麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年10月09日(金)
千田理緒「五色の殺人者」読了。高齢者介護施設・あずき荘で働く新米女性介護士のメイこと明治瑞希はある日、利用者の撲殺死体を発見する。逃走する犯人と思しき人物を目撃したのは五人。しかし犯人の服の色についての証言は「赤」「緑」「白」「黒」「青」と、なぜかバラバラの五通りだった。
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第30回鮎川哲也賞受賞作。特殊設定ミステリの多い近年の鮎川賞受賞作にしては珍しい、シンプルな謎を扱ったオーソドックスな作品で、タイトル通りの謎はなかなか魅力的。しかしながら肝心の真相がただ説明付けただけで目新しさが全くないのが難。
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どちらかと言えばもう一つの仕掛けの方がまだ気がきいていると言えなくはないが、ミステリを読み慣れている人であれば書き方からだいたい察しがついてしまうのではないだろうか。とはいえ全体的には手堅く纏まっているのでミステリとして過度な期待をしなければ無難に楽しめる作品である。
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浅倉秋成「ノワール・レヴナント」読了。他人の背中にその人の幸福度が見える少年。本の背を指でなぞっただけで中身を記憶できる少女。毎朝五つだけその日に聞く言葉が予言できる少年。念じることで触れたものを破壊できる少女。そんな奇妙な能力を持った四人を呼び集めた者の真意とは?
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作者のデビュー作にして第13回講談社BOX新人賞Powers受賞作。上下二段組約600ページの大作である本作は何者かの意志により集められた特殊能力を持った四人の高校生が、それぞれの能力を駆使して自分たちが何に巻き込まれたのかを探り始めるという所謂ホワットダニット物のミステリとなっている。
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そして、その捜査の過程はスリリングかつ多岐にわたっており、聞き込みや潜入捜査は勿論のこと、中にはカジノでの一世一代のギャンブル対決(!)など実にバラエティ豊かなシチュエーションで繰り広げられるそれぞれの能力を駆使した駆け引きが堪らない。
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posted at 18:49:18
その一方で伏線の張り方がまた絶妙で、狙い澄ましたようなタイミングで伏線が回収されるその様は正に「伏線の狙撃手」という異名に相応しいだろう。但し厳密なミステリとしてみると説明不足の箇所も多く、特に敵役となる人物の内面が一切描かれていないのは勿体ないと言わざるを得ない。
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どちらかというと本作はミステリ要素のある壮大なジュブナイルとして捉えた方が楽しめるだろう。本作は所々に作者の出世作となった「教室が、ひとりになるまで」の片鱗が窺える、様々な要素を取り込んだ力作である。
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posted at 18:50:06