にょんギツネ
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2018年10月07日(日)
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Unihertz Atomのjelly proと比べた良いところ~。
1日の間に電池の心配をしなくてもいい。
重いゲームでもなければ大抵のアプリはさくさく動くほどの性能(画面ちっちゃくて細かい字とか見にくいし押しづらいけどそこは仕方ない)。
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posted at 19:52:11
醜い矮躯の女にのしかかられながら、銀髪のおとめは尻もちをつき、しかしやがてみずからも獣鬼の媚血によって呼吸を乱し始める。同じく劣情に心を溶かされた浅黒と黄の肌の美女が狂宴に加わるのに、そう時間はかからなかった。
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posted at 19:37:54
ボルボはいきなりシルヴィアに食いつくような接吻をする。
「んぅうう!!?」
「ギヒヒ…やべえ…オークの血の粉のせいで…たぎってたまらねえ…あんたがうまそうに見えるぜシルヴィ」
「な…何が…えっ?」
「あの粉ははやく始末しねえと…だがとりあえず、脱げよ…抱いてやるぜ!」
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posted at 19:36:08
「あん?」
「なんで女になってる!?」
「ああそういや、あのオークメイジのクソ野郎の術がまだ解けてねえ」
「なんでそうなる!?なんで?何があった?なんで裸だ!?誰かに何かされたのか?まさか…てごめに…殺してやるそいつを!」
「落ち着けって」
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posted at 19:34:50
◆◆◆◆
気づくと小鬼の女は甲冑をまとった騎士の腕に抱かれていた。
「ギ…ギィイ…」
安堵の溜息をついて、ぐったりとうなだれるボルボの耳に、シルヴィアの息を呑む音が聞こえる。
「な?なん…え?」
「ゆさぶらねえでくれよシルヴィ。おいら行商でへとへとでね」
「きさ、きさま」
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posted at 19:33:37
"ボル…ボ…"
声がする。かなたから。いくつもの世界を貫いて、闇の魂の導きに沿って。
「ギイ!ギイ!ギイイ!!ウギギギギ!!!」
"…ボルボ…”
「ギイ!!おいらを呼ぶのは誰だ!」
“ボルボ…かえって…きて…わたしの…たいせつな…”
「おいらは…」
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posted at 19:29:01
必死に意識をこらす。またオークの血の匂いで情欲が昂る。
おさえこみながら、異世界への行商が始まる前に見た景色を浮かべる。倒れた方形の岩塊。淡く光って浮かぶ文字。何かを叫ぶ騎士。
騎士。
シルヴィア。
「ギイイイ!!!!」
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posted at 19:27:05
ボルボは懸命に記憶をたどる。いくつもの座標が通り過ぎる。刺青の男の統べる世界、雌を狂わす獣鬼の世界、銀の蜘蛛が糸をつむぐ世界、樹木めいた子供のいる世界、粉っぽい妖精のいる世界。
「ギイイ!だめだ分からねえ!」
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posted at 19:24:38
夜鳥は完全に森の景色に溶けて消えてしまった。
ゴブリン女は飛び跳ねる。
「ギイイ!!いっちまったのかよ!畜生!使えねえ!!ええい…思い出すんだったな…座標…座標…」
どこかで汽笛のような音が聞こえ、わずかに地響きが伝わる。盗賊はぞくりとした。密林にいるのは部族だけではない。
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posted at 19:22:07
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"思い出せる。君は座標をいくつも覚えていた。ここやほかの世界に通じる座標を。君が言っていたその魔法の指輪のおかげかもしれない"
「ギ、座標たって」
"君が最初に岩の柱から読み取った座標の中に、きっと帰るためのしるべがある"
「ギイイ!分からねえ!」
"できる。できるさ、ボルボの兄弟"
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posted at 19:20:00
「ありがてえ!夜鳥の兄弟!」
血まみれのあぎとを開いて叫ぶゴブリンに、毀たれた偶像は薄れながら告げる。
"あいつはすぐ戻ってくる。執念深いからね。急いで脱出するんだ"
「だけどよ」
"でたらめじゃだめだ。ちゃんと君が来た場所の座標を思い出すんだ"
「ギ、おいらにゃ分からねえ」
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posted at 19:17:24
青筋を立てるキョウマを、いきなり半透明の巨大な拳が鷲掴みにした。
"ヒャッハー!!!!"
「ぬぐうう!!」
"相変わらずどうしようもないやつだな。あっちいってろ!!"
