blueday(@blueday)/2012年01月/Page 4

12年1月21日

岩波文庫の重版は妙なものをばんばん出してくるので結構貴重。だけれども、最近のは昔の本をスキャンして版を起してゐるらしく、版面が異樣に汚い。

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posted at 04:13:19

12年1月21日

昔は紙型をとつて保存しておかないと重版がかけられなかつたのですが、今はファクシミリで複製できるので樂になつたのだとか。

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posted at 04:12:00

12年1月21日

一往基礎知識ですが、岩波文庫では基本的に絶版と云ふのは無いさうです。全て「品切」扱ひで、何かあれば重版がかけられる。

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posted at 04:10:13

Permalink - 2012年01月21日

2012年01月20日(金)

「大人の態度」は嫌らしいものである筈で、だから嫌らしい態度をとつてゐる政治家をみんな散々非難してゐるのだが、その割に平氣で「大人になれ」「大人になれ」と連呼してゐるのだから、人を貶す口實のある事がみんな大事なのである。

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posted at 21:33:15

名賀月晃嗣 (あっきー) @acy

「大人になれ」といふ人の態度が全然立派に思へないことが多い件

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最後に「大人になれ」「子供の喧嘩」。

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posted at 21:29:02

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狙つて他人に濡れ衣を着せる人は、濡れ衣を着せられた側が幾ら反論しても「犯罪者が何を言うか！」と云ふ「論理」で反論封じを行ふから、本當にたちが惡い。

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posted at 21:27:06

對話を拒否する名目としては實に便利な文句であるが、「厨二病」以外にも「信者」等々昨今は便利な文句が盛に發明されてゐる。宣傳の時代とは本當に嫌な時代だと思ふ。

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posted at 21:25:45

「厨二病」とか言つて他人を嘲る人間が本當にたちが惡いのは、「俺様こそが本当に頭の良い人間なのだ」と信じ切つてゐて、一切の批判を受附けないところ。特に「厨二病患者」と極附けた對象の人間から反論が來ても「これが厨二病」と言ふ事で切捨ててしまふ。

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posted at 21:24:49

日本人は、自己なる觀念の存在しないところに、後から入つてきた自己・個性の發想を受容れる作業を續けてゐる。ヨーロッパ人は、自己なる觀念を確立し、餘りに孤立し・獨善化した自己・個性の發想を反省する作業を續けてゐる。

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posted at 19:47:52

完全な善が絶對者としての神にしかあり得ず、人間の性質は善惡の對立・葛藤である、と云ふのがキリスト教的な價値觀で、斯うした價値觀は日本人には無い。

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posted at 19:44:31

「人間は善人であり得る」或は「人間は全員惡人であるが、どんなに惡い人間でも慈悲深い佛樣が救つてくれる」と云ふ發想の定着した社會では、自分の内部での善惡の對立・抗爭が生じない。すると、道徳の主體としての自己と云ふ觀念は發達し得ない。

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posted at 19:43:04

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完全に正氣の人間が途轍もない惡行を意識的にやらかして、それを正氣だから「非常に惡い事である」と意識してをり、にもかかはらず惡行を續けながら、しかし激しく自分を責め續ける、なんてドラマティックな作品が、日本では滅多に出て來ない。もつと簡單な「悪い奴」しか出て來ない。

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posted at 01:22:15

日本には、惡人が正氣だとまづい、みたいな空氣がある。

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posted at 01:18:54

だから日本の文藝作品には本當の惡人が登場しない。

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posted at 01:16:11

「惡い事をした」と云ふはつきりした自覺から自分を責め立てる惡人が出て來る文藝作品なんて、日本人の作つたもので見た事がない。

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posted at 01:15:26

日本のラノベやアニメに出て來る惡人は、皆が皆、喜んで惡事を働いて、心から悔いるなんて事はしない。どれもこれも頭がをかしい惡人許りで、話をすれば惡の論理を演説するだけだし、最後は氣狂ひらしく自殺するだけ。苦惱するのは自分のアイデンティティくらゐ。

