革命的小銃弾
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- 自己紹介 鉄砲とか好きです。 主に弾の出ない方のおもちゃの鉄砲とダミーカートとか実物マガジンとか。 アイコンはておどら(@TDItheod)氏謹製。 現在フォロー数上限到達の為フォロー返し不可。
2019年09月22日(日)
切断面の描写。筋肉は腱と腱でつながってるので、切断されて片方がなくなったらこうなるので力が入らずこうなるのではないかな的な絵。
あくまで「絵的に自然に見えるかも～？」な意味ですが pic.twitter.com/t5UQaWbxlq
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posted at 00:37:36
こんな感じで夜な夜なこっそり川内の生き血を啜ってる軽巡棲姫ちゃんに出くわしてしまい、その場で性交渉と共に吸血されることで精と血の契りを交わし眷族化させられたい皆様、おはようございます pic.twitter.com/6jXA10fZc0
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posted at 01:04:21
@Lffey_ 海外ではかなり独創的なケーキが流行ってますよね。私もこの水晶モチーフのケーキをピンタレストで見つけて気になってました。 pic.twitter.com/eDW5Kfa6Z8
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posted at 01:12:26
創作メモ
うっかり吸血鬼を召還してしまい契約まで交わすハメになった鈍感生化学者と、密かに彼に一目惚れしたものの上手く態度で現せないツンデレ吸血鬼お姉さんとの、飲用代用血液探求物語
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posted at 01:19:09
深夜二時。人気の絶えた大学構内。
デスクライトだけが点いたラボは、しんと静まり返っていた。
「いつになったら味あわせてくれるのかしら？」
「もう少しで調合が終わる」
「待ちくたびれちゃったわ」
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 01:59:35
長髪を揺らしながら簡素な事務椅子にもたれかかり、彼女はどこか扇情的なため息を漏らした。葬儀屋を思わせる漆黒の喪服と髪に射した黒いバラ。闇に溶け込むその装束の中で、銀髪と深紅の瞳だけが爛々と光っている。
「…できた」
滴定を終えたビュレットの栓を締め、
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:05:04
その下のビーカーに湛えられた赤いコロイド液を差し出す。
「色気がないわ、もっとマシな食器にして頂戴」
僕はその高飛車な物言いにため息で応えると、冷めたコーヒーの残る自分の紙コップから取っ手付きのホルダーを外し、新たな紙コップへ付け替えた。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:08:09
たまたま手近な所に転がっていた尿検査用の紙コップだが、中身を注いでしまえば縞模様のガラは見えまい。
「品は無いけれど、まあいいわ」
彼女はその言葉と共に、紙コップの中に注がれた液体を一息に飲み干した。
…つい今しがた添加物を加えたばかりの、人間の血液を。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:12:07
飲み干すこと1秒、2秒…彼女は凍りついたようにカップを掲げたままの姿勢で動かない。
「…美味しくない」
ようやく下ろされた紙コップ越しに寄越される、恨めしげな上目遣いと苦言。
「なんかまだ甘しょっぱくて、雑味もある…」
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:14:09
「そりゃあそうだよ、クエン酸と砂糖が入ってるんだから」
「なんでそんなもの入れるのよぉ…天然モノじゃダメなのぉ？」
「だから前も言ったように、人間の血液ってのはそうしないとすぐ腐敗するんだよ」
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:15:26
拗ねたような声と子供っぽい仕草が、大人びた風体に妙にミスマッチで可愛らしい。
「これでも一応、いつも使ってるACD液よりは更に濃度を半分にしてるんだけどなぁ…」
ともあれ、彼女がマトモに飲める味に仕上がったという点では大きな進歩だ。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:17:51
何せ最初に与えたアルゼバー液添加のウサギ血液の時などは、その場でマーライオンよろしく吐き戻した血液を白衣にモロに浴びる憂き目に遭ったのだから。
「早く私が飲める調合を見つけなさいな。さもないと本当にアナタを食べてしまうわよ？」
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:19:15
唇周りの血液を舐め取りつつ椅子から立ち上がった彼女は、悪戯っぽくも妖艶な笑みで人差し指を僕の胸元に突きつける。