虚空にあらわれた機械の悪鬼の上半身が、思い切り刺青の巨漢を投擲する。筋骨隆々たる長躯は放物線を描いて飛んでいった。
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posted at 19:13:59
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すでに打ち滅ぼし、地上にいるはずのない敵を罵ってから、戦の姿勢に入ろうとする。せつな、脚に痛みを感じて、ちらりと視線を落とす。嗅鼻の雌がふくらはぎに牙を喰い込ませていた。
「ぬぅっ…!?」
「ムギィイイ!!」
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posted at 19:12:00
◆◆◆◆
「目覚めぬな…」
部族のますらおは、どこからともなくあらわれた醜い小女の脚を開き、気が進まぬげに剛直を秘裂にあてがった。
「我が妻となれ。ゴブ子」
宣言して、女陰を貫こうとしたところで寒けを覚え、喰いでのない痩せ肉を放り捨てて、立ち上がり、槍に腕を伸ばす。
「虫けら!」
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posted at 19:10:01
「さてと…王子様か…君の身の上話もだいたいわかったよ。行商先でクズにあたったのは本当に気の毒だったね。少し僕も責任を感じるんで、手伝おう」
「ギ?」
「君が目を覚ましてあの密林に戻る時は、この悪夢の方からも、軽くあいさつにいくさ」
「そいつは…ありがてえが…」
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posted at 19:06:58
「ギヒヒ…しょうがねえ…自分でなんとかするさ…しかし兄弟、あんた邪神様ってよりあれだな。おとぎ話の王子様みてえなやつだ」
「え、どうかな」
「シルヴィ達もあんたみたいのと結婚すりゃよかったんだ」
「はは。恐縮だね」
機械の悪鬼は穏やかにいなした。
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posted at 19:05:03
ボルボは身震いした。
「ギイイ…うげええ…冗談じゃねえ…一刻もはやくそんな魂はやっかい払いしてえもんだ…夜鳥の兄弟、なんとかしてくれねえか?」
「すまないけど、僕にそういう力はない」
「ギイ…」
偶像が申し訳なさそうに火花を散らせると、盗賊の女は鉤鼻をいじった。
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posted at 19:02:21
夜鳥は、あらたまったようすで告げた。
「もう一つ。君の情報主体…魂を調べて分かったことがある」
「ギ」
「君の魂に重なっている別の魂の一つは人間のものだ」
「ギイイ!?」
「ひょっとすると君は、その人間の部分が大きくなるのを…恐れているんじゃないか。シルヴィさん達との付き合いで」
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posted at 18:59:04
ボルボはつるっぱげの頭を掻く。
「おいらが人間くさくなる?冗談じゃねえ!おいらはゴブリンだ!違う種族だ!」
「人間が動物を飼っているとね」
「ギ」
「不思議なことに動物は人間に似てくるし、人間も動物に似てくる」
「ギイイ?」
「限度はあるんだけどね」
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posted at 18:56:52
ゴブリンは反駁せずに耳を傾ける。
「シルヴィさん達の考えは少しずつ君に似ていくだろう」
「ギヒヒ、そういやあいつらも最近は昔よりゴブリンくさくなりやがったギヒヒ。お偉い騎士さんや剣豪さんやエルフさんがよギヒヒ」
「君はどうかな」
「ギ」
「君も、影響を受けるんじゃないか」
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posted at 18:54:52
夜鳥はゆるやかに考えた台詞を述べてゆく。
「周囲にいる人間から影響を受ける。特に若いうちは。都市の人間と暮らしていれば、都市の人間らしく、密林の人間と暮らしていれば、密林の人間らしくね…情報の伝播…まあとにかく考えが伝わる」
「ギイ…」
「君がシルヴィさん達と一緒にいれば」
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posted at 18:53:14
ゴブリンが鉤鼻をかく。
「あいつらのすがたかたちをこきおろすのは好きだが、別にだからって勃たねえ訳じゃねえ」
「そうだな。君が、シルヴィさん達を遠ざけようとするのは違う理由じゃないか」
「ギ?」
「これは僕のただの想像だから、間違ってたら許して欲しいけど…人間は…」
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posted at 18:51:11
「あん?」
「シルヴィさん達のことを気に入ってもいるみたいだ」
「しぶといとこや、おいらを騙してのけるところは悪くねえが」
「それ以外のところ、もじゃないかな」
「ギ…あいつら鼻は低いし体はでかいし」
「ゴブリンはその…犯す相手の容姿を気にしないんだろ?」
「ギ、まあ」
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posted at 18:49:11
「夜鳥の兄弟(きょうでえ)はどう思うんで」
「いや、なんていうか」
偶像は管をくねらせてから慎重に言葉を選ぶ。
「あの、僕はそこまで女の子にモテたことないから分からないけど、確かに生活のしかたが合わないなら距離を置くのが正しいとは思う」
「その通りで!」
「でも君の話を聞くと」
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posted at 18:47:35
次元のはざまで、小鬼の雌はたまりにたまったうっぷんをひたすらに吐き出し続けていた。聞き役の機械の悪鬼は、弱々しく相槌を打っている。
「あんなのと一緒にやれるはずがねえ!やれ浴場を洗えだの、ごみを片付けろだの…なんだってんだ!」
「…ううん」
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posted at 18:45:40
◆◆◆◆
「それで!おいらは嫌だって言ったのに!シルヴィのやつが無理矢理!え、無理矢理おいらを!!」
「うん…そっか…」
