまいちど闇色の髪と瞳に見えんとしただけで、このような結末を望んだのではなかったが。

けれど今、聖なる印ならざる淫らの紋様を身に帯びた聖女ならざる夢魔の乙女は、

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posted at 05:17:12

悪神狐・塵山ひやむぎつね @hiyamgitune

22年7月8日

水質浄化能力の高い雑草なので千切って殺しまくる前提で水替えの代わりにしていいんじゃないこれ

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posted at 05:15:24

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

初めて聖女降臨の祭壇で初めて目にした、息を呑むような闇色の髪と瞳はいっそう濃さと艶めきを深めたのに、内に秘めた硬く剛い志はもう、人間を夢魔に変える禁術によってすっかり頽(くずお)れてしまったのだと解かると、武者の粗野な心にも何か苦しさと、同時に奇妙な喜びも湧き上がる。

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posted at 05:07:04

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

試してみると、千賀子はどんどん折れてくるので、ウォルドーはやや胸に棘さすのを覚えつつも強気で行くことにした。

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posted at 05:00:06

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「結構ですけど…私は今秋資格試験の再受験があるので…っ…話してるときにそれはやめて」
「そなたが鎖と枷のみまとっても恥じることはない土地だ」
「そういうことを喜ぶ相手に…声をかけてみては…っ」

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posted at 04:59:42

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「まあ…ウォルドー様がお望み下さるなら…ららららてんぐ…聖女と間違われて召喚された一度であちらは十分なので」
「飛ぶのによい黒い森もあるし、夢魔が生のままさまよっても害がない無人の野もある。花も見事だ」

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posted at 04:42:49

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「はあ?ピアスなんてつけませんよ…説明書?小鬼の文字なんて読めるはず…もう…これは…胸用…これは…え、痛いから無理ですね」
「ふむ…」
「解ってってないなら見せないで下さい」
「チガコ…」
「何ですか」
「俺が兄から譲り受けた鳴滝の離れ館にも、鎖をつなぐにのによい寝台がある」
「…?」

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posted at 04:40:25

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

そうするとむっとはするが行儀よくウォルドーが入って来るのを待つ。躾けの良い大型犬と同じだ。

なおも抵抗する鬨が毛むくじゃらの胸板の上に引きずり上げて、双臀を握りこむとじっとして話ができるようになる。

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posted at 04:38:14

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ウォルドーの実家。鳴滝の館にはちゃんと黄金の貯えがあるらしい。なので大きなベッドも買った。マットレスはだめになってしまったし。

千賀子に逃げ癖がついているので、就寝前は服は脱がせ、首枷の鎖を寝台につないでおく。

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posted at 04:35:52

長串望 @nagakushinozomi

22年7月8日

おはようございます。 会えなかった時の為にこんにちは、こんばんは、そしておやすみなさい。

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posted at 04:34:09

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

さすがにおかしすぎる大きさの玩具はまだ拒んでいるが、段々受け入れてもらうしかない。すべて使い尽くしても夢魔の性を抑えられるかどうかは解らないのだ。

とはいえまあひどいことだけでもない。
家は巨漢を住まわせておける広さのところに引っ越した。費用は騎士が持って来た黄金で賄った。

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posted at 04:30:22

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

宅内では小鬼がゲエムをもとに作った衣装をまとう。ウォルドーにとってはぎょっとするような意匠ばかりだが、もはや乳房や太腿、背中側にまで広がった紋様とはよく合っているようでもある。

千賀子は常に怒ったような上目遣いをしながら言う通りに何でも着る。

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posted at 04:28:34

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

抑えられると言っても夢魔の性が消えるのではない。
小鬼の魔具は万能ではなく、あくまで後回しにするようなものだ。あとから反動が大きくなる。

乙女が帰宅して、巨漢が玄関で首枷の鎖を引くと、爆発のような現象が起き、スカートがひどいことになる。大変な迷惑だ。

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posted at 04:26:28

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「これで抑えられる」
「抑えられる?抑えられるってこれ…私は犬猫じゃないんですよ???ウォルドー様のしもべで…違う。この…何てことを…」
「しもべではない」
「…当たり前でしょうが…私は…私は…家主なんだから」
「ふん…」

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posted at 04:23:28

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

首枷をはめる。抵抗しなくなる。騎士の腕輪と同じく、華奢なチョーカーのように目立たない形に加工してあり、鎖は糸のように細く胸の谷間に入れてしまえばブラウスの下に隠せる。

