柑橘/跡地
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2012年12月28日(金)
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ないのに一方的に嫌うなんてもったいない!君だってコレを知れば好きになるさ…。ほら、力抜いてさ楽しもうよ。スタンドなんて使うなよ?」彼はしっかりと釘を刺して、目を隠す布を取らぬまま俺へと口付けた。 ―完―
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posted at 06:53:26
ろ俺は、クスリのことを知ってから死に向かっているようなものだ。(そうだ。許すことも受け入れることもできないが、諦めたじゃあないか…)歯を食い縛り耐える俺を前に、ヤツはぺらぺらと喋ることを止めない。「僕が思うに、ブチャラティ、君はいわゆる”食わず嫌い”だろう?一度も善さを味わってい
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posted at 06:48:07
すことはできないが、俺ひとりにどうすることもできないのも事実だ。俺の力では組織を敵に回すことなどできない。ましてや俺には部下がいる。ここで俺がコイツを殴ったとして返ってくるのは組織からの追手だ。俺の感情に任せた一つの行動でチームの皆を危険にさらし命を失わせる訳にはいかない。何にし
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posted at 06:42:29
聞こえてきてゾクリと全身が粟立つ。そして彼は俺の耳元でさも楽しそうに「セックスドラッグだよ」と呟いた。嫌悪感に体が震え上手く言葉が出てこない。どうしたらいい。拒めばいいのか?目隠しを外してコイツを殴り飛ばし逃亡するか?しかしそんなこと俺にはできなかった。クスリを流す組織のことを許
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posted at 06:37:23
。その中に指を突っ込まれ口の奥に何かを置かれて呑み込まざるを得なかった。嫌な予感がし吐き出そうと思っても空咳が出たりえづいたりするばかり。どうにかしようと椅子から落ちて床に膝を突き、咳き込んでいた俺は再度顎を強引に掴まれ、彼の方を向かせられた。彼からはくすくすと小さな笑い声が
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posted at 06:27:19
アイディアを思いついたんだ」言い終わると同時に乱暴に顎を掴まれた。突然のことに思わずその手を振り払いそうになるが、相手は組織の上層部だ。抵抗することなどできない。ぐっと堪えされるがままにする。「君に善さを知ってもらおうと思う」顎を掴む手にさらに力が籠められ無理矢理に口を開かされた
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posted at 06:08:04
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なのか、ポルポのせいで俺やチームを過大評価しているのか、はたまた面白がっているだけなのか。よくわからなかった。「そこで、だ」急に眼の前から聞こえてきた声に思わず頭を後ろに引いたが、すぐに背もたれに受け止められてしまう。「君に否定されないためにどうすればいいか考えたんだ。そしていい
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posted at 05:59:32
らも一目置いてるんだ。だから君に組織を否定されるとつらいんだ。わかるよね?」「…はい」否定と言うのは裏切りと言う意味だろう。末端のチームひとつに裏切られるくらい、本来組織にとって痛くも痒くもないはずなのになぜこんな脅しまでかけてくるのか。よほどクスリが組織にとってデリケートな問題
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posted at 05:48:09
やってたつもりなんだけど…わかっちゃうなんて!」優秀だとポルポから聞いているよ、と彼は続けた。「でも、君はクスリを嫌っているらしいじゃないか」「…」そこで彼は歩きまわっていた足を止めた。きゅっと靴底をならし再びこちらへと近づいてくる。「街の人たちにも中々好かれてて、優秀な君にこち
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posted at 05:39:08
を意味するかもしれない。大げさかも知れないが、そこまで考えさせるほどに彼の言葉は重さを持っていたのだ。逡巡して俺は「はい」と短く答えた。「さすがだね!」そんな俺の思いを知ってか知らずか彼は歩みを止めないまま無邪気とも言えるほどの声音で言った。「話に聞いてた通りだ!わからないように
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posted at 05:20:06
知っているね?」断定的な口調になんと答えるべきか迷った。相手は、俺がクスリについて何かしらを感知しているということを知っているぞ、と言わんばかりのものだった。ここで『いいえ』と答えるのは簡単なことではあるが、それは彼に対し嘘をつくということであり、つまり組織への忠誠を疑われること