「あんまりじゃねえか!ゴブリンが群れで異種族の女を襲うのはあっても、女がゴブリンを!ひどすぎる!」
「どうだろう…」
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posted at 18:44:01
小鬼のまくしたてに、死せる怪物はしばし二の句が継げない。
「うん…いやそういう側面もあったが…人間は色々な顔があってさ…やられっぱなしでも…あとボルボ、さん?邪神様はやめてくれ…」
「なんと呼べばいいんで」
機械の悪鬼は考え込んでから、返事をする。
「夜鳥、でいい」
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posted at 18:41:01
壊れた偶像は抗議した。
「あのね、僕も生前は船乗りをして、こすっからい世界で生きてきたんだよ。君が思っているようなそういうんじゃないから」
「いいや!邪神様は、いくさきざきでかもにされて面倒を押し付けられ、つけを回されてみじめにくたばるカモの匂いがしますぜ!」
「ぐ…」
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posted at 18:38:52
「おいらはボルボってんで、邪神様。あわれなゴブリンの身の上話を聞いちゃくれませんか」
「え、いや亡霊なんかに君の秘密を明かさない方がいいよ」
「いいや!邪神様は話してもまず大丈夫に違いねえ!…人間の中でも一番騙しやすいカモよりおひとよしだ」
「そんなことはない…」
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posted at 18:36:59
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機械の悪鬼はまた管をくねらす。
「とても大変だったみたいだな」
「…ギ…ギイイ…そうなんで…そうなんで!!邪神様のおっしゃるとおりなんで!」
傷んだ装甲の裏にへばりついて、ボルボはおいおいと泣き始める。わざとらしいほど大きな声で。
「ちょ、ちょっと、くっつくのは」
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posted at 18:35:18
ゴブリンの雌は鉤鼻を搔いた。
「ギィ…人間の言うあれかい。知っちゃいるがね」
「君の魂には、別の魂が重なっている。いくつもだ。でも君のもともとの魂のかたちが強いために、ほかの魂によって崩れてない。稀有だ」
「ギイそりゃなによりで」
「最近新たな上書きがあったみたいだ」
「ギ!」
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posted at 18:33:56
またしても叡智の指輪にはとらえきれない言葉を耳にする。
「…君には元の情報主体に少なくとも二つ以上の情報主体が上書きをしている…よく不適応を起こさない…多分新人並みに強固なんだ」
「何を言ってんで?」
「説明しづらいな…邪神と言ったね…宗教があるんだな…そうだ魂なら分かる?」
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posted at 18:30:40
とりあえず、いくら弱そうな雰囲気があるといっても、うわべは獰猛そうな機械の言いつけには従おうと、ゴブリンはまたちょっと泳ぐ。
「邪神様。言っておくが、おいらは女じゃねえ」
「女に見えるけど…待って。そうだな君の情報主体は…ものすごく複雑だ」
「じょうほ、なに?」
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posted at 18:28:16
偶像は管で横を指さす。
「すこしずれてくれると嬉しい」
「ギ?」
「正面にいられると君の裸が目に入ってしまうんだけど」
「ギギ?」
「ほら、君は女の子だし、見えないかもしれないが、僕は男の…亡霊でさ。だからちょっと気になるというか」
訳の分からない話をする怪物だった。
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posted at 18:26:10
悪鬼はそこかしこから電光を散らし、管をうねらせて語句を継ぐ。
「本当に君が死んだのかどうか、もうちょっとよく考えた方がいい」
「ギ?」
「前にも自分を死んだと思い込んだ女の子が来たことがある。結局生きてた」
「ギイ…」
「だから君も、生きているかもしれない…あの、悪いけど」
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posted at 18:23:58
ボルボはなんとなくほっとしてあぐらをかく。
「ギヒヒ、あんまりめんどうがねえ邪神様だな。死んじまったんで退屈なんだ。しばらくつきあってくれ」
「死んだ?」
「ああそうさ。死んでこの地獄だかなんだかわからねえところについちまったんだ」
「ううん…ありえない話じゃないが…」
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posted at 18:22:26
「ギ?」
「見て分かるだろ。どう考えてもやばいやつだ。かかわったら絶対に悪いことが起きそう。だから離れてた方がいい」
「ギ…」
自分で自分を疫病神と呼ぶ怪物など初めてだ。
「ギイ…いや、でも、あんた、こわくはねえな」
「そうか…いいんだか悪いんだか…」
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posted at 18:20:33
だが本能が告げる。目の前にいるのはおどろどろしい外見にもかかわらず、格下。痛めつけて嬲ってもいい類だと。
「ギヒヒ、だけど…でかすぎる…ええと、ども、こんちわ」
とりあえず挨拶をして様子見。
「僕に話しかけない方がいい」
偶像、いや機械の悪鬼は穏やかに忠告してきた。
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posted at 18:18:44
嘆いても反応なし。何かないかと四方を探ると、かなたにぽつんと影が一つ。闇の国で妃から無理矢理仕込まれた平泳ぎでえっちらおっちら進んでいくと、がっかりするような代物だった。
人型の、上半身だけの片腕のない、気味の悪い偶像だ。機械仕掛けのようだ。
「こいつは…邪神か魔王か…」
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posted at 18:16:43
めっちゃいっぱいほめて!!
