blueday(@blueday)/2012年06月

大野晋が「文法ぎらい」と云ふ文章で「勉強しる」「勉強しれ」のやうな言ひ方の事を「言葉の變化」の觀點から説明してゐる。さ變の「ししするするすれしろ」と云ふ活用は將來は「しししるしるしれしろ」と變る傾向にあるらしい。

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posted at 19:33:30

「來る」も「こきくるくるくれこい」から、將來は「きききるきるきれこい」に變るだらうと大野晋は豫測してゐる。

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posted at 19:34:41

サ行變格活用の變化が定着するのは二百年くらゐかかるだらう、カ行變格活用の變化はそれよりさらに百年から二百年かかるだらう、と大野晋。

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「勉強しる」のやうな言ひ方は、「千葉縣・埼玉縣・神奈川縣の方言」と單純に説明するより、活用形の變化の先取りである、と授業では説明した方が理解しやすからうと大野晋。

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posted at 19:38:00

日本語の文法を教へるのに、教師が昔の事・日本語の歴史的な變遷の仕方を知つてゐれば、生徒から妙な言葉遣ひに關する質問が出た時にも、納得の行くやうな答へ方が出來るだらう、と大野晋は述べてゐる。

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posted at 19:40:20

係り結びの法則についても、「そういうものだ」と諳記させるのでなく、「倒置法が起源だ」と教へれば良い、と大野晋。

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「こういうふうに一つの仮説を出して、こう考えたらどうだろう、これによって事実がすべて説明できるかどうか、というふうな考えの進め方ですね。そういうものがどうも国語学の世界では受け入れられにくいように思います。」大野晋「文法ぎらい」(『文集日本語について』所收)

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Permalink - 2012年06月01日

2012年06月06日(水)

こへだ[Mayumi Morinaga] @koeda

12年6月6日

ついにDQNネームに悩む子供がネットで発信する時期になったか… t.co/ZFACbYQK

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Permalink - 2012年06月06日

2012年06月07日(木)

「人は好かれるべきである」と云ふのは一般論であるが、眞實ではない。或種の人々には決定的に嫌はれた方が良い。

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他人の書いた批評を讀むのには、他人の言つてゐる事を客觀的に把握する必要がある。今の多くの人がそれに慣れてゐない。自分の主觀で他人の發言を斬る事にすぐ意識が行つてしまふと云ふ人が意外と多いが、それではラノベを讀んで好きだ嫌ひだと感想を述べるのと何も變はらない。

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posted at 02:45:54

他人の主張を讀んで、その人の論理や主義を客觀的に把握し・理解する事は、「その人に贊同する」と云ふ事を意味しない。

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自己の立場を一時的に抛棄して、相手の人になつた積りになつて、その人の理解した通りに自分も理解してみる、それが客觀的に他人を理解すると云ふ事だ。

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posted at 02:48:37

相手の理窟なり何なりを客觀的に・正確に理解する事、それは「學問的に讀む」と云ふ事に通ずる――「學問的」なる事を嫌ふ人でも、これをやらない事には他人に對する無理解に繋がつてしまふから、やらないわけには行かない。

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posted at 02:50:33

自分が自分のままでありながら他人になり切る、と云ふのは、難しいやうだが、演劇で俳優がいつもやつてゐる事だ。俳優は御芝居の戲曲を讀んで、舞臺では役になり切る。しかし、役になり切つてゐる最中でも、その俳優は「役柄を外部から見てゐる自分」と云ふものを留保してゐるのだ。

