にょんギツネ
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- 自己紹介 日々読書や執筆、お絵描、文字の観察などを愉しんでおる寶曆6年生まれの仙人見習いな267歳幼狐なのじゃ!18禁要素注意じゃよ? ヘッダーは @une_back に依頼したのじゃ。褒めて質問お題箱を兼ねた投書箱 → http://marshmallow-qa.com/nyol2novel
2019年04月27日(土)
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かくして長男は大引き潮の日に浅瀬の道をつたって本土へ旅立った。
「おいおいおいあいつ死ぬわ」
「まあ食い扶持減っていいわ」
「つかお前等も死ねばもっとすっきりすんじゃね?」
「あ?お前が死ねよ」
「うっぜ」
島はあと千倍ぐらい人口増えても余裕で食えそうだが。
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posted at 23:59:44
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「だからよお!花嫁だよ!六等分の!六等分の花嫁!」
長男がこれだから頭悪い弟どもはだめだなみたいに見下した顔で言う。
でもおかしいから。
七等分じゃないの。七等分。ちゃんと数えて。
間違えてない?まあいいや。
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posted at 23:57:54
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あまり、会話は、成り立っていない。
長男は怒りで角を伸ばして肩の筋肉を盛り上げたが、胸元にしがみついた末弟が上目遣いをしながら必死に首を横へ振るのを認めるや、最年長の貫禄で抑えた。
「ったくまじ頭わりぃなテメーらは…なら俺ら兄弟全員の花嫁になる女一人見つけりゃいいだろうが!」
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posted at 23:54:37
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長男が拳で意味もなく地面をたたき、穴をあける。
「あ?いつ俺ひとりだけ嫁もらうつったこら。親父とおふくろの言いつけ破る訳ねえだろ!テメーらクソども全員分の嫁見つけてきてやるよ!」
「どーせテメーだけいい女捕まえてあとは猿でも連れてくんだろがコラァ!」
「誰が猿だコラァ!!」
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posted at 23:52:20
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次男が言い出す。
「だったら二度と島戻ってくんじゃねーぞ。一人だけ幸せになりてーんなら父ちゃんや母ちゃんの言いつけ破んだしよ。チビにも二度と近づくなよ」
三男、四男、五男、六男が続く。
「つか死ねよ」
「いや殺すし」
「俺がやってやるよ」
「うっぜ…」
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posted at 23:49:47
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「うっぜ…」
六男がぼそりと呟きまた両隣の四男と五男がにらんで一触即発。
兄六人が好きなように怒鳴り合うのを、幼い末弟は首を縮めて聞いている。末弟は北関東の育ちでもなくヤンキーの血が流れていないのかまじビビリである。
「つーか。角野郎テメーだけ嫁もらうのはいいけどよ」
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posted at 23:47:48
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「つー訳で。俺は嫁を探す旅に出っから」
長兄はあぐらをかき、上にちょこんと末弟を乗せて頭を撫でながら宣言する。
「何しきってんだコラぁ!!」
「テメー、チビもそいつにペコペコしてんじゃねえよ!!」
「チビこっちこい!そいつ今からボコにすっからよお」
「あと肉団子作れマジで」
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posted at 23:44:50
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「あ、角兄ちゃん…嫁って?」
「親父みたいによ。おふくろみたいなまじパネエ女と結婚すりゃうまくいくわ」
「ほんとに?」
「おう。マジ」
長男は角を伸ばしてじっと何かを感じ取る。
「クソどもが全員集まってきてっからよ。その話するわ。俺長男だしよ」
「う、うん」
「お前も来いよ」
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posted at 23:43:09
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とまあ常に限界バトルを繰り広げている。
末弟はもうちょっと静かにしてほしいのとあと仲良くしてほしい。
両親のお墓に花輪を供えて煙を焚きながら溜息。
「ごはんとか皆で一緒に食べればいいのに…どうしたらいいのかな」
「嫁だな」
すっと後ろに立っている長男。一番でかい。二メートル越え。
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posted at 23:40:38
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次男がうるさく要求しているところに、四男がすっと入って来る。
「うーっすチビ。ぶっ殺した鳥やるよ前みたいに肉団子にし…あ?俺ん家で何してんだ尻尾野郎てめえよお!!」
「ああ?いつからここテメーん家だコラ!!死なすぞ!!!」
「上等だよおもて出ろコラぁ!!!」
