麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年11月16日(金)
石井敏弘「龍王伝説殺人事件」読了。四人の人間が同時刻、遠く離れた龍王という名前のついた場所で殺害された。ところが事件が起こることを竜王村の伝承が予言していたばかりか更に四人が殺されることを暗示していた。この伝承の意味と不可能犯罪の謎に隻眼の私立探偵・南虎次郎が挑む。
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posted at 00:13:03
本作は同時四重殺という不可能犯罪に産業廃棄物問題という社会派要素、それに龍王伝説という伝奇要素を絡めている点だけでも充分意欲作と言えるが、更に探偵役として元バイクレーサーの隻眼の私立探偵を起用し、ハードボイルド的展開まで盛り込んだ至れり尽くせりな内容となっている。
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posted at 00:13:52
そしてその探偵の捜査で興味深いのは殺害状況の検証よりもひたすら事件関係者たちの人間関係を探ることをメインにしている点であり、それが行く行くはトリックの解明においてかなり重要になってくるところが面白い。
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posted at 00:14:07
加えて登場人物の設定もよく練られており、それによりトリックの解明=犯人の特定に繋がるシンプルな構造と犯人の意外性を両立させている点も○。様々な要素を盛り込みつつも、巧くバランスをとった良作と言っていいだろう。
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posted at 00:14:21
本岡類「「不要」の刻印」読了。DIY店「パレット・ホームセンター」の社長・斎藤晴彦の一人息子が誘拐され、偶然身代金の受け渡し場所に居合わせた将棋棋士・水無瀬翔五段は奨励会時代の後輩・安野好平と共に誘拐の嫌疑をかけられてしまう。更に安野が奇怪な殺人事件の犯人として逮捕されてしまい――。
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posted at 18:54:36
棋士探偵・水無瀬翔シリーズの長編四作目。作者は本作について「自信作です。もし不安があるとすれば、この先、私がこれを上回る本格推理を書けるかどうかという一点だけです」と語るほどかなりの手応えを感じているようだが、確かに読んでみると作者の言葉にも納得がいく会心の作に仕上がっている。
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posted at 18:55:11
ミステリとしてみると被害者が上から降ってきたチェストに潰されるという奇妙な殺人事件にも興味を惹かれるかもしれないが、それ以上に出来がいいのは何と言っても誘拐事件の構図だろう。似た前例はあるが、それを巧くアレンジして作者なりのオリジナリティを出すことに成功している。
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posted at 18:55:36
加えて誘拐事件の真相を知った後に読み返してみると、ある場面が初読の時とは全く違った意味になる点も実に秀逸。個人的には殺人事件のトリックについてはあまり感銘を受けなかったが、この誘拐の構図だけでも充分秀作と言っていいだろう。
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posted at 18:56:18