麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2016年10月01日(土)
白井智之「おやすみ人面瘡」読了。全身に脳瘤と呼ばれる顔が現れる人瘤病が蔓延した日本で起きた殺人事件。墓地の管理施設で人瘤病患者の顔が潰され、地下室で少女が全身を殴打され殺されたのだ。更に事件の真相を見抜いた男が不慮の事故で死んだかと思いきや男の体にある顔たちが推理を語り始め……。
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posted at 15:49:33
傑作にして怪作。元々この作者の特殊設定はミステリ的仕掛けを成立させるためのものであり、故に前作までは時折その設定が物語から浮いているように感じられたものだが、本作に関しては物語と設定の融合にだいぶ力が入れられていて、そういった違和感をほとんど覚えないのは好印象。
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posted at 15:50:06
その物語は一言でいえばTHE平山夢明的変態ホラーでありミステリらしい事件が起きるのはかなり後になってからであるにも拘わらず、その間一切退屈しないのが素晴らしい。そして人面瘡による(!)多重推理というトンデモ趣向の後に待ち受ける門前典之「屍の命題」級のバカトリックの連打は爆笑必至。
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posted at 15:50:36
そのうちの一つは作者が同人誌で発表した某作を彷彿とさせるものの、どれもこの特殊設定だからこそできる気が狂った(誉め言葉)仕掛けでバカミス好きのハートをがっちり掴んでくれる。しかも作者はそれだけに留まらず、エピローグでウルトラC級の離れ業まで見せてくれるのだから堪らない。
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posted at 15:53:18
そしてトドメの大胆な伏線と共に明かされる、あの真相……本作はエログロナンセンスな世界観でバカトリックと緻密な離れ業が展開する、奇跡的バランスで成立した作者の最高傑作である。
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posted at 15:54:12