麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年02月11日(金)
貴志祐介「ダークゾーン」読了。将棋のプロを目指す大学生の塚田が目覚めると奇妙なゲームに参加させられていた。赤と青の二つの軍に分かれて戦うそのゲームの名は「ダークゾーン」。そして、その「ダークゾーン」での自分の役割はどうやら赤の王将らしい。内なる声が塚田に命じる。戦え。戦い続けろ。
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posted at 14:24:00
いきなりよく分からないままゲームが始まるその展開に最初は戸惑うかもしれないが、そこは心配無用。気付けば複雑なルールであるにも関わらず自然と把握できるようになっている点はさすが貴志祐介といったところだろう。
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posted at 14:25:22
一番の見所は何と言っても刻々と戦況が変化するゲームの勝敗の行方だが一方で何故このようなゲームをやることになったのかその経緯に迫る現実パートも見逃せない。しかしながらこの結末は賛否が分かれる所だろう。ただ個人的には物語が閉じることなくいつまでも余韻が残るこの終わり方はアリだと思う。
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posted at 14:27:35
小川勝己「ロマンティスト狂い咲き」読了。冷え切った妻との関係、アルバイトで糊口を凌ぐ毎日に嫌気がさしていた売れない作家のおれにある日、密かに思いを寄せていた担当編集者の裕子が囁きかける。「知ってました――あなたの気持ち」
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posted at 18:05:41
内容紹介を見ると「欲望と犯罪に溺れる男女を描いた純愛小説」とあるが、それは本作のほんの一面に過ぎない。例えば本作の主人公である「おれ」は半分以上作者がモデルと思われるが、その「おれ」の鬱屈した日常が語られる第一部は私小説的な趣があり、読んでいて何とも複雑な気分になってくる。
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posted at 18:06:43
続く裕子から夫の殺害計画を持ち掛けられる第二部からは一転、倒叙ミステリのような雰囲気に。第三部では遂に事件が発覚し警察が捜査に乗り出してくるのだが、そこで作者は「彼岸の奴隷」のあのキャラを登場させるというファンにとっては嬉しいサプライズを用意してくれる。
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posted at 18:08:04
そして最も作者らしさが感じられるのは最後の第四部だろう。個人的には「純愛小説」としての要素を見出だすと同時にどことなく「眩暈を愛して夢を見よ」を彷彿させるなあ……と思っていたら主人公が「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」について語り出したので思わずニヤリとしてしまったw
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posted at 18:09:26
小川勝己「狗」読了。悪女をテーマにした連作集である本作は内容紹介を見ると「狂気と愛憎の狭間で揺れ動く人間模様をえぐり出した(中略)現代悪女列伝」とあるがどちらかと言うとブラックユーモア色の強い内容になっている。但し収録作五編のうち「夢の報酬」だけは内容紹介通りと言っていいだろう。
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posted at 21:17:30
作者のバンド経験が色濃く反映されたこの作品はロック好きには勿論のこと、ミステリ的にも意外な動機という点でお勧めしたい秀作である。他にも「You裡」に出てくる「ベイビーキッス」という店名に思わずニヤリ。決して万人向けとは言えないが、個人的にはこういう毒に満ちた作品は大好きですw
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posted at 21:18:33