麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年01月16日(土)
森村誠一他「棟居刑事と七つの事件簿」読了。内田康夫、赤川次郎に続く大御所推理作家と俊英作家の競作短編集企画第三弾。今回は第一回論創ミステリ選賞入選作七編に森村誠一の短編「殺意の演出」 と小説家志望者への特別指南エッセイ「作家の条件」を収録。
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posted at 18:27:10
なお第一回論創ミステリ選賞入選作といっても、その半数以上がプロ作家の作品であり(青木知己、安萬純一、獅子宮敏彦の名前は勿論知っていたが、羽衣乙次郎=三咲光郎だったのにはちょっとビックリした)、何とも世知辛いものを感じてしまった。
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posted at 18:29:17
また森村誠一の短編と一緒に収録されると事前に告知されていたためか入選作はいずれも森村誠一の作風に合わせたものが多い印象を受けた。収録作中ベストを挙げるなら青木知己「運転代行」で、タイトル通り運転代行という設定を活かした仕掛けと立場が逆転した構成の妙が実に素晴らしい。
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posted at 18:29:46
加えてある何気ないエピソードが後に伏線として効いてくる点も秀逸でミステリとして切れ味鋭い傑作と言っていいだろう。次点は安萬純一「相方無用」で殺し屋に復帰した男の話ながら作者の近年の忍者物に近い緊張感溢れる展開をテンポ良く読ませつつさりげなくミステリ的意外性を忍ばせているのがいい。
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posted at 18:31:44
その他、井上順一(米寿の作品!)「遠い日、幻の街で」、羽衣乙次郎「売国奴スタア」はそれぞれ違った持ち味の戦争小説として読ませてくれるし有咲結「守りたい」の皮肉なオチとタイトルの意味も○。惜しむらくはトリを飾る森村短編が一番微妙な点だがそれを差し引いても読み応えのある短編集である。
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posted at 18:32:08