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にょんギツネ

@nyol2novel

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2020年04月25日(土)

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

三羽鴉と銀の燕は再び探索に潜るようになった。
状態異常の治らないレンティには、ジャスが新都から取り寄せた特殊な装備を着せた。ほとんど肌を隠さないが、つけたものの感情の昂ぶりによって魔法の防壁を作り出す踊り子の服。

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posted at 00:02:46

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

戦闘が始まる前はすっぽりと外套をまとい、魔物に遭遇すると脱ぎ捨てて、近頃絶えずもまれてますます育った乳房と双臀を振り回しながら、無双の強さを発揮する。

返り血を浴びながら繰り返し絶頂する斥候は、武闘家のごつい掌に頭を撫でられるとうれしさのあまりまた小水と愛液をこぼす。

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posted at 00:04:49

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

すでに冒険者としての階位は全盛期を取り戻し、いや凌駕しつつあった。

裸も同然の格好で四つん這いになり、三羽鴉の刺青の入った尻を振りながら匂いを嗅ぎ、宝を探り当て、罠を解除すると、小さなものなら咥えて戻る。

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posted at 00:06:56

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「はっ…もう治らねえとか言っといてよ」
「完全には治せないって言ったんだ。いつ発作が起きるか解らない。だったらこの状態で安定させた方が冒険者としては優秀だし…それにこうすればレンはもう戻れなくなるしね」

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posted at 00:27:49

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「厠に…行かせ…」
「違うだろレン。ほら。いつもみたいに」
「ふざけ…ないで…」
「れーん」

唇を噛んだ宿屋のおかみは、頬に涙を伝わせてから、立ち上がって蹲踞の姿勢になり、短剣を操るにに慣れた両腕を黒髪の上で組む。

「馬鹿雌のレンにどうか用を足させてください…これでいいんでしょ!」

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posted at 00:31:57

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「ね?もうレンは状態異常が緩和しても戻れないだろ」

今度はジャスの得意げな態度に、レンが鼻を鳴らして盥を蹴る。

「く…見ないで頂戴」
「その格好で?見せるためにさせてるのにほんとに馬鹿だなレンは」

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posted at 00:33:23

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「くぅ…」

恥辱と官能に震えながら、流し込まれた大量の白濁を排泄し、音を立ててゆばりを放つ。

「ふう…ふうっ…満足?」
「そうだね。そろそろお客が来るよ。おかみさんらしくもてなしてよ」
「っ…!!ぅ…はい」

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posted at 00:34:44

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

きつい香水で隠し切れもしない精臭をごまかしながら、裸も同然のおかみが若い男の腕に抱かれてあらわれる。見せつけるように接吻をかわして。

「またいらしたの?私…もう宿屋に戻るつもりはありません」
「レン。君は…少し気持ちが乱れている。いちど神殿で休息して…」

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posted at 00:38:48

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「いや。またあそこに閉じ込められるのは!」

妻は夫に叫んだ。

「あんなところ!私を穢物みたいに扱って!」
「では…宿屋でもいい…君のために最上の部屋を空けよう。よく休める…」
「いいえ!宿屋なんか…やど…わた、私…」

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posted at 00:40:19

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「フ…リーグさん」

おかみの他人行儀な呼びかけに、宿屋の主は鞭で打たれたようだった。だが穏やかに応じる。

「なんだね」
「…私…私…また冥府螂の…棘弾を受けました…それで…もう…抑えられなかった…あの子達は…私を救おうと」
「間違ったやり方だ」

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posted at 00:46:43

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「そうかもしれません…でも…あ…私…あれ…わからない…もう…だって幸せなの…!また冒険者になれて!迷宮を探索して!どきどきわくわくして!戦って、謎を解いて!…今度は仲間と…一緒に笑って…」
「…宿屋にいたときは…幸せではなかったのか」
「…わか…らない…でも…今は…もう…」

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posted at 00:48:23

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「私達の子供は。送迎の馬車を買う計画はどうするね…君が車を、私が馬を選ぶ約束だっただろう…」
「…わからない…」
「神殿に行かないかね。もう少し気持ちがはっきり」
「…そうしたら…私…もう冒険者に戻れない…」
「これが…君の望んだ冒険者なのか…私はてっきり…」
「違うかもしれない…」

