にょんギツネ
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2021年01月31日(日)
TS娘の昭司くん
以下名付けの妄想
二人目の子→男の子が生まれても女の子が生まれても良いようにどちらでも使える名前にしよう→昭か司で両親が対立→男の子と判明しても譲らず→生まれてきても未だ決まらず→そうだ、両方くっつけよう
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posted at 23:41:18
二人で選んだ洗剤の残り香がする。ジョナサンはこまめに洗濯をするので、ありがたいのだが、敷物はすぐ傷む。なので替えを沢山用意してある。飛行機の特に消耗の早い部品のように。
ミナはしばらく裸の乳房をこすりつけて感触を楽しんでから、有線で引き込んである無電放送を聞いたり、
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posted at 23:28:27
一方ジョナサンは昇給し、仕事は忙しくなった。中古機の中低所得国への払い下げ事業は、東側との競争上政府の重点分野となり、機体は続々と到着するようになった。
深夜遅くまで帰れなくなることもあって、夫はまた妻をどうしたらよいかと案じたが、ミナは大丈夫と請け合った。
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posted at 23:09:00
「体に合う奴ください」と言って店員に選んでもらった奴がいわゆるジュニアブラだという事をクラスメイトに指摘されるTS娘の昭司くん pic.twitter.com/01yHxsjAEd
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posted at 23:06:13
さまざまな問題は一気に前進した。太陽光過敏症に詳しい専門医が首都にいるのが解った。遠来の患者用の夜間診療と暗室宿泊施設も用意しているという。
夜行専門の国際宅配便(クーリエ)設立の準備が進んでいて、経験のある飛行士を募集していることも解った。
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posted at 23:04:11
◆◆◆◆
夫婦の危機は去った。
妻はすっかり朗らかさを取り戻した。夫を避けるようなそぶりもしないが、適度な距離をとり、過剰にべたべたするようなまねもなくなった。
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posted at 23:00:02
「ひゃへぇっ♥おもらしミナつ…おそそうじまじだぁっ…おじおぎじでぐだざっ♥…ぎぃっ♥」
一人きりで狂態をさらしながら、雌畜は七塞領で過ごしたいとわしくも懐かしい夜々を夢中でなぞり、卑屈さと媚びたらしさ、淫らがましさのありったけを呼び起こして、魂を被虐の快楽に縛り付けた。
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posted at 20:41:41
”でも僕、ジョナサンが好き…ジョナサンの妻でいたい…”
「ミナはあの方が好き、愛してる♥ジョナサンの百倍、千倍、万倍愛してる♥」
"比べる意味ない…ジョナサンはジョナサンだからっ…欲しい…欲しい…"
「いらないもん。ミナいらないもん。あの方だけでいいもんっ♥」
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posted at 20:36:09
逃げるように暗室へ戻り、扉を閉めて義手をがたつかせながら二本の閂を動かす。どうしてもと連れ合いに頼んで取り付けさせた用心。めったに使わないからと。
薔薇の匂いを胸いっぱいに吸って、気を落ち着かせようとする。
「欲しくないっ…ジョナサンを…僕の花嫁にしたりしない」
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posted at 20:17:27
夫の眠る寝室の扉を軋みひとつさせずに開けると、そっと臥所に忍び寄り、毛布から出た逞しい肩そしてむきだしの太頸に艶やかな唇を近づける。
「ジョナサンっ♥僕のっ♥これ全部っ♥僕のっ♥」
妻は牙を剥いて、顎をいっぱいに開くと、無防備な獲物にかぶりつこうとしたが、急に跳ねるように退いた。
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posted at 20:09:36
深更になって大柄な青年が泥のように眠るころ、暗室の扉が開き、黒い義肢をつけた乙女がそっと歩み出す。重さがないかのように足音を立てず。
「…ぁっ…ジョナサン…ジョナサンっ♥」
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posted at 20:04:54
義肢をつけて歩けば、幾らゆったりした布地でも隠しきれないほどに躍動があらわれてくるのだった。
「…ミナっ…ミナっ…」
巨躯の夫はさっきまでともにいた豊満な妻の容姿を脳裏に焼き付かせながら自らの秘具をしごき、紙におびただしい精を吐き出すと、一人用の寝台の上でうなだれた。
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posted at 19:59:43
だが堪えるのは苦しかった。妻の外見の変化もあいまって。
事故前まで少年のようにほっそりしていたミナは、七塞領に滞在するうちにすっかり肉付きがよくなった。よくなりすぎたというべきか。
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posted at 19:14:08
