麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2019年06月19日(水)
叶紙器「美しすぎる教育評論家の依頼 よろず請負業 さくら屋」読了。有名教育評論家の認知症を抱える母の世話防犯カメラに映る子供の万引き犯の保護、不気味な大声が響き渡る病院の祈祷……”よろず請負業さくら屋”を営んでいる多村安佐郎のもとに持ち込まれた三つの依頼に隠された真相とは?
タグ:
posted at 00:32:36
福山ミステリー文学新人賞受賞作家による全三話+αで構成された連作ミステリ。全体的に目につくのは情報の出し方の拙さであり、物語の中にさりげなく織り込むことなく延々とそれを書き出すかのような展開の仕方はもう少し何とかならなかったのだろうかと思わずにはいられない。
タグ:
posted at 00:32:55
加えて凝った真相にしようとすればするほど状況の不自然さが際立ってしまい読み終わっても釈然としないものが残るのが残念。最後に語られる主人公の過去にしても唐突かつ悪い意味で奇をてらいすぎており、コンパクトに纏めるくらいならもっと自然に見えるように頁数を割いてきっちり描いてほしかった。
タグ:
posted at 00:33:57
浅倉秋成「九度目の十八歳を迎えた君と」読了。通勤途中のホームで僕は高校の同級生の姿を目撃する。あの十八歳の時の姿の彼女を――。僕が卒業してからもずっと十八歳のまま高校に通っている彼女。何が彼女をその姿に止めているのか。彼女が年を取らなくなった原因を探るべく僕は高校時代を追想する。
タグ:
posted at 23:53:36
仄かなファンタジー設定が光る青春ミステリ。本作は所謂過ぎ去った青春ものに当たる作品だが、同時に本作ならではの不思議要素――昔片想いしていた彼女が十八歳のまま年を取らなくなったという謎を盛り込むことで、置き去りにされた青春ものというべき独自の物語を構築しているのが面白い。
タグ:
posted at 23:53:54
過ぎ去った時の中に一体何を置き去りにしてきたのか? 十八歳のまま年を取らなくなった彼女という生きた証拠(?)を通すことでその解答に説得力が生まれる点もさることながら、伏線に定評がある作者らしく何気ないエピソードの数々が後半思わぬ形で繋がり、物語を大いに盛り上げてくれるのもいい。
タグ:
posted at 23:54:24
終盤で明かされるある事実に関しては仕掛けのわりにやや不発気味の感が否めないものの、それを差し引いてもある程度年を重ねた読者であれば程よいノスタルジーと良薬のような苦味が後を引く青春ミステリの良作と言っていいだろう。
タグ:
posted at 23:54:33