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posted at 00:50:28

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

レンティは震えながら両腕で己を抱いた。

「でも…やめたくない…仕事に穴をあけてごめんなさい…この償いは…必ずします…お金では償いにならないかもしれないけど…私…必ず」
「そんなことは良いんだ。私は…君にそばにいてほしいのだ」
「だめ…私…もうまともじゃない…止められない…」

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posted at 00:52:52

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

斥候は宿屋の主に告げた。

「ごめんなさい…ごめんなさい…別れて…下さい…」
「私は別れたくない」
「許して…お願い許して…」
「君が心配なのだレンティ。いっそ…あの若者達を代官に訴えて…」
「やめて…あの子達は大霊廟でおかしくなって…私と同じ…やっと…地上に戻って…」
「…レンティ」

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posted at 00:56:56

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「…ぁっ…うっ…んっ…見な…いで…フリー…グ」

宿屋の主は、しかしまだ去ろうとはしなかった。ただ途方にくれているようだった。

「おじさんがあんまりしつこく来るから、レンが困ってるじゃないか。レン。もうはっきりさせてあげなよ」

ジャスがひょいと天幕に首を突っ込んで命じる。

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posted at 01:01:20

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

冒険者たちの共有肉便器は震えながら這いつくばり、滑らかな曲線を持つ背から尻にかけてを丸めながら、額をこすりつける。

「どうか…レンを…ケル様達のものにならせてください…お願いします…」

壮年は銀色の筋が混じる髪を垂らして、うつむくと、消え入りそうな声で返事をした。

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posted at 01:04:08

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「そんな姿は…見たくない…私が…そうさせているなら…今の私は…害でしかない…君の望み通りにしよう」

一気に十歳は年を食ったような宿屋の主は踵を返すと、よろめきつつ去った。

背後に剣士は呪いの印を切って舌を出し、魔法使いは這いつくばったまま震える斥候を楽しげに見下ろす。

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posted at 01:07:10

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「孕め!」
「おい!ふざけんなガロア!レンは俺の…」
「僕達のだろ?ねえレン。孕むなら全員の子をだよね?」

そっと武闘家の腕から抜け出した斥候は慣れたようすで下腹のあたりを指で囲んで答える。

「はい…ケル様、ジャス様、ガロア様の子を…順番に好きなだけ宿します♥」

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posted at 01:24:50

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「やったねケル。仲間が増えるよ」
「身重になったら探索できねえだろ」
「そんなことないさ。妊婦用の装備もある。今時は進んでるんだよ」
「ちっ…」

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posted at 01:25:40

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「何を心配してるの?」
「もし…こいつに何かあったら」
「大丈夫だよ。魔物娼館用の装備を色々使ったせいなのかな。それとも永続状態異常が安定したせいかな。今のレンは魔物よりっていうか、淫魔に近い性質も得たんだ」
「んだそりゃ…」
「まずここらの魔物じゃ傷つかない」

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posted at 01:27:55

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

まさに淫魔の如く一見無防備な、しかし実際は凶悪きわまりない強さを持つ女は、男達の望むがままに尻を振り、乳房を揺らして大霊廟の新区画を進む。
もはや一行は冥府螂とさえ四対一で危うげなく倒せるという自信があった。

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posted at 01:34:18

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「ちょっとごめんね。レンに催淫の呪文を重ねがけしてくる。いちおう強敵との戦闘に備えてね」

魔法使いは斥候の隣に並ぶと、ほれぼれとここ何か月かで調教し尽くした肢体を眺めやる。

「ねえレン」
「はいジャス様♪。あ、罠」

肉置き豊かな女は子供じいた矮躯をひょいと抱き剣山の床からどける。

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posted at 01:36:52

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

ジャスは嘆息する。

「何となくさ。レンはケルが一番好きなんじゃないかって。もしあいつが本気で独り占めしようと思ったら…色々きわどい道具も使ったけど…やっぱり勝てる気がしない…だったら…僕達あともうちょっとだけ、このまま一緒に冒険を…」