その瞳の奥、爬虫類のような縦向きの瞳孔から向けられた欲望の炎は、間違いなく捕食者の色を湛えていた。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:22:59
僕と彼女、吸血鬼のクレーヴェルが出会ったのは、つい先週のこと。事の始まりは大学の図書館だった。
T大第二分院付属ラボ、それが僕の所属している研究室だ。4年の修士課程を終えた僕は大学院生としてここに毎日のように、それこそ休日返上で通っている。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:29:43
専攻は生化学。旧帝大にして日本でも随一の、時に最高学府とも呼ばれる大学の院に入ってからの暮らしは、想像とは全く違った。平たく言えばラボ畜。研究に継ぐ研究、日夜続く論文との格闘。たまの休みも学会で潰れ、挙句は教授陣からの「素人質問」の恐怖に怯える日々。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:34:11
そんな日々での数少ない、ささやかな楽しみが古本漁りだった。大学の図書館や、夕食のカレーを食べに立ち寄る神保町の古本屋で、通販では手に入らないような掘り出し物の本を漁るのだ。
バイトもできない過密スケジュールのため本を買うお金を節約するために始めた習慣が、
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:38:09
いつしか趣味に高じていた訳だ。
そんなある日、大学図書館でオートクレーブ待ちついでのなけなしな昼休み、いつものように面白そうな本を書いている著者を探していた折のことだった。19世紀の医学者の記した一冊に巡り合った。
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posted at 02:45:34
当時の医学会は過剰な性行為が精神疾患を引き起こすという通説が流布されていた時代で、その著者も例に漏れず「精液漏仮説」の信奉者であった。それだけなら取り立てて変わっている訳でもない、医学の歴史における参考書の一冊でしかなかったのだが。
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posted at 02:47:52
目を引いたのは飲血について言及したページだった。『過剰な自慰は血液の漏洩により生命のエネルギーを損耗させ精神病を起こすため、それを補うために生き血を飲ませるのが患者の治療に有効である。』確かそんな内容だったと思う。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:49:55
古代ギリシャの時代から、血液は生命エネルギーが込められた体液であり病気と言う物は血液を含む四種の体液のバランスが崩れることによって引き起こされる、と信じられてきた。アメリカの初代大統領の命を奪った瀉血の根拠にもなったその四体液説とは一線を画すその記述に
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:53:08
僕は目新しさを覚えたのだ。
早速スマホで著者名を検索するも、該当はなし。そこで神保町の古本屋を当たってみることにした。
一週間通い詰めて見つかったのは一冊だけ。それも書棚には並んでいない、店の隅で床に平置きされ忘れ去られた山の下から掘り当てた一冊だった。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 02:55:25
中身はどうやらラテン語らしかったが、安かったので徒労の記念と思い購入。そのまま一月ほど研究室の机上に積んでいたのだが、とある夕方、ガスクロマトグラフィの待ち時間に暇潰しに何気なく開いた。
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posted at 03:02:55
その日は偶然、ラボに残っていたのは僕一人だった。読めもしない外国語の本であっても眺めているだけで、頭がよくなったような気がして存外愉しめるものである。ところどころに挿入してある図につけられた注釈などを勘を頼りに読むと、どうやら飲血の歴史の本らしかった。
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posted at 03:05:34
ラテン語は細菌を始め生物の学名にもなっているし、何より英語の始祖のようなものである。たまたま持ち合わせていたラテン語辞書を片手に、接頭句などから意味を類推し、音読してみたりと試行錯誤の後。それは起きた。
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posted at 03:08:06
シカゴレジメンタルスに行くと同価格帯で他にも目移りしがちなんだけど、初志貫徹でスターリングMk4 (L2A3) を買って来た。
非常にシンプルな構造なんだけど妙にストックの構造に凝ってて折り畳みが非常に面倒。
さすが英国製だ！ｗ
どうやら自分は穴ボコだらけのバレルジャケットに弱いらしいｗ pic.twitter.com/I3aTgB3MSo