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posted at 05:08:10
僕に呼ばれたかわかるかな?」「…わかりません。何故ですか」ここで自分の思っていることを答えるのはリスクが大きすぎる。下手に出るのが無難な選択だろう。「そうか…じゃあ質問を変えるよ」そう言って彼は部屋の中をわざと足音を響かせながら歩き始めた。「君は組織がクスリに手を出していることを
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posted at 04:53:29
大柄な奴ではないようだ。そいつは真っ直ぐと俺に向かって歩いてきて、止まった。「やぁ、ブチャラティ」頭上から聞こえてきた声は考えていたよりずっと若い。まるで少年のような声だった。「初めまして」相手の名前も分からずずいぶんと簡素な挨拶になってしまったが仕方がないだろう。「今日は、なぜ
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posted at 04:42:23
こちらの攻撃と防御を阻止するのに非常に有効な方法だ。そうわかってはいるが、ここで俺が拒むという選択肢は初めからない。俺は紙にあった通りに椅子に腰かけて布をきつく顔に巻き自分の視界を遮断した。しばらくしてギィと床の軋む音がして部屋の中へ人の気配が現れた。足音と気配は一人分。そんなに
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posted at 04:33:57
テーブルの上にはまた紙切れが一つと黒い布があった。(宝物はこの布か?)カーテンが閉め切られた部屋の中で目を凝らし紙切れを読む。”そこの布で目を隠し、椅子に座れ” なるほど。これは結構な上の地位の人間が姿を現すようだ。ばかばかしい演出の仕方で古典的な方法ではあるが目を隠すというのは
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posted at 04:27:15
切れが落ちていることに気付いた。拾い上げてみると”左奥の部屋へ”と印字されている。子どもがする宝探しみたいな方法に笑いそうになったのを堪えて指示通りに奥へと行き、再び「失礼します」と断ってから部屋へと入った。ドアを開けてみると部屋には一脚の椅子とその横に小さなテーブルが一つ。
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posted at 04:19:36
家の中にも人の気配がまるでないことだ。上層部の人間が易々と一チームリーダーである俺に姿を見せるとも思えないが、使者くらいいてもいいはずだ。だがしかし、この空間には誰一人としていないようだった。(俺にどうしろというんだ…)様々な可能性に思考を巡らせながら廊下を数歩進んだところで、紙
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posted at 04:15:15
がわかり、名乗ってから「失礼します」とドアを開けた。中へと足を踏み入れてみてもそこは至って普通の民家の様だった。真っ直ぐと伸びる廊下に左右に見えるドア。玄関マットが敷かれ額縁に飾られた絵が廊下を彩っている。あえて普通でないところを挙げるとするならば、玄関の鍵が掛かっていないのに、
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posted at 04:09:49
ない。俺はそれまで向かっていた方向からくるりと逆を向き、少年が消えていった同じ方向へと歩を進めた。告げられた場所は大通りから一本入った場所ではあるが、見た目は普通の民家だった。一応ドアをノックしてみるものの中からの返答はもちろん無い。ドアノブを捻り少し引くと鍵が掛かっていないこと
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posted at 04:04:26
られ勝手に切れた。その様子を見つめている目の前の赤毛の少年が組織の関係者なのかどうかはわからないが、礼を言って電話を返す。受け取った少年は何も言わずその場を走り去り人ごみに消えていった。この場所から指定された場所までの移動時間を計算すれば、今すぐにでも移動を開始しなければ間に合わ
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posted at 03:54:31
ついていた。きっとクスリのことだ。あの二人がポルポにまで話をしにいったことが上層部、もしかするとボスにまで届くのも時間の問題だろうとは考えていた。しかも俺の生い立ちを考慮すれば、呼び出されるのも不思議ではない。「ブチャラティです」と電話口に話しかければ一方的に場所と日時だけを告げ
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posted at 03:45:35
幹部よりも上の地位の奴らから呼び出されるときは、いつも唐突だった。どうやって知ったのか個人用のPCにメールを送りつけてきたり、街中で脈絡もなく紙を渡されたり。今回はそばかすの目立つ少年からいきなり携帯電話を渡された。方法こそ予想していなかったが、呼び出される理由はなんとなく予想が
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posted at 03:36:07