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posted at 04:21:23

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

という訳でウォルドーは千賀子のそばに留まった。当面は。

「元には戻らない?」
「ああ」
「え?冗談はやめて下さいね。どういうつもりなんですか…何の同意もなかったですよね」
「うむ…」
「っそ…」

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posted at 04:19:31

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「王国にだと」
「闇の軍勢との戦に役立とう。まあ故地を捨てるのを承知するまで飼い慣らしたらだぞ。初めて聖女と誤って召喚した際はまこと嫌がっていたのだしたやすくはあるまい」
「ふん」

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posted at 04:17:00

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「…」
「とにかく小鬼がゲエムをもとに作った魔具のできばえを調べるにもよい。夢魔さえひしぐならば有利になろう」
「チガコ殿にこれを…」
「夢魔の性を抑えるためだ。慈悲だぞ。それとあの法だとか理だとか、蛮種らしい生意気な態度を矯めきって従順な召使になったら、王国に連れ帰ってもよい」

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posted at 04:15:29

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ウォルドーは折れた。宮廷魔導士は小鬼からあれこれ没収した品々を授けた。めくらましの魔法を組み込んだ精巧な偽造身分証の類や、例の魔具などにさらに術をかけて使いやすくした。

「貴様の血を垂らすとほれこの棒は貴様の陽根のかたちや大きさをかたどるように…うわ…でか…なんぞこれおぞましや」

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posted at 04:13:02

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「あの蛮種は法だのなんだのと理屈は申せ、貴様には逆らわぬ。うまく飼い慣らして使い魔として操るのだ。さすれば異世界に潜り込まんとする闇の軍勢をあぶりだし、聖女様への害を防げよう」
「…下衆が」
「飼い慣らすか斬るか。二つに一つ。貴様にできぬならほかの騎士に命じるまで」
「…っおのれ」

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posted at 04:08:58

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

騎士はぼそりと言い捨てると、魔法使いは薄笑い、やがて真顔になった。

「まさか、貴様も蛮種に惚れたのではあるまいな」
「道理が通らぬ」
「…ふーむ…いや…六十三位とはいえ近衛騎士と…やつがれが事を構える訳にはいかぬ…さようか…ならばこうだ」

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posted at 04:06:03

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「ならば」
「さらに恋薬の魔法とはいえ、貴様に一途に恋し、忠義を尽くす気持ちでいる。夢魔の深情けに加え、元からの心根があろう。貴様ならば労せず斬れる」
「…」
「王への忠義のためだ」
「お前を斬る方が忠義だ」

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posted at 04:04:11

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「聞く耳持たぬ」
「忠義があるなら聞け。不死の貴様が去れば、いずれ上飢えに耐えきれず狂った夢魔は異世界を食い荒らし、貴様を求めて世界の間を超え、中原の王国を襲わぬとも限らぬ」
「…すべて禁術の…」
「しーっ…よいか。幸いあの蛮種はきわめて意志が強く、夢魔の性をまだ抑えている」

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posted at 04:01:54

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「何を言っている。チガコ殿はたまたま聖女と間違われただけの市井のもの。何の咎もない。斬り捨てる道理がない」
「もはや夢魔だ」
「それは禁術を…」
「しっ…声が高い…よいか…闇の軍勢において危険な敵である夢魔を…蛮種から作って使い魔にできたのは僥倖…いや我が英才…しかし…」

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posted at 03:59:24

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「はやくチガコ殿をもとに戻せ」
「何を解らぬことを。あれほど変化が進んだものが戻るはずもあるまい。さっさと斬り捨てて参れ」
「何?」
「聖なる武具を賜り騎士の誓いを立て、不死の防人となった貴様なればこそ、夢魔に慕われても精気枯れ果てず壮健でいられるのだ。並大抵の魔物ではないぞ」

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posted at 03:56:33

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

小鬼は生け捕りにして異世界に送還した。
宮廷魔導士によるおぞましい尋問があるだろうが、しかし同情もできない。

「なるほど聖女様がゲエムの叡智を用い闇の軍勢を破るのを目にし、きゃつらもゲエムの叡智を獲ようとしたか…狡猾な…だが…見事に我が術がしのいだな!恋薬の魔法の勝利よ!」

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posted at 03:53:56

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「…ぜえ…ぜえ…おう…うむ…はい…」
「お力添えなくば…闇の軍勢のたくらみを阻めなかった」
「いや…はい…でも…うん…はい…これで…あとは元に戻れば…それで…よしとしましょう…ウォルドーさん…」