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posted at 23:38:47
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「よめ?」
「結婚だよ結婚!父ちゃんみてえによお!母ちゃんみたいないい女と結婚しねえといくじなしだろ!男じゃねえだろ!」
「おとこじゃない?いくじがない?」
「ったくまじぼやぼやしてんなお前」
「ごめん…」
「飯は?」
「お魚のスープだけど…」
「どんぶりな。三杯いくから」
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posted at 23:36:40
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「喧嘩…だめだよ…」
「は?何意見してんだテメー」
末弟のほっぺをつかんでひっぱりながら、次男は尻尾で苛立たしげに地面をえぐる。やばい。次男の尻尾はなんかこうチェーンソーみたいになってる。
怖い。ヤンキーはまじやばいって。
「あーもうやってらんねーんだよ。膝」
「え、うん」
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posted at 23:33:15
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両親の建てた小屋のそばで薬草を育てたり、糸をつむいだり、魚の骨から針を削り出したり。しみしみ暮らしてる。
「角野郎(長男)がよお…汚ぇ手使いやがってよお。こっちの動き読めるからって待ち伏せとかまじありえねえだろ。男じゃねえよあいつは」
余りひどく怪我した兄の手当てと文句も聞く。
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posted at 23:31:41
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長男から六男まではあれこれ体格差こそあれだいたい成長が早く腕力もあり敏捷さもあり年齢の違いは感じさせない互角のタイマン、ゴチャマンを朝から晩までしてる。忍び山猫は気配を察するだけで逃げる。
あ、七男?完全にモヤシ。というかもうヒョロいというよりナヨい。
オーラがない。影も薄い。
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posted at 23:29:13
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こうして悪魔の島には七人の兄弟だけが残った。
上の六人はまじで仲が悪かった。常に喧嘩をしており、島で岩が割れたり、木が折れたり、すり鉢状の穴ができたり、水柱がたちのぼったりするのは余波だ。
「今日こそぶっ殺してやんよくそ兄貴がよおお!!」
「てめえまじ潰すかんなクソが!!」
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posted at 23:27:13
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「ば…ぶ」
やがて父は死んだ。母ももうこれ以上伴侶の命を引き延ばそうとはしなかった。
七男が物心つくころ、母も世を去った。
「お父さんの言いつけを忘れないように。どんな幸せも喜びも兄弟で分け合って…暮らすのですよ」
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posted at 23:25:30
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第七子が生まれる直前に、父は全員を集めて告げた。
「お前達は喧嘩も多いが、みな優しい母の子だ。どうか仲良く、どんな幸せも喜びも全員で分け合って…そうしておくれ」
「は?」
「ありえねーし」
「こいつらとなかよくとか」
「ねえから」
「ねーかりゃ」
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posted at 23:22:28
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幸せな一年が過ぎた。
もちろん母は第七子を懐妊した。一方、父は持てる知と技のすべてを子等に伝えた。
長男は額から角を、次男は尻から尾を、三男は息から香気を、四男は手から鋏を、五男は足から棘を、六男は腹に甲を生じさせたが、些末な話だ。
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posted at 23:19:54
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男は皆を順に抱いてやってから、とまどうような、しかし愛しげな面持ちで女に告げる。
「またここへ来ていたのか。いつもひどい雨の日に限って。ああ…ここの神々の像はすべて砕けてしまったんだな…僕等の信じる神々ではないにせよ…どうか安らかに憩われますように」
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posted at 23:09:38
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夫が階(きざはし)をのぼってくる。
「おやじ」
「父ちゃんまじパネエ!」
「ぱね!」
「おゃぅじ」
「とっじゃ」
長男~五男までが父にしがみつき、六男もぐーぱーしながら喜ぶ。
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posted at 23:07:40
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「うっし!じゃうちがね。最後やるから?まあ女の悪魔が男の人間に入ってもうまくいくかわっかんねーケド」
「いいえ…おやめください…真実を知ったうえは…」
「いいっていいって!」
ななめに走る雷が最後の偶像を打ち据え、粉々にする。
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posted at 23:06:11