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posted at 01:42:57

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

斥候は魔法使いを投げ飛ばした。

「レン…!?」

銀の燕は短剣と回力棒を同時に抜き放ち、淫らに飾った肢体をくねらせ、快楽を掻き立てながら、淫蕩の情を力に変える。

玄室に通じる隧道の暗がりには壁にも天井にも冥府螂がしがみついていた。

数えきれないほど。

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posted at 01:44:57

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

◆◆◆◆

宿屋は締め切り、酒場では主が無言で酒を呷っていた。葡萄酒を蒸留したきつい銘柄だ。

「今日も店を開けないのかい?」

料理人が尋ねる。

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posted at 01:45:58

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「まあ別に蓄えは生い先短いあたしらが死ぬまであるけどね」

隣で義手の掃除係が硝子の盃を磨いている。

「よしな。あんたも解ってるだろ。こんな流行らない宿屋を続けてた理由なんぞ」
「そりゃそうだけどさ。もしおかみが戻って来たときに」

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posted at 01:48:10

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

宿屋の主は盃を覗き込む。

「何を考えてるんです」

掃除係が尋ねる。

「…神殿」

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posted at 01:51:39

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

壮年は短く答えた。

「神殿での治療はそりゃひどいもんだったね。あれならいっそ状態異常があのままでも…」
「そんなかわいそうなこと…」

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posted at 01:53:25

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

外から馬蹄の音が近づいてくる。

「休業中って知らないやつがいるのかしらねえ」
「よそもんか」
「外来(インバウンド)だか何だか知らないが」

扉を開けて入ってきたのは代官の兵だった。

「…主人!主人はいるか!」
「私ですが」

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posted at 01:56:22

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「冒険者組合の会食は?」
「今日はお休みです」
「ええい…ここもだめか!」
「何がありました?」
「冥府螂だ!あれが大霊廟中にいる!玄門を閉じたが…あふ…あふれそうだ」

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posted at 01:57:35

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

主人は穏やかにたしなめる。

「以前に大発生した際、古都の組合に属する高位冒険者の多くが命を落としました。宝も取り尽くし、ここでの探索はわりに合わないと残りはほぼ去りました」
「そんな…」
「新都の宮廷に連絡した方がよろしいのでは?」
「すでに早馬は送ったが…」

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posted at 02:00:52

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

冥府螂は切り落としたレンティの肘から先や脛から先を貪り食っている。
いちおう食欲があるらしい。

だるまになった斥候はあとどれぐらいで失血死するかを考えた。だが訪れたのはもっと悪い事態だった。見たこともない冥府螂の個体が近づき、尾から粘性の棘弾もどきを吐きつけてくる。

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posted at 02:16:25

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

傷口に張り付いた棘弾もどきはむずがゆさとともにまた狂おしい快楽を呼び覚ますが人妻はあられもない嬌声を発するのをこらえもしなかった。どうせ周囲には魔物もいない。

止血を済ませた怪異は、獲物の髪を掴んで引きずっていく。背が床にこすれる痛みすら心地よい。頭がおかしくなりそうだった。

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posted at 02:18:40

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

とうにおかしくなっていたかもしれない。
冒険者は皆おかしい。魔物を殺し、殺され、刹那のうちに血生臭い情熱を燃やす。あれだけ冥府螂を殺したのだから、どれほど惨い死に方をしようと覚悟はできていた、つもりだった。

だが玄室に待っていたのは予想を超えたものだった。

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posted at 02:20:08

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

四つの前肢と四つの後肢、それだけならもうさんざん相対した亜虫系の魔物の一種だが、前後それぞれ一対ずつが透明な翅になっている。

胸郭とおぼしきところに明らかに乳房が二対。人間なら臍の下あたりに産卵管とも性器ともつかない棘だらけの屹立がある。

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posted at 02:22:06

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

顔は、まるで少女だった。
穏やかな、神殿の聖画に出てくる祈る羊飼いの娘のよう。
触覚は枝分かれして冠のように額の周りを取り巻き、毛髪を思わせる帯のような筋ようなものさえ後ろにに伸びている。