日々と夜々は過ぎていった。生活はどうにか回り始めた。まだまだ望ましい気流に乗ったとは言えなかったが、それでもジョナサンは昼、ミナは夜に属しながら、宵の一刻を分かち合って笑い合い、励まし合いながら過ごした。
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posted at 18:58:40
ジョナサンとミナが帰郷して、当局から形ばかりの聴取を受けた後に届いた内容と一言一句変わっていなかった。
「レンフィロってどんな人?」
「あいつは…良いやつじゃなかった…だけど…あいつがいなけりゃ…その…」
夫は妻を見やり、口ごもった。
「君を助けてくれたんなら、感謝しないとね」
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posted at 18:54:59
「…先生は…あの土地が好きだったんだな」
「会ってみたいなあ…」
「おう。ミナなら…気が合う…」
もう一人の道連れだったレンフィロについては、消息は不明だった。ジョナサンが鉄道会社に手紙を送っても、東方急行の事故についての四角四面の謝罪文が帰って来ただけだった。
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posted at 18:50:38
それでも、もう一度妻を空に戻す方法について具体的に考え始めるまでは、まだやるべきことが山のようにあった。
「ジョナサンを助けてくれた、ヴァンヴェル・アールム先生?のこと…」
「おう」
「返事あった?」
「おう…うむ…」
ジョナサンはミナに手伝ってもらって手紙を出した。
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posted at 18:41:26
飽かず話した。
機体のくせや長所、短所からやがて青空を駆ける喜びそのものに話題が移ると、ミナがふと切なげな面持ちになるのを、ジョナサンは慰めの言葉も探せず見守った。
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posted at 18:38:37
二人は共通の話題といえば飛行機だった。義肢をつけて腕を組んで散歩しながら、星空の下を車を走らせながら、全国展開の軽食店で珈琲と三日月型の麺麭を楽しみながら、といっても夫の方だけだが、とにかく定命の人間が作った翼の最高速度、到達可能高度、航続距離、塗り替えられていく記録について、
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posted at 18:36:27
あれこれ暗室回りに気を回すジョナサンに、ミナは別の話題を振る。
「ジョナサン。新しい仕事はどう?」
「おう…旧型機の整備がほとんどだけどな。こんなもん飛ばせるかって古いのがたまに来る…だがいいのがあった…”百舌鳥(モズ)“の初期型でな」
「へえ!父さんが好きだった…」
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posted at 18:31:19
ジョナサンはほかにも不思議なことに気付いた。鼠や虫の類がいない。いや引っ越してきた当初は少なくとも虫の類はいたのだ。殺虫剤をたいてもまた戻ってくるはずだ。
だが蜘蛛すら見かけない。
「この家…悪くねえと思ったけどな」
「どうしたの」
「むぅ…」
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posted at 18:22:57
しかし今は整備士が常に近づけまいとしている精密機器の天敵である埃や屑などはどこにもないのだった。
「…お前…」
「…何?」
「どうやったんだ?」
「あー…うんと…えー…細かいこと考えすぎない方がいいんじゃない?」
「お、おう…」
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posted at 18:20:08
ジョナサンの掃除は軍隊式のてきぱきとしたところと、生来の几帳面さがあいまって妙に行き届いたもので、昔のミナは夫が大きな背を丸め部屋の角などを綺麗にしているのを見るとつい笑ってしまい、丁度運んでいた本を落としそうになったものだが。
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posted at 18:17:42
かくのごとしだったので、ジョナサンはミナが這い回る暗室の絨毯の掃除に随分気を使った。だが奇妙にも髪の毛一本、綿埃一つ見つかった試しがなかった。
「あのさ…掃除、僕がやってるから。がんばらなくていいよ」
「…?だけど…お前…」
家の掃除はおおむね夫の担当だったので不審だった。
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posted at 18:14:05
ちゃんと隅の防水帳で区切った淋浴(シャワー)室で用を足して体を流し、毛巾(タオル)の上を転がって水気をとり、皿の水を飲み、薔薇の花びらを齧っていた。
「…お帰り?」
「お…おう…」
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posted at 18:10:43
ミナの黒い棺は、七塞領の技師が拵えた特注品で、蓋は上に開くほか頭の向きにも中から押し開けられるようになっていた。
ジョナサンは半信半疑だったが、仕事が遅くなったので慌てて電話をすると、けろっとして大丈夫だよゆっくり帰ってきてねと返事があり、実際ついてみると、
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posted at 18:04:23
「そんなに気を使わなくていいのに」
「…目覚めたとき困るだろ」
「義肢のこと?つけたまま寝たっていいよ」
「そりゃ…」
「大丈夫だってば。おむつもあるし。いざとなったら棺から這い出すぐらいできるしさ。あ、でも水とおやつの皿を置いといてくれるとうれしいかも」