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posted at 10:05:09
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草木も眠る丑三つ時、目が冴えるような雷鳴がラボに轟いた。同時に机上にあった古書が直視できないほどの光を放ち始める。
反射的に仰け反った拍子に肘がぶつかり、コーヒーの残る紙コップが転げ落ちる。が、それが床に着地することはなかった。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 14:57:31
褐色の液体は表面張力を保ったまま、大小無数の雫となって空中に静止していた。ガスクロマトグラフやオートクレーブ、細菌培養器といった実験機器が一斉にアラート音を発し始める。PCのディスプレイには無数のエラー表示。
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posted at 15:00:33
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僕は咄嗟に時間を確認しようとPCの画面の右下へと目をやったが、そこだけが砂嵐に覆われ数字が見えない。取り出したスマートフォンのデジタル数字は88:88。顕微鏡を覗くのに邪魔にならないよう、右手首に内側向きにつけているアナログ時計は盤面が逆周りに回転している。
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posted at 15:03:07
感染対策で窓が一度も開けられたことのないラボ内に、まるで台風のような暴風が吹き荒れる。吹き飛ぶ書類、倒れるビュレット、風圧に耐え切れずにヒビが走る安全キャビネットのカバー。
そんな状態がどれくらいの時間続いたのかはわからない。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 15:05:03
何せ時計が見られなかったのだから。だが気がつくとその現象は終わっていた。
恐る恐る目を開けるとラボは何一つ変わらぬ平静そのものに戻っていた。電気泳動用のゲルが入った冷蔵庫や遺伝子改変した大腸菌を培養しているフラン器も無事であることを確認し胸を撫で下ろす。
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posted at 15:09:15
俄には信じがたい現象を目の当たりにして僕は、辺りを見回しながら自らの正気を疑った。そういえば今週はもう二回も研究室で夜を明かしている。いよいよ幻覚でも見るようになったのだろうか。
だが、本当に信じられない現象はそのまさに背後で起こっていた。
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posted at 15:11:09
机に乗っていたはずの紙コップがホルダーごと床に落ちる乾いた音に、僕はびくりと振り返り…そして彼女と目が合った。
「なぁに？ この泥水みたいなの。こんなのが私を召還した贄だなんて、アナタ私をたばかってるワケ？」
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posted at 15:15:21
机上に屹立した彼女は喪服のようなパンツスタイルの黒スーツとは対照的に、その肌は病的なまでに白く。耳元に掻き揚げられた月を思わす銀髪の下からは
獣のような八重歯が覗く。そして背中には悪魔のような黒い羽。
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posted at 15:18:30
地に降り立った彼女はつかつかと僕の眼前まで詰め寄ると、まつ毛が触れそうなほど顔を近づけこう言った。
「召還の代償が払えないのなら、アナタの血でもって償いなさい？」と。
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posted at 15:22:06
「血！？ 血があればいいのか…？」
狼狽の余り口にした素っ頓狂な問い掛けには、意外にも真面目な回答でもって返された。
「そうよ、哺乳動物の血。吸血鬼なんだから当たり前でしょう」
「そ、それならちょっと待ってくれ…！！」
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posted at 15:25:12
イ カ のキャリバー専用アカウント @otsukumamiri
飛騨高山民芸品「さるぼぼ」の女体化
#soulcalibur6 #ソウルキャリバー6 #キャラクリ pic.twitter.com/YCkuuy5vCR
タグ： soulcalibur6 キャラクリ ソウルキャリバー6
posted at 15:25:49
僕は慌てて冷蔵庫に駆け寄ると、研究用として保存されていた実験動物の血液を取り出し…その後に起きた悲劇は先述の通りだ。
詰まるところ僕が訳も分からずに読んでいたラテン語の書物は吸血鬼（彼女はクレーヴェルと名乗った）を召還するための本だったという次第である。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 15:28:45