複眼が開き、顎が左右に開く。人間の耳に聞こえないだろう音が響く。
だがレンティには聞こえた。

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posted at 02:24:29

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

求愛だ。
ぞくぞくと全身を恍惚が駆け抜ける。
そうだ。

何を間違えていたのだろう。あの死霊王の錫の先端に飾られた半身像を目にした際から解っていなければいけなかった。

すべては婚姻のため。

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posted at 02:25:32

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

永続状態異常などというものは存在しない。

単に偉大なる男王にして女王である方の祝福に耐えられる異種の雄や雌がふるいにかかったに過ぎない。

まさに地上の新たな血を取り込み、冥府螂族がより強くより賢くなるための儀式なのだ。死霊王もまた伴侶だった。

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posted at 02:28:05

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

千年を経てなお若々しく麗しく、人としての心を失いながら恐るべき強さをもって愛する主を守ろうとしたあの男、四肢はことごとく義肢となっていた大霊廟の表の首魁(ボス)は、死霊系などではなかった。亜虫/亜人系に分類せねばならなかったのだ。

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posted at 02:30:33

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

偉大な先達を手ずから弑した慚愧はしかし長くレンティの心を暗ませなかった。なぜなら新たな伴侶として身を捧げられる喜びが上回ったからだ。
子宮が疼く。早く宿したくてたまらないのだ。偉大なる子を。

「あな…た…」

誰を呼んだのだろう。目の前の神以外の誰を。

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posted at 02:32:33

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

◆◆◆◆

「っなせええ!!」

血まみれのまま、しかし五体満足でもがく剣士を抱いたまま、武闘家は走る。こちらも負けず劣らず満身創痍だ。

「てめえ!レンが!レンが!」
「ちょっと黙っててよケル」

魔法使いは杖に乗って空を滑りながら叱る。目立った傷はないが、ひどく老けたような顔だ。

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posted at 02:34:21

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「退却…また退却か…今度は仲間を見捨てて…」
「俺は!戻る!あいつを…」
「馬鹿。解らないの。また助けてくれたんだよレンは…僕等を…この命をうまく使うんだ…あの魔物どもを倒すか…封印する方法を見つけないと」
「うるああああ!」

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posted at 02:35:48

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

ジャスはひきつった笑いを浮かべる

「畜生…はじめから全部…僕等は…あの虫に操られてたのか…わざと棘弾をかすめるだけにして…完全には狂わせなかった…そんな知恵があるのか…自分を犠牲にして…でももしあの冥府螂が…働き蟻みたいなものだったら…?」

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posted at 02:37:23

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

ガロアが吠える。

前方に冥府螂。武器を持っている。冒険者から奪った高位武器だ。

「くそお!」

少年めいた術師は、即効の氷撃呪文を唱える。中位冒険者の操る魔法だが、準備が短く、高位のものが放てば威力も高い。

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posted at 02:39:24

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

だが最悪なことに、冥府螂は呪文を無効化(レジスト)した。
いや対抗呪文(カウンタースペル)を使ったのだ。

「こいつは…兵隊蟻か!」

同種の冥府螂がさらにあらわれる。魔法の杖を持っているもの、戦斧を持っているもの、古代の甲冑をつけているものさえいる。

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posted at 02:41:05

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「ここを切り抜けなきゃ…レンの夫にふさわしくないよね…ガロア…ケルを頼むよ」

ジャスは両手の指を素早く圧縮魔法を展開する。全身に炎が渦を巻いてまとわりつく。

火炎付与(エンチャントファイア)。

「食らえええええ!!」

甲高い金切り声を上げて突撃する魔法使い。

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posted at 02:42:49

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

だが鏡面を備えた大盾を構えた冥府螂が盾打(シールドバッシュ)で無常に小柄な冒険者の特攻を叩き落とす。

「がはっ…こいつら…技能まで…」

鎌と人間の手の中間のような前肢が、それぞれ奪ったあるいは捧げられた武器を構え、ぶざまに這いつくばった標的を刺し貫こうとする。

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posted at 02:45:16

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

だが鉄棍が数匹をまとめて壁に叩きつけた。

「この狭さ。忘れてた」

宿屋の洗濯係が物干し竿を操る要領でひょいとごつい武器を退ける。

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posted at 02:46:44

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

圧し潰されかけた魔物たちはほかには聞こえない奇声を発してもがきながら反撃に転じようとする。

「仲間を呼ばれたよ」

料理人が段平で次々に首を刈り飛ばす。牛刀を振るう要領で。

「しかし回復不能の斬撃が出せる鎌を捨ててわざわざ人間の武器を装備するなんておかしいねえ」

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posted at 02:48:55

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「あまり舐めた口をききなさんな。あんた方も下手すりゃこいつらのお母さんになってたんだ」

