にょんギツネ
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- 自己紹介 日々読書や執筆、お絵描、文字の観察などを愉しんでおる寶曆6年生まれの仙人見習いな267歳幼狐なのじゃ!18禁要素注意じゃよ? ヘッダーは @une_back に依頼したのじゃ。褒めて質問お題箱を兼ねた投書箱 → http://marshmallow-qa.com/nyol2novel
2019年04月28日(日)
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長男は角を生やすとあらゆる気配を感じ取り、さまざまな異変をいちはやく察知できる。
刺客盗賊野獣から妖怪変化の類もパツイチ。おかげで旅の途中、半里先の王様の行列に気づいてのこのこ近づいて行った。
「なんだ異形のものめ!これなるは王の御輿ぞ」
武家が脅す。
「あ?やんのか?」
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posted at 00:03:03
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「すっげ。チビお前まじ料理の腕あがったんじゃね?おふくろ超えたんじゃね?」
「わかんないよ」
長男があーんとあけた大口にぽいぽいお菓子を投げながら、末弟は恥ずかしがる。
「なんか甘いにおいすんだけど食ってい…角野郎テメーひとん家で何シテンダコラァ!」
「いつからここがテメーん家だ」
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posted at 00:22:57
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「おっし次は俺がいくわ。角野郎との違い見せてやるよ」
次男が唐突に言い出す。兄弟五人が嘲り、末弟のみ心配そう。
「余裕だよなあ?」
大引き潮の日に浅瀬の道をたどり、長男とは別の道をたどって別の土地へ。
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posted at 00:25:19
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「お!女じゃん!ちーっす!俺の嫁になんね?」
「あの…旅のお方…どうかここから先へは進まず引き返してください」
「あ?何指図してんだ?ボコられてえの?」
「いいえ…ただ…ここから先には私の村が…あったので」
「だからなんだよ」
「村はもう…」
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posted at 00:28:29
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村はまあなんつーか炎上してた。
広場には周りに鬼火をただよわせた悪魔が一柱。捕まえた子供の首をもいでむしゃむしゃ。
「ああ?何ガンつけてんだ半悪魔ごときが?ここ誰のシマだか解ってんのかコラ?」
「カッチーン。お前死刑決定な」
尾を振るって襲い掛かる次男。キレぎみに迎え撃つ悪魔。
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posted at 00:30:28
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「半チクがイキってんじゃね…ぶべっ」
「しゃべらねーでくれるかな。息が臭えんで」
悪魔が炎を鎧の如くまっとって三倍ぐらいに大きくなり、火柱を雨のようにふらせてくるが、関係なく全部尾でたたき斬って最後は股から頭まで真っ二つにした。
「弱ぇこいつ」
「なん…なんだ…テメェ…」
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posted at 00:32:45
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「冷めたわ」
その後、若者を援助する密林の隠者達がなんか念力とかで襲い掛かってきたので尾で林を寸断して庵をめちゃくちゃにするなどし「尾の悪魔」と評判をとったがだるくなったので帰った。
「ねえわあれは。嫁としてない」
「よっわww」
「もう死んどけよ尾っぽ野郎」
「死ね」
「雑魚」
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posted at 00:40:00
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「うっぜ」
だが末弟だけは慰める。
「尾っぽ兄ちゃんは優しすぎるから」
「ちげーし。膝」
「う、うん」
「耳」
膝枕耳垢とり。寝転がってむすっとしながら尾をぱたつかせる二の兄。
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posted at 00:41:57
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三男と四男は同時に島の外へ出た。
浅瀬の道で五回タイマンしながら。
それぞれ別の道へ。
三男は翼ある楽師の部族と、四男は鱗ある踊子の部族と出会った。
両部族はそれぞれ互いを憎んでいた。
ともに誇りである歌姫と舞姫のどちらが神々に献上する芸能として適当かを巡る争いがおおもとだった。
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posted at 00:46:38
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「逞しいお方。奴等を打ちのめして、舞姫を凌辱してくれたら、歌姫があなたの花嫁になりましょう」
楽師の長はそう三男に持ちかける。
「凛々しいお方。奴等を打ちのめして、歌姫を凌辱してくれたら、舞姫があなたの花嫁になりましょう」
踊子の長はそう四男に持ちかける。
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posted at 00:48:48
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矮躯に萎えた翼の歌姫はかぶりを振る。
「あ?めんどくせえ!」
とりえずさらう。地底の都と空に浮かぶ街のちょうど中間。地上でばったりと三男と四男は出くわす。それぞれ乙女を抱えて。
「あ?何してんだテメー」
「そっちこそ何してくれてんだクソが」
喧嘩が始まる。
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posted at 01:00:13
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香気と鋏鳴とがぶつかり、それぞれの神通がおしあいへしあい。
あたりでは草木がねじれ踊り、蟲が乱舞し、鳥は空から落ち、獣はふらついて逆立ちを始める。
歌姫と舞姫は互いを認めて抱き合う。
「おねーさまー!」
「だいじょうぶ?けがはない?」
「あのヤンキーやだ!」
「どこから来たんだ」
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posted at 01:01:49
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楽師と踊子の部族はそれぞれの宝が盗まれたと知って追手を出すが、疲れからかタイマン中の三男と四男に衝突してしまう。
「…悪魔…息の悪魔と鋏の悪魔…」
「なぜ我々がこんな目に」
いやただ兄弟喧嘩してるだけだが。
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posted at 01:03:20
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何もかもめちゃくちゃになり、ぼろぼろのへとへとになっているあいだに、舞姫と歌姫は手に手をとりあって逃げおおせた。