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posted at 03:51:47

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

騎士が命じると、小鬼は一にも二にもなく従う。
再びウォルドーは枷を千賀子に放つ。魔法の働きが過たず首を捉える。恐るべき魔具。実際聖女にとっても危険な武器だ。

落下する乙女を巨漢が腕でとらえ、鎖を引いて横抱きにする。

「…礼を言う…かたじけない…チガコ殿…」

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posted at 03:50:21

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

もう従うしかない。再び夢魔は揚羽蝶の翅で飛び立つ。

「ウォルドー様♥ウォルドー様♥」
「チガコ…あの魔法はそれほど…」
「あはっ♥皆やっつけます♥ウォルドー様の敵ぃ♥」
「…鎖をよこせ」

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posted at 03:47:07

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

唯一夢魔の首枷につながる鎖を握った小鬼だけが掴まって持ちこたえる。

騎士は駒を進めて、斧槍をふりかぶり、ふりおろし、脳天をかち割る寸前で止める。

「枷を外せ」

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posted at 03:44:47

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

鳴滝のウォルドー。中原の王国が誇る最強の精鋭。近衛騎士の六十三位。強いんだか弱いんだか。

まあ強い。

「ギョゲエ!近衛騎士だ!」
「ひるむな俺達にはゲエムの魔具が」

斧槍のひとふりで烈風が起き、全員が吹き飛ぶ。

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posted at 03:42:42

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「うるさいぞ!このピアスをまず…」

演説しながらチガコに近づいた小鬼がいきなり宙に舞い、錐揉みしながら飛んで行く。

陽炎のように外套が翻り、朧な月明りのごとき毛並みの天馬にまたがった騎士があらわれる。

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posted at 03:40:58

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「やわらかくてつやつやした肌だな。はがしてなめしたらいい細工ができる」
「夢魔の皮で細工かやってみてえなあ」

かと思えば冗談じゃないことを言い出す。

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posted at 03:39:01

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

だめだ。うまくいかない。

「よし順番を決めるぞ。俺を最初に右回りだ」
「何を!俺を最初に左回りの方が」

だがそれとは無関係にまだ揉めている。

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posted at 03:37:59

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

こんな間の抜けた奴等に負けるのは本当に悔しかった。

「闇色、闇色って言うけど、この土地にいる人間の大半が闇色の髪に、闇色の目ですよ」

震え声を抑えながらまぜっかえしてみる。

「ありゃすごい。でもお前のはほかより暗い」
「人間じゃなくて夢魔だからな」

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posted at 03:36:42

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

千賀子はそろそろと両手両足を動かして後ずさった。だがすぐに鎖に枷を引かれはいつくばる。

「おい!女房のくせに逃げようとはふてえやつだ!」
「ちぇ!とにかくまず腹に小鬼をこさえちまえ!そうすりゃおとなしくなる!」
「よーしそうだ…あの闇色の髪で縄を編んだらきれいだろうなあ…」

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posted at 03:34:42

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

小鬼はどうやら、おしゃべりがどうしようもなく好きな種族らしかった。

おまけに敵を前にしてつかみ合いの喧嘩もする。互いに持っている大人の玩具で殴り合いも始めた。

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posted at 03:32:33

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「決めたぞ!俺はこいつを女房にする」
「小鬼が?夢魔を?皆殺しにされちまう!」
「いいや!ゲエムの教えがありゃへいきだ!こいつに闇色の目をした小鬼をいっぱい産ませるぞ!」
「闇色の目の小鬼だと!畜生!そりゃ俺が産ませる!」
「俺だ!」
「俺だああ!!」

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posted at 03:31:46

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

甲高く鳴きながら小鬼はじりじりと夢魔の包囲の輪を狭める。

「あの憎たらしい聖女だってゲエムの教えで、暴龍をやっつけちまったんだ」
「そうだ!ゲエムの教えで暴龍がやっつけられるなら…夢魔だって」
「だけど俺達は聖女じゃねえ」
「うるせえ!夢魔を魔具で負かせたら!聖女だって負かせる!」

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posted at 03:27:04

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「でも矢はきかなかったぞ」
「射手どもがあいつの夢に酔っぱらったせいだ」
「俺達が隠れてるとこにあんなにばらまきやがって」
「畜生やるっきゃねえ」

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posted at 03:24:56

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「ゲエムで観ただろ!この魔具がありゃ…どんな雌の魔物でも負かせるんだ」
「女神だってだ!」
「雌の近衛騎士だってだ!」
「だけど…ゲエムの通りに作れたかな?」
「作れたはずだ!」

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posted at 03:23:38

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ぞろぞろと小鬼が出てくる。だが持っているのはボウガンではなく、アホみたいな大人の玩具だ。