掃除係がふわふわと漂う雑巾を周囲にまとわりつかせ、指を鳴らすとまだ息のある冥府螂に張り付かせ、体液を一滴残らず搾り取る。

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posted at 02:50:42

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「忘れちゃいないよ。あんときあちこちちょん切られたのはね…あたしらより腕の立つ仲間もだいぶ失くした」

三羽鴉のもとへ無言で給仕が近づき、回復薬を突き付ける。

「…あんたら…なんで…冒険者だと…そんなそぶり」
「は、五十そこそこのひよっこに気取られるほど耄碌しちゃいないよ」

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posted at 02:52:30

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

奥からひそやかに魔物の増援が近づいてくる。
いずれも冥府螂の変種(バリエーション)。

「やれやれ…二十年前に比べりゃあたしらも歳くったしね…全部片づけるのは大変だよ!」

料理人の叫びを合図に、給仕が酒瓶を二つ投げると、宙で炸裂して強酸が飛び散り、敵を焦がす。

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posted at 02:55:03

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「青二才ども。とっとと後衛に下がりな。回復して戦列復帰するんだよ。階位上げの好機ってやつだ!あんたらは女の尻についてくのが好きみたいだからね!」

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posted at 02:56:01

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

黒の三羽鴉はそれぞれ回復薬を飲み干すと、恥辱に燃え、しかし魔物への復讐心にたぎりながら達人揃いの冒険者隊(チーム)の庇護下に入った。

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posted at 02:57:09

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

◆◆◆◆

冥府螂の男王/女王は、絶好の雌に種つける直前になって、新たに雄の臭いを嗅いだ。やはり興味を惹かれる強さだった。

「うちのものが…何か失礼を?」

暗がりから壮年が歩み出してくる。銀の筋の混じった髪をきちんとなでつけ、服装には乱れがない。

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posted at 02:58:57

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「あな…た…」

粘液にからめとられたおかみがあえぐと、宿屋の主は一瞬青ざめ、息を乱した。

「ああ…また私の過ちだ…あの時も…私が…救援隊など組織したばかりに…そして今度も…」

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posted at 03:00:25

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「…許してくれレンティ…私は…また取り返しのつかないことをした…」

王を守るべき騎士種がさらに何十何百と湧いて次々に襲撃する。魔法や弓矢を使うものもあった。仲間の鎌を飛び道具に変えて投げつけてくるものも。
だがわずかにぶれた壮年はすべてをかわし、打突で一匹ずつ仕留めていった。

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posted at 03:06:42

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

二十年前の大霊廟での救出作戦で、高位冒険者の多くは命を落とし、生き残ったものもたいていは回復呪文では癒しきれない傷を負ったが、ただ一人、髪の毛一筋傷つかなかった男がいた。

救援隊を組織した高位冒険者の筆頭で、武闘家達人(モンクマスター)。階位はこうした高位者の常として不明だが推定

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posted at 03:08:47

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

百六十前後。

だが自らは傷一つ受けず大霊廟に大量沸きした冥府螂を駆逐しつくしたとはいえ過程で多くの仲間を失い、冒険者組合を半壊に追い込んだのは、そもそも救援隊の存在そのものだったと理解した男は引退を決めた。

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posted at 03:11:18

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

"銀の木菟"フリーグはしかしまた過ちを重ねたのを識り、暗澹たる思いに囚われていた。とはいえ長い宿屋の主ぐらしで百三十前後にまで下がった階位であっても、拳も蹴も動きは流れるがごとくまた水滴をもって岩に穴を穿つがごとく、小の力で大の魔物を撃ちぬいていった。

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posted at 03:15:50

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

襲ってくる敵をすべてすりつぶしながら、一歩また一歩と別れた妻のもとへ近づく元夫の足取りは、しかし次第に速まる。

「レンティ…レンティ…」

はや四肢なき伴侶のわずかというところで、しかし大霊廟の裏の首魁(ボス)である亜虫系の頂点は産卵管と性器の中間のような器官をうねらせた。

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posted at 03:18:18

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

棘弾が、武闘家達人にもかわせない速さで打ち出され、痩せぎすの体に突き刺さる。足の止まったフリーグの四方八方からさらに生き残りの騎士種の冥府螂
が棘弾を浴びせかける。