#ほめて箱 #褒めて #homete_yuris_yu1129
www.mottohomete.net/yuris_yu1129
タグ: homete_yuris_yu1129 ほめて箱 褒めて
posted at 18:13:29
◆◆◆◆
どこでもない空間を、ゴブリンの女がただよっていた。三白眼を見開いたまま、腕をだらりとたらして。
「ギヒ…ギヒヒ…とうとう死んじまった…死んじまった…あああ!!おいらとうとう死んじまった!あんな明らかに毒みたいのを!クソ人間に脅されて!しこたま飲んで!おしまいだ!」
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posted at 18:12:47
刺青の巨漢は唖然とした。
「なんだ…不適応か…?このような姿は初めて見るな…」
かがみこみ、治癒のために抱こうとして、ためらう。
「気に入らぬ…まるで…旧人の男のような…」
いずれにしてもすでにゴブリンの心臓は拍つのを止めていた。
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posted at 18:11:07
ボルボは、獣の臓嚢らしきもので作った袋を受け取り、ままよと中身を呷った。
「へ、酒の味なんて…ギギギイギギイギイギギイギバババババギヒヒヒ!!!!」
雌の矮躯が痙攣しながらでたらめに跳ねまわり、泡を吹いて倒れる。
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posted at 18:09:13
着ていた革鎧を掴んで投げる。
「そいつを差し上げますぜ。でっかい旦那」
「要らぬ」
「受け取ってもらわねえと話が進まねえ」
「くだらぬ」
「そこをなんとか…」
キョウマはいらついたが、部族の男が女に見せる配慮で持って小鬼の防具を拾った。
「では乳酒を飲め」
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posted at 18:07:31
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「何かほかにもいただけないんで」
「…ほかにだと?」
「交換の品を」
「部族としての生より望ましいものがあるというのか?む…よかろう。では乳酒をやる。お前は小さい。先にこれを呑んで俺に抱かれるための体を作れ」
「ギ…じゃ代金にこっちは…」
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posted at 18:05:56
キョウマは目を細めた。
「いや、ユミやカオルコなら喜ぶやもしれんな。だがお前を手に入れれば自然とすべて我がものとなる」
「ギヒヒ…」
醜い女体の盗賊は、今すぐにまぐわいたいという欲求にあらがいながら愛想笑いを浮かべる。ひょっとすると樹精の仔や獣鬼の魔導師よりも面倒かもしれない。
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posted at 18:03:21
「それよりでっかい旦那。取引をしましょうぜ」
「よかろう。我が共有妻となれ、ゴブ子。さすればよき部族の生き方を与える」
「ギヒヒ、ええと糞毒はねえが、妖精の粉や、樹精の魔法の指輪、真空蜘蛛の糸に、獣鬼の媚血がある。どれでもあんたの好きな」
「旧人の道具に用はない」
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posted at 18:00:39
「お前のような弱き旧人は森では生きられぬ。我が部族に加わるか、死ぬのみだ」
「ギイ…いや、おいらはゴブリンで、人間の仲間には」
「旧人のつまらぬこだわりは捨てよ」
「ギ…きゅうじん?あの…ギ」
発情がひどい。ボルボはちらりとまたオークの血を乾かした粉が詰まった樽をうかがう。
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posted at 17:58:21
盗賊はまたわなないた。リトリトやオークメイジほどではないが、しかしかなりやっかいな気配。
「ギヒ、ええと…」
「我が名はキョウマ。お前の名を言え。旧人の女」
「ギ…ゴブ子です」
適当な嘘を吐く。
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posted at 17:56:04
見上げるとボルボが今まで見たことのある人間の中では最も背が高い。巨人に近いとさえいる風貌だ。全身に刺青を入れている。
「我が森をなぜ犯した…旧人か?」
「ギ、ギヒヒ、おいらは取引に」
「なるほど旧人だな」
部族の男はじろじろと小鬼の雌を眺め渡した。
「小さく醜いな。だが女だ」
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posted at 17:54:25
獣はボルボを認めるやためらわず襲ってくる。足の一つが伸びて、やっとこ状になり、餌食を捕えようとうごめくが見えない壁が阻む。
「ギヒヒ。むだむだいっちまいな」
不意にどこからともなく槍が飛んできて怪物に突き刺さる。一撃で巨躯は崩れ落ち、死んだらしい。
「ギ…?」
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posted at 17:50:25
装甲をまとった牛のような八本足の獣があらわれる。体の側面に棘だらけの口が二組ついている。あるいは二匹がくっついた姿なのか。
「ギイイ!?」
闇の国でも見た覚えのない怪物だ。
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posted at 17:47:56
「ギ…なんだってんだ…取引できそうな相手なんかひとりもいねえ」
だが木々の葉がかすかに揺れるささめきが聞こえる。周囲の小さな生きものが立てる音がやむ。
「ギイイ…」
となりの鱗だらけの大樹の幹にでも登ろうかと考えたが、足腰に力が入らない。股が濡れそぼる。
「まじぃ…」
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posted at 17:46:30
わめいたあとでぐったり座り込む。体が火照る。
「さかってやがる…ギギ…あの樽につめたクソオークどもの血のせいか…離れてねえと…ギイイ…ひでえ…おいらの体が女に…うう…」
もっとも暑さは、獣鬼の体液のせいばかりでもないようだった。あたりはひどく湿って温いうっそうとした密林だ。
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posted at 17:43:50
「ギ…ギイイ!!ギイイイ!!あんまりだ!オークメイジのクソ野郎!絶対許さねえ!今度会ったらはらわたかきだして石つめて泥沼にたたきこんでやるギイイイイイ!!!!!!!!」
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posted at 17:41:14
◆◆◆◆
「ギ!!ギイイ!!!な、なんじゃこりゃあああ!!!」
辛くも危機を逃れたゴブリンはみずからの裸身をあらため、心のうちから絶叫した。大きな鉤鼻や黄色い三白眼、とがった耳につるっぱげの頭は同じだが、こぶりな乳房があり、陽根のかわりに陰唇がある。要するに雌だ。