「だけど夢魔だぞ…」
「なんで夢魔が俺達を襲う…同じ闇の軍勢だろうがよ」
「…裏切り者だ!」
「でも夢魔が相手じゃ勝てっこねえ」
「いや…こいつはひよっこだ」
「でも夢魔だぞ」

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posted at 03:21:34

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「効いた!」
「ゲエムの通りだ!」
「うまくいくぞ!」

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posted at 03:18:41

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「ぐえ…なに…これ…」

まだ、淫らなほとぼりが全身を満たしているが、わずかに正気が戻る。スマートフォンがない。通報できない。なぜ徒手で出てきた。どんな時も緊急連絡手段は必要なのに。

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posted at 03:18:17

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

しかし凱歌を上げる乙女の首に投げ縄のように鎖につながる枷が飛んできてはまる。

たちまちチガコは力を失い、羽を散り散りにして這いつくばる。

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posted at 03:16:36

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「ウォルドー様ぁ!ウォルドー様ぁ!御身のために!」

嬌声はしじまを渡り、山塊やビルの鉄筋コンクリートさえ突き抜けて広がり、醒めたものにも微睡むものにも快い痺れをもたらす。官能の漣となって。

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posted at 03:14:48

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

さらに両腕を頭の後ろで組み片足でつま先立ち、片足を曲げて、旋風のように回りながら、蝶の翅を仰がせて鱗粉の渦を作り出し、射手を次々と昏倒させてゆく。

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posted at 03:13:03

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

小鬼の一匹に肉薄すると揚羽蝶の翅をはばたかせ、鱗粉を吹き付ける。たちまち魔物はどんよりと目を濁らせて眠りに落ちた。

「あはは♥ウォルドー様♥ごらんあれ♥使い魔のチガコがウォルドー様の敵を退治いたしましたぁっ♥」

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posted at 03:11:52

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

これが闇の軍勢の目的だろうか。異世界の武器を手に入れて聖女に対抗するのが。

しかし夢魔は嗤った。まるで怖くない。

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posted at 03:10:24

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

照準器が金属製のボウガンを携えているが、いかにも小鬼らしい奇怪な象嵌が施され、素材も一部交換してある。闇の魔法を帯びているのだ。

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posted at 03:09:27

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「はぁ…あ?♥」

逃げるかわりに夢魔は急降下して遺棄された宿泊施設に着地した。

影が蠢く。闇の魔物だ。小鬼。何匹もいる。

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posted at 03:08:36

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「ウォルドー様…ウォルドー様…」

矢が飛んでくる。黒い羽根のついた。
千賀子は宙で翻ってかわすと、眼下の闇を見おろす。廃墟になったホテルがひとつ。峡谷の縁にうずくまるようにして建っている。

次々と矢が昇ってくる。

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posted at 03:07:22

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

街から街へ。山を飛び越え、川を渡り、一晩の半ばも過ぎぬうちにはるかな遠方まで。

甘い匂いを撒き散らし、眠れる人の子等の夢の中に妖しい幻を掻き起こしながら、羽ばたき、羽ばたき、時折股からは燐を含んだ燃える蜜を垂らし、滴った大地に冷たい火花を散らせ、跡形もなく消え去らせる。

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posted at 03:04:06

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

弾かれたように跳び起き、玄関から出て行った。

そうして翅を拡げて、煌煌と照らされる都会の夜を闇の風となって翔び抜け、仕えるべき騎士を求めてさまよった。

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posted at 03:01:19

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ならない。透明なねじれ角が二本額から伸び、背からは爆ぜるように蛾の翅が開く。

「がはっ…かはっ…」

もはや胃酸ではない胃酸を吐きながら、夢魔はマットレスを掻きむしってずたずたにすると、

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posted at 02:58:28

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ただ帰宅すると服を脱ぎ捨て、巨漢の匂いが残るマットレスに裸身を擦りつけながら、夢うつつに野太い指でほられていた双孔をほじり、恋い慕う主人の名を呼んですすり泣くばかり。

