麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2017年04月22日(土)
風見潤「天草四郎幽霊事件」読了。茶道の家元・醍醐玲子は弟子である須山亜美の実家で密室殺人に遭遇した。事件が起きる少し前から現場周辺に現れた天草四郎の生まれ変わりを名乗る美青年と書き残される不可解な文字は何を意味するのか? 名探偵・水谷麻衣子の推理が冴える。
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posted at 08:37:18
幽霊事件シリーズの一作。密室殺人といっても鍵のかかった密室ではなく視線の密室――所謂準密室の方だが、トリックに関しては伏線があからさまなのである程度ミステリを読み慣れている人ならすぐに読めてしまうだろう。
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posted at 08:37:33
むしろトリックよりも犯人の正体に工夫が凝らされている作品だが、トリックの解明が即犯人に結び付いているせいでせっかくの意外性が半減してしまっているのが難か。一方、シリーズ読者にとっては事件の合間に語られる、後の京都探偵局シリーズに繋がるエピソードが見逃せない作品である。
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posted at 08:38:07
獅子宮敏彦「上海殺人人形(ドール)」読了。1920年代の上海で続発する不可能犯罪。『赤死病の仮面』に擬えた仮面舞踏会で起きた密室の人間消失、衆人環視の寝室から風のように消えた犯人、遺留品の多すぎる犯行現場……だがそれが解かれても真犯人・上海デスドールをとらえることはできない――。
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posted at 15:54:16
不可能犯罪に拘る謎の殺し屋・上海デスドールが起こす事件の数々を推理力以外ぱっとしない新聞記者の早瀬が解き明かす、全五話構成の連作ミステリ。扱う事件の性質上ハウダニット物がほとんどだろうと思っていると不意に思いもよらぬ依頼人探しのフーダニットであっと言わせてくれるので油断ならない。
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posted at 15:54:56
だが何といっても一番の見所は最終話における連作を活かしたフーダニットで、何気ない場面とあるミステリ的趣向を結び付けた発想もさることながら、そこから浮き彫りになる探偵と犯人の関係性が実に秀逸。加えて歴史ロマンの要素がより一層、それを劇的なものとして演出している点もいい。
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posted at 15:55:28
その他、バカトリック炸裂の第一話や犯人視点で描かれるミッションインポッシブル的展開の第四話から窺える作者らしさも○。本作は物語とミステリ的仕掛けが絶妙に融合した秀作である。
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posted at 15:55:55