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posted at 01:14:32

今の日本の文學で、斯うした道徳的な人間を描いた作品がどれだけあるだらうか……。

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posted at 01:07:57

惡事をなすのが習慣のやうになつてゐる非道い奴が、惡事を心から悔いる事も知つてゐる、と云ふのを、日本人はなかなか解らない。けれども、さう云ふ態度が一種の宗教的な態度であり、道徳的な態度である事を、例へばグレアム・グリーンは知つてゐた。だからグリーンは『ブライトン・ロック』を書いた。

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posted at 01:06:57

自發的に惡い事とされる行爲をやらかして、後になつて自發的にそれを心から反省した――それもまた善事である、と云ふ事は、案外日本人には解り辛い。が、それが道徳的には大變な意味を持つ、と云ふ事は、ドストエフスキーは解つてゐた。だから『罪と罰』と云ふ小説を書いた。

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posted at 01:04:55

他人に強制されてやりたくもない「良い事」をやらされたとしたら、その行爲は善行と呼べない。

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posted at 01:02:42

徳目に書かれた「良い事」をしても、それだけでは道徳的な意味を持たない場合がある。徳目に書かれた「良い事」に反する事をやらかしても、道徳的に意味がある、と云ふ事がある。

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posted at 01:01:56

「良いとされてゐる事をする」と「善行をなす」のともまた違ふ。

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posted at 01:00:15

「犯罪をやらかす」と「惡事をなす」とはイコールでないが、日本人は案外この事からして理解しない。しようとしない。

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posted at 00:59:25

ところで吾々日本人は、「善行」「僞善」と云ふ言葉を實に曖昧に用ゐてゐるのだ。

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posted at 00:57:57

やるなら善行をし玉へ

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posted at 00:57:04

やる僞善よりやらない僞善

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posted at 00:56:45

Permalink - 2012年01月20日

2012年01月17日(火)

Minero Aoki @mineroaoki

忍人は1を越えることもままあるというご指摘を受けたため、「忍人が大きいほど過酷」と訂正いたします。

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posted at 13:25:40

Minero Aoki @mineroaoki

忍月（にんげつ）：人月に代わる新しい単位。どれだけの期間、非人間的な作業に耐え忍ぶかによって算出される。忍人（にんにん。忍月÷人月）が1に近いほどブラックであり、覚悟が求められる。

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posted at 13:23:26

實際いい文學作品を讀まうとするなら、SFの山を漁るのは極めて效率が惡い。SFを讀むならSF的な樂しみ方で滿足するのがベター。

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posted at 05:50:35

大學時代に隨分熱心にSF批評を構想して、SFは世界を尤もらしく構築する事を目的とするから、人物を正しく描寫する文學としては何うしても上等のものが出て來ない、とまで考へて、結局SFを讀まなくなつた、と云ふ事がある。

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posted at 05:48:34

よく出來たミステリは御芝居に仕立てると成功するものらしくて、クリスティに戲曲があります。

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posted at 05:43:57

もつともチェスタトンのブラウン神父のやうなミステリも、少數ながら存在する事。

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posted at 05:42:07

ミステリは「誰が殺したか」「どんな風に殺したか」が肝になるので、「人物の心理」は描かれてゐても風味を附けてゐるに過ぎないから、過大評價はしない事。食事で言へば、フーダニットが白米で、心理描寫はふりかけ。

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posted at 05:41:16

ミステリは「文章で書かれたパズル」なので、パズルを解く暇潰しがあり得るやうに、ミステリを讀む暇潰しもあり得ると言へます。ただ、パズルはパズルでしかないのであつて、それ以上の何かのやうに思ひ込むのは誤。

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posted at 05:39:05

「嘘を書く」にしても「許されない嘘」と云ふ物があるわけで、一線を越えてしまつたら本當に駄目なのだけれども、日本の讀者は海外の讀者にも増して「嘘」に寛容。非常に問題がある。

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posted at 05:37:17

SFの書き手には不正直な書き方をする人が澤山ゐる一方、いんちきな書き手を笑ひながら笑ふために喜んで讀む不健全な讀み手も澤山ゐて、馴れ合ひになつてゐるとすら言へる。

