麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年06月23日(木)
湯川薫「百人一首 一千年の冥宮」読了。ニューヨークに住む隼と真紀の許に届いた不気味な封書。中には百人一首の歌が血書されたタロットカードが入っていた。それから数ヶ月に渡り五通の封書が届いた後完全密室と化した部屋の中で隼の弟分・次郎が謎の言葉を残して死亡、真紀もまた姿を消してしまう。
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posted at 01:54:05
あらすじで完全密室を謳っているものの、正直この真相は噴飯物と言っていいだろう。仮にこれを成立させるならもっと徹底的に下地を作らなければいけないところを作者は突貫工事で済ませてしまっている為、その有り得なさにもはや脱力するしかない。
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posted at 01:55:25
ただ本作を読む限りミステリ部分はオマケに過ぎないのだろうなという気もする。作者が書きたかったのは百人一首と絡めたネタの方であってミステリ部分はそれを盛り上げる為の装飾に過ぎない。でもそれだったら最初からミステリとして書くなよと思ってしまうあたりが本作のダメミスたる所以なのだろう。
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posted at 01:56:51
篠田秀幸「蝶たちの迷宮」再読了。密室状態の部屋から突如聞こえた女の悲鳴。だが鍵を開けて中へ入ると、そこには女の姿はなく首に白い紐が巻かれた男の死体が転がっていた。一方、その六週間前には同人誌に『蝶』という短編小説を寄稿した少年が不可解な死を遂げていた。果たして、両者の関連は?
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posted at 18:52:40
本作は「匣の中の失楽」や「虚無への供物」を意識しているだけあって作者の気迫がひしひしと感じられるが、逆に言えば「それだけ」しかない作品。終盤に至っては作者がこれでもかと傍点を振る度に読者の方はどんどん萎えていく。作者の狙いが壮絶なまでに空回りしている典型例と言っていいだろう。
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posted at 18:53:27
あとがきによると推薦者の竹本健治からは「本作品は破綻しているからこそ最大の価値がある」との賛辞を頂戴したとのことだが、それは失敗作に対する竹本健治なりの慰めなんじゃなかろうかと思ってしまうのは多分自分だけではないだろう。個人的には奇書とは狙って書くものではないと思う。
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posted at 18:56:01