麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年05月21日(木)
小島正樹「愚者の決断 浜中刑事の杞憂」読了。織物工場の社長が一億円の現金を強奪された。だが奪われた現金は犯人が隠していた山中の祠で火災が起こり焼失してしまった。そして未解決のまま約二年の月日が経ったある日、重要参考人と目された人物が殺害されたことで事件は再び動き出すことになる。
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posted at 14:41:06
強運の持ち主・浜中刑事が活躍するシリーズの四作目。本作はこれまでのシリーズ作と比べると最も地味に感じるかもしれない。一応トリックは幾つか盛り込まれているものの、どうにも大人しめな印象だし、構図にしてもやり過ぎミステリを得意とする作者にしてはあっさり気味で物足りなさが否めない。
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posted at 14:43:31
しかしながら本作の本領は最後の最後であり、そこで明かされるある事実によって事件の展開は勿論のことタイトルの意味合いすらもガラリと変わる点がいい。またシリーズではお馴染みの倒叙要素が巧いミスディレクションになっているのも○。本作はトリックよりもプロット面が光る快作である。
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posted at 14:43:52
天祢涼「あの子の殺人計画」読了。小学五年生の椎名きさらは母親の厳しい躾が実は虐待だったのではないかと気付き始める。一方、大手風俗店のオーナー・遠山が刺し殺され、かつて遠山の店で働いていた椎名綺羅に疑いがかかるが事件当夜、彼女は娘のきさらと一緒に自宅にいたというアリバイがあった。
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posted at 20:04:38
「希望が死んだ夜に」に続き生活安全課の仲田刑事と捜査一課の真壁警部補が活躍するシリーズの二作目。本作もまた前作と同じく社会派と本格の融合を試みているが個人的に前作はミステリに詳しくないはずの犯人が使ったいかにもミステリらしいトリックが社会派テーマから浮いているのが不満だった。
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posted at 20:05:05
そして本作では粗筋にもあるようにアリバイ崩しを扱っており、しかも途中で有栖川有栖のアリバイ講義まで出てきたことでまた前作と同じ欠点を抱えているのではと危惧したのだけど、結論から言うとそれは杞憂だった。というより今回はそれをあえて逆手に取った仕掛けを盛り込んでいるのがまず秀逸。
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posted at 20:05:23
しかもそのミステリ的趣向が絶妙なミスディレクションになっているだけでなく、本作のテーマである子供の虐待を象徴する真相の容赦のなさをより際立たせている点が実に圧巻で、中でも残酷な現実をイヤというほど突き付けられた後に待つある人物の悲痛な叫びは読者の心に深く刺さることだろう。
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posted at 20:05:40