麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2019年01月17日(木)
風見潤「時の追跡者」読了。未来人による熱線銃を使った殺人「時の重み」、源平合戦の裏に隠されたある企み「呪われた都より」、江戸時代の奇妙な幽霊騒動と連続殺人「いろは殺し」……時間犯罪者を追って様々な時代を股に掛けるタイム・パトロールJ・Jこと神宮城太郎の活躍を描く三編を収録。
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posted at 01:04:53
タイム・パトロールJ・Jシリーズの一作目にあたる連作SFミステリ。本作に収録された三編はいずれも作者がかつて同人誌に発表した短編が原型となっており(ちなみに「時の重み」は作者が初めて書いた小説とのこと)、そういう意味では作者の処女作と言っていいかもしれない。
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posted at 01:05:05
ベストはやはり「時の重み」で、なぜ犯人はあえて熱線銃を凶器に使ったのかというホワイダニットと二転三転する物語に織り込まれたタイトルの意味が秀逸。「呪われた都より」も設定的に気になるところはあるものの、ある有名な歴史上のエピソードを巧くSFとして活かしている。
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posted at 01:05:13
そして「いろは殺し」もまた有名な歴史上のエピソードに取り入れた某古典ミステリネタが魅力的だが、雑な解決と取って付けたような連作オチが残念。とはいえ「時の重み」と「呪われた都より」だけでも読む価値はあるだろう。
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posted at 01:05:23
風見潤「時の侵略者」読了。作家・神宮次郎として20世紀の日本で暮らすことになったJ・Jが知り合った美少女・朝倉かがりは謎の老婆に怯えていた。彼女が殺された時、J・Jは山形から北陸へ向かい、失踪した彼女の双子の姉の行方と事件の謎を追うことになる――。
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posted at 02:01:29
タイム・パトロールJ・Jシリーズの二作目。短編集だった前作に対し長編である本作は終盤までSFというより現実世界が舞台のトラベルミステリ(作者自身はあとがきでハードボイルド形式と言っているが)の趣が強く、前作と同じイメージで読もうとするとやや面食らうかもしれない。
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posted at 02:01:43
ただその試みが巧くいっているかと言われると微妙なところで、終盤になって唐突に出てくるSF要素が却って浮いてしまっているように思うし、最後のフーダニットに関しては意外性はある反面、その根拠となるものが今となってはどうしても隔世の感が否めないだろう。
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posted at 02:01:51
大谷羊太郎「邪魔な男」読了。横地邦生の婚約者・河内三枝子が一人旅に出た水上温泉で他殺体で発見された。邦生は三枝子の親友・桃谷順子と共に犯人探しを始める。やがて三枝子の数多い男性関係の中に一人の男が浮かび上がった。だが、その男には犯行時刻、東京の自宅にいたという鉄壁のアリバイが――。
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posted at 23:39:10
後に「真面目すぎた男」「生れ変った男」「濡衣を着る男」と続いていく「男」四部作(?)の第一弾。粗筋だけみるとよくあるアリバイ物のように見えるがさに非ず。物語が進むにつれアリバイ物は別の趣向に取って代わられ、様々な人間の思惑を絡ませながら次々と変貌を遂げていくプロットが実に楽しい。
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posted at 23:39:28
そして終盤に起こる殺人事件こそが本作一番の見せ所であり、それまでの展開があるからこそ引き立つ皮肉な愛の形が何とも忘れ難い印象を残す。いい意味で捉えどころのないプロットからの見事な着地が決まった良作と言っていいだろう。ちなみに光文社文庫の内容紹介が一部ネタバレしているので要注意。
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posted at 23:39:38