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posted at 02:53:14

俳優でない素人でも、戲曲を讀む時、意識して讀めば、自分以外の人間になり切る、と云ふ體驗をシミュレート出來る。

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posted at 02:54:24

御芝居で、自己を抛棄し役になり切る、そしてその役になり切つた自分を外部から眺める――これが出來れば、評論の類を讀む時にも、客觀的な讀み方が出來るだらう。

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posted at 02:55:38

戲曲の一番樂しい讀み方は、演出家になつた積りになつて、何うこの御芝居を演出するかを考へながら讀む事である、と福田恆存が言つてゐる。

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posted at 02:56:48

小説と違つて戲曲は臺詞で話が進むので、演出家の役割が大きくなる。

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posted at 02:58:00

小説を讀む時には作家の記述に身を任せて、氣樂にキャラに感情移入でも何でもしてゐれば良い。戲曲を樂しむには、小説を讀むのとは違つた、鑑賞者の「積極的な關與」が必要となる。

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posted at 02:59:23

實際のところ小説でも戲曲でも本質は同じで、描かれてゐる人物はその作品世界の中で獨立した一人格である筈。小説を讀むにしても、獨立の人格であるキャラクタと自分を同一視する感情移入なんて事をする必要はなくて、人物を人間として理解すれば良い。

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posted at 03:32:36

鑑賞者にとつてキャラクタが獨立の一人格であるやうに、實は作者にとつてもキャラクタは獨立の一人格である。

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posted at 03:33:20

小説でも戲曲でも、作中の人物が人格を持ち・獨立した一箇の人間であるならば、鑑賞者は人物を他人として理解しなければならないし、作者もまた他人として人物を自己と區別して扱はなければならない。

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posted at 03:35:34

即ち、小説や戲曲の作中人物が、自分(作者・鑑賞者)の意見と異る意見を持つた人間である事もあり得るわけだ。

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posted at 03:36:32

ここでおすすめしたいのが、鑑賞者の側から作者の側にまはる事で、吾々も小説や戲曲を樂しむ許りでなく、自分で小説や戲曲を書いてみるのである。

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posted at 03:37:28

小説や戲曲を書くには、自分とは違ふ赤の他人を創造して、作中に登場させねばならない。

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posted at 03:38:17

作者が作中人物を操り人形にしてしまふのは一番樂なやり方である。が、それをやると、作中人物は生きた・獨立した人間にならない。鑑賞者の側から見ると、それは作者の手拔きである。

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posted at 03:40:16

作者が手拔きをしてゐて操り人形と化してゐるキャラを見た鑑賞者は、ありのままに「作者は手拔きをしてゐる」と言つて良い。

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posted at 03:41:03

作者になつて、ちやんと生きてゐる人物を登場させて、小説や戲曲を書いてみる――これは、自分の中に赤の他人を設定して、動かす訓練になる。

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posted at 03:42:05

赤の他人を自分の中に設定し、動かす事が出來るやうになる事は、ただ小説や戲曲を書くのに役立つ許りではない。評論を書くのにも大變役に立つ。

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posted at 03:43:00

吾々が評論を書く際よくやらかすのが、自分にとつて都合の良い愚かな敵を作り上げて、それを罵倒する事だ。ところがさう云ふ行爲は、小説や戲曲の良い讀者の目から見れば、非常に愚かな事である。

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posted at 03:44:26

本當なら、論破し難いほど強力な敵を設定して、對話する積りで書く事が、評論の執筆には必要である。

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posted at 03:45:53

自分にとつて都合の良くない赤の他人を設定し・動かせるやうに自己を訓練する事は、小説や戲曲の執筆のみならず、評論の執筆に大變役に立つ。

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posted at 03:46:45

自分に都合の良い讀者の反應を考へる人は多いが、自分に都合の良くない讀者の反應を考へて書くべきである。評論は反論を豫想して書くべきだ、とよく言はれる。しかし、その爲には、反論してくる赤の他人を考へなければならない。

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posted at 03:48:29

赤の他人の考へ方を自分が出來るやうになる事が、小説や戲曲を書くのみならず、評論を書くのにも必要なわけだ。

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posted at 03:49:21

逆に、赤の他人を創作出來るやうにまでなつてゐれば、赤の他人が言つてゐる事をその人の考へてゐる通りに自分も考へてみる事が出來るだらう。

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posted at 03:50:09