「…うー…ぅ…止めなきゃ…止め…止めなきゃ…薬を…」

鎮静剤を飲めば少しはましに。

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posted at 02:56:38

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「ウォルドー…さ…ま…」

下腹の文様は広がり続け、乳房の真下、太腿の付け根まではびこっている。

千賀子はまるで飢餓に襲われた人間のように虚ろで無気力になり、仕事もまるで能率を落とし、家事もろくろくしなくなった。壊れた扉の修理さえしないまま。

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posted at 02:54:50

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

なぜなら何の騒ぎも起きなかった。いくらインターネットを漁っても闇の魔物の情報がないように、光の騎士の目撃談も出てこない。

そもそもの何かが根本から間違っていたのだ。千賀子の思案は。

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posted at 02:51:59

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

それから腕輪を輝かせ、兜と鎖帷子をまとい、外套を翻すと、玄関から出ていった。

どこかで馬のいななきが聞こえ、蹄の音が鳴り響く。だが武装した人馬の姿を目にするものはない。天の高くから見下ろす衛星や、監視カメラにさえもきっと映らないだろう。

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posted at 02:49:32

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

騎士はそっとシーツで婦人をくるむと、告げた。

「チガコ…いずれ償う…黄金でも命でも。だが今は許せ」

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posted at 02:47:45

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

もはや騎士が触れるだけで、夢魔の肢体はわななき、涙と蜜とをこぼす。

「なぜだ」
「殺…され…」
「なぜ俺をこの地の衛士に引き渡さぬ」
「…あそこ…よくない…ところ…」
「俺は…そなたを使い魔とやらにはせぬぞ…宮廷魔導士が何を企もうとな…一人で片付ける」

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posted at 02:46:10

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「…あの魔法か…」
「ごめ…なさ…」

殺される。闇の魔物になったのだから。千賀子はそう覚悟したが、ウォルドーは腕輪を輝かせて短刀を呼び出すと、細腕や細足をつなぐプラスチックバンドを断った。

それから洗面所にあるタオルを濡らして裸身を拭き清めた。

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posted at 02:41:38

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

さすがに隠し通すのは無理があった。

「俺のしたことか」

歯型だらけで痙攣する乙女の裸身を見下ろして、巨漢はうなり、次いで吹き飛んだ寝室の扉を眺めやった。

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posted at 02:37:59

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

枯れ果てるまで。

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posted at 02:35:26

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

恐怖と歓喜がいりまじった悲鳴を上げる千賀子にウォルドーは覆いかぶさり、まず接吻を浴びせながら逃れられない獲物の肉を生きたまま食い散らかすようにして貪った。

そうして最後は開いた両足の付け根に鬣(たてがみ)を埋め、開かず叢の奥をねぶり、あふれる蜜と水とを啜り飲んだ。かすれた嬌声が、

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posted at 02:35:02

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

うまくいった。三か所も拘束すると、さすがに抜け出せない。夢の中で切なげに啼きながら乙女は身もだえした。

すると巨漢の方からやってきた。虚ろな眼差しで。しかし鍵のかかったドアは体当たりで破ってしまった。

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posted at 02:32:47

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

対策としてプラスチックの拘束バンドを通販で買った。ベッドに手首を縛り付けるために。

結果としてはある程度まで移動を制限できるが結局は拘束から奇術のように抜けてしまう。そこで片足首も縛った。さらにもう片足首も。

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posted at 02:30:39

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

とりあえずこのままではウォルドーが闇の魔物を発見する前に、千賀子が完全におかしくなってしまう。

「…まず…夜のあれを止めないと」

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posted at 02:28:18

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「千賀子がお体を流しましょう」
「…無用だ」

そうでもなかった。

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posted at 02:24:24

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「湯浴みをなさいますか」
「ふん」

立ち上がる。これはあれだ。
躾けのよい犬だ。大型犬の類だ。

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posted at 02:23:02

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「…もう一杯召されませウォルドー様」
「馳走になる」

しかも飲ませているのは千賀子の方なのだ。ウォルドーはどうやら、何か要求すれば逆らうことはほぼない。

「でも…ここまでになさいますか」
「うむ」

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posted at 02:22:07

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

椅子に腰かけたウォルドーの傍らに両膝をついて、ワインのボトルを捧げ持ちグラスに酌をしながら、千賀子は明らかにおかしくなっていることに気付いた。

「…こんなこと…」

仕事の付き合いでも目上の異性に酌などしたことない。一度もない。ましてこのとつくにの武者は恐らく年下だ。

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posted at 02:20:18

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

しかし服の下は生傷だらけでも溌剌として十代に若返ったようで、ますます鬚もじゃの武者が輝かしく尊く思え、全霊で仕え尽くさねばならないという慕情が沸き起こる。

「…よくない」

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posted at 02:18:07

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ただの幻惑かと疑いたくもなるが、しかし乳房や脇腹や太腿についた歯型や指痕、吸痕は疑うべくもなく、いずれも職場にいる間中に疼き続ける。何より夜を重ねるごとにわずかずつ下腹の紋様が周囲に広がっているように思うのだ。