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posted at 17:39:38
「じじいのせいで殺し損ねた」
「お前のせいで苗床にし損ねた」
小さな戦士と大きな魔導師は言葉を交わす。
斧を放り出して地面にあおむけになるガブを横に、オークメイジは顎を掻いた。
「やはり術の徹(とお)りが浅いか…グググ…まあよい…次にあらわれることがあれば…必ず…」
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posted at 17:36:56
「グググ!!ググググ!!」
稲光が縦横に乱れ飛ぶ。じぐざぐを描き、敏捷な標的を追い詰める。
だが小鬼は見抜いていた。斧を構えた獣鬼の少年の周りには術が届かぬのを。
「ギイイイ!」
ボルボはガブの背後を取ろうと駆ける。
「ガアアアアア!!」
怒りにアルビノの亜人が吼える。
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posted at 17:32:44
「ギヒヒ、ひでえなあ兄弟」
「お前なら五百の戦士が産めるであろう」
「ギヒヒ!!ごめんこうむるぜ!!」
二本の刃を低く構えて突き進む。ゴブリンがみずからより強い敵に斬りかかるなどめったにない。実際、ぎりぎりのところで脇へそれて遁走にかかる。
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posted at 17:30:15
盗賊はびっしょり脂汗を掻いていた。
小さな戦士の方も大きな魔導師の方も、一匹だけで手に余る。逃げるのも容易ではない。
心を凝らし、別の世界の座標を浮かべれば逃れられるはずだが、わずかたりとも注意を逸らせない。大小の獣鬼は喚き合いながら、互いに先に襲い掛かる隙をうかがっている。
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posted at 17:28:11
「グググ、ガブ…いつものお前らしくもない」
「手を出すな!こいつ、殺したい!」
「虎の腕と斬り合ったとき以来か」
亜人の魔導師はしかし、同族の仔と獲物のあいだに割って入った。
「こやつ、なりは小さくとも強い戦士を産む。最もよい苗床になる」
「殺させろ!」
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posted at 17:25:44
腐肉漁りの鴉の兄弟団が、竜の牙の短剣二本を抜いて構えると、オーク砦の少年は得物を振りかざした。
「戦え。逃げるな」
「ギヒ、かんべんしてくれ…」
「俺に見せろ!」
飢え乾いたような臙脂の凝視が、緑肌の若者にからみつく。
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posted at 17:23:18
せつな、鴉羽色の刃が脳天を唐竹のごとく割ろうとするのを、ボルボは後転してかわした。
「じじい…こいつは一滴も飲んでいないぞ。あてが外れたか?」
突如あらわれたガブが鉞を構えて告げる。
「グググ…こやつはわしらと同じ…まこと手強いやつよ」
うれしげにオークメイジが告げる。
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posted at 17:21:00
オークメイジはまぶたを閉ざす。
「ゴブリン…面白い…お前は面白い…闇は我が術を阻む。かの冥王のごとく…光は我が術の餌食となる…さて…」
ゴブリンはにたついたまま杯を上げる。
「ギヒヒ!ゴブリンのおやじやおふくろやいもうとやあにきは死んだが、新しい兄弟ができたぜ!」
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posted at 17:18:19
「ときにゴブリンキングの兄弟」
「ギヒ、なんだいオークメイジの兄弟」
小鬼が問い返すと、大鬼がしわだらけの顔をかすかにゆがめて尋ねる。
「お前のうちには薄き闇と、小さき光が重なっているな」
「ギヒ、前にもそんなこと言われたっけな」
「何かいわれがあるのか」
「おいらはゴブリンさ」
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posted at 17:16:19
大鬼が小鬼に申し出る。
「残りの壺はすべて引き取ろう」
「ギヒヒ、まいったな。元手がなくなっちまう。だが兄弟の願いとありゃいいさ」
「グググ、案ずるな…もはやお前が次の世界を心配する必要はない」
「ギヒヒ、確かに。おいらこの世界にとどまるのも悪くない気がしてきたぜ」
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posted at 17:14:19
◆◆◆◆
「グググ、つまりゴブリンの糞は猛毒になると…実に面白い」
「ギヒヒ、オークの血はきわめつけの媚薬になるって訳だ。しかも女にだけ効く!おいらみたいな男には利かない!ならいい!最高じゃねえか!」
オークとゴブリンはすっかり意気投合して話し合っているようだった。
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posted at 17:12:15
「とにかく…紫鱗の龍や、星々から降り来る魔女や、雌を狂わす獣鬼のいる世界に入り込まないうちに、旦那様を取り戻すアル…シルヴィアさんの闇の魂で」
語らうふたりの仲間をよそに、ドラゴニア人は静かに瞑想に入っていた。醜く浅ましい夫のよすがを求め、心を次元のはざまにさまよわせつつ。
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posted at 17:10:24
「そうアル。かつて門から出てきて闇の国を荒らしまわった、紫鱗の龍みたいに、裏をかくとか、魔法を破れるすごいやつが、ほかの世界にいないとも限らないアル」
「記録から何か見つけたんですね」
「星々から降り来る魔女、冥王と雌を狂わす獣鬼とかが、避けるべき脅威として記述があったアルよ」
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posted at 17:06:27
「ギ…いやまさかな…」
取引の品以外ついてこれるはずがない。今まではそうだった。
しかし何か裏をかく方法があるのだろうか。別の世界の生きものが一緒にまぎれこんでくるなど。
「ギヒ…あるはずねえか」
あたりをうかがうと、荒れ果てた地だ。
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posted at 16:43:02
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とびらの@ずたぼろ6巻8月発売!! @tobiranoizumi
質問箱、通知設定にしてないひとは知らない間にけっこう溜まってたりする。むかーし設置して放置してるってひとは、ココからクリックしても、自分のホーム🏡リンクに飛べるから確認してみては? peing.net/ja/tobiranoizu...