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posted at 17:59:40
実際、棺のそばに大きい寝台があるのは悪くなかった。義肢を外してごろごろと這い回ると楽しかった。
二人の寝室は内線電話でつないだ。離れすぎていたし暗室側は壁が厚すぎて中で起きる物音は届かない。暗室側の電話は紐を咥えて引けばかかるようにした。
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posted at 17:51:37
あまりしゃかりきになるので妻が寝かしつけねばならなかった。
二人の眠る場所は別々だった。はじめジョナサンは大きな寝台を暗室側に据え付けて一緒に横になろうと考えていたが、ミナが却下した。
「君はね。朝日の入る部屋で寝て」
「…おう…だけどな…」
「大きい寝台。君が使って。僕は…」
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posted at 17:47:43
快適に暮らせるよう換気や暖房、水回りなどの工事が済むまではミナは車で寝起きした。するとジョナサンも車に寝袋を持ち込んで寝た。
とにかく二人は新しい巣を整えるために働いた。大柄な青年は疲れを知らず、日のあるうちは工場で、夜は明け方近くまで新居で作業をした。
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posted at 17:41:25
七塞領で手に入れた装甲兵員輸送車は利用できなかったが、着想は生かせた。
完全に後部を密閉し外光を遮断できるよう改良した大型車に、妻が入る棺、としか呼べない陽光過敏症対策を施した寝台を積み込み、夫は運転席について出発した。
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posted at 17:28:28
それが事故で大怪我を負い、昼には外に出かけられなくなったと聞いていっそ一緒に住むか近所に暮らすようにと促したのだが。
しかしジョナサンは公社がらみの仕事に戻る気持ちがなく、何よりミナが遠慮した。
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posted at 17:25:07
勤務先の工場があるのは地理上は故郷の町に比べ首都に近かったが、雰囲気はずっと田舎だった。夫の実家はあまり賛成しなかったが、二人は移住を決めた。
ハルケル家からすると、ミナは今でも「マリーのお嬢さん」であり、実の娘以上に大切なお姫様だったので、
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posted at 17:22:38
一時期研修生として勤務していた第二航空製造の子会社が、声をかけた。親会社の中古機を完全に整備し直して第三共和国と友好関係にある中低所得国向けに借款つきで供給する、半国策事業だが、若く腕の良い整備士を必要としていた。
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posted at 17:18:51
夫のジョナサンは例によって無口に介添えをしたが、妻が空に上がれなくなったことについては強い不満を抱いてはいるようだった。
「焦らないで」
「おう…」
「夜行便専門って条件で探すから」
「…わかった」
「自分でやるからね?専門病院も探す。ジョナサンだってまず職探しでしょ」
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posted at 17:14:11
ミナはしばらく公社とやりあったが、後遺症のせいで昼には外へ出られないので制限が多く、また従来通りの勤務を続けるのは不可能なのは明らかだったので、言ってみれば金で妥協した。
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posted at 17:09:01
公社は民営化と新興私営貨物空輸会社との統合計画が水面下で進んでおり、軍がらみの厄介な不祥事についてはなるたけ表沙汰にしたくいらしいのがうかがえた。
従ってミナの復帰は拒絶され、一方で増額された退職金が支払われた。公社の飛行士が加入する各種の保険金も降りた。
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posted at 17:06:31
疎遠にならざるを得なかった。
雇い主の国際郵便公社は飛行計画と異なる経路を通って墜落したミナに対し責任を問おうとはせず、一方で同乗者からの暴力による脅迫などの報告については他言無用とし、できるだけ早く幕引きを図りたがっていた。
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posted at 17:02:47
ミナは事故の後遺症で陽射しに耐えれない体質になり、日中はひきこもる暮らしになったのも影響した。
忙しい飛行士仲間とは夜にほんの数度顔を合わせることはあったが、もともと各地の飛行場や周辺の酒場で杯を交わす程度の、短時間の交際が多かったから、一線から退かなくてはならない身では、
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posted at 17:00:06
◆◆◆◆
墜落死したと思われた飛行士ミナ・ハルケルの帰還は新聞を賑わせた。だが一時に過ぎなかった。東西陣営の対立や破壊工作、経済危機や性感染症や工場汚染、新興宗教の奇行に何より社交・芸能界の醜聞、さまざまな話題の奔流が驚異を些末な情報の断片に変え、人々の関心の片隅に追いやった。
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posted at 16:56:03