話を現在に戻そう。
「で？ いつまで私はこの不味いゼリーを食べてなきゃいけないワケ？」
羊の血液が添加された血液寒天培地を、一時期流行ったトマト寒天よろしくスプーンで突きながらクレーヴェルが不満げな声を上げる。
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posted at 15:30:44
「熱処理されてるのが好みなら、まだたくさんあるぞ」
チョコレートバーを齧りながら、チョコレート寒天培地（血液寒天培地を加熱したもので、色がまさにチョコレートそのものなのでこの名がある）の入った冷蔵庫を指し示す。
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posted at 15:32:04
「嫌よ！ どっちも生臭くて美味しくないの！」
文句を言いつつも素直に食べるクレーヴェル。羊の血液が気に食わないのだろうか。
そういえば羊の血液は確か、人間の血液型で言うところのA型に相当するらしい。血液型の問題だろうか。
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posted at 15:34:24
試薬のウシアルブミンは飲める辺り、培地作成用のウマ血清も存外彼女の口には合うのかもしれない。
そんなことを考えながら僕はチョコバーの空袋をコーヒーが入っていた紙コップに押し込み、実験器具の片付けにかかった。
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posted at 15:35:49
クレーヴェル、ロシア語でシロツメクサ（クローバー）の意。花言葉は「幸運」「私を思って」「約束」、そして「復讐」。
美しさと恐ろしさが同時に介在する名の彼女の望みは、偏に血液を摂取すること。そうして魔力を蓄えないと元の世界に還れないらしい。
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posted at 15:52:12
意図せぬ召還とは言えその責任の一端は僕にある。そして幸運なことに僕にはまた、血液学に関する知識もあった。
彼女の摂取すべき血液の、その魔力源たる有効な物質は何なのか。それを如何にして効率的に抽出、摂取すればよいか。
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posted at 15:54:32
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クレーヴェルがこちらの世界に来てからと言うもの、自宅に帰ることのできる日はほとんど皆無になった。とは言え、それまでも週に半分程度しか帰れてはいなかったし、着替えや食事も大学にストックしてあるのでさして困ることは無かったが。
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posted at 16:39:27
日夜ラボに泊まり込む関係上、クレーヴェルとも丸一日一緒にいることになる。彼女は魔力で髪や瞳の色が変えられるので、日中は黒髪と茶色の瞳に姿を変え、薄い銀縁メガネに白衣を羽織った姿で行動を共にしている。建前上は僕の幼馴染。
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posted at 16:43:06
彼女が始めてラボメンの前に姿を現した日は傑作だった。長躯な麗人を前にして、誰一人実験に身が入らずじまい。僕はその日初めて「開いた口が閉まらなくなった」人間の様子を直に目にすることになった。
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posted at 16:45:45
クレーヴェルとの新たな『メニュー』開発は決まって、ラボの人気が無くなる夕方から夜にかけて始まる。
まずは僕の腕から採血し、血液を遠心分離。細胞成分と液体成分に分けてから、さまざまな調味料を加えていくことになる。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 16:47:26
これだけ読むと『どうせ採血するのならその血液を直接彼女に与えてしまえばいいだろうに』と思う人もいるだろうが、そうはいかない。人目がある日中は彼女が食事を摂れなくなってしまう上に、いつまでも僕の血液が安定供給できる保障も無いからだ。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 16:52:08
今は動物の血液や血漿成分で間に合わせているが、彼女の必須とする栄養素はそれだけでは補えず、このまま人の血液を口にしない食生活が続くと数年後に病を発症してしまうのだと言う。輸血用の血液製剤が手に入れば話は早いのだが、それも合法的に行うには難しい。
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posted at 16:55:21
人の血液に含まれていて、かつ動物血には無い、栄養素として代謝される成分の同定。人類が百年かけて行ってきた研究に僕らは2人だけで立ち向かおうとしているのだ。
