にょんギツネ
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- 自己紹介 日々読書や執筆、お絵描、文字の観察などを愉しんでおる寶曆6年生まれの仙人見習いな267歳幼狐なのじゃ!18禁要素注意じゃよ? ヘッダーは @une_back に依頼したのじゃ。褒めて質問お題箱を兼ねた投書箱 → http://marshmallow-qa.com/nyol2novel
2021年07月09日(金)
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今日はなろうで目に付いたの一気読みして深夜じゃないぞ! ハーメルンで一気読みして深夜だ! って前も似たようなツイートしたぞ! 周辺の認識とズレてる系の話やっぱ自分好きなんだね。うん。
理想の聖女? 残念、偽聖女でした!(旧題:偽聖女クソオブザイヤー)
syosetu.org/novel/213320/
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posted at 01:28:11
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なんかすごい夢見た……。結婚式当日もギリギリまで働く駄目社畜夫と、料理音痴で料理にブリーチとか入れちゃう新米専業主婦の新婚夫婦に、夫の親友(家事万能男)が登場することによって家庭がめちゃくちゃになる話。
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posted at 05:14:28
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風水師/薬剤師銀白(シロガネ ハク)♀ @sirogane_haku
禹歩:夏王朝の始祖禹王の歩き方を真似たとされる呪術的歩行法だよ。最古の記録は『抱朴子』と言われているね。日本では反閇(へんばい)と呼ばれ陰陽師によって行われていたよ。#風水師白
タグ: 風水師白
posted at 08:59:05
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「果てしなき血河の先に」世界だと異世界と地球が極めて頻繁に小さいゲートでつながるので世界間外来種が死ぬほどそこらに溢れてるおかげで結果的にどの世界もだいたい同じような生態系になっている
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posted at 09:05:09
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バキシリーズ
読む前「花山…薫…?」
読んでるとき「花山薫……!!!」
いま「花山薫~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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posted at 12:55:38
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要は狙ってないTSって尊いよねという話なのだけど。女装ネタとかTSに興味ない作者さんが無意識に放った属性ネタは通常の3倍威力がある説です。ボーボボの田ボちゃんみたいな。読む方も構えてないからTSが胸に沁みる。僕は勝手にこの現象を「無拍子のTS」と呼んでいてとても尊いと思ってます(つづく)
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posted at 13:04:29
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なろうの小説を読んでいても、あなたTS属性絶対ないですよね?という作者さんが気まぐれに書いた番外TSギャグ回(作者さん的には捨て回の意識)とか、こっちはもうほんとにキュンキュンきちゃうんですよ。それはもう高品質TS描写5万字に匹敵するくらい。それが無拍子のTSの破壊力です(まだつづける)
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posted at 13:05:49
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ところが僕らみたいにTS属性を自覚してる人間がそういう無拍子の萌えを生み出すのはとんでもなく難しくて。僕ら専門家からすると属性持ちのTS作品は力場の流れが読めるから、こちらも構えができてしまう。TS好きなほどああいう原始の萌えから遠ざかってしまうというこの矛盾(※個人の感想です (つづく
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posted at 13:07:13
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TSがジャンルとして確立してくれたおかげで毎日不自由なくTS作品を手に取れる幸せがある一方で「TS概念を知らない作者さんが偶然に創作したTS物」でしか摂取できない栄養は確実にあってそういう意味で創作者さんにはTS概念を知らないままであってくれと思ったりする入り組んだ心情についてのお話でした
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posted at 13:32:41
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Charlotte@あうりん @charlotte_neko
びーせいをリズム感と譜面認識力だけで戦ってるねこヾ(⌒(ノ'ω')ノ
空間把握能力とぱわーがたりない
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posted at 13:59:05
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Charlotte@あうりん @charlotte_neko
譜面認識力とリズム感があればリズムゲーはできるはずなのにおかしい…なにかがあったにちがいない|´꒳`)
ちなみに元水泳部ですけど球技はめちゃ不得意です(๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!
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posted at 14:04:25
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この問題はリリース前から気づいていまして、ウエイト名を「RegularとかMediumとか」にする場合、一部のアプリでそうなってしまいます。回避しようとしたらウエイト名を「RとかMとか」にすればいいと思うのですが、GoogleFontの仕様で「RegularとかMediumとか」にしなければなりませんでした。 twitter.com/baptize_Ryuji/...
