麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2015年04月19日(日)
大倉崇裕「福家警部補の追及」読了。引退して息子に未踏峰への夢を託す登山家、動物をこよなく愛するペットショップ経営者――強固な意志を持って犯罪に至った二人を福家警部補が容赦なく追い詰めていく倒叙ミステリ中編集。
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posted at 14:06:03
福家警部補と犯人たちの対決を描くシリーズの四作目。粗筋からも分かるように収録作二編にはいずれも作者が得意とする山岳物とペット物という二つの要素が盛り込まれており、うちペット物の「幸福の代償」には「小鳥を愛した容疑者」等に登場する須藤警部補がさりげなく顔を出すのがファン的に嬉しい。
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posted at 14:06:14
内容に関していえば、ミステリ部分よりも犯人を魅力的に描くことに注力していた前作「福家警部補の報告」から一転、些細な矛盾の積み重ねでじわじわと犯人を追い詰めていく展開で魅せる従来の形式に戻ったのはいいが、二編とも一番肝心な決め手(着地点)が分かりやすいのが難。
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2015年04月20日(月)
麻耶雄嵩「あぶない叔父さん」読了。四方を山と海に囲まれ、古い慣習が残る霧ヶ町で次々と発生する奇妙な殺人事件。その謎に挑む高校生の俺は離れに住んでいる、なんでも屋を営む叔父さんに相談する。毎回穏やかに真相を語る叔父さんが最後に口にする「ありえない」犯人とは?
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posted at 22:54:48
ここ最近の作者の短編集には毎回何らかの縛りがあるのだが、本作ではその縛りがあまりうまく機能していないように思える(そもそも一番出来がいいのが唯一縛りがかかっていない「最後の海」の時点でアレ)。
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posted at 22:55:02
とはいえ「最後の海」と「あかずの扉」の二編に関してはバカミス好きならそれなりに楽しめると思う。ただあくまで「それなり」レベルであり、いつもの麻耶クオリティを期待すると、正直がっかり感が否めない作品である。
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posted at 22:55:23
2015年04月22日(水)
アダチアタル「ジンクスゲーム2」読了。ある条件で発動し命を問答無用で奪い取る能力――ジンクス。そのジンクスを持つ蒼馬は再びデスゲームへと誘われる。勝利条件は「遊園地にいる『魔女』の正体を看破せよ」。断れば遊園地に屍の山が築かれることになると言われ蒼馬は仕方なく参加することに――。
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posted at 21:37:17
異能デスゲーム物シリーズの二作目。ミステリ的ガジェットと丁寧に伏線が張られたジンクスの能力当てが楽しかった前作に比べると色々と退化しており、特に伏線がらみが全体的に雑になってしまっているのが残念。
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posted at 21:37:28
また今回出てくる新たな能力とその攻略法に関しても後出し気味だったりチート過ぎたりで、正直面白味に欠けると言わざるを得ない。その辺のところを次回作ではきっちり練り込んでほしいと思う。
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2015年04月24日(金)
紙城境介「ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件」読了。祭りの最中、少女が炎の海に没した。密室かつ衆人監視、そのうえ千年前の伝説を模倣した形で。魔女の手によるこの事件に新米騎士ウェルナーと魔女狩り女伯ことルドヴィカが挑むが、その彼女自身にあろうことか魔女の疑いが――。
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posted at 14:02:53
第1回集英社ライトノベル新人賞《優秀賞》受賞作。本作もまた最近よく見かけるファンタジーとミステリの融合を目指したもので、その試みは一応成功していると言っていいかもしれない。提示される密室の謎は魅力的だが、何より秀逸なのはファンタジーならではの見立ての理由だろう。
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posted at 14:03:03
これが明かされると同時にサブタイトルの意味が分かるのは○。ただその反面、些か伏線が弱い気もするが、逆に詳しく書いたら書いたで真相に気付かれてしまう可能性があることを考えると、痛し痒しといったところだろう。
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posted at 14:03:50
最後のオチに関しては、正直風呂敷を広げ過ぎの感が否めないが、作者がJDCシリーズ好きと知って納得(爆)。とまれ近年のラノベ本格の収穫であるのは間違いなく、ファンタジーミステリ好きには勿論のこと、メフィスト賞好きにもお勧めしたい佳作である。
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posted at 14:04:03
2015年04月25日(土)
村崎友「校庭には誰もいない」読了。部員が二人しかいない合唱部の入部希望ノートに「中村雫」という存在しない生徒の名前が残されていたことが全ての始まりだった。部室荒らし、消えたDVD、そして謎の火事……密室と青春に彩られた、四季折々の事件簿。
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posted at 16:23:35
「たゆたいサニーデイズ」というタイトルで発表されていた「夕暮れ密室」の作者の二作目。青春ミステリでかつ、作中で起こる事件がどれも密室絡みである点が実に「夕暮れ密室」の作者らしいが、一番の特長は何と言っても連作形式の活かし方だろう。
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posted at 16:23:44
これにより、あるものが間接的な共犯の役割をしているのが面白い。また真相がどこまでいっても青春小説から逸脱しない点も○。派手さはないが、青春ミステリとしての納得度は高い良作である。
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posted at 16:23:54
2015年04月28日(火)
天地優雅「名探偵×不良×リア充×痴女×決闘者(デュエリスト)2~偽装対決!?~」読了。偽装部設立に纏わる事件から二ヶ月。偽装しなくてもよくなった悠人たちはしかし未だに偽装部に入り浸っていた。そんな彼らにある日、偽装部に対抗して結成されたマスカレード部が偽装対決を挑んできて……。
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posted at 23:24:34
何が伏線なのかはっきりと分かってしまう、伏線を張るためだけの不自然な展開が目立つといった欠点はあれど、思ったよりもミステリしていた前作に対し、本作はというと欠点はそのままにミステリとしては格段にバワーダウンしているのが痛い。
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posted at 23:25:08
具体的にはミステリ部分がただのクイズと化し、代わりに強化されたのが前作でもだだ滑りだったラブコメ要素なのは正直閉口の一言に尽きる。前作を読んでラブコメ部分が一番面白かったという人以外は手を出さない方が無難かもしれない。
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posted at 23:25:32
2015年04月29日(水)
鳥飼否宇「痙攣的 モンド氏の逆説」読了。密室状態のライブハウスで起きた演奏中のロックバンドの消失と死体の出現、現代アート会場で発見された芸術家の死体とダイイング・メッセージ、人工落雷のパフォーマンスが招いた奇妙な事件……ロック、アート、サイエンスの世界を舞台にしたミステリ連作集。
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posted at 17:40:44
一言でいえば、本格ミステリで現代芸術を試みたような作品。現代芸術というと個人的にはワケがワカラナイものというイメージがあるが、本作に関していえば三編目まではその世界ならではの狂気が垣間見えるものの思いのほか(?)まとも。
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posted at 17:40:59
しかしながら問題は四編目からで、ここからの展開にぽかんとしない読者はいないに違いない。勿論これは作者の計算通りであり、これがあるからこそ最後に明かされるタイトルの意味にも繋がってくる点が秀逸。
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posted at 17:41:13