「だり」
「島の肉団子食いて」
「ふかし芋」
「蒸し菜だろ」
腹が減ったし、食べなれた料理が恋しくなったので三男と四男は殴り合い蹴り合いながら引き上げた。
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posted at 01:06:18
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五男の番。
「お前どんな嫁ほしいんだよチビ」
出かける前に末弟に聞く。
「え、わかんない」
「解んねーじゃねーんだよ。ぼやぼやしてんじゃねえよ」
「だって…わかんないよ…棘兄ちゃんが好きな人でいいよ」
「そーゆーんじゃねーよばーか」
七男の頭をくしゃくしゃにし棘の半悪魔は出かける。
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posted at 01:09:09
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川のほとりで聖仙が座禅を組んでいた。
じじいだ。故に用なし。
五男はそのまますたすた通り過ぎようとすると話しかけてくる。
「そこの若人よ」
「あ?死にてえのじじい?」
「悟りの道を究めてみたくはないか」
「死にてえんだな?」
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posted at 01:10:56
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「この川をさかのぼった先に雪を頂く山があるが、四方は切り立った崖。頂上には白い蓮が咲く。とある改心した女悪魔が大切に育てているもの」
「殺すわ」
「花の香りを吸えば、いかなる煩悩にまみれた男でもただちに正覚を得るという。試してみるか?」
脚に生やした棘でひと蹴りすると翁は陽炎に。
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posted at 01:14:03
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「何事も修行あるのみよ…若人よ」
「殺すつったろが!」
跳躍して膝に生やした棘で声の源のあるあたりを貫こうとする。
また空振り。
「さらば」
聖仙の気配は遠ざかっていく。
五男は鼻を鳴らして先を急ぐ。言葉通り四方が切り立った崖になった高い山が。まあ島の外輪山とあんま変わらん。
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posted at 01:16:27
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足の裏から生やした棘を崖に突き立て、まるで平らな地面を歩いているかのようにひょいひょいと昇ってゆく。
雲をはるか下に見て、ついに頂へ。
蓮の花が咲いている。踏みつぶそうとして、ふと薬草を育てて花輪を作って両親の墓に備える末弟を思い出す。
「勘弁してやるよ」
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posted at 01:18:32
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「花をどうする気じゃ!」
女悪魔が霜の衣をまとって空から降りてくる。
凍てついた佳容に怒気がみなぎる。
「花はわしの命も同じ…それを踏みにじろうとは…もしやあのじじいの差し金か」
「は?死ねよ」
「死ぬのはお前じゃ!」
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posted at 01:20:42
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あまたの霜がつらなり千もの鉞となって落ちかかてくるのを、五男は目にもとまらぬ速さの蹴りで貫き砕く。だが女悪魔に肉薄し、透き通った乳房のあいだを棘の生えた膝でえぐっても、粉々になった肢体はまた違う場所で一つに戻る。
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posted at 01:22:49
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「…死ね!半悪魔め!」
「あっそ」
五男は舌打ちして、しゃがみ、足払いの動きで蓮の花を刈り取る。
たちまち女悪魔は胸をおさえてもがき苦しみ、崖から落ちた。
はるか下方で粉々になった霜は、ゆっくりと寄り集まってまたなよやな輪郭を取り戻すが、すでに凍てついてはおらず、流れる水の如し。
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posted at 01:24:55
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「やっと戻ってきたか。我が娘よ」
いつのまにか現れた聖仙が話しかける。
「いやじゃ…お前など…」
這いつくばって首を振る水の乙女。
「我が神通と山の霊気が感じあって生まれたのがお前。娘として仕えるのが当然」
「誰が…二度とあのような…おぞましいまねは…」
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posted at 01:27:04
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「わしから盗んだ蓮を失ったお前は、わしの霊気を吸って生きるよりない。さあ…おいで」
「死んだ方がまし…」
聖仙が含み笑いして、無力なたおやめに腕を伸ばすのと、その肘のあたりを棘が貫くのは同時だった。
「死なすつったよなあ?」
「な…なぜ」
「さっきムカつかせたのはテメエだろうが!」
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posted at 01:28:56
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うめきながら陽炎となって消える翁のゆくえを、五男は探そうとするそぶりもなく、ただ竜巻のように蹴り脚を回転させて宙をよぎり、過たず具現した標的の額を棘で貫いた。
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posted at 01:30:33
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老爺が斃れると、むくろは無数の白い蓮の花に変じる。
五男は棘ですくって、ひとつを水の乙女の届くところにほうった。たちまち霜が張り詰め、悪魔の輪郭をとりもどして相手は立ち上がる。
「なぜ…聖仙を殺した…奴の弟子すべてが敵に回るぞ」
「あ?上等だよ全員ボコボコにしてやるよ」
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posted at 01:33:19
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五男はじろりと霜の烈婦をねめつけた。
「それよりよぉ。俺の嫁になれよ」
「わしは誰の嫁にもならぬ」
「俺等兄弟全員の…なんだっけ、六等分の花嫁ってやつだよ」
「まっぴらじゃ」
「は?てめえボコんぞ」
「…っ…少しは骨のある男かと思えば結局それか」
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posted at 01:35:34
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棘の半悪魔は両足から無数の凶器を伸ばして、じっと敵を凝視したが、やがてひっこめた。
「失せろ」
「なんじゃと」
「弱そうな女ボコるとクソ兄貴どもに舐められんだよ」
「誰が弱そうじゃと貴様…」