「ねぇ、それ飲んじゃダメ？」
真空採血管の中の僕の血液を背中越しに覗き込みながらクレーヴェルが、
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posted at 16:58:34
物欲しげな声音でねだる。
左肩に軽く乗せられた顎に思わずどきりとしてしまう。彼女の髪からはその名の通り、シロツメクサのような淡く儚い芳香が漂い鼻をくすぐる。
「これは研究用だからダメだ。僕の血だって無限に沸いてくるんじゃないんだぞ」
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 17:01:59
「ねえ、一舐めでいいから～」
あまりにしつこくねだってくるので、仕方なしに一滴だけスポイトで舌の上に垂らしてやる。
「…今日のはなんだか脂っこいわね」
「さっきラーメン食べたんだから当たり前だろ」
血清を数マイクロリットルだけ検査機器にかけ、次の段階へ。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 17:05:53
今日の血液は血清採取用にガラスビーズが入った採血管を使っている。血液が固まるのを防ぐ抗凝固剤の中にはシュウ酸のように、人体にとって毒性のある物質もある。
いくら吸血鬼とは言えど、血液という生体物質を摂取する以上は生物の範疇にある存在であろう。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 17:10:27
その食用に供するのに毒劇物が含まれた血液を与えるのは、流石の僕でも憚られた。
まあ今日の血には添加物は（最近上昇傾向にある僕の中性脂肪以外は）何も無いので、もう少しの間クレーヴェルがお行儀よく待っていられたら実験で残った血液を飲ませてやってもいいだろう。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 17:12:37
そうこうするうちに血液の吸光分析が終わり、検査結果が自動分析器からPCへと送られてくる。やはり中性脂肪とコレステロールが高い。
そのデータを研究日誌フォルダのエクセルへ移し、遠心分離した血液のうち下層の細胞成分が入った試験管を冷凍庫へ入れる。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 17:24:37
冷凍庫は業務用のものではなく、安物家電のそれ。ゆっくりと冷凍されるために細胞成分が壊れ、一晩経てば赤血球や白血球の内容物が漏れ出した溶液となる。
予め解凍しておいた昨日の細胞液と、さっき遠心分離した残りの血清液は、電気泳動へかける。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 17:27:05
寒天でできた二枚の、短冊のようなゲルの中央に小さな穴を空け、そこに細胞溶解液と血清液をそれぞれ入れて、電圧をかけて数時間放置するのだ。
タンパク質は溶液中でマイナスに荷電しているため、こうして荷電下に置くと陽極方向へと移動を始める。
#吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 17:29:40
タンパク質の移動速度は分子量によって異なり、大きな分子からなるタンパクほど移動量が小さくなるため、時間を置けばタンパクの種類ごとに帯のように寒天上に成分が分離できるという寸法である。
あとはそのタンパク質の入った寒天ゲルを帯ごとに切り分け、
#吸血鬼が偏食で困ってます
タグ： 吸血鬼が偏食で困ってます
posted at 17:31:29
クレーヴェルに味見させていくというのが今日の方針だ。
動物と言うものは大抵、必須な栄養素ほど美味に感じるよう味覚がプログラムされている。原始的だがまずはこの方法で、おおまかな吸血鬼の味覚嗜好を把握しなければ。
#吸血鬼が偏食で困ってます
タグ： 吸血鬼が偏食で困ってます
posted at 17:33:40
実験の大半は待ち時間である。その間、クレーヴェルは僕同様に本を読んで過ごしている。どうやら彼女はこの世に召還され現界した時点でこの世界に関する基礎知識は与えられているらしく、英語と日本語、それに高校レベルの教養は持ち合わせている。
#吸血鬼が偏食で困ってます
タグ： 吸血鬼が偏食で困ってます
posted at 17:49:12
血液って動物の体内で真っ先に腐敗が始まる部位なので、なかなか流通させるのが難しいんだと思います
人間の場合だと白血球は死後数時間で死滅してしまう、とも聞きますし
血抜きした直後に冷凍とかしてあれば大丈夫なんでしょうが… twitter.com/Ton_beri/statu...
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posted at 17:55:00
あ、探したらアッサリ見つかったわ、家畜の血液成分のデータ
ウシ
hyogo-nourinsuisangc.jp/3-k_seika/kenp...
ブタ
www.jstage.jst.go.jp/article/youton...
トリ
www.jstage.jst.go.jp/article/chikus...