「…なるほど」

男はゆっくり息を吸って止め、ぽんと掌で拳を叩くと棘弾はすべて抜ける。血があふれるが意に介さない。

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posted at 03:20:28

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

冥府螂の男王/女王は、一切の攻撃が通じない異種族の雄を取り込むべき存在ではなく排除すべき存在と判断し、今度は命を刈り奪る猛攻を掛けようとしていた。

だが遅すぎた。
銀の木菟は無造作といってよい動きで男王/女王の肺腑をえぐり、神経叢を掴みだして投げ捨てた。

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posted at 03:24:29

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「わた…し…もぅ」
「神殿には入れない。君は私が治してみせる…治らなくても…私は…もう君を離さない…おおレンティ…」
「う…ぐ…うう…」

残敵はけなげな追撃を図ったが、フリーグはほぼ一切を見向きもせずに滅ぼした。

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posted at 03:26:13

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「てめえがさらった俺等の女を返せば見逃してやる」

ケルがしかめ面で告げた。

「元武闘家達人か知らねえが。今の俺等が三人がかりでやって勝てねえやつはいねえ」
「そうですか。承知しました」

フリーグは拳を固め、順番に一発ずつ殴った。もちろん爆散させない程度に。

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posted at 03:31:35

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「宿屋として冒険者の方に手を上げるのは本意ではありませんでしたが、たってのご希望でしたので」

ケルとガロアは気絶したが、ジャスだけはあらかじめ仕込んでおいた防御呪文のおかげでまだ意識を保っていた。

「待ってよおじさん…レンの意志はどうなるのさ。あの子は僕等と一緒にいたいって」

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posted at 03:33:40

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「若い妻をもらうとそういうことはままあります。しかしもう一度振り向かせるのが夫の甲斐性というものですから。では」
「待っ…」

去り際に振り返った壮年の表情には慇懃ながらも、いささか冒しがたい険があったので、少年めいた魔法使いは悔し涙に震えながら何も言えなかった。

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posted at 03:35:35

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

出ていったおかみは宿屋の主の懇願で戻って来た。

四肢の肘と膝から先は銀の義肢になっていたが。かつて死霊王がつけていた装備だ。魔法によって感覚もつながっているようだった。以前より鋭敏なほど。

「過敏すぎて熱いお椀も持てないんです」
「慣れだよ。あたしらのいい加減な義肢よりいい」

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posted at 03:37:40

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「それで。支配人はあっちの方は許可してくれたのかい」
「はい。大霊廟以外という条件で、当面はあの人の付き添いつきですが」
「ま、おかみならすぐ支配人の階位は超えるね。向こうはもう落ちるだけさ」
「そんな…そんなことないと思いますけれど」

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posted at 03:39:34

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

迷宮探索で戦闘が始まると、銀の義肢は鎌に変わり、魔物を切り裂く。

踊るように敵を一掃して、恍惚の息をついた銀の燕は、銀の木菟を振り返る。

「上手に…飛べたでしょうか」

夫はわざとらしいほどうやうやしく辞儀をしてみせると、妻は笑って手の形に戻した義肢で叩く。たちまち相手は吹き飛ぶ。

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posted at 03:42:00

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「あらごめんなさいあなた」

銀の筋が増えた髪を直しながら、埃を払ってフリーグは立ち上がり、何でもないと肩を竦めてみせる。レンティはくるりと背を向けると、腰布をめくって玩具を咥えこんだ三穴と、刺青入りの双臀をさらす。三羽鴉は木菟に描き変えられている。

「お仕置きを…」

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posted at 03:44:57

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「気を付けて下さいレンティ。私も…状態異常永続なのですよ」
「はい♥フリーグ様♥」
「困った人だ」

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posted at 03:45:42

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

そういうレンティもすでに冒険者としては達人さえ超える領域に達しているのだがともかく、フリーグとしては何でも妻の言うなりである。

義肢を四足獣の形に変容させた伴侶に首輪と綱をつけて深夜の散歩も。青二才の魔法使いから取り上げた水晶玉での上書き撮影も。

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posted at 03:52:42

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

「沢山…沢山子を産みますあなた…冒険者になって、迷宮が満ちるほどに」

囁いて甘える妻を夫はうっとりと抱きしめながら、頷く。

「ええ。そうしましょう」

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posted at 03:54:50

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

銀の燕は、随喜の涙を溜めて切れ長の双眸を瞬かせた。一瞬、瞳は複眼のように見えたが、しかし次の刹那にはまた元のどこまでも幸福と安寧に満ちた宿屋のおかみのおっとりした眼差しになっていた。