「るっせええまじでボコんぞ消えろや!」
女悪魔がしぶしぶ山の上へ飛んで行くと、五男も帰った。
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posted at 01:37:59
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六男はなかなか外へ出なかった。
七男とは一歳しか違わず、背丈は頭一つ半上だったが、まだ華奢さが残る。
島の外輪山の切れ目から出られる砂浜に末弟を連れ出し、後ろから抱っこした状態で日がな波を眺めて過ごした。
「甲兄ちゃん。おなかへらない?」
「へらない」
「そうなんだ」
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posted at 01:40:49
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「羽」
六男が話しかけると、びくっと七男は身を縮める。
兄の指がそっと弟の背をなぞると、虹色の透き通った羽が三対、ふわりと肩甲骨のあたりから伸びて広がる。
「イケてんじゃん」
「とべないし」
「イケてんよ」
「なんか、すごい力ないもん。兄ちゃん達とちがって」
「なくていいだろ」
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posted at 01:44:17
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甲羅の半悪魔は、羽の血族に告げる。
「俺がいんだし」
「うーん。あのね、みんなね、けっこんしたらさ、べつべつにすむでしょ?」
「は?」
「べつべつの、お嫁?さん?と結婚して」
「は?」
「そしたら、僕も強くならないとだめだし」
「は???」
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posted at 01:47:06
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六男はいきなり七男を砂の上に突き倒し、あおむけさせておおいかぶさった。
「チビふざけんな」
「え?ごめ…え?」
「うっぜ…」
「ごめ…?」
いきなり角の半悪魔が外輪山の断崖から飛び降りてきてフライングラリアットを決めた。甲羅のやつに。
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posted at 01:49:12
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今回は罵りもなく普通にとどめにいく長男に、六男は腹から広がった甲羅ですっぽり全身をおおい、鎧武者のごときいでたちとなる。
いくら巨漢の鉄拳でもびくともず、逆に手に血がにじむ結果に。
「やめて!」
ただならぬ気配を察して末弟が止めに入る。
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posted at 01:51:14
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「どけチビ。そいつイカれてっからよ」
「うっぜ…」
「ここで殺しとくわ。まじありえねーから」
殺気がぶつかりあったあと、六男は海に飛び込んだ。
そのまますいーっと泳いでいく。
七男は慌てて追いかけようとするのを後ろから長男が掬い取る。
「やらせとけあの甲羅野郎はもう」
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posted at 01:53:22
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「甲兄ちゃ…だって泣いてた」
「あ?知らねーよんなの」
泣いてないし。いや泣いてたとしても眼にごみ入っただけだし。
六男は海中深くへ降り、沈んだ船のあいだで亡霊と出会った。
黄色っぽい肌に鯰髭。眼窩は空。
「嫁を買わんか」
話しかけてくる。
「うっぜ…」
「そう言うな。良い嫁だ」
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posted at 01:55:56
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「王様に売りつけるはずだったが、嵐で船が沈んでな。強い神通が船主の私を縛りつける。お前が買ってくれれば安心して転生(てんしょう)できるが」
「うっぜ…」
「買ったものとしよう」
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posted at 01:57:15
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開くと糖蜜に漬かった人形の乙女、といって大きさは人間と変わらない。
すぐに瞼を開き、歯車の軋みとともに身を起こすと、深々と礼をして六男の世話をかいがいしく始める。
気の利きようは末弟にも劣らない。いらだった六男は甲羅の鎧をまとい、武者のなりとなって人形を叩き潰す。
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posted at 02:01:14
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ばらばらになった人形は歯車と発条を巻き散らして、痙攣したあと、何と腕だけではい回り、部品を掴んで自らを組み立ててゆく。すっかり直すと、なぜか一台余計にある。双子のようにそっくり。
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posted at 02:02:31
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また叩き壊すと今度は三台に、三台をまとめて同時に破り拉(ひし)ぐと六台に。どれもそっくり同じ。細やかさも可憐さも。
六男は七台目を作ろうと拳を持ち上げたところで、ふいに下ろす。
「うっぜ…」
つぶやくと海に飛び込み泳いでいく。人形の群はわらわらとあとをついてゆき皆波にさらわれる。
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posted at 02:05:15
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海底に沈んだ六台は泥に足をとられ、水の重みで動けなくなり、やがて錆びついて固まった。それぞれが珊瑚の台座となり、目にも彩な美しい枝を広げ、大小の五色の魚があいだを泳ぐようになると、すっかり主人のことなど忘れたようにさざめくような笑いを発するというが。
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posted at 02:07:34
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非公開
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![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
でさ。六人兄弟が全員ヤンキーで全員モテなかったらどうする?
まじ悲惨。しかも同居ですわ。いや厳密にはでかい島に適当に散って暮らしてんだけど、たまに実家に戻って顔合わせると殴り合いの喧嘩。
なお一人だけ抜け駆けで幸せになるのNGで花嫁は六等分することにしてる。女で差がつかないように。
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posted at 12:57:12
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
六等分の花嫁。
そりゃモテねえわ。
ヤンキー六兄弟と同時につきあいたい女おる?
