麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2019年02月11日(月)
エラリー・クイーン「犯罪コーポレーションの冒険」読了。〈犯罪コーポレーション〉として知られる犯罪グループの六人いる幹部の間で内紛が起こり、一人が銃弾に倒れ、一人が刺殺された。だが、残された幹部たちには全員アリバイがあった――表題作を含む、“聴取者への挑戦状”つき十一編を収録。
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posted at 09:55:35
クイーンのラジオドラマシナリオ集第三弾。収録作はいずれも謎を際立たせる演出に優れており、特に表題作は〈犯罪コーポレーション〉という魅力的な設定もさることながら、物語の中に仕組まれた煙幕が強烈で、意外な真相が鮮やかに決まっている。
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posted at 09:56:37
また「放火魔の冒険」もホワイダニットとフーダニットの絡ませ方が実に秀逸。もっとも収録作の中には当時の知識がないと解けないものや特殊な設定に無理があるものもなくはないが、全体的にみれば犯人当てに拘らなくても読み物として面白い作品集である。
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posted at 09:57:04
エラリー・クイーン「死せる案山子の冒険」読了。トウモロコシ畑で見付かった血を流す案山子の正体は、切り刻まれた瀕死の男だった。男は一命を取り留めるが目を離した隙に病院から姿を消してしまう。そして、それこそが奇怪な事件の幕開けだった……。表題作を含む“聴取者への挑戦状”つき七編を収録。
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posted at 20:58:43
クイーンのラジオドラマシナリオ集第二弾。前作「ナポレオンの剃刀の冒険」もクオリティの高い犯人当てが揃っていたが、本作はそれに輪をかけた出来であるのに加え、後半の三編に至ってはラジオドラマとは思えない豊潤な物語で読ませてくれる。
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posted at 20:58:59
その三編「忘れられた男たちの冒険」、表題作、そして「姿を消した少女の冒険」のうち、ベストは「姿を消した少女の冒険」で誘拐事件を扱った非情な物語がミスディレクションとして巧みに活かされると同時に残酷な真相を際立たせるのにも一役買っているという技巧の冴えには脱帽の一言に尽きる。
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posted at 20:59:11
なお解説によると某国産誘拐ミステリの傑作とほとんど同じプロットとのことだが、恥ずかしながら言われるまで全く気付かなかった。一方「忘れられた男たち~」は「姿を消した少女」とは正反対の社会的弱者に向けられた温かな眼差しが印象的な作品ながら物語に巧みに隠された伏線には思わず唸らされる。
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posted at 20:59:33
表題作はその二編に比べると手掛かりはあからさまながら謎の魅力と物語の密度の高さは収録作中随一であり、謎解きにおける何とも言えない虚無感が忘れ難い印象を残す。その他の収録作も凝りに凝った趣向が盛り込まれており、全体的に高水準のパズラー集である。
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posted at 20:59:44