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posted at 02:15:56

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

夜明け前に起きて抜け出すのがひと苦労で、微睡のうちにあっても大躯の居候をいっかなたおやな家主を離そうとせず、逃れようとすると不機嫌きわまるうなりを発してきつく拘束する。

完全に覚醒してからのそっけなさとは別人のようだ。

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posted at 02:14:10

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

すると騎士は乙女を抱きすくめ、荒々しく接吻し、愛撫し、名前を呼んで離そうとしない。

途中で夢うつつながらも踏みとどまろうとすることもあるのだが、毛むくじゃらの腕が伸び抗うのを許さず引き寄せる。

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posted at 02:11:45

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

覚醒剤を注射しているような奮闘ぶりを支えているのは、眠りについたあとに見る夢だ。

寝間着を滑り落とし、一糸まとわぬ姿でマットレスからはみ出していびきを掻く巨漢に覆いかぶさる。

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posted at 02:08:04

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

何より千賀子自身が以前より元気だった。疲れがあまり体に残らず、仕事を終えても何でもできるような活力がある。仕事を片付け、家事を片付け、さらにSNSやニュースメディアを通じた闇の魔物に関する情報集めももりもりと進められた。

異常なほど頑張りがきく理由は薄々解っていた。

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posted at 02:05:32

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ちなみにスポーツウエアから水着からすべて千賀子が買った。合うサイズがなかなかなくて大変だった。

ついでに千賀子自身の分も付き合いで買った。

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posted at 01:59:36

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

とりあえず身分証なしでも利用できる市民プールや運動場を教えたが、一人でいかせると相当目立つので初めは付き添わざるを得なかった。

男女が一緒に肌を見せて泳ぐのにぎょっとしたようだったが、すぐに水の中を黙々と歩いて周回していた。

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posted at 01:57:40

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

騎士は一応耳は傾けた。

それでも鎧兜をつけて野外で鍛錬をしたがり、馬で町中を駆け回りたがった。そもそも近所に乗れる馬などいないのに。

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posted at 01:54:55

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

そうして千賀子はウォルドーにこの地でのふるまいを教え、ウォルドーは闇の魔物について千賀子に教え、徐々に行動の輪を広げていった。

インターネットやニュースというものがあり闇雲に調べ回らなくても情報を集められることや、わずかでも立場の不確かな外国人が受ける扱いについても分かち合った。

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posted at 01:53:01

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

とにかく目立たない衣服を買い揃え、一緒に街へ出て振る舞い方を身に着けるまでは家にいてほしいと告げる。

「私と一緒に行動していればそこまで怪しまれません。闇の魔物についてはもう少し詳しく教えてもらえれば、別の方法で探します」
「…相解った」

素直だ。

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posted at 01:49:10

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

仕事に行く間、家から出ないように。警察に職務質問を受けて、査証や旅券、外国人登録証明書などを携行していないと解ると、半ば縄目につくようにして、非常に悪い場所に連れてゆかれることを説明した。

「獄か」
「もっと悪いところです。非道なところです」
「ふん」

全然恐れていない。大問題だ。

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posted at 01:46:25

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

何となくウォルドーは宮廷魔導士が特に好きではなく、考えにも同意していなさそうだった。

「ではどうして…」
「つとめだ」

仕事だからか。では仕方ないか。

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posted at 01:43:39

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「聖女のことで忙しかろう…それに王は俺がここにいるのを知らぬ」
「ウォルドー様は近衛騎士…というのは王の家来では?」
「今は宮廷魔導士の預かりだ」
「では宮廷魔導士が国に働き掛けては」
「あやつはやらぬな」

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posted at 01:41:47

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

申し出ると、冷たい目つきで見返してくるが、魔法使いと異なり騎士は全然反対するようすはない。

「でもその場合…ウォルドー様はいったん…」

施設に入れられる。非常によくない施設に。
そう考えると千賀子は迷った。

「…王や身分の高い方が国と国との話し合いをされないのですか」

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posted at 01:39:05

メづすりα @MedusuriAlpha

22年7月8日

幼児化させたら、その後は……

幼児とお揃いの服を着せて、
幼児と同じもの食べさせて、
幼児と同じ遊びをさせて
幼児と同じ生活リズムにさせて、

気づいたら幼児としてしか振舞えなくさせたい。

#メづ寝言

タグ: メづ寝言

posted at 01:38:05

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

中原の王国の宮廷魔導士も近衛騎士もあまり異世界の事情など知らずに場当たりで探索ができると思っていたようだった。あまり深く考えないのが異世界流らしい。

「警察や外務省に連絡した方がいいと思います」
「ふん…」

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posted at 01:37:28

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「いつどこで誰を襲うかわかるんですか?」
「わからぬ。だが街でも村でも騒ぎになる」