おらんよな?しかも長男はアンテナになる角、次男はチェーンソーみたいな尾、三男はトキシックな息、四男はラップ音の出る鋏、五男はハーケンみたいな棘、六男はアーマードトルーパーみたいになる甲羅持ち。
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posted at 13:00:23
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
無理ゲーですわ。これで嫁とりは。
そういうの喜ぶの男オタクだけだから。
「すいません体の一部が変形する異形のヤンキー六兄弟と同時に結婚して共有妻になってくれますか?」
って言われてうんていう女は絶対にいない。
多分。
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posted at 13:02:34
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
六兄弟がそれぞれ島の外へ出かけてゆき、それぞれ嫁とりに失敗して帰ってきてから、以前から険悪なムードがさらに高まってきた。
「要するによぉ!六等分の花嫁ってのに無理があんだよなあ?」
「テメーにしては冴えてるじゃねえか。俺もちょっと思いついたんだけどよお」
「まじ?俺もだけど」
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posted at 13:07:12
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
いやそうでもない。鋏の四男が、次男の尾で重傷を負った。
四男の右肩から左脇まで裂け目が走ってる。次男も至近で鳴音を聞いて、耳から血が流れてふらふらになってぶっ倒れたが。
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posted at 13:13:02
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
四男は死の一歩手前だった。
七男が懸命に薬草と針と糸で治療したが、幽明の境をさまよったようだった。
「鋏兄ちゃ…兄ちゃん…」
鋏がひっこんで普通の手になってるところを、末弟はきつく握りしめる。
ゆっくり瞼が開く。
「…チビ…わりぃな…クソ兄貴どもを…始末して…お前に…嫁を…」
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posted at 13:15:10
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「鋏兄ちゃん…そんなのいいから…元気になってよ」
「寒ぃ…おやじ…おふくろ…言いつけ…」
「まってて…」
炉の火を起こして水を満たした素焼きの鍋をかけ、扉をしめきって、末弟は荒織の衣をぬぐと、やせっぽっちの、だが肩や腰にだけ少し丸みのある未熟な肢体をあらわにし、そっと四兄に添う。
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posted at 13:18:06
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少年の高い体温が若者に暖を与える。
小屋の外では遠巻きに四人の半悪魔がうずくまり、あるいは木の枝につかまり、不機嫌そうに見守っていた。
「尻尾野郎どこだよ」
「生きてやがんぜ。山の洞で寝てる」
「ダセエ。鋏のやつ殺るならきっちり殺っとけよ」
「うっぜ…」
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posted at 13:22:11
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四男は何とか持ち直す。
しかししばらく末弟は心配してついて離れない。
「いいっつの。ったくチビうぜえな!」
「でも…」
「いんだよ!お前ぇはあっちいってろ!尻尾野郎にお礼参りすんだからよ」
若者の一言に、少年は凍りつく。
「だめだよ…なんで」
「あ?誰がてっぺんかはっきりさせんだよ」
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posted at 13:24:24
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
末弟は両親の墓に花輪を捧げ煙を焚き、祈りを捧げる。
「どうしたらいいの…兄ちゃん達、皆死んじゃう…僕どうすればいいの?」
だが死んでるので特に返事はないです。
パパママは人間だったんで。
タグ:
posted at 13:25:49
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「僕…いかなきゃ…お嫁さんを…探さなきゃ…兄ちゃん達の…」
虹色の透き通った、トンボみたいなね、羽が三対、六枚、肩甲骨あたりから開いて、末弟を空へいざなう。
微光を後に引いて飛び立つ矮躯に、気づいた六人の兄は慌てて追いかける。
「テメー何やってんだ!!」
「チビ!戻ってこい!」
タグ:
posted at 13:27:52
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「兄ちゃん達の!お嫁さん…探してくるから!」
童児は島の上空で一度輪を描いてさらに高みへ昇る。
「チビ!テメーは無理だ!」
「ちっちゃくてほせぇだろ!」
「あ?おりてこねえとシメんぞ!!」
「聞いてんのかコラぁ!」
「外のハンチクにやられんぞ!」
「うっぜ…」
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posted at 13:29:47
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
かくて弟は嫁探しにゆく。よく解らないからとにかくまっすぐ。
お日様の昇ってきた方へいってみる。
帰るとき解りやすいからな。
びゅんびゅん速度を上げて。もろそうに見える六枚の羽は意外と丈夫なんだな。
小さな島をいくつも通り過ぎて、やがて大きな陸が眼下に広がる。
タグ:
posted at 13:34:17
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
降りてみよう。
ひらりと舞い降りて、あたりをうかがう。
「外って…島と違うな…あの草なんだろ…あの木は…あ、あの茸は知ってる…えっとえっと…」
違うぞチビ。
植物採集に来たんじゃない。
嫁。嫁を探しに来た。
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posted at 13:35:27
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「あ!これ甘露松だ!島とかたちが違うから解らなかった…尻尾兄ちゃんの好きな飴が作れる…匂いがちょっと違うし…」
だめだ。
完全にもう嫁探しを忘れている。
うきうき、きょろきょろ跳び回る羽の半悪魔。
そこへ投網がぱっとかかる。
「ひにゃ!?」
はい捕まった。
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posted at 13:37:27
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「悪魔なの?」
「は、はい?」
「あなたは悪魔なの?」
「えっ、解らないです…」
「解らないの?」
しばらく沈黙が二人のあいだに横たわる。
「では人間?」
気を取り直して聞く娘。考えつつ答えをつむぐ童児。
「あの…お父さん、お母さんは人間、でし、た」
「では人間?」
「解らない…です」
タグ:
posted at 13:52:28
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
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末弟が虹の羽をはばたかせて微光とともに浮かび上がると。うら若き射手は牛にまたまたがりながら、そちらを見上げる。
「とてもきれい」
「はい?」
「あなたの羽はとてもきれい」
「あ、ありがとう」
「でも悪魔みたい」
「え…」
タグ:
posted at 13:58:08
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
二人の向かった先の城はやたらでかい。何となく島の祭殿に似ている。柱や壁はまるで生きているかのようで、無数の偶像を組み合わせ、一つに固めたように思える。
色とりどりの套衣をまとった偉い僧侶が出てきて、少年を囲み、粉をふりかけたり、組んだ指のあいだから覗き込んで調べる。
「悪魔」
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posted at 14:00:28
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
診断は無情だ。
「だが本来の姿を隠し、人間のふりをしている」
そう最近はやりのやつ。はやりのね。
「非常に強い悪魔だが、戦い向きの力ではない」