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posted at 16:41:50
かえりみて、糸玉と織機を眺めやる。隣には妖精の粉の樽や豆の苗。数の減った便壺。
「ギヒ…さてそろそろ闇の国に帰りつかねえとあとがねえぞ」
視界の隅を何かがかすめる。とっさに虫のように地面に伏せてようすをうかがう。蜘蛛。小さな銀の蜘蛛が横切った気がする。
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posted at 16:41:07
◆◆◆◆
「ギヒヒ、おかしな連中ばっかりで、取引の儲けもしょぼいが、とりあえずつつがなく終わってよかったぜギヒヒ」
ゴブリンはほっとしていた。真空蜘蛛とやらには総毛だったが、しかしその前の樹精の仔ほどではない。
「リトリトみてえなやつと出くわさなきゃ御の字よ」
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posted at 16:38:56
若社長が消えた売り込みのいたあたりをなでたりつついたりして調べていると、真空蜘蛛の動きがあわただしくなる。
「どうした?」
彗星印の翻訳装置が稼働する。
「ミカエラがいない」
女のような声が響く。
「ミカエラ?あのいたずらものの」
「正女王候補序列三位」
「そうか」
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posted at 16:34:52
どるひ異世界の娼婦たちは性病とか気にしてない(生活魔法の洗浄的なヤツで中出しされても病気にもならないし妊娠もしない)って基本設定があるんだけど、性病とは別のウィルス性感染症みたいなの裏設定で存在するんだけどいつかノクターンに送り出したい
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posted at 16:33:36
「ギ、じゃこれで」
まぶたを閉じて浮かんできた座標を読み上げる。長居は無用だ。たちまち矮躯は揺らめき、霧がかかったように消え失せる。
「ふうむ…あのぎじゅつのほうがきになるな」
「妖精の魔法だな」
空飛ぶ円盤が告げる。
「しっているのか」
「話だけな」
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posted at 16:32:40
オークのチンポは豚系ではないのか的な話になるとどるひ異世界のオークが「クソデカ人間風チンポを持つが尿道から豚チンポを伸ばして豚特有の粘着性三段ザーメン撃ちを行う」という凶悪な設定持ち出す
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posted at 16:25:32
上機嫌だった男児はまたむくれる。
「まだわからんか!次!燕尾服はっせんとんでにばん!」
またしても彗星印の自動紡績製織染色裁断縫製装置、名づけて織彦くんが作動し、見事なジャケットとパンツ、シャツ、タイなどを瞬時にして仕立てる。
「どうだ」
「ギィ…」
「秘書!しちゃく!」
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posted at 16:21:23
船元動力の若社長は兄と呼んでいるが、どうも衣装を変えると女にしか見えない。しかもたいそう器量よしの。
「ど、どうかな?」
「にあうぞ!つぎのうちのせんでんホロは秘書でいく!」
「え、えへ」
いちゃつく労使ふたりに、ちびの取引先はうんざりぎみ。
「ギィ…いったいなんなんで」
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数秒ののち、目の覚めるような青い裳裾のついた夜会服が仕上がっていた。
「ギィ…?」
首をかしげるゴブリンの若者に、人間の子供はじたんだを踏む。
「まだわからんか!秘書!きてみせろ!」
「え?僕?」
「いいだしっぺはにいさんだ!」
「う、うん…」
そばにいる秘書がまごつきつつ従う。
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少年は腰に手をあてて胸をそらせた。
「じゃあいりょくをみせてやる!んーと、ドレス!ななひゃくにじゅうよんばん!」
銀色の宝石のような光をはなつ糸玉を、蜘蛛が機械に差し出すと、突き出た棒がひっこんだり伸びたりしながら巻き取り、縦横にはげしく回転を始める。
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盗賊と若社長はしばらくむなしく見つめあった。
「わかった。おまえいなかものだな」
「ギ…なんてムカつ…かしこいおぼっちゃまで。ギヒヒ、おっしゃるとおりです」
「よし。どうだ。これもつけるから糸とウンコをこうかんしろ」
「ギィ…いまいちそいつが何か分からねえ」
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真空蜘蛛なる怪物が二匹、放射状に棒の突き出た機械を持って来る。
「彗星印の自動紡績製織染色裁断縫製装置、なづけで織彦くんだ」
「ギィ…」
「真空雲の軍用繊維にたいおうしている。彗星印ほこるアカネ・ヤマハラブランドの服飾パターンももうら」
「ギ?」
「アカネ・ヤマハラだぞ?」
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中国漫画館はフォロワー1000人を突破しました!みんなありがとう‼︎ヽ(´▽`)/「非人哉」のファンが一番多いみたいです。それでは、第4話をお届けします!【烈烈は心の奥底に純粋な海を秘めている】 pic.twitter.com/D4KGvR60L2
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恥ずかしがる秘書の腹のあたりに、ぐりぐり頭をこすりつける若社長。
「なんだってんだこいつらは…」
異世界から来た行商はげんなりしつつも、仕方なく話の続きを待つ。
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とある男子高校生が
「ふむ」
女装して女子校に潜入することに!
「ハーレムモノかの?」
しかしそこで男とバレてしまい!?
