麻里邑圭人
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- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
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» 2022年04月12日
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2022年04月12日(火)
飛鳥部勝則「もう一つの檻」(「ギフト 異形コレクションLIII」収録)/雪女は冬以外の季節にも出るのだろうか。少なくとも秋の雪女というのはあり得る。いや残暑厳しい九月だったからこそ、あの殺人は雪女の仕業としか思えなかったのだ。
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posted at 09:29:16
作者が井上雅彦「夏の吹雪」のモチーフである〈雪女〉に刺激を受けて書いたという、飛鳥部版〈雪女〉の話。とはいえ前作「乳房と墓――綺説《顔のない死体》」同様ミステリ要素は健在で、家出したはずの母親が猛暑の中、凍死体となって主人公・旗江の自宅に出現するという奇妙な謎が描かれている。
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posted at 09:30:06
健在と言えば今回も飛鳥部作品には欠かせないエキセントリックな女キャラが登場しており、物語を妖しく牽引してくれる。本作で言えば主人公の家の家政婦・ユカがそれで、彼女の言動や行動の一つ一つに〈雪女〉と称される所以であるゾクリとするような魅力を感じることだろう。
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posted at 09:30:35
そしてその魅力が前述した謎と密接に結び付き、読者をとんでもない真相へと誘ってみせる。一見常軌を逸した行動のように思えるかもしれないが全ては異形のロジックで成り立っており、それがユカの偏執的な愛と絡んでテーマであるギフトに着地するラスト一行は圧巻。紛れもない〈雪女〉物の傑作である。
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posted at 09:30:54
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