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posted at 19:30:09
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なんか激ヤバすぎる宝が見つかった場合は、冒険者の組合を通じて領主とか代官とか参事会とかに教えてな。それ以外はまあ…いいよ…じゃあ我等高貴な身分は狩りとか狩りとか騎馬試合とか舞踏会とかしてるから。
あと狩りとか。狩り楽しすぎ。鹿や猪は怪物と違って毒とか炎とか吐かないし。狩り最高。
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posted at 19:48:56
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この…元大魔将について戦ってた狗狼人とか蜥蜴人とかは狩っていい?だめ?いい?ライツがある?ある…そう…あるの…英雄が定めた何かが。解ったじゃあいい。
なんか凶暴だしね。凶暴すぎる獲物はちょっとね。我等の文明レベルは別にライフルとかショットガンとかないしね。
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posted at 19:51:50
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狗狼人はいくつか群落があるんだけど、曠野があまりにでかいのであんまりつきあいはない。
考えはばらばらで
「はあ?狩り?俺等がケナシザルどもを狩ってやんよお!!」
「まるでゴリラのお人形さんだぜ?」
みたいな奴等もいれば。
「いやーきついっす。それより人間と混交してなじも」
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posted at 19:58:04
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風水師/薬剤師銀白(シロガネ ハク)♀ @sirogane_haku
マンドラゴラ(実在の植物)の解説動画なんて山ほどあるだろうと思ってYoutubeで「マンドラゴラ」で検索したら、まともな解説動画数本しかなかった…。これじゃ皆マンドラゴラを架空の植物だって思うわ。 pic.twitter.com/r0k8hOSEyB
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posted at 20:02:36
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言い忘れたが狗狼人は普通、身長がだいたい七尺以上、九尺ぐらいあるのもいる。くそでかい。
人間は体格よくても六尺ぐらい。つまり三割増しぐらいある。
だがおじさんは五尺に足りない。要するに子供サイズ。
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posted at 20:03:26
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人間と混交していこうぜ、という群落だからそういうこともある。もともとは曠野で行き倒れていたケナシザルを、群落きっての激強雌だったマッマが拾ったのが出逢いのきっかけ。
マッマはその時、別の番、群の長だった雄と二匹で狩りに出ていて、運悪く相棒を殺されてしまったから、
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posted at 20:09:18
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その代わりというんじゃないが、行き倒れを見捨てられなかったのかもしれない。
毛むくじゃらのマッマと毛なしのパッパははじめはしっくりいかなかったようだが、そのうちラブラブになり、おじさんが生まれた。普通狗狼人は五六匹いちどにぼこぼこっと産むがおじさんは一人っこ。混血だからかな。
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posted at 20:12:10
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おじさんがほかのデカい雄やデカい雌に馬鹿にされてくそぉとなって帰ってくると、パッパはそばに寝そべるマッマの毛むくじゃらの臀を撫でながら気の毒そうに述べた。
「予の血が出ちゃったかなあ」
「うがが!おふくろみてえにでかくなる!」
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posted at 20:17:09
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「うーむ…もう成熟しちゃってるからな。あ、ところで予ちょっと色々あって帰省するから。そちの母も連れてくが構わぬ?」
「うがが!うが?」
「そちもおとなの雄だからよかろ?」
「うが」
「あとな。この群落にいるより、外に番を探しにゆく方がよいぞ。曠野の奥…騎士団とかあまり来ぬあたりか」
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posted at 20:21:49
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「うが…?」
「逆に曠野を出るのもよい。うむ。人間に紛れるのも。そちが娘なら予と一緒に連れてゆくが、雄であるしの。はっは。初めての子故つい昂ってそのあたりを怠ったわ」
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posted at 20:28:17
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「うが????」
おじさんは耳を伏せ、うずくまってパッパを上目遣いをし、ついでマッマを見やった。
八尺はある狗狼人の女傑は、以前はバキバキに割れていた腹を丸々と膨らせ、臍に埋れた宝石をきらめかせながらゆるやかに上下させている。
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posted at 20:33:09
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戦うのをあきらめて、隠れ場所を探した。
なんとか岩の割れ目に入り込んだんだけど、いいタイミングで地響きがね。します。
それから腐臭。げきくさ。おじさんよりくさい。
烏とか鼠とか蛆なら喜びそう。どれもいないけど。不毛の巌ばかりだから。
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posted at 21:27:34
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お、翼、の残骸がありますね。破れた傘みたいになってるけど。
それから途中でちぎれてはいるが長く逞しい尾がある。
四つ足も太くてごつい。首の骨の形は優美だが、頭、だったものは生前にもましてみっともねえ。角と牙。美々しい鎧のように体表を覆っていた鱗はすでにない。
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posted at 21:30:33