んー、測定項目は似たり寄ったりだけど、体重あたりの血液量とかでこの濃度データは補正しなきゃいけないかなあ…
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posted at 18:05:13
自分の中身が気になって仕方がない女の子
でも中身を出したら後戻りは出来ないことは知っています
今日は旅行で家族誰もいないから pic.twitter.com/Kxz9wp8PxA
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posted at 18:59:14
畜産は初めてと言ってますが、普通のアイドルは漁業や農業をしません。
ましてや反射炉なんて絶対作りません。
#鉄腕DASH pic.twitter.com/pliMD25l31
タグ： 鉄腕DASH
posted at 19:13:53
@dzurablk_kai 理性を止めて一秒 あなたヤバそうな目をしたから
そこから何も言えなくなるの 社会性ロンリネス
きっと愛する性癖大切にして 知らずに踏み外すのね
堕ちたその結果 見ないふり
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posted at 20:39:51
「人間の必須栄養素？とかいうのは大体わかったわ」
百科事典のような分厚い専門書を机に放り出しながらクレーヴェルは退屈そうな声で言った。
「で、人間の血にはどれが含まれてるの？」
「ほぼ全部だ。腸で吸収された栄養素は血管とリンパ管経由で運ばれる」
＃吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 21:35:25
「リンパ管っていうのは？」
「脂質なんかが運ばれる…んだったと思う。残りの糖分や必須アミノ酸とかは結果経由だ」
「じゃあそれが私に必要な栄養ってこと？」
「そうとも限らない。動物の血液の組成や代謝過程は人間も他とそう大差は無いみたいなんだ。
＃吸血鬼が偏食で困ってます
タグ： 吸血鬼が偏食で困ってます
posted at 21:39:05
動物の血ではなく人間の血でしか生きられないってことは、動物の血には含まれてない物質を調べる必要がある」
「じゃあなんで人間であるアナタの血を分析してるのよ」
僕は解剖学の本を取り出すと、人間の臓器の配置示された図解を指差し続けた。
＃吸血鬼が偏食で困ってます
タグ： 吸血鬼が偏食で困ってます
posted at 21:42:24
「いいかい、人間が摂取した栄養はさっき言ったように腸から血管とリンパ管を経由してこの肝臓に運ばれる。タンパク質を例に挙げると、そこで経口摂取した必須アミノ酸と体内で合成した別のアミノ酸とを組み合わせて生命維持に必要な各種タンパクを合成してる」
＃吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 21:44:23
「…で、それをまた血管経由で全身に運んでるってワケ？」
理解が早くて助かる。
「血管で運ばれてるのはそういう栄養素だけじゃない。肝臓で作られたコレステロールは内分泌器官でホルモンに変わるし、体内に侵入してきた病原菌の一部を元に作られる抗体もある」
＃吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 21:47:10
「そのどれが私の体に必要なのかがわからないから、絞り込む必要があるってワケね…それが判明するまでに寿命が足りるかしら」
クレーヴェルは残っていたコーヒーを飲み干すと、コーヒーメーカーへ向かうついでに冷蔵庫から血液寒天培地を手に取り戻った。
＃吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 21:52:20
隣の机に座り足を組みながらコーヒーにスティックシュガー三本を投入。更に一本を培地にかけ、スプーンで口へ運ぶ。
「そういえば、吸血鬼の寿命ってどれくらいなんだ？」
「アナタもなればわかるわよ、試してみる？」
「どういう意味だ」
＃吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 21:54:22
「アナタ、童貞？」
「何だって？」
突飛な問いに危うくカロリーメイトを取り落とすところだった。
「吸血鬼になる方法は二つ。童貞か処女が血を吸われるか、吸血鬼の血を体内に取り込むか。どっちがいい？」
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posted at 22:01:46
本気とも冗談とも判断しかねる眼差しが、悪戯っぽい笑みの奥で炎のように揺れている。
「退屈なものよ。生きるのも死ぬのもどっちも億劫でただ面倒になる。私の生きてきた時間はそのくらいの長さはあったわ。だから多分、これからも同じかそれ以上は生きるでしょうね」
＃吸血鬼が偏食で困ってます
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posted at 22:07:10
それだけ言うと彼女はどこか寂しそうに笑った。
「退屈と言えば、アナタはなんでこんなことをやってるの？」
「こんなことって、研究か？」
「他にある？」
肩をすくめて見せる吸血鬼。彼女の口寂しさを埋めるはずだった血液培地とコーヒーはどちらも既に空だった。
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posted at 22:09:50
「理由は二つある。一つは面白いから」
「退屈な時を過ごすのが？」
「いや、知識を得るのがだよ。タバコやコーヒーと同じさ」
「共通点がよくわからないわ。暇つぶしが趣味で、知識を得るのもアナタにとっては暇つぶしなの？」
「そうじゃない…とも言い切れないな」
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posted at 22:13:23
