麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年10月28日(金)
島田荘司「ゴーグル男の怪」読了。「そいつ、両面の皮膚が溶けたように真っ赤なんですよ……」煙草屋の老婆が殺された濃霧の夜に目撃された、ゴーグルで顔を隠した奇妙な男。警察は男の行方を追うが、杳として足取りは掴めない。そんな中、遂に白昼堂々、ゴーグル男が姿を現す――。
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posted at 15:33:44
これまでにも挿話に力を入れすぎて盛り上げるはずの謎を食ってしまっている例は何度かあったが、本作もまたその例の一つと言えるだろう。今回作者は謎を効果的に演出するために原発事故を挿話に持ってきているのだが、作者が原発事故について熱く語れば語る程、真相の小粒さが際立ってしまっている。
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posted at 15:34:34
本作を読んで自分が真っ先に思い出したのは国内作家Tの某短編だったが、その某短編に比べると本作は演出のバランスが上手くいっていない印象を受ける。個人的には長編化せず、短編のままで終わらせておいた方が良かったような気がする。
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posted at 15:36:16
道尾秀介「水の柩」読了。五十数年前、湖の底に消えた村。少年が知らない少女の決意と家族の秘密――道尾秀介の新作は嘘をテーマにした物語……というと個人的に思い出すのは北國浩二「嘘」だがあちらがミステリという形式を利用した作品だったのに対し本作は徹頭徹尾、非ミステリな内容となっている。
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posted at 20:48:50
とはいえ本作には一時期の非ミステリ道尾作品に見られた物足りなさはない。以前の自分は「トリックのない道尾作品は炭酸の抜けたコーラのようなもの」と思っていたけれど、本作に関してはトリックがなくてもきちんと人間ドラマが成立しており、明らかに作者の成長が感じられる。
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posted at 20:49:36
ただミステリ読みの自分としては、あえてそこにトリックを盛り込んだらどうなるのか、その先が見てみたいと思う。今、それをやってみたら結構凄いものができるのではないかと思うのだけど……「龍神の雨」以降そっち系はご無沙汰なだけに、色々期待せずにはいられない。
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posted at 20:51:13