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虚ろな眼窩には瞳のかわりに二つの緑の鬼火が燃え、半数近くが欠けた牙の間からは時折、瘴気に満ちた息吹がもれる。肺も気道もなさそうだがもう。
さすがに、おじさんもびりびりと震えて、犬歯がかちかち鳴る。
割と詰んだ感じがある。
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posted at 21:33:04
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腐肉と枯骨のおろちは首をまっすぐにそらし、あぎとを開くと、膿みとろけながら再生を繰り返す舌をうごめかして、吠え歌った。
龍の言語でね。
岩山は鳴動し、命なきはずの巨人の像が今にも踊り出すかのよう。
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posted at 21:35:11
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混血の狗狼人は、実に愚かに反応した。まあ冒険者やり込んでれば百人中百人が馬鹿じゃないのと言うようなまねをね。
見惚れた。聞き惚れた。
死せる曠野の王の、聴き手を求めぬ独唱に。
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posted at 21:37:06
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屍龍の燐の双眸が病んだ光芒を引きながら、招かれざる客の隠れていた割れ目に向きを変え、次の瞬間には前肢が鉤爪を伸ばして虚空を引き裂くと、烈風を起しながら岩をごっそりえぐりとった。
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posted at 21:40:14
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死せる巨竜と生ける小狼の釣り合わない舞踏は、なおもしばらく続いた。
止れば終わり。おじさんはひたすらに、駆け、跳ね、回転し、飛び散る岩のかけらをかわし、あるいは足場がわりに蹴って、あるはずもない勝機を見出そうとした。
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posted at 21:49:08
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なおもぴくぴくと痙攣し、かちかちと犬歯を鳴らすおじさんを、何を思ったか、いや何も思うはずないが、屍龍は静かに見下ろし、あぎとを開いて吠え歌った。
龍の言語で。呪縛の唄を。
そうしてから、酸毒の息吹を勢いよく吐きつけた。
「うががあああ!!!」
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posted at 21:53:44
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皆さんもやり込んでる冒険者ならご存知の通り。龍の息吹というのは"とっておき"だ。
本当にぶっ殺したい相手がいた時とかすげえノッてる時に使う。
横を掠めただけでもまあ、まあ死にますよ。相当いい財宝の武具とかまとっててもね。直撃は、そのう、うん。なんだな。
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posted at 21:55:35
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「うが…?うが??」
おじさんはのそのそと歩き回り、亡者となった万物の霊長の、無惨にしてしかし壮麗ななきがらを探りまわり、とうとう頭部に辿り着いて、虚ろな眼窩を覗き込んだ。
「うが…」
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posted at 22:00:05
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しかし別になんか因縁とかがあるのではなく、曠野で怪物同士が出会えば起きることが起きただけなので、ギドリは、あまり引きずらずに場を離れようとした。
そしたらなかぽと、ころころっとね、眼窩の奥から何かが転がり出た。
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posted at 22:02:21
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宝石です。皆さんもやり込んでる冒険者ならご存知でしょうが、歳経た龍は体内に珠を生じる。
結石みたいなもんだよ。紫の真珠みたいな見た目。
おじさんはそういうのぜんぜん興味ないんだけど、でも、くんくん嗅いでから、あぐっと咥えて持っていくことにした。
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posted at 22:03:39
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外壁をよじよじ這い登り、金属っぽい鎧戸を閉じた窓のひとつをぶっ叩いて、手の痛みに悶え、それから思いついて紫真珠を握ってがんがんやる。
龍の珠はそういう使い方するんじゃないんですう…。
でも開いた。固いからね。やったぜ。意外とできる雄だギドリ。
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posted at 22:17:24
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「うが!!うがががが」
がりがりと爪で床をひっかき、根性で這いあがる。いやーきついっす。
しかしそこで気づいた。なんか龍の珠が光っていることに。気づいたが、意味は解らなかったので無視した。
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posted at 22:21:29
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三回、四回と死にかかってから、ギドリはやっと合点がいった。なんか罠とかあると先に龍の珠が光るっぽい。
すごくない?
また光った。落ちた。
気づいたら落ちるなよ。
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posted at 22:22:48
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あ、特に何もなかったです。
財宝とかは。
だだ宙に置かれた円台が長い空中回廊で湾曲した壁面とつながり、円台の周囲にはなめらかな金属の帯でできた輪が無数に交差し巡っているだけ。帯の表面にはふるぶるしい文字が刻んである。
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posted at 22:27:37
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いい加減脱水と栄養不良でぼんやりしたギドリは、あてが外れたように周囲を眺め渡した。
奇怪な玉座の間、あるいはなんだろう、ものみの塔の頂上のようでもある場所。
「よべ…さらば…こたえん…?」
目につく単語を読み上げる。そう。字が読めるのだおじさんは。すごない?すごない?
