麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2021年08月08日(日)
石持浅海「君が護りたい人は」読了。歩夏が二十も年上の奥津と婚約した。歩夏に想いを寄せる三原は奥津を殺して彼女を救い出すことを決意、自らの意思を奥津の友人で弁護士の芳野に明かす。犯行の舞台はキャンプ場。三原は周到な罠を仕掛けるが、ゲストとして参加した碓氷優佳によって狂い始める。
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posted at 13:41:53
ロジカルターミネーターこと碓氷優佳が探偵役を務める倒叙ミステリシリーズの長編五作目。本作の特徴は何と言っても犯人である三原から犯行の意思を聞いている傍観者・芳野の存在であり、その芳野の視点で殺人を行おうとする犯人とそれを食い止めようとする碓氷優佳の攻防が描かれることになる。
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posted at 13:42:25
しかも興味深いのは芳野自身、三原の具体的な犯行計画を聞いているわけではないのでその都度、三原がどうやって犯行を成し遂げようとしているのか推理する点であり、読者からすると芳野が傍観者というより犯人対探偵が繰り広げる攻防の実況兼解説役のように見えるのが面白い。
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posted at 13:42:55
そうして三度にわたる対決の後に待っているのは探偵役による感想戦(?)となぜ傍観者を交えた特殊な対決が描かれたのかという理由であり、タイトルの意味と相俟って作者らしい何とも言えない余韻を生み出している点が素晴らしい。
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posted at 13:43:23
本作はキャンプ場という舞台を活かした犯行計画の数々もさることながら、物語の中に込められた様々な思惑が実にスリリングな形でコンパクトに纏められた佳作である。
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posted at 13:43:50