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posted at 05:36:04

ウェブなんかではこの手の出たら目な書き手は最う何處にでも轉がつてゐる。

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posted at 05:33:00

大岡にしても大江にしても、道徳的・文學的な不正直と云ふ大問題のある作家で、非難されねばならないのであるが、「美のため」「政治目的のため」と云ふ言ひわけをしながら不正直な事をやらかすのは文學の作家に限らない、「WiLL」や「正論」の書き手に極めて屡々見られる。

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posted at 05:32:18

大岡のは、逃げてゐる最中、米兵に見附かりさうになつて、藪か何かの中に隱れてゐるところだつたのだから、「美」ゆゑに撃たなかつたのではあり得ない、撃つたら居所が知られるから撃たなかつたに違ひない、と松原正氏が指摘してゐる。

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posted at 05:29:45

オーウェルは敵の兵隊が慌ててズボンを履きながら(慥か片足つつこんで)走つて行つたのを見て、さすがにあれは自分と同じ人間にしか見えなかつたから撃てなかつたと書いてゐる。これはあり得る話であり嘘つぽくないから文學的に正しい。

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posted at 05:28:03

大岡は敵の兵隊を美しかつたから撃たなかつたと書いてゐるのだが、そんな理由で撃たない兵隊は現實にあり得ない。

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posted at 05:27:16

オーウェル「カタロニア讚歌」と大岡昇平「野火」では、敵の兵隊の描寫が全く對照的であるので、讀み比べて見ると、非常に參考になる。、オーウェルは文學者として正しい描き方をしてゐるが、大岡は間違つた描き方をしてゐる。

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posted at 05:25:05

最う一つ、道徳の問題に無頓着であるために、人間の葛藤或は人間の精神の動きをありのままに描くと云ふ文學の鐵則を忘れて、作者の觀念の爲に人物を利用する作家、登場人物を生きてゐない人間＝操り人形にしてしまふミスをやらかす作家がゐる。

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posted at 05:22:09

大江は息子を賣文業と云ふ自分の商賣に利用して威張つてゐるひどい作家だが、斯う云ふのはとてもわかりやすい。

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posted at 05:20:12

政治の問題にかかはるのに熱心である一方、道徳の問題には甚だ關心が薄い――結果として、政治目的の爲に道徳的な惡事を平然とやらかしてみせてしまふ文學者は非常に多い。日本では大江健三郎が代表格。歐米にも澤山ゐる。

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posted at 05:18:39

道徳上の惡事の問題について、政治的な解決の仕方をしれつと提案して見せてしまふ政治主義的な文學者も存在する。もちろん、日本だけの問題ではないのだけれども、日本人にはその邊のいんちきがまるで目に入らないといつた事が往々にしてあるから注意を促したいわけだ。

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posted at 05:14:17

政治的な「惡い」事に對して、日本人が屡々恰も道徳的な惡事に對したかのやうな非難の浴びせ方をする事。

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posted at 05:12:29

ウェブでも何處でも人は「惡い」事に興味を持つて怒つたり何なりしがちだが、日本人の「惡い」事に對する感覺は甚だ曖昧な「惡い」の觀念に依存してゐる事に氣をつけなければならない。どんな意味で「惡い」のかは、一々反省しないと危ない。

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posted at 05:11:10

「惡い」と云ふ日本語の言ひ方が極めて曖昧である事は、注意が必要。

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posted at 05:09:10

正義については、「良い」と言ふし「正しい」とも言ふ。その反對は「惡い」。「正しくない」はまたまた「惡い」になつてしまふ。

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posted at 05:08:50

「良い」と「善い」とは文字の上で區別がある。これに對して「惡い」と云ふ言葉には、ニュアンス・意義の上で異る場合があるにもかかはらず區別がない。日本人が惡の觀念について甚だ鈍感であるゆゑんである。