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posted at 22:30:15
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厚かましい闖入者の身勝手な要求に、城塞全体が震えると、円台をとりまく暗闇が一瞬にして外の岩山の景色に変わる。
天に稲光が走り、轟きがあってから、滝のような豪雨が不毛なる峻険に地に降り注ぐ。
「うがああ!!!!!!」
水だ。
城塞の外にあふれんばかりの水があらわれたのだ。
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posted at 22:36:57
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ギドリは疲労も忘れて跳ね上がり、円台をぐるぐる四つ足で駆けまわってから、ぴたりと止まった。
「水!」
残念ながらこの玉座の間だか何だかには一滴も入ってこない。
「めんどくせえ!」
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posted at 22:37:46
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ま、仕方ないので自分で飲みに行った。何も入って来た窓まで戻らなくても、途中で外壁の上の開けた通路に出られる場所がある。
降りしきる水の箭にあんぐり口を開けながら、ギドリは嬉しさにおんおんと鳴き笑った。
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posted at 22:41:58
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飯の方は向こうから来た。湿気に惹かれて綿雲水母が漂ってくると、それを狙って突刺大剣蜂が押し寄せ、袋口蝙蝠、さらに双頭の鋸嘴鳶がやってくる。
岩山に住んでいた屍龍がもういないのを知ったのか、あるいは死せる王への恐れも渇きや飢えには勝てないのか。
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posted at 22:45:03
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![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
喉を潤し腹を満たした狗狼人は、壊れた罠の一つのそばで身を丸め尻尾を腹までたくし込んで眠る。
目を覚ますと、またうろうろと探検、というか徘徊を再開する。口に咥えた龍の珠が輝くと、おっと危ない今のはよかった、何とか罠を回避する。
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posted at 22:48:49
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恐らくは透明な円蓋でおおわれていたのであろう中庭に達すると、命の気配もなくなった土を手で掘りまくり、ウンコとシッコをしてから土をかけてふんふんと鼻を鳴らす。
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posted at 22:49:48
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こうしてななめに岩山にめりこんだ城塞のあちこちを調べ周り、最後には罠を余裕で避けられるようになり、天井が落ちて潰れるぎりぎり前に走り抜けたりとか完全に遊び半分になったおじさんは、
なんか飽きた。
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posted at 22:51:29
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だって誰もいねえしさあ。安定して獲れる餌は鋸嘴鳶ばっかだしさあ。それもだんだん難しくなるしさあ。
つまんなくなって深奥にある玉座の間かなんだかまでまた行ってみて、うろ覚えの文字を読み上げて色々試した結果、
城塞にできるのは雨を降らせることだけだと解った。
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posted at 22:53:14
![](https://pbs.twimg.com/profile_images/1378386053124395010/u1wABD7__normal.jpg)
いや嘘。雲ももくもく沸かせられるし、雷もぴかってできるし、風もごうごうって吹かせられる。
すごいなあ。すごい。でもそんだけ。
テーブルにご飯を出すこともできないし、すごい家来を無限に沸かせてくれたりもしない。
雨。雲。雷。風。
終わり。
終わりだよお。終わりだつってんの。
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posted at 22:54:54
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ギドリは大嵐を呼んでめちゃくちゃに雷を落としまくってほげーっと見物してから、なんかもういいなってなった。
「めんどくせえ」
それ以上の使い方とかは思いつかない。馬鹿だからな。
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posted at 22:55:38
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ギドリはですね。かいつまんで言うと、無人の城塞を出て、屍龍の骸散らばる岩山の道を抜け、怪物の跋扈する原野をどこまでも駆けて、なんか群落のあった丘陵地帯のあたりまで来たけど、すり鉢のような穴がいっぱいあいて、底にきらきらした硝子がたまってるだけだったので、しょうがねえやとそのまま
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posted at 23:03:03
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それでもでかい街につくとほかの群落出身らしき狗狼人とか、鱗のある蜥蜴人とかを見かけ、嗅ぎ分けられるようになった。
それからほかにも。ケナシザルの亜種色々。小柄だががちむちで金属をやたら持ち歩く小人族、もっと小さくて華奢ですばしっこく陽気な半丈族。
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posted at 23:14:08
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半丈族は、普通のケナシザルの子供と外見はまったく変わらないが、匂いが違うし、大人ならふるまいも違う。笑ってはしゃぐのが好きなのは同じ。
そういう違いをどこで知ったかと言うと、酒場だ。
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posted at 23:15:36