いちおうどれぐらいの人口がいてどれぐらい犯罪が起きて、どれぐらいが立件されているかをおおざっぱに伝える。

「…中原の王国の四百に倍した人の数がいるというのか」
「多分」

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posted at 01:34:55

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

千賀子が朝食を用意してやるとまたウォルドーはぺろりと平らげる。明らかに量は足りていないようだった。

これからどうするつもりかをあらためて聞いておくと、野営する場所を見つけたあとは、魔物を駆り立てるという。

「どうやって」
「闇の魔物は人を襲う。そうして跡を残す」

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posted at 01:27:52

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

本当に魔物がいないと知ると、武装を解く。

「宿の恩は忘れぬ」
「どちらへ」
「野営地を探す」
「…しばらく待って。こちらの世界のことを覚えるまで」

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posted at 01:25:31

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「家で…よろいははずして…家具が傷むから」
「…魔物が…」
「いません」
「ふん…」

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posted at 01:21:06

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「来い!魔物!!」

挑戦の雄叫びを上げる騎士に、会社員は寝室から低い声
で返事をする。

「い、いません」
「いや…この鼻に今…ん?」

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posted at 01:18:26

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

全身を覆う。

「王のために!」

大躯は鬨を発して跳ね起きる。

即座に乙女は四つ足でだばだばと寝室へ駆け戻る。

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posted at 01:16:25

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

鬚に埋れた口が獅子の顎のように開き、すくむ獲物に食らいつくと、接吻を貪る。

異界の雄の強烈な精気が唇と唇、舌と舌を通じて流れ込み、女の脳を焼き付かせる。

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posted at 01:06:29

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

眠りに落ちると、夢の中で千賀子は寝間着を脱ぎ捨て、額と下腹を疼かせながら寝床を抜け出し、マットレスからはみ出して寝そべる巨漢の毛むくじゃらの胸板にやわらかい乳房を押し付け、恍惚とあえいだ。

"ウォルドー様"
"チガ…コ…"

野太い指が丸かな尻朶に食い込み、

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posted at 01:03:57

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ベッドに入って明りを消すと、スマートフォンを枕元に置く。地響きはまだ伝わってくる。

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posted at 00:59:53

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

すでに日付も変わっていたが、パソコンからリモートオフィスにログインして仕事の準備をしていると、地鳴りのような音が伝わってくる。

何ごとかと思うと、どうやら客のいびきだ。
やれやれ。

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posted at 00:58:57

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

とりあえずスマートフォンは防水なので浴室にも持ち込み、常に緊急通報が可能な状態にしておいた。

だが結局しなかった。台所兼食堂兼居間に軽く掃除機をかけてマットレスを敷き、夜の挨拶を済ませると寝室に引き上げた。

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posted at 00:57:12

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

異世界人まじで汚いな。

それはそうとシャワー中に下腹部を見下ろしたところ、薄桃色に輝く紋様がくっきりと見て取れた。

「…医者か…」

無駄だな。恐らく。

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posted at 00:48:07

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ウォルドーはしかし一度の説明ですべてを理解したようで、脱衣所で服を脱ぎ、シャワーを浴び、数種類の液を使い分けたようだった。

しかし巨漢が入ったあとの浴室は、男、というよりは獣じみた匂いが充満していて、換気扇を回してもなかなかとれず、乙女はくらくらした。

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posted at 00:46:59

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「…なに…?何だと…?」

体の部位ごとに数種類の液を使い分けて洗う。しかも毎日。という概念はまったく呑み込めないようだった。

「…やはり千賀子が一緒に手伝いをいたしままままません」
「…?」

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posted at 00:44:53

九重慧 @kokonoekei

22年7月8日

Mr.Clice 映像化はありそうなんだけどアニメ化よりもハリウッド実写化のほうが向いてるのでNetflixでお金一杯かけてちょいレトロ風味なスパイアクションコメディにして全世界でヒットしてほしいです
(Netflixは打出の小槌だとおもってる)

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posted at 00:42:54

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

シャワーの使い方を教えるのが骨だった。
まず沐浴の習慣にあまりなじみがないようだった。汚いな異世界人。

「ウォルドー様…手伝いいたします…ん」
「…?」
「これをひねると水。こちらをひねると湯。これを押すと体の汚れが落ちる液です。こっちが髪の汚れが落ちる液」

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posted at 00:42:11

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「…無用だ」
「ぞぞぞじゃない…マットレスあるんで貸します」

