にょんギツネ
- いいね数 93,460/126,415
- フォロー 133 フォロワー 724 ツイート 63,525
- 現在地 妖狐の里
- Web https://h02.fanbox.cc
- 自己紹介 日々読書や執筆、お絵描、文字の観察などを愉しんでおる寶曆6年生まれの仙人見習いな267歳幼狐なのじゃ!18禁要素注意じゃよ? ヘッダーは @une_back に依頼したのじゃ。褒めて質問お題箱を兼ねた投書箱 → http://marshmallow-qa.com/nyol2novel
2021年02月01日(月)
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ミナはジョナサンが帰ってくると、混乱からそこらじゅうで粗相をしてしまったのを平謝りに謝り、自分で掃除すると言って聞かなかった。
くらくらするような薔薇の匂いの中、夫は自分にも理解できない勃起を妻に悟られまいとしながら、訥々と慰めた。
「ミナ…明日はもっと早く…帰る…」
タグ:
posted at 00:25:21
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「…えっほんとやった!?じゃなくって…そうしなよ。健康のためにもね…いや、あの…ごめん…」
「おう…」
つい整備士にむしゃぶりつきそうになった元飛行士は、いきなり首を振った。
「…あ、違う…もっと遅くていいよ…その方が…自由に…できるし…あれ…何言ってんだろ…」
タグ:
posted at 00:27:54
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
二重生活のでだしは多少混乱があった。しかしすぐに浮気好きの尻軽妻は板についていった。間男役の導きのもとで。
ミナはすぐに暗室の外でもミルティオとまぐわうようになった。命令通り、食堂でも、車庫でも、客室でも愛を交わした。
タグ:
posted at 00:32:23
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ちゃんと主婦らしい振る舞いもした。二つ足の義肢をつけて裳裾をまとい、伯爵にしがみついて買い物に繰り出した。
七塞領の園丁の言葉通り、定命の民、昼の民の暮らしは変化し、夜の営みが広がりつつあった。多店舗展開の大型総合市場が、日暮れてから遅くまで煌々と照明を点して開いていた。
タグ:
posted at 00:57:59
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
街灯があちこちを彩り、闇を退かせ、人々はもはや暗がりから襲い掛かる牙や爪を恐れずに、太陽の加護のない暗い空の下をうろついていた。
もし、いまだ不死が七塞領の外にはびこっていたならば、どれほどか好ましい世界だっただろうか。
タグ:
posted at 00:59:43
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
塵に還した。
七塞領の技師が作った義肢は、華奢な作りに見えても百人力を発揮した。双孔に張り型を咥え、尿道に粗相封じの栓を挿し、先端に飾輪のはまった西瓜のような乳房と丸々とした尻を振りたてながら、主婦は模様替えをこなした。
タグ:
posted at 01:16:00
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ミナはなお時々、悪夢から覚めたばかりの頼りない少年の表情を浮かばせることがあった。
「あれ…なんで…僕…こんなこと…ぁっ♥んっ♥…」
すぐにまた尽きせぬ官能の奔流におぼれていったが。
「浮気っ♥浮気っ♥しゅきっ♥あの人を裏切るのぎもぢぃっ♥伯爵と浮気ぃっ♥」
タグ:
posted at 01:30:32
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
ミナはジョナサンを縦長の瞳孔を持つ双眸で見つめ、優しく命じた。
「明日はもう一時間早く帰って来てね?」
「おう…だけどな。納期が…」
「だめ」
「わかった…」
「よろしい」
タグ:
posted at 01:35:27
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
夫が支度をして寝床に入るのを、妻はにこやかに監視した。一人用の寝台も新しくより高級な品に変わっていた。疲れた男が身を横たえれば朝まで目を覚ませないような上質なものに。
タグ:
posted at 01:38:21
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
昏々と眠るジョナサンに向かって蓮っ葉な口調で浮気好きの尻軽妻らしいごたくを垂れ流していると、ミナはどんどん頭の奥が壊れていくのが感じられた。これ以上もう壊れるものなどないと思っていたのに。
タグ:
posted at 01:54:37
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
気づけば妻は間男役との時間を作るために、好まなかった催眠術を盛んに夫に用いるようになっていた。
夫婦が言葉をかわす機会はどんどんと減ってゆき、ほとんどすれ違うような暮らしになった。
タグ:
posted at 01:56:56
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
伯爵だけのものになると幾度誓っても、どんな儀式を重ねても、正夫人の地位についても、体をほかの男には決してなじまぬよう作り変えても。
ミナの精神の核には聖域があった。飛行士としての、定命としての、昼の民としての礎が。
タグ:
posted at 02:07:14
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
例え凌辱と調教と寵愛の夜々に屈服し隷属しても、聖域に撤退した心は傷を癒し、折に触れて反撃と自由になる機会を求めて活発な働きを蘇らせる。
それがミナ。肉体よりも精神の再生に秀でた女の本質だった。
タグ:
posted at 02:10:47
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
「勝てた…んだ…あの時…まで…」
伯爵の差し延べる手を押しのけ、ジョナサンを選ぶような真似さえしなければ。聖域を隠したまま、力を蓄え、七塞領の主を打ち倒せた。
四肢を奪い、尊厳を奪い、青空を奪った男に。
そのためには。
ジョナサンを殺さなければいけなかった。
タグ:
posted at 02:19:25
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
浮気好きの尻軽妻は、もう何十通めかになる離婚の書類を書き終え、署名をしてから黒い塵に還した。だが意識の外でもう一通が仕上がっていて、それは同じようにできあがった用紙とともに暗室の机にしまい込まれた。
タグ:
posted at 02:33:29
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1353256069456248832/z4pEN4Ka_normal.png)
週一の進捗報告を投稿しましたー。
今回からFANBOXも追加しました。よろしくでーす。
ci-en.dlsite.com/creator/8760/a...
etori.fanbox.cc/manage/posts/1... pic.twitter.com/uXSrAzZ77f
タグ:
posted at 21:29:38