「確か記録にはこうした悪魔がいたはずだ」
「神々が地上を闊歩していた時代だ」
タグ:
posted at 14:02:20
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
とりあえず魔封じの縄をかけられ牢に入る。
「ごめんね」
少女が訪ねてくる。
「決まりならいいです」
少年はおずおずと答える。
「でも…城の柱か、天井か、床にされるかも」
「えっ」
「悪魔はそうする決まり」
「ええ…」
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posted at 14:04:03
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「あなたみたいな悪魔は初めて。何しに来たの?」
「あ…」
何となく赤くなる童児。首をかしげる娘。
「言えない?」
「言えます…」
「言って」
「あの…お、お嫁さんを…探してます」
「そうなの?すぐ見つかりそう」
「えっ」
「でもお婿さんの方が見つかりそう」
「えっ」
タグ:
posted at 14:05:53
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
少女は少年をじっとうかがう。
「本当に男?」
「は。はい」
「そうか。変だな。私間違えたみたい」
「あの…」
「私は弓の娘。あなたは」
「えっと…チビって…兄ちゃ…兄は言います」
「もっと良い名がある。羽。羽の子と呼びたい。どう?」
「あ、はい」
「羽の子。ごめんね」
タグ:
posted at 14:09:17
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
悪魔ではあるが悪魔の本性がまだあらわれていないということでしばらく保留。どうせ逃げられないし。あと実は城のどこの部材にするかが決まってない。僧侶と武家が鳩首相談中。
少女は足しげくやってきて話をする。狩りのこと、弓のこと、獲物のこと、技比べや駆け比べのこと。
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posted at 14:11:33
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「馬の挽く武家の戦車より私が乗る牛の方が速い」
「すごい」
「でも羽の子みたいに飛べる悪魔がいるなら、速くてもあまり意味ないかも」
「そうかなあ?あ、兄ちゃんも足が速いです。馬より速いです…一番速いのは棘兄ちゃんで…二番目が…」
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posted at 14:13:12
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
少女は勝手に牢の鍵を外して入り込み、少年と一緒に持ってきたご飯を食べる。
「この香料知らない匂い」
「青山椒というの」
「弓姉ちゃん。料理じょうず…」
「うん。得意。羽の子は?」
「ちょっとできる」
「うまそう」
「ちょっと」
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posted at 14:15:03
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
弓の娘は武芸のほかに裁縫や料理や手当もできる。掃除とかはあまり得意ではない。羽の子の方が薬草や治療には詳しい。
書庫から持ち出してきた巻物を二人で広げておしゃべりする。
「ねえ羽の子」
「うん」
「私、お嫁さんになってもいい」
「え…あの、でも…六等分の…花嫁って」
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posted at 14:17:21
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「面白そう。あなたの兄達」
「でも…皆ちょっと乱暴だし」
「あまり乱暴だったら像にするけど」
「えっ」
「六人いるなら、一人か二人ぐらい減っても大丈夫」
「だ、だめだよ…」
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posted at 14:18:55
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
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弓の娘はしばらく牢に来なくなる。
かわりに老いた僧侶がやってくる。
「ふうむなるほど…興味深い…悪魔の力を宿した人間…」
はやり。いや古典だからね。そういうのは。
「あの、弓姉ちゃ…弓のひとは…」
「あれはな。今王に願い出て難行に挑んでおる」
「難行?」
「成功したらお前を婿にとる」
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posted at 14:23:13
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「えっ」
「七つの難行をはたすのよ。聖仙の山に生える白い蓮、女王の剣、蛇族の舞姫の鱗に鳥族の歌姫の羽…」
「あぶなくない?」
「危ないぞ。だが弓の娘は、善神の化身だから平気であろうな」
「善神?」
「あれの母は雷に打たれて身ごもり、あれを産み落とすとともに亡くなった」
タグ:
posted at 14:27:24
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「奴隷の身分だが武家よりも強く、僧侶よりも神通に優れる」
「すごい」
「すべて果たせば悪魔の身柄とて請けられるかもしれぬ。ま、期待しておれ」
「でも…あぶなくないですか?」
「危ないぞ」
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posted at 14:29:23
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弓の娘は帰ってくる。
深手を負って牛に運ばれて。
悪魔と激しい闘いをしたそうな。治療を拒み、牢へ降りる。
「強かった。勝ったけど、しとめきれなかった」
「しゃべっちゃだめ」
「人間を狂わせる息を吐く悪魔…ずるい技を使うのに、拳は金剛石のようで、足は鋼鉄のようだった」
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posted at 14:32:09
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「そうね。じゃあなんで花婿にするんだっていう…なんでもないでーす。つー訳で謁見終了ね。はい終了」
無事、弓の娘は羽の子を嫁、じゃなく婿にすることに成功した。
「よかった…いったん家に帰るね僕」
「私もいく」
「でも…あの」
「六等分の花嫁、でしょ?」
「ううん…だって…やっぱり…」
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posted at 14:43:45
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
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だが島とつながる浅瀬の道のすぐそばまで来て、かなたに爆煙が上がり、遅れて地響きが襲うのを足元に感じる。
「何だろ…」
人間の群が逃げてくる。
「悪魔だ!悪魔!六柱の悪魔が争ってる!」
「この世の終わりだ!」
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posted at 14:55:54
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1133356217722494978/vfYJMepr_normal.jpg)
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末弟は青ざめ、三対の羽を広げる。
「弓姉ちゃんはここで待ってて」
「私も一緒にいく」
「おねがい!」
羽の悪魔が全速力で飛び出すと、善神の白い牛でも追いつけない。
平原では角、尾、息、鋏、棘、甲の六柱の悪魔が激しくぶつかり合っている。どう考えても人間サイズじゃない。
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posted at 14:57:56
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
外見も、七男は知らないが、かつて島の祭殿にあった偶像そっくりでめちゃ怖い。
「アッコラ!!今の殴ったつもりコラぁ!ぜんぜん効かねえんだよ!」
「足ふらついてんぞテメー!」
「ダッシャラー!!」
「なめてんじゃねえぞ!!」
「脳みそ飛び散らせろやあ!!」
「うっぜ!!!!!」
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posted at 15:00:12