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「ほら、うちらも?戦に負けて民失って封じられるまでは人間の神様的な?あれだった訳じゃん?なんかそういうの懐かしいかなって」
「悪魔よ…いいえ女神よ…私は…私は身勝手な望みのために…あなたがたに…」
「ちがくて!まじ!めっちゃ感動したし!旦那さん愛してるだけで来ないから普通!」
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posted at 23:04:36
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「うん。旦那さんに命を与えるかわりに消えちゃった感じ?」
「そんな…どうして…私は…そんなつもりでは」
「いいっていいって。うちらも言ってねーし」
「でも…あなたひとりだけを残して」
「あ、どっちにしろうちら滅びかけ?みたいな?だから最後で?こう頼られてちょっとやる気になった的な?」
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posted at 23:02:32
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愛とは理屈や道徳で縛れるものではない。
狂気や渇望に近いものなのだ。
「あと…せめて一年…どうか…どうか…」
祭殿をのぼる。六男を抱き、ほかの五人の子は周囲を猿の如く跳び回ってついてゆく。
「あと一年…どうか」
「あー…でも兄貴達全員もう消えちゃったんだよねー」
「消えた?」
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posted at 23:00:44
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男は死んだ。
ここへ来て何とか延長という訳にもいかない。
悪魔の力は悪魔の力。奇跡を起こす類のあれではない。
女は泣くまいとした。伴侶の言う通り。地上のほとんどの人間よりも満ち足りた日々を送れたのだ。これ以上は求められようか。
「いや…いやです」
だが愛とは。
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posted at 22:58:43
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かくして実り多い六年が過ぎた。
子は六人。いずれも凶暴。仲は悪い。だが両親にはなつく。二人をいつも笑わせ、はらはらさせ、怒らせ、抱きしめさせる。
だが時間は過ぎてゆく。どれだけとどまってほしいと願っても。
「…お前やこの子等と一緒に…暮らした六年はどれだけ豊だったか」
「あなた…」
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posted at 22:54:29
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「悪魔よ…三年目を…三年目を与えてください…私はどうなってもいい…だから…」
「いいけどー。大変じゃない?」
「どれだけ大変でも構いません。あの人が…子供等を抱いて笑ってくれるなら…」
そう。女は一年、また一年と悪魔から男の命をあがなってゆく。
腹に子を宿し産むの徒引き換えに。
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posted at 22:52:03
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そして即懐妊。
あ?避妊とかねえから悪魔の島じゃよお。
そもそもヤンキーは避妊しねーの!(します)。
悪魔のヤンキーはしない。うるせえなとにかく孕んだの。
長男が早くも立って走り回り、肉食の野生鶏とかと殴り合いで勝つ頃には、次男が誕生する。
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posted at 22:48:12
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「お前…雨が降っているのに…子供と一緒にこんなところまで…二人して風邪を引いたらどうするんだい」
「あな…た」
振り返ると夫は心配そうに腕を伸ばしている。
妻はそこにそっと収まる。
二年目の暮らしが始まった。男女は一年目よりさらに強く麗しく生き生きとして、子もぐんぐん育つ。
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posted at 22:46:41
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「おーしおし!じゃ次は次男の俺がやっからよお!!」
「はあ?テメーはひっこんでろつったろが!」
「やんのかおら!」
「てめえ粉々にスッゾ」
「スッゾ!」
だがななめに走る雷が別の偶像を打ち据え、粉々にする。
女が子を守るように抱いてうずくまっていると、背後から足音。
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posted at 22:44:46
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「あ?テメー話聞いてなかったのか人間こら」
「まじ悪魔との取引なめてんのか?」
「今すぐ後追わせてやるかああん?」
六つの偶像の威迫に、疲れ切った女が膝をつきそうになる。だが腕の中の餓鬼が泣きわめき、のしかかる重い気配を押し返す。
母は我に返る。
「この子のために…せめてあと一年」
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posted at 22:43:11
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「どうして…あなた!どうして…やっと…私達やっと…」
