麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2011年11月17日(木)
倉田悠子「黒猫館」読了。推理作家・鹿谷門実に会いたいと手紙を送ってきた老人は記憶を失っていた。自分が何者なのか調べてほしい――そう鹿谷に訴えた老人は手掛かりとして一冊の手記を差し出す。そこに綴られていたのは「黒猫館」という館で起こった殺人事件の顛末。果たしてこれは創作か、事実か?
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posted at 01:32:52
……という嘘あらすじはさておき(爆)とりあえず本作の舞台もまた黒猫館であることに変わりない。但し本作の場合、黒猫館で起こるのは殺人事件ではなく、夜毎に繰り返される官能の宴である。昭和十六年――戦火間近いその混乱の時代に法外な給料に釣られて信州の山奥にある「黒猫館」を訪れた主人公。
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posted at 01:33:14
そこで彼を待っていたのは美貌の女主人を始めとした三人の女たちとのめくるめく快楽の日々。しかしながら本作はただのエロスでは終わらない、ゴシック小説にも通じる退廃的な美しさに彩られている。個人的には読み終わるのが惜しいとすら思うくらい、甘美なる魅力を秘めた作品である。
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水野泰治「密室殺人講座」読了。地下室に造られた人工的な「孤島」で開催されたミステリー講座。参加者は講師である推理作家の他に懇意にしている編集長や若い教え子など七人。密室状態となった地下の扉が再び開かれるのは72時間後だったが、その初日の夜に推理作家が無惨な死体となって発見される。
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posted at 20:41:00
かつて綾辻行人は登場人物に本格の理想を語らせていたが本作もまた登場人物にこんなことを言わせている。「小説全体がパズルなんです。(中略)最後の章になって、なんと大逆転で、読者がアッとおどろき、感服する結末になれば、この謎かけは作者の勝ちですよ」本作はそれを見事に体現した作品である。
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posted at 20:43:18
もともと最後の大逆転に拘った作品ばかり書いてきた作者だが、その試みは本作が最も成功しているように思う。ネタバレになるので具体的なことは言えないが、終盤に至り、これで事件が終わったと思ったら、実はそこからが本番だったという何とも捻くれた構成なのだ。
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posted at 20:44:11
しかも、そのヒントは作中にぬけぬけと示されており、その大胆さには感嘆せざるを得ない。梶龍雄の後期の作品同様、本作もまた新本格の香りが濃厚な、稚気と企みに満ちた作品である。
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posted at 20:45:15