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posted at 00:38:38

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「お口に合いましたかかかか…足りました?」
「…馳走になった」

鬚もじゃの武者のぶっきらぼうな礼に、婦人は体の芯が蕩けそうになるのをこらえて、深呼吸する。

「警察や…滞在許可のことは…明日考えましょう。私疲れているんで…臥所はあちらです…狭く貧しい部屋ですが…どうぞぞぞぞ…」

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posted at 00:37:00

非公開

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帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

買い置きのパンとハムとチーズとトマトとピクルスでサンドイッチを作った。できるだけ量を多くしたつもりだったが一瞬で消えた。

千賀子が、コーヒーを勧めるとウォルドーは飲んだことはないようだが特に拒まずまたひと口で干した。

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posted at 00:31:00

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

家主が椅子を勧めると、招かれざる客は素直に座る。巨漢の重みを受け止めきれないのか、嫌な軋みをさせているが、すぐに壊れはしなさそうだ。

「お食事は召し上がり…りりりり…何か食べます?私これから夕食なんで」
「……………馳走になる」

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posted at 00:29:32

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

千賀子は解ったような解らないような面持ちになってから、とりあえず倒れている食卓を戻そうとした。

するとウォルドーが丸太のような腕を伸ばして軽々と立て直す。

「…どうも」
「ふん…」

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posted at 00:27:39

ぴぴけ @test_AAA114514

22年7月8日

これまでの鍛錬のおかげで3分くらいでこういうのを描けるようになった

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posted at 00:25:32

ぴぴけ @test_AAA114514

22年7月8日

pndr描くの久々すぎるだろ!!!!! pic.twitter.com/rJS6D3xEdO

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帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

呪文を口にした。まばゆい光とともに鎖帷子も兜も籠手も足甲も斧槍も溶けて縮み、金物の腕輪の形になる。

「…ふん…」
「魔法…」
「俺のじゃない」

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posted at 00:23:24

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

獅子鼻、頑丈そうな広い顎。特徴ははっきりしているが、しかし何人、何民族と言い当てられそうもない。

「もし必要がないなら…かぶりものや…よろい?は脱いでくつろがれて…いえ…家具が傷つくので…」

乙女の申し出に、騎士はまたうなり、なにやら右手の指を拡げ、にらみつけてから、

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posted at 00:19:57

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

千賀子はグラスを傾けて乾いた喉を潤しながら、ウォルドーのかんばせを見上げた。

渦巻くような鬚が頬から顎までをおおっていて、神社の狛犬か獅子のようだ。双眸は大きく鋭く、冷たいが、単にそういう目つきかもしれなかった。

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posted at 00:16:17

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

騎士はうなると、兜を脱いで脇に抱え、指でグラスを挟み取った。そうしてひと口に飲み終える。

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帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

ウォルドーは三歩下がって壁に背をぶつけた。嫌味か。部屋が狭いという。千賀子は歯ぎしりしながらボトルを取り出し、喇叭のみしようとしてから、息を吐くと、自分と客用のグラスを出して、台所に置き、順番に水をそそぎ、片方を差し出した。

「ぎ…よければどうぞ」

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帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

騎士が仕留める。そんな馬鹿な。聖女と間違われたあげく魔物に変えられて殺されるだなんて。

「…離れなさい…どうぞウォルドー様の望みのままに…この身のすべては…ウォルドー様ままままま…とは関係なく私のものなので…あと三歩離れて下さい」

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帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

水を飲まなくては。会社を出てから何も飲んでいない。日戸氏はよろよろと立ち上がり、冷蔵庫に近づく。竹炭濾過した水道水を入れたボトルを出そうとし、騎士がすぐ真後ろにいるのに気付く。

「あ…ぅっ…」
「魔法は」
「う…」

魔法。魔法にかかっていたら、魔物になるんだったか。魔物になると

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posted at 00:07:06

帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「どこへ…行くつもり…ですか」
「…野営できる場所を探す」
「ここは…街の中だから…無理…キャンプ場は…遠いし…」
「構わん」
「だめ…身分証がなければ…利用できないから…ちゃんと…聞いて…まず…」

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帽子男 @alkali_acid

22年7月8日

「そうか…邪魔をしたな」

騎士は立ち上がると、くるりと背を向け、玄関に向かおうとする。

「どうかお留まりを…ここはウォルドー様の館…かたかたかたかたかたかた…ではない。私の家です…待って…待ちなさい」

乙女はぜえぜえと息を吐きながら手を上げて制する。

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