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「兄ちゃん!!!!」
羽の悪魔が到着しても、全員気づかずゴチャマンを続ける。
周囲には馬が挽く戦車とか、踊子の一族の槍とか、楽師の一族の喇叭とか太鼓とか、隠者の独鈷とか、聖仙の蓮型の投げ武器とか、もろもろがある。
「何があったの?ねえ!」
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posted at 15:02:26
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
聞かずに煽り合っている。
ひときわ大きな長男が角の察知によって、次男の刃の尾をぎりぎりでかわし、土埃を上げながら踏み込むと、岩の塊みたいな拳をふるって魁偉な顔面を叩き潰そうとする。そこへ三男の煌めく息がまとめてかかるのを、四男の鋏から放たれた音の波が打ち据える。
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posted at 15:04:41
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
五男の蹴り脚の棘が鋏の根元を貫こうとする後ろから、六男の甲羅に包まれた体が回転しながらぶつかっていく。
うるさい。
もうめちゃくちゃ。何もかもめちゃくちゃだよ。
ヤンキー怪獣大戦争だよ。
タグ:
posted at 15:05:45
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「やめて!!!!!!!!」
末弟の三対の羽がまばゆい虹の輪を無数に放つと、六柱の兄はそれぞれの致命の一撃を寸前で止めた。
「チビ!」
「チビテメー!!!」
「探したぞコラぁ!」
「何バックれてんだコラぁ!」
「肉団子もうどんだけ食ってねぇと思ってんだコラぁ!」
「う…うっぜ…うっぜ」
タグ:
posted at 15:07:33
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
悪魔の群が足を踏みしめて喜ぶとまた大地が波打つ。
「め、迷惑だから」
あわてて止める七男に、長男が首を回す。
「クソどもにそんなんあるかよ。討伐とかいって群やがって」
「連合とかダセーよ」
「ボコボコにしてやったけどな」
「俺がな」
「テメーは鋏カチカチさせてただけだろ」
「うっぜ」
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posted at 15:09:47
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ざっくり言うとヤンキー六兄弟にお礼参りをしようと色んなチームが連合を組んできたのを返り討ちでバキバキにしたあと流れで内輪もめを始めたらしい。
「チビ。テメーがさっさと帰ってこねえからだろ」
「探したんだよ」
「交代でよ」
「息野郎は女に沈められて泣いてただろ」
「は?やんのか?」
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posted at 15:12:53
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
純白の騎獣にまたがる青黒の少女から、すさまじい瞋恚があふれる。
それぞれが小山のような妖魅の群は、さすがに飲んでかかるまねはしない。だがそれぞれ耳元まで裂けるあぎとを開いて牙をむき、骨のある獲物を狩る喜びに獰猛な笑みを浮かべる。
「だめ!だめえ!だめ!!」
双方を遮る末弟。
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posted at 15:18:42
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
少年は涙ぐんで善神と悪魔を交互に眺めやる。
「兄ちゃん達…先に帰ってて…僕、あとから行くから」
兄達は気勢を削がれる。
「あ?」
「チビ何泣いてんだよ…」
「おいやめろ」
「泣くのなしだろ」
「クソ女テメー何うちの弟泣かして」
六男がぽつりと最後を引き取る。
「羽の言う通りにすんぞ」
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posted at 15:22:54
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
悪魔は善神に見せつけるように唾とか吐いたり、舌打ちしたり、呪いの指を決めたりしながら、肩をそびやかせ、地響きをさせてぞろぞろと浅瀬の道を通っていく。
少女は弓と矢を構えたまま見送った。
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posted at 15:24:19
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ややって弓の娘は羽の子に告げた。
「あいつら、また島から出てくる」
「僕が…させないから…」
「あなたは、島にいかない方がいい」
「僕の…兄ちゃん達だから…僕が…」
「あなたは私のお婿」
「ううん…」
「だめ。悪魔にならないで」
「ごめん…なさい…」
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posted at 15:26:05
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1069472120978079744/vCod4Xrw_normal.jpg)
人間界と魔界の戦争がいつまでも終わらない、そこで世界を統一し新たな王を選ぶことになる。
全人類魔物娘化計画、全魔物奴隷計画を主張し続け、人間の代表と魔界の代表による決戦投票になった。
様々な策略により人間の代表20人、魔界の代表10人という人間側の勝利が決まっていたがーー。
タグ:
posted at 16:17:10
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1069472120978079744/vCod4Xrw_normal.jpg)
「王よ、我々の勝利は確定です」
「見たか魔物娘共め。王族が14人、異世界からのTS妖狐クラスタメンバーの6人の計20」
「はい、念のため裏切りがないか確認しましたがそういう報告もございません」
「ふはは。勝ったな」
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posted at 16:19:29
![](https://abs.twimg.com/sticky/default_profile_images/default_profile_0_normal.png)
非公開
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posted at xx:xx:xx
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
甲の悪魔は海中で花嫁を犯す。溺れそうになりついしがみついてくる雌を雄は邪険にもぎはなすように見せてまた逸物をよくほぐれた蜜壺や排泄口に押し込み、嬌声をこらえきれず開いた唇が潮を飲む前に口づけで塞ぐ。
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posted at 18:41:03
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
六男はほぼ終始無言。三対の乳房がそれぞれ真っ赤に腫れただれるほどねじったりもんだりの折檻をしたり、うなじに何重もの噛み跡をつけたり、獰猛さはほかと変わらず、しかも常に底に呪いのこもった眼差しをじっと末弟を食らったよそものに注ぎ続ける。
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posted at 18:42:44
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
昼日中、六柱の悪魔は人に近い形をとって島の中央の小屋の前に集まっていた。
「んで、この勝負は俺の勝ちって決まったけどよ」
長男が小屋の前の丸太に腰かけながら、開いた両脚のあいだに頭を埋めた肉便器の頭を撫でる。相手は両腕で六つの乳房をくくりだすようにまとめ、屹立をしごいている。
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posted at 18:47:45
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「は?俺が勝っただろ」
次男が尾をうねらせて、後ろから花嫁の菊座をえぐると、すぐにくぐもった嗚咽とともに媚肉が痙攣し、あっけない絶頂の印に愛液と小水とがあふれる。
「こんだけ躾けた俺がてっぺんだろ」
三男が息を吹きつけると、雌は悶え、続けざまに果てながら水溜まりに尻餅をつく。
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posted at 18:50:55