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いやおじさんは酒場とか特に興味なかったんだが、よその群落出身の狗狼人が声をかけてきたのだ。
「お前。人間の領域は初めてか?力抜けよ」
なまりがきつかったが、まあいいや。向こうは故郷の仲間にでも会った気でいるようだった。
「うが」
「そのなりじゃ、ろくに物も教わらずに来たな」
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posted at 23:17:36
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その狗狼人は、種族としては相当に小柄で、ケナシザルに近い風貌をしていたから、恐らく混血が進んでる群落の出なのだろう。
でも背丈は七尺近い。ケナシザルの基準からすればとんでもない長躯だ。
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posted at 23:26:21
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もっともギドリの生まれ育った群落の基準からするとちびなんだけど。
青天井の酒場の片隅に行くと、よその狗狼人は合図する。
「座れよ」
「うが!」
ぺたんと地べたに腰をおろすおじさんに、相手は犬歯を覗かせて笑い、椅子をちらりと見やってから、腰巻が汚れるのを厭わず同じようにする。
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posted at 23:32:51
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「おい!生肉をたっぷりくれ!あとは酒だ!」
毛むくじゃらの護衛は、ケナシザルの辺境方言で給仕を呼ばわってから、ちびの同族を振り返る。
「人間風がいいか?」
「たらふく食えりゃいい」
「だな」
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posted at 23:34:50
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耳を左右交互にぱたぱたさせるおじさんに、また骨を噛み砕きながら、隊商の護衛はおかしそうに犬歯を覗かせせる。
「おい。そっちは年上の匂いだが、江湖じゃ俺の方が長い。ざっくばらんにいかせてもらうぜ」
「うが…?」
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posted at 23:39:56
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国籍のわからない人間を日本人と確定させるシーンをどう描くかってたまに考えるんだけど、米を踏ませる、桃太郎の話をさせるなどと並んで、蛍の光およびラジオ体操の曲をかけるというのはあると思っている。体操はサクラが横で始めるとなおいい。(被疑者がどんなに我慢してもつられて少しは動きそう)
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posted at 23:41:29
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狗狼人の言葉で吠えるようにまくしたてる。
「まずその恰好を変えろ。ケナシザ…人間どもは毛並みを見る目もなきゃ鼻も悪い。耳も聞こえないも同然だ。あのみっともない肌ですぐ凍える。だから布切れ。服を着る。人間にとっちゃ服がすべてだ」
「うが?」
「服でやつらの群の上下が決まる」
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posted at 23:42:09
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「めんどくせえ」
「人間の領域じゃそれが一番だ。それから。その噛んだり転がしたりしてるお宝を布きれにしまえ」
いつの間にかギドリの気に入りの玩具になっていた紫真珠を、男は長い鼻先で示した。
「うが?」
「どこの迷宮の財宝かしらんが、そんなもんを見せびらかしてると」
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posted at 23:44:36
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先輩を任じる狗狼人は、得意げに蘊蓄を披露した。目の前にいるちびの同族が裏表のないありていに言うと阿呆だと知れて、ひさしぶりに胸襟を解いて話す飲み仲間を見出したというところらしい。
「いいか。俺達とケナシザルは、英雄のとりきめによって互いを襲わないことになってる」
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posted at 23:48:14
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「うが」
「それも知らんのか。本当に見た目通りガキか?人間どもと"暗い匂い"が戦ったとき、俺達ははじめ"暗い匂い"の側についた。だが最後の最後になって、寝返ったやつがいる。そいつが"英雄の猟犬"と呼ばれてる」
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posted at 23:50:57
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「うが!しってるぞ!おふくろ!」
「違う。大昔の話だ。猟犬が案内したおかげで、英雄は"暗い匂い"の源にたどりつき、戦いに勝てた。それ以来、俺達は人間の側ってことだ」
「うが…?」
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posted at 23:52:48
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「言い伝えじゃ、猟犬の跡を継いだ番(つがい)がいて、そいつらの跡を継いだまた別の番がいて、今でも曠野を見張ってる。"暗い匂い"をあがめてたやつらが何かしでかさないようにな。猟犬の番は、俺達の中でも一番強い牙と爪を持ち、どっちが死ねばもう片方も死ぬぐらい息の合った雄雌だとよ」
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posted at 23:55:39
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「"暗い匂い"をあがめてたやつらからすれば、裏切りもんだろうが、猟犬もその跡継ぎの番も全部、英雄を群の仲間だと思ってて、"暗い匂い"を死ぬ程憎みぬいて絶対に認めない。猟犬が曠野の見張りを続けてるから、人間も俺達に手を出さない…まあそんな話さ。親から教わらなかったのか?」
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posted at 23:59:02