「ハーレムモノかの?」
体育教師鈴木源次郎に弱みを握られる
「あっ…」
嫌悪感は段々と快楽によって上塗りされて行き
「身体は“男”を求めて疼いてゆく…」
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「糸の使い道を…見せてあげては」
「つかいみち?建艦の作業用資材として、べんりなのは見ればわかる!」
「ほら、そういうんじゃなくて…彗星印が営業が置いて行ったあの自動織機で」
「ふむ。かしこいな!さすがおれの秘書だ!」
少年はぎゅっとほっそりした連れに抱き着く。
「ひゃっ」
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最前から働いている不思議な魔法が、今回も異世界の怪物から身を守ってくれるのを願いながら、盗賊は見栄を切る。
「おいらが飛び込みに来たのは品に自信があるからよ。代金にやすもんを押し付けんのはやめてくれ!」
「あの」
先程から黙っていた女とも男ともつかない人物が声を上げる。
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「ギイ?」
ボルボにはぴんとこないようす。
「蜘蛛の糸なんぞ高く売れねえや。もうちょっと違うのにしてくれ。あのでっかい艦とかよ」
「だめだ!糸にしろ!」
真空蜘蛛の群が輪を狭めてくる。剣呑だ。
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「ひとつか!つまらん」
「解析用の標本としては十分な量だぞ若社長」
むすっとする男児に、空飛ぶ円盤が助言する。
「ふん!よし!こっちから蜘蛛の糸をやる」
「あん?蜘蛛の糸なんぞ何の役に立つ」
疑わしげなゴブリンに、また円盤が仲裁する。
「真空蜘蛛の糸はどんな単分子繊維より強靭だ」
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「買おう!ぜんぶ!」
少年、船元動力の若社長と呼ばれる小さないばりぼうが吠える。
「ギヒヒ…全部ね…いや壺一つにしといてくれよ」
小鬼はそっけなく応じる。はたしてまだ闇の国に帰れるか分からないのに、扱いを知っている交易の品を売りつくすのはまずい。
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posted at 13:34:29
さらに周囲には、煌々として照明のもとで、銀の蜘蛛の群と空飛ぶ円盤。女だか男だか分からない細身の人物と子供とが、糸で編んだ足場の上に散らばっている。
下方には糸で吊るした艦。まったくおかしな光景だった。
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posted at 13:31:32
◆◆◆◆
「なるほど、排泄物を微生物で発酵させて。面白い酵素だね。これは非常に多くの知見が得られるよ。彗星印の生理学部門が興味を示すんじゃないか」
空飛ぶ円盤が、便壺の上を旋回しながら喋っている。
「ギ…」
間合いをとって、あぐらをかいたゴブリンが眺めやっている。
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posted at 13:29:22
また忙しく岩の柱に刻んだ文字を追い始めるツィーツィーを、シルヴィアは焦れながらも無言で見守る。ルーナは連れのはりつめた横顔を盗み見て溜息を吐く。
「やっぱり正室は譲らないといけないかしら」
呟いてから唇をかむ。
「私としたことが弱気な。ボルボさんのせいです…早くお帰りになって」
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騎士が断言するのへ、道姑と剣豪は顔を見合わせる。
「シルヴィアさんは、ボルボさんのこととなると理も非もありませんわね」
「熱血アル…」
甲冑のおとめが振り返って、黄杉の娘に尋ねる。
「どうすればいいツィーツィー」
「ちょっと待つある。今考えるアルよ」
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「そうでしたわね」
「私なら…門を御せる…いや…できなくても、ボルボとつながれる…そうだな」
「うーん…どうアルか…やってみる価値はあるアルが…ただ、門にはたらく魔法はとても強いアル。シルヴィア小姐の人間の体で耐えられるかどうか」
「ゴブリンに門が動かせて、私にできぬものか」
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「だとしてもわずかアルよ…ウチは門を動かせないアル」
「私は…ドラゴニア人には生まれながらに闇の魂がある」
シルヴィアが嘴を入れた。
「ドラゴニア人は往時、古き闇に仕え、闇の国に住まう堕落した人間だった。古き闇が倒れた際、闇の国の最大の武器であった竜を連れて南へ逃れた」
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「古き闇はもはやいないアル…ルーナ大姐のご先祖が退治してしまったアル…だから…」
クレセント人は間をおいてから答えた。
「古き闇は復活しようとしています。闇の魂は、再びこの闇の国に集まってただよっています。依代を求めて…私やツィーツィーさんにも…多分、少しずつ染み込んでいますわ」
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ドーンエルフのおとめが説明すると、ドラゴニア人はじっとまた環状列石の中心にある虚空を眺めやる。
「ボルボには、ある。闇の魂が」
「この門を通じて闇の魂を持つもの同士は惹かれ合い、つながりあって、取引の掟を異なる世界にも及ばせ、またいざという時は引き戻せるアル…でも」
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「闇の魂、ね」
ルーナが、淡く光を帯びた文字を浮かばせる岩の柱をなでながら繰り返す。
「ウチにはそれがないアルよ…異世への門を通じて送りだした斥候も、闇の魂を通じて古き闇とつながっていたようアル…だから古き闇の魔法である取引の掟が保護できたアル」
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◆◆◆◆
「むうう…」
闇の国の異世への門で、ツィーツィーは頭を抱えていた。
「どこに詰まっている」
シルヴィアが革袋の水を渡しながら尋ねる。