慟哭する妻。もの言わぬ夫。なきがらのほっぺをぺちぺちし、さらに蹴ったり殴ったりして起こそうとする子。乱暴。
母は子を抱いてよろめきながら祭殿に昇る。
「あんまりです…あの人を…今更奪うなんて」
「てか一年たったし」
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posted at 22:40:54
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![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
かわいいかどうかは知らんが。額の右にこぶがある。
ダディはベイビーを抱き上げ、ほほえみかけるが、すでに歯が生えてるちびはなんかめっちゃ泣く。すげー鼓膜がやぶれそうな泣き方。
あと子が父の指とかぎゅって掴むと折れそう。
「いだだだだ」
「あなた?」
「いや、元気な子だ」
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posted at 22:38:45
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「子供など縁なきものと思っていた私が」
「お前…なんと嬉しいのだろう。お前の子をこの手に抱けるなら、僕は次の日に死んでも悔いはない」
「やめてください。そんなことをおっしゃるのは」
なおめっちゃ元気な胎児でマミーの腹を乱打してくる。
んが無事に十月十日を迎えまして。
初産ですわ。
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posted at 22:35:42
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
夜には夫婦が睦み合うと、まるで男の若々しさがうつっていくかのように女の褐色の肌も張りとうるおいを取り戻し、髪は以前より黒く太くなり、骨や節の痛みは薄れて溌溂とした気持ちまで蘇る。
やがてさらなる奇跡が。
懐妊である。
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posted at 22:32:51
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
妻も薬草を採り、糸を紡ぎ縄を縒り網を編んでとまめまめしく働く。
島の不思議な鳥獣草木魚虫について、解らないことがあれば祭殿に参り、気さくな女悪魔から託宣をたまわる。
「なんかー、その実は人間が食べたら死ぬ?みたいなー?」
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posted at 22:32:04
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ではない。
悪魔の取引には裏がある。
蘇った夫は禁足の地を離れられない。悪魔の力が世の理をねじまげて死から守っているのだから当然だ。
幸い夫は狩るのも漁るのも耕すのも得意。
雌雄の牛の助けを借りて、祭殿のまわりに畑を作り、小屋を立て、猛獣や猛禽にも打ち勝って矢羽や毛皮を得る。
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posted at 22:27:49
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
蘇った夫はあたりを見回し、像にけげんな眼差しを向けてから鼻をおしつけてくる二頭の牛を撫で、次いで妻に向き直る。
「僕のために…何かまた無茶をしたのではないね」
「いいえ…いいえ…あなたのためにすることは何一つ無茶などではありません」
「お前はいつもそうだ…」
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posted at 22:24:45
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
斜めに走った雷が像を打ち据え、粉々にすると中に入っていた宝石が男の骸にめりこんだ。
ゆっくりと起き上がる死者。頬はしかし薔薇色を取り戻している。
壮年らしい体躯はみずみずしさを取り戻し、まるで成人を迎えたばかりの若者のようだ。
「ここは…」
「あなた…あなた!!」
「おまえ…」
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posted at 22:23:06
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
七つの偶像のうち最も大きな一つがゆっくりと揺れ、女が連れてきた二頭の牛がおびえて鳴く。
「俺がやってやんよ長男だからよお!!」
「何勝手こいてんだてめえ!」
「すっこんでろうすら馬鹿はよお!」
「しきってんじゃねえよ!」
めっちゃ仲悪いな兄弟。
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posted at 22:21:02
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「あとそん時に絶対赤ちゃん産んでもらうみたいな?できる?」
問いかけに、人間の女ははじめてたじろぐ。
「私は…石女(うまずめ)なのです…」
「え。まじ?」
「はい。最初の夫とはそれを理由に離縁されました。それでも一緒にいたいと言ってくれたのが今の夫です…」
「あでも、いけると思う」
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posted at 22:18:50
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
兄達ではらちがあかないので末妹が説明する。
「あのぉ!なんかー救えるには救えるんだけどー…うちの兄貴の誰かが旦那さんの体に入って?活入れるみたいな?でもそれも一年しか保たないみたいな?」
「…一年…それでも…かまいません」
女はきっぱりと応える。
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posted at 22:16:52