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posted at 05:07:34

政治の領域における價値觀を正義と呼び、「良い・惡い」で表現するのに對して、道徳の領域における價値觀を善惡と呼んで「善い・惡い」で表現する。

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posted at 05:06:26

政治における物事の良い・惡いの觀念は、正義と呼ばれる。

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posted at 05:04:55

けれども、個人の問題にかかはる道徳の問題は、個人が生延びてゐる事が前提條件となる。人が生延びる事にかかはるのは政治だから、政治もまた必要な事であるし、大雜把で亂暴であつてもそれが人間の營爲である限りそこには物事の良い・惡いの觀念が關與してゐなければならない。

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posted at 05:04:34

右翼でも左翼でも、政治主義的であるならば、物事の扱が極度に粗雜であり、人間味を缺き、非道く形式的・權威主義的……官僚的な處理の仕方を好んでしてしまふ。スローガンの類で人の集團を動かさうとするイデオロギー的な態度は、政治主義的と呼ばれるべきであり、非難される必要がある……

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posted at 05:02:24

個人の精神にかかはる領域、個人の生き方に關する問題については、亂暴に扱つてはならない。ところがそれを、例へば「内閣告示」のやうな紙切れ一枚で簡單に處理してしまはうとするし、それで結構だと決めてかかる――さう云ふ亂暴な人を、政治主義的人間と呼んで、俺は非難するわけだ。

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posted at 04:58:56

そのやうな、亂暴なやり方「でなければならない」とするから、政治「主義者」である……

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posted at 04:56:05

人間的な問題にならざるを得ない場面で、大雜把に・人間味のないやり方でやつつける亂暴なやり方をする人がゐる。さう云ふ人が政治主義的な人であるわけだ。

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posted at 04:55:28

道徳の問題は人間的な問題であり非常に微妙な問題にならざるを得ないのだが、微妙なところは全てばつさりやつて人間味ぬきで大雜把にやつつけるのが政治の問題の處理方法である、と云ふ事になる。

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posted at 04:54:23

政治の問題だとその種の葛藤はあり得ない。道徳に於いては常にさうした葛藤があるものと看做される。

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posted at 04:52:43

政治だと斯うした個人内部の問題(道徳の問題)は全て閑却されて、大雜把に集團・組織の問題のみが取扱の對象となる。

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posted at 04:51:44

――徳目の絶對的な命令と、必ずしも命令に從へたものではない人間の間に葛藤が生ずる事は、最初から豫想されてゐる、その葛藤の問題が道徳の問題であると俺なんかは發想する。

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posted at 04:49:58

恐らく一般の人は道徳と言ふと「何々しなさい」と云ふ命令を意味すると思つてゐる。けれどもそれは徳目と言つて道徳的な命令であつて道徳そのものではない――

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posted at 04:48:06

ところでこの道徳なる用語が、これまた野嵜の觀念と一般の人のそれとではずれがあるのである。

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posted at 04:46:33

個人の生にかかはるのだから道徳の方が政治なんかより餘つ程大切で――この時間だから放言するけれども、極論すれば――人間が道徳的に生きる爲にのみ政治は存在する。

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posted at 04:45:59

日本人の問題は、「政治」と言ふと「難しい」と云ふ感想を持つ一方で「とても大事」と言つて眉間に皺を寄せて眞劍さうな顔をする事。「道徳」となると殆どの人が胡散臭さうな顏をする。

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posted at 04:44:47

文學(道徳・宗教……)と政治の嚴然たる區別を前提として、文學にかかはる事を輕視し、それらにかかはる問題であつても政治的に解決してしまはうとする亂暴な態度をとる人を、非難して、政治主義者と呼ぶわけだが、これがマイナスの評價である事を字面を見ただけの多くの人が恐らく理解しないと思ふ。

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posted at 04:40:10

文學(道徳・宗教)と政治の嚴然たる區別、と云ふのが福田恆存・松原正或はT.S.エリオットにあるわけだが、それを俺も踏襲するわけだ。

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posted at 04:38:15

政治と對立する概念としての文學、と云ふ考へ方は、福田恆存にもあるし、T.S.エリオットにもあるものだから、決して根據のないものではないのだけれども、「一般的でない」と云ふただそれだけの理由で、内容の檢討もされないまま却下される事が多い。

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posted at 04:36:27