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「つか俺が最強だけど」
四男が鋏も生じさせず、指を鳴らすと、花嫁は操り人形のように背をのけぞらせる。肉置き豊かな双臀が震え、うるんだ双眸が半ば白目を剥く。
「俺はもう力とか使う必要もねーし」
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posted at 18:53:02
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「テメーの力がもとからしょぼいだけだろ」
五男が歩み寄って足の棘でまた、荒淫に爛れた肉襞を突きながらなぞりあげる。
「ひひゃぁああああっ!?」
これまでになく甲高い悲鳴がほとばしり、また恍惚の印がしぶく。
どうだと両腕を広げる責め役に、周囲はむかついた表情。
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posted at 18:56:21
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「うっぜ…」
六男は立ち上がり、いきなり甲羅で身を覆うと、花嫁をもぎとるように抱きとる、背面座位で貫き、無茶苦茶に打ち込みをする。
「あぐ…ぎゃぅ!!ぅう!!」
みじめに叫ぶ雌の唇に雄が食らいつく。鎧をまとった両腕が三対の乳房の上下の段にそれぞれすっぽり埋もれてがっちり抑え込む。
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posted at 18:59:35
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「はあ?なんだそりゃ」
胸での奉仕が中断になった長男は面白くなさそう。六男は見せつけるように共有妻のたわわな複乳をゆすりながら主張する。
「孕ます。それで俺の勝ちだ」
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posted at 19:01:39
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「ざっけんなテメー!話変えてんじゃねえよ!」
「なら俺が先に孕ます」
「あ?テメーのガキなんか誰も見たくねえよ!」
「テメーこそとっとろもげろや!!」
「長男の俺が最初だろ!」
歯を打ち鳴らしながら、乱れ髪の女が言葉を絞り出す。
「まっ…ちゃん…と」
六男がさらに突き上げを強める。
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posted at 19:03:02
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「何喋ってんだテメー!」
「いいからピーピー鳴いてろクソ女が!」
そのまま乱交、というか奪い合いながら花嫁を犯す流れに。
もう会話とかするだけ無駄っぽい六兄弟。
ちなみに四男がなぜかうまいこと一回多くはめた。
タグ:
posted at 19:04:53
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ほほをはたかれ、のろのろと這っては太幹の掃除を始める羽の女悪魔に、息の男悪魔が尋ねる。
「さっき何言おうとしたコラ」
「…ちゃん…と…みんなの…赤ちゃん…産むから…喧嘩…しないでって…」
「あ?ふざけんなじゃあ俺が一番数産ますかんな」
「えっ…」
「七人産ますわ。親父と同じで」
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posted at 19:07:25
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
OKOK。
言いたいことは解る。
飽きない?いくらなんでもそればっかだと?
飽きないんだな。これが。
花嫁も夫等をつなぎとめておくために色々床技を磨き、初めはとつとつだが媚び方を工夫し、品を作って、夢中にさせておくよう努める。
憎しみでも恨みでも執着でも競争心でも何でもいい。
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posted at 19:15:30
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
まあれこれ策を弄さなくても六柱の男悪魔は一柱の女悪魔を、複雑で遊び方が無限にある玩具を取り合う子供のようにひたすら馴らし躾け、芸をしこみ、弄んで嬲り、官能を独り占めし、分かち合い、耽溺していった。
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posted at 19:17:26
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島の外の世界など忘れてしまったかのようだった。
大引き潮の日に浅瀬の道を渡るものはもういない。
僧侶も武家も平民も奴隷も。
悪魔も聖仙も羅刹も蛇も鷲も虎も象も。
あのいかれた六兄弟の邪魔をしようとなどするだろうか。
反語表現ね。
いやしない。
という。
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posted at 19:19:43
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いやする。てかしたい。
神通の助けを借りた諸国の連合軍でさえ粉砕した悪魔。
王侯や高僧にとってかほど恐ろしい存在があろうか。
大権を握るものは意のままにならぬ力を何より憎む。
ただ勝ち目がない。うかつに矛を向ければ今度こそ報復で一門が亡ぶやも。
しかし何とか。
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posted at 19:23:36
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上古の時代に悪魔を封じた善神ならば。
しかも奴隷の母より生まれ、係累もなくあと腐れもないうってつけのものがひとり。
弓の娘。青黒の艶やかな肌になよやな姿態。純白の牛に跨り、いかなる敵をも一矢でしとめる。
王は命じる。最後の望みを託し。
かの島に渡り六兄弟を討てと。
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posted at 19:25:51
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「私が帰らなかったら」
「負けるはずがない善神の化身よ」
「私が帰らなかったら、島にもうほかの人を送らないで下さい」
「うんそれはね。あとそなたも予が送ったとか言わなくていいからね」
「私が帰らなかったら、島にもうほかの人を送らないで下さい」
「はい」
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posted at 19:28:32
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少女は、いやもう少女ではない。
訂正しよう。背はあれからもうさほど伸びなかったが、あちこちに成熟の印がある。弓の女は騎獣にまたがり、大引き潮の日に浅瀬の道を渡る。
白波を蹴立てて、潮風にうねる射干玉(ぬばたま)の髪をなぶらせて。
瞳には鋭い光をたたえ。
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posted at 19:31:28
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弓の女は丘に上がると、環状の山々の切れ目となる谷を抜け、緑濃い森と花咲き乱れる野を行く。忍び山猫が遠くからうかがい、すぐに姿を消す。
鳥も獣も、虫も魚も、草木もすべて知っていた。
直接見て聞いて嗅いで味わって触れてはいないが、何年も前に偶像でできた宮殿の牢で詳しく知ったのだ。
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posted at 19:34:11
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島の中央、かつての火口丘に建つ祭殿が見えるところまで来ると、善神は長年の友だった牛をおりると、そっと放つ。遠くで草を食んでいた仲間が気づき、鼻を鳴らすが、白い雌が近づくと追い払おうとはせず受け入れた。
どうやら島には沢山の角ある獣が暮らしているらしい。
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posted at 19:37:02
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階(きざはし)を登り、左手に弓、右手に矢をとり、穹窿の下に踏み込む。
くぐもった喘ぎが聞こえてくる。
六柱の異形の雄が、みずみずしい一柱の雌に群がり、六つの乳房にそれぞれむしゃぶりつき、楽器でも爪弾くように競って愛撫にいそしんでいる。