「どうやら門を御せるのは古き闇か、その力を分かち与えられたものだけアル…」
「力だと」
「古き闇の…魂というか…闇の魂というか」
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まごつくボルボ。どうやら女だけでなく子供も鬼門になりつつある。
「ギイイ…とっちゃいねえが」
「とびこみか!よし!いいぞ!きいてやる!うちに…船元動力になにを売りたい!」
「ギヒヒ…ふなもと…どうりょく…?」
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小鬼は、手の中で言語と文字を理解する魔法の指輪をなぜる。だが妖精の秘宝をもってしても、あまりに異質すぎる考え方はうまく咀嚼しきれないようだった。
「まあいい!とりひき?アポはとったのか?」
少年はなおも矢継ぎ早に質問を浴びせてくる。
「ギ…」
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「おまえ!なんだ!」
しばらくして、居丈高な声が響く。見上げると、身軽そうな格好をした男児が蜘蛛に襟を咥えられながら偉そうに腕組みをしている。
「ギヒヒ、おいらは旅のもんで…ちょいと取引を」
「なんで、くうかんちょうやくそうちの、動作試験中に出てきた!」
「くうか…何?」
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正確には蜘蛛ににた大きな怪物で、竜騎士の甲冑をほうふつとさせるような銀の甲殻で全身を覆っている。すばらしい敏捷さでそばをかすめつつ糸を放ってくる。
ボルボはあえてかわそうとせず、古き闇の定めた取引の掟が攻撃をはねのけるのに任せた。
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幾筋もの糸のようなものにからめとられた船体が見える。
ゴブリンも便壺や、エルフのフケの詰まった樽、トレントから生えていた豆の苗と一緒に、糸で編んだ足場の上にいた。
「ギヒ…また…やべえ予感がする…」
何かが近づいてくる。複数だ。竜の牙の短剣を抜くがすぐに目がどんよりする。蜘蛛。
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「粉っぽい妖精といい、うすきみわるい木の子供といい、異世界ってのはろくな客がいねえじゃねえか…闇の国の方がましだぜ…」
見回すと先程と打って変わった明るい場所だ。あちこちに照明が灯っており、金属とも漆喰ともつかない壁がかなたに見える。眼下にはとてつもなく大きな艦、だろうか。
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◆◆◆◆
「ギヒ、ギヒヒ…死ぬかと思ったぜ」
ボルボは独りごちた。あんなに恐ろしい相手に出くわしたのは初めてだた。天竜にまたがったドラゴニアの騎士よりも、聖なる三日月刀を振るうクレセントの剣豪よりも、キョンシーの群を操る无屍の道姑よりも難物だった。
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ゴブリンが急いで脳裏に適当な座標を浮かべると、醜い体は揺らいで消える。そばにあったあまたの便壺も、一つを残してなくなっていた。
トレントの少年も同じようにかぎろい、魔女のかたちをとる。
「素敵な殿方でしたけど…ご縁がありませんでしたね」
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posted at 12:40:11
淡々と答えるリトリトに、ボルボはぞくりとした。目先の利益とひきかえに、何かゴブリン族にとってとてつもなく大事なものを、売り渡してしまったような気がした。だがすぐにどうでもいいと考え直す。
「ギヒヒ!とにかく取引成立だ!」
「ありがとうございました」
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蔦の髪の少年は、幼げなかんばせに似合わぬ齢長けた双眸で小鬼の若者を一瞥した。
「あなたの中に、闇と…光が見えます」
「ギヒヒ、何だか分からねえ」
「魔女があなたを取り込めば、闇や光も取り込まずにはいられない…御しきれるかどうか…」
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初心者
「ノクターンのおすすめってなに?」
優しい変態
「書籍化作品」
じっくり育成したい変態
「ランキングで興味のあるやつを」
沼に引きずりこむ変態
「好きなタグで検索して高ポイントのやつ」
話しかけてはいけない変態
「俺のマイページを見て」
末期
「お前が理想のエロを書くんだよ!」
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「ギ?」
ボルボははじかれたように跳び退った。交易の客が、一瞬、ほっそりした少年からしなやかな乙女に変じたように見えたのだ。
「でも…そうしない方がいいでしょうね」
「あんた、いったい何なんだ。まるで一人なのに、二人も、三人もいるみてえな」
「あなたも同じでしょう」
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「だけど、一度伸び始めた草とかなんとかはそりゃすごい勢いで広がるもんだろ。糞毒は作るのにちょいと時間がかかる。追いつくかね」
「そうかもしれませんね」
「ちょいと危なっかしいな。よそに売るにゃいいが。ギヒヒ」
リトリトは瞼を閉じる。
「あなたは…魔女の伴侶にふさわしい」
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「ボルボさんなら出会ったものを騙して契約をさせるのは難しくないでしょう…でも取引って何を売り買いするのかしら」
ルーナが首をかしげるのに、シルヴィアが咳ばらいする。
「あいつと一緒に…宮殿から運んできた便壺がなくなった」
「便つ…え?じゃあ…ご不浄を…?」
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リトリトの悠揚せまらざる接し方のひとつひとつがボルボの不安を掻き立てる。過去出くわしたどんな難敵よりも恐ろしいという勘がはたらく。人間、エルフ、ドワーフ、トロール、オーガ、いやドラゴンよりも。だが乗り切らなくては。
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