僕は暇つぶしの意味のコーヒーを口に運び、二の句を継ぐ前に喉を潤した。
「このラボにもよくいるだろ、タバコを吸ったり缶コーヒーを買いに行くために、しばしば席を外すやつが。でもあれは名目みたいなものだと思うんだよ」
「名目？」
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posted at 22:14:53
「そう、タバコを吸いにいく『名目で』外の空気を吸って気分転換する、コーヒーを買う『名目で』売店に言ってラボ以外の人間と話す。そういう名目だ。そういう意味の無い行動、目的の無い時間が人間には時々必要になるんだ」
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posted at 22:16:17
悠久の時を過ごしてきた吸血鬼に限りある寿命に縛られた人間の心理が理解できるかはわからなかったが、僕は続けた。
「僕にとって実験の待ち時間は名目で、その何もしないことが許された時間に本を読むのが好きなんだ。つまり真の目的はこっち」
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posted at 22:18:54
クレーヴェルが放り出した生化学の本を指差す。
「人間ってのは歳を取ればとるほど、社会にも時間にも人間関係にも、自分自身にすら縛られていくようになる。でもこの実験の待ち時間だけは何にも縛られることなく、自由な気持ちで新鮮な知識を得られる気がする」
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posted at 22:20:33
「…面倒な生き物ね」
「ああ、面倒くさい。君に比べて寿命は短く体も脆弱な癖に、建前や役割ばかり気にしたがる。それが人間だ。でも、この本を読んでる時に感じられる喜びだけはそういった紛い物とは違う、本物の感情だ」
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posted at 22:22:24
「私にはよくわからないわ。知的好奇心とか探究心とか」
そう返すとクレーヴェルはおもむろに立ち上がり、僕の足の上に跨った。
「でも、本当の快楽は知ってる」
唇が触れ合いそうなほど顔を近づけ魅惑の笑みで微笑む吸血鬼と、二の句は愚か吐息一つ継げなくなる獲物。
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posted at 22:40:01
「知ってるかしら？ 吸血鬼に血を吸われるのは人間じゃとても味わえない、至高の快楽なの」
クレーヴェルは整った顔立ちだったが、それは間近で見ても変わらなかった。むしろ魅力が増したとすら思える。フェロモンか何かの作用だろうか。
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posted at 22:42:59
「アナタの血をくれれば私は元いた世界に戻れる。アナタは何をする必要も無い時間が手に入る。それこそ永遠にね？」
「…いや、それはできない」
僕は彼女の体を押しのけた。銀髪の後ろで黒い翼が羽ばたき押し戻されそうになるも、なんとか距離を保つ。
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posted at 22:45:20
「ふふ、童貞の癖に焦らすのね。私はアナタに興味を抱きつつあるわ」
「それは僕も同じだよ。君にも、君の身体にも興味が湧いてる」
「身体ってどっちの意味で？」
二人の間に沈黙が横たわる。それを打ち破ったのは百均のキッチンタイマーのチープな電子音だった。
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posted at 22:49:33
「電気泳動が終わったよ」
「残念、味見してみたかったのだけれど」
「味見をしてもらうのはこれからだよ」
膝の上から退くとクレーヴェルは額に掛かった髪を掻き挙げた。
「オードブルが済むまでメインディッシュはお預けってワケね」
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posted at 22:53:51
「君のグルメは重々承知だよ。お陰で今日もこんな時間までラボ畜しぐささ」
「ねえ」
寒天ゲルを切り分けるカッターナイフを取りに立った僕の背中にクレーヴェルが声を掛けた。
「そういえばもう一つの理由を聞いてなかったわ」
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posted at 23:04:15
「それは…後で教えるよ」
短冊形の寒天ゲルにできた五本の白い帯を、カッターで慎重に切り分ける。
「言葉で伝えるよりも見てもらった方が早い」
「またお預け？ 面倒なのは人間という種族じゃなくてアナタ一人なんじゃないかしら」
「かもな」
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posted at 23:06:07
我侭なお姫様のためにわざわざ皿に装われた、色気の無い寒天。そういえばここ数日彼女は寒天培地ばかり食べているが、吸血鬼は食物繊維は消化できるのだろうか。
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posted at 23:08:52
面倒な性格の人間と、面倒くさがりかつ身体の構造まで面倒な吸血鬼。存外僕らは似たものどうしなのかもしれない。
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posted at 23:12:26
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