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posted at 19:40:12
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何人もの男の手で丹念に鞣(なめ)されてきた褐色の肌は闇を吸って艶やかに和らぎ、弱々しい身もだえに合わせ千々に浮かんだ汗を真珠の如く煌めかせていた。腸液と愛液がとめどもなくにじんで石床にしたたり、小水が間欠泉のようにしぶく。
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posted at 19:43:02
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いったいどれだけ前から、何度果てているのか、ただ濃い雄と雌の悪魔の匂いだけが暗がりにたゆたっていた。
「あ?なんだテメー」
「何見てんだよ」
「今取り込み中なんだよ」
「うせろや」
「消えねえとボコにすんぞ」
「うっぜ」
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posted at 19:44:58
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兄弟のけだるげな威嚇に、女はまばたきもせずさらに歩を進める。
「ぁ…っ誰…?兄ちゃ…起こし」
「ったくしょうがねえな」
六等分の花嫁の耕し尽くされた痴態がゆっくり夫等の腕で引き起こされる。
しとどにそぼった茂みをまさぐる指や、肌をねぶる舌はしかし止まない。
「ん…や…ひっ!???」
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posted at 19:47:28
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しゃっくりのような悲鳴をもらす共有妻に、伴侶等はけげんそうだ。
「あ?ウンコか?」
「んな訳ねーだろ」
「さっきなんかアレと一緒にすげー出させただろ」
「薬湯だよ、く・す・ゆ。テメーまじ頭わりぃーな」
「るっせーなぺちゃくちゃ」
「うっぜ」
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posted at 19:50:45
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「羽の子。私、助けにきた」
弓の女はきっぱりと告げる。
「いや弓姉ちゃ…見ない…で…ちが…僕ちが…」
花嫁はすぐ涙腺を崩壊させてかぶりを振る。
「約束したよ。私のお婿になるって、お嫁でもいい。一緒に来て」
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posted at 19:52:36
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OKOK。
言いたいことは解る。
いや幾ら何でも途中で解るでしょ。悪魔なんだし。
ちびの末弟がムチムチ美女になって花嫁として輿入れしてきたらそのうち気づくでしょ。
言い訳させてもらうと、ヤンキーの悪魔は本当に、本当に頭が悪い。察しも悪い。あと気持ちいいと止まらない猿だから。
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posted at 20:05:01
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「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
六男は絶叫しながら甲の鎧をまとって転がって行った。
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posted at 20:05:59
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四男は鋏を鳴らしながらうろうろと回り始める。
「やっべ…やっべ…やっべやっべやっべ…」
末弟に授乳手こきをさせたことを思い出しているだけなので大丈夫です。
いや大丈夫じゃない。
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posted at 20:09:14
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五男は足の棘で柱をのぼり、天井にさかさまにぶらさがると、いきなり落下して床に頭を打ち付けた。
「死ぬわ…これあと何回ぶつけたら死ねんの…」
またのぼり始める。
先に祭殿の床がだめになるよ。
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posted at 20:11:05
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青黒の手が褐色の手をとって、二つの掌でそっと包み込む。
「お兄さん達。羽の子の兄弟と思えないぐらい弱くて情けないけど、鍛えれば何とかなるかも」
「え?」
「なるよ。私も。六等分の花嫁に」
「え?」
「それが羽の子と一緒にいられる方法なら、そうする」
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posted at 20:23:50
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◆◆◆◆
焦茶に色づいた三対の乳房に埋もれるようにして、夜色の娘が息をあえがせている。重なる大小二つの肢体はともに菊座と秘裂から白濁を逆流させながら、汗みずくになって震えていた。
「つかよお。弓女テメーぜんぜんこっち弱ぇーじゃねーか!」
仁王立ちの三男がうそぶく。
「うる…さい」
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posted at 20:27:17
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ひとにらみで、息の悪魔を黙らせてから、弓の善神はなぐさめをねだるように羽の悪魔と舌を絡める。
「羽の子…よくこんなの…毎日」
「そのうち…なれるから…」
「んっ…なれないよ…すごすぎて」
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posted at 20:28:51
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指を絡ませ、胸と胸とを潰し合わせながら、唾液を交換し、互いのけだるい情欲の残り火を掻き立てる。
「つか次、俺の番」
次男が後ろからぬっと頭を出すと、新妻が振り返って、冷たく一言。
「今日はもうだめ。私の番」
「テメー!チビがどうしてもっつーから娶ったけどよお!」
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posted at 20:31:22
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長男が後ろから首に腕を回して引き離す。
「やめとけ。テメーは喧嘩だと弓女に勝てねえだろ」
「あ?何イモ引いてんだよ」
「は?俺は勝てんだよ。昨日も十回目で余裕で泣き入れさせたんだよ」
「それ喧嘩じゃねえ方だろうが!」
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posted at 20:33:33
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「うっぜ…」
花輪を持って六男が横からあらわれる。
「…チビ…これ好きだろ…」
ぼそぼそと告げるが、末弟じゃなかった末妹は義姉の熱烈ななつきぶりのせいで応えるゆとりもない。
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posted at 20:35:42
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六柱の男悪魔がまたしても一触即発の空気になると、女悪魔はめくるめく喜びの中でも敏感に気取って、切なげな目になる。善神はゆっくり息を吐いて愛撫をとぎらせた。矢を摘むのに慣れたしなやかな指が義妹と己の肉穴をそれぞれ広げ、発情した雌の匂いを立ち昇らせてうたいかける。
「ほら」
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posted at 20:43:05
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OKOK。
言いたいことは解る。
幾らなんでも。幾らなんでもちょろすぎると。
言い訳させてもらうと、ヤンキーの悪魔は本当にちょろい。
六等分の花嫁がいれば、しかも二人な。もうころっとおとなしくなりますわ。
しょうがないしょうがない。
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posted at 20:46:06