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
女の頭上にわだかまる闇を悪魔の声なき声がゆきかい、相談する。
「うっし、おら常命。テメーの願いを叶えてやんよ」
「ただし!悪魔はタダじゃそゆことやんねーから!」
「テメーは代わりに産むガキを俺に捧げんだよ!」
「何オメーが全部もらうみてえな話にしてんだこら」
「あ?やんのかテメー」
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posted at 22:14:20
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
一柱の女悪魔は同胞である六柱の男悪魔に告げた。
「まじさあ何とかしてあげらんない?」
「できる訳ねーだろ!」
「人間の生死はクソ閻王のシノギだからよお」
「あ?てめえあの紅縄野郎にビビってんのか?」
「だっせえ」
「ビビってねえし!」
「いつでもやってやんよ!!」
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posted at 22:11:38
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「しずかにー」
だがまたしても末妹が兄達を黙らせる。
「めっちゃいいじゃん…まじ…そのためだけにここ来たの?怖くなかった?うちらやべー悪魔って評判だと思うんだけど」
「あの人のいないまま死ぬ方がずっと怖い…」
「泣けるんですけど…」
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posted at 22:09:14
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![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「人間テメーまじあつかましいな」
「キレんぞまじ」
「今すぐ残り少ねえ天寿削ってやっか」
「はいはいやめー!」
兄達が脅すのを妹はまた制する。
「聞くけど、なんで旦那さんの命助けたいの?」
「…愛しているから…」
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posted at 22:05:55
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悪魔の末妹は尋ねかける。
「なになに?どんなお願いか一応いってみ?うちらも消えかけだしもうあんまできっことねーけどさ」
「…夫の命を救ってほしいのです」
女は希(こいねが)う。
「でもさーその人もう死んでっとおもーんだけど」
「どうか…いまいちど命をお与え下さい」
「無理かもー」
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posted at 22:03:57
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「やめなよこの人すごい疲れてんじゃん」
不意にずっと黙っていた七つめの像が急に喋る。さばさばっとしてるけど女の声だね。ちょっとかわいい。
「ってゆーか女のひと脅すとかサイテー」
「あ?てめえ兄貴に口の利き方なってねえんだよ」
「まじ調子こいてんじゃねえよ」
だが静かになる。
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posted at 22:02:03
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こえーこえーわ。
皆ヤンキーとかかわいいと思ってるかもしんないけど実際に相対したら普通に怖いから。北関東出身じゃなきゃまずちびる。
雷は光るし、風は唸るし、地は鳴るし、豪雨が祭殿の外を滝のように流れ落ちる訳。どこかで足音を立てず獲物を狩る忍び山猫が雄叫びを上げる。
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posted at 21:59:49
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
さっきも言ったがヤンキーの悪魔だった。
最近はやりのね。
はやりの。
はやりだからしょうがない。
女はおののいたが、逃げようとはしなかった。
北関東出身ぐらいにはヤンキー耐性があった。
「私の願いを聞いて下さい」
「は?ざっけんな」
「悪魔なんだと思ってんだこら?」
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このあたりでドラマチックな効果があれこれ決まるところだが割愛する。
文字でぐちゃぐちゃ書いても皆さんには興味のないところだろうからだ。
ともかく悪魔は答えた。
「アッコラ?人間なめてんのかコラ?」
「何気軽に話しかけてんだテメー」
「ぶっ殺すぞ常命!!」
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daiceさん(@daice_0627 )に描いていただいたスケブ!リーフィちゃんが巨乳にしてきた!絶対ゆるさない! pic.twitter.com/d05MitxHfw
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とびらの@ずたぼろ6巻8月発売!! @tobiranoizumi
「女子供用のヘッドフォンマイク」でちょっとイイヤツが欲しい
いまのやつ、たぶん男女兼用なんだけどマックスまで縮めてもなんかユルくて、うつむいたときにズルッと落ちるし、どうもフィット感がなくて気持ち悪い。
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かふぇちのC102日曜日(2日目)東ヘ4 @Windows_XP__SP3
チノちゃんの携帯電話なんて当時の廉価版でNANDが8GBしかなくてFLACで8枚くらい円盤入れるとすーぐ容量不足になる
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