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posted at 03:56:19

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

終わり。

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posted at 03:56:35

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

でも緑川は天子様をageる快楽のためにすべてを受け入れたんだよ。

聖ロリをageるのは一番楽しい。国連もそう言ってる。

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posted at 11:05:02

帽子男 @alkali_acid

20年4月25日

女体化→フタナリ化→器物化→擬獣化→擬人化→男体化などをしてどこまで元とズレるか試すやつ(Google翻訳遊びみたいなことするな)

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posted at 11:40:29

味噌月あやべ @ayabemiso

20年4月25日

なおサイバーイグアナ氏とは相互ブロック

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posted at 17:07:40

味噌月あやべ @ayabemiso

20年4月25日

一部の人には猛毒じゃないですか twitter.com/KGHT_2/status/...

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posted at 17:38:22

生野刺美 @ikunosasimi

20年4月25日

@KGHT_2 圧縮されていき 濃いやつだけが残る(グルメ風味)

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posted at 17:43:21

味噌月あやべ @ayabemiso

20年4月25日

プロフィールは真面目なのになぁ。ヘッダーで全部ぶち壊しだけど。

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posted at 17:57:55

雪鮪 @Snow_brs

20年4月25日

第一話 3Dって楽しい!
第二話 モデリングわからん
第三話 UVわからん
第四話 リギングわからん
第五話 テクスチャわからん
第六話 モデリングわからん
第七話 ライティングわからん
第八話 マテリアルわからん
第九話 アニメーションわからん
第十話 レンダリングわからん

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posted at 18:07:23

にっぱー@銀髪ハイエルフ @nipapapapaer

20年4月25日

@Snow_brs 第十一話 完全に理解した
第十二話 3Dわからん

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posted at 18:09:14

味噌月あやべ @ayabemiso

20年4月25日

一般の人にはケモナーってどう思われてるんだろうか?
友達は「ちょっとそれはない」って言ってたけど、母は躊躇なく「エッチじゃん?」って言うし…。

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posted at 18:45:03

詩雨 @utau_ts

20年4月25日

色々あって急に女体化してしまったけど、色々あってなんとか男に戻れてから(オナニーする度に)ずっと物足りなさを感じている元TSっ娘が「また女になれたらな‥‥」と思っては何考えてるんだとその思考を振り払ったりしているけど、徐々にTS願望が水面下で溜まっていくフェイズ好き。

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posted at 21:26:49

詩雨 @utau_ts

20年4月25日

女体化する方法やら薬やらをチラつかされただけで、抑え込んでいた願望が顔を出して無意識に物欲しそうな顔したり雌の顔しちゃうけど、女になるなんてもうゴメンだとか言って一度は断って欲しい。そして本当に要らないんですか?と問われて本心暴かれる(既にバレてる)フェイズに移行しよ。

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posted at 21:30:53

詩雨 @utau_ts

20年4月25日

周りがどんどんTSして復讐しようとすればもう少しコスト下がるだろうし。 markov.cordx.net/utau_ts

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posted at 21:32:02

詩雨 @utau_ts

20年4月25日

TS病もヤバい‥‥?そうか、つまりきみはそんなやつなんじゃない? markov.cordx.net/utau_ts

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posted at 21:33:10

詩雨 @utau_ts

20年4月25日

みんなが勝手にTS弱体化していくのでTS躊躇ってたら相対的に強者になってしまうオレくん。

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posted at 21:34:17

ゆぬ@普通のVRC民 @une_back

20年4月25日

エプロンドレスユーヌ落書きー #ゆぬゆぬ pic.twitter.com/NRLdah8PQe

タグ: ゆぬゆぬ

posted at 23:00:12

詩雨 @utau_ts

20年4月25日

強制自腹化‥‥。
遅刻してきた人が団員全員のお茶代を出す‥‥。

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posted at 23:00:35

茶無@な @cham_alfa

20年4月25日

届いてた

やっべテンション上がってきた。。 pic.twitter.com/dEIOFuu77D

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posted at 23:02:42

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