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麻里邑圭人

@mysteryEQ

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  • 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
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2015年04月04日(土)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月4日

日影丈吉「多角形」読了。無名の作家・月野が投稿した未完の推理小説に惹かれ舞台となった南伊豆蘭生にやって来た月刊誌編集長の落合はそこで起きている状況が原稿の筋にそっくりであることに気付く。やがて地元の医師が崖から車ごと転落死し、事件は原稿の未完の部分を埋めるかのように展開していく。

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posted at 18:29:30

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月4日

本作は医師が落合から聞いた話と警察の捜査を追う新聞記者の話が平行して進んでいくが、それに作中で語られる作者の犯罪観、推理小説観が反映されているのが面白い。

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posted at 18:30:01

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月4日

但しミステリとしてみると決して出来がいいわけでもなく最後の趣向も今となっては驚きは薄いが、その一方でこの主人公だからこそできた物語という点では興味深い作品である。

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posted at 18:30:15

2015年04月05日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月5日

夏樹静子「螺旋階段をおりる男」読了。経済的に恵まれた主婦、二重人格の有能な弁護士、宗教法人と繋がる女性国会議員……シャープなイメージからは程遠い女検事・霞夕子が様々な事情で殺人に手を染めた三人の犯罪者を鋭く追い詰める連作倒叙ミステリ。

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posted at 13:45:21

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月5日

女検事・霞夕子シリーズの一作目。作者が『刑事コロンボ』に触発されて書いただけあって構成はまんまコロンボだが、コロンボに比べると夕子のキャラはそれほど立ってないし、犯人との対決もあっさり気味なのが気になる。

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posted at 13:45:31

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月5日

しかしながら全編とも状況を巧く活かして犯人を追い詰めているのが好印象で、特に「白い影」がタイトルの意味も含め、出色の出来。目新しさはないが、堅実な作品である。

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posted at 13:45:42

2015年04月07日(火)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月7日

笹沢左保「死を流す青い河」読了。旅行先での事故と殺人を扱った表題作を始め、雑踏の中の再会が呼んだ悲劇「招かざる沈黙」、行きずりの男女に隠された秘密「奇妙な贈り物」、殺人の嫌疑をかけられた男が情事の最中に閃いた意外な真相「言葉なき告白」など作家・笹沢左保が関わった六つの事件を収録。

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posted at 23:00:12

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月7日

作者本人がある時は名探偵として、ある時は単なる脇役として登場する異色短編集。全編男女の色事中心でミステリとしてみるとかなり小粒だが(中にはミステリでないものもある)、相変わらずのリーダビリティで読ませてくれるのはさすが。

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posted at 23:00:40

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月7日

とはいえミステリとして全く見所がないわけでもなく、例えば「言葉なき告白」は作者が得意とする人物描写とエロジック(!)の結び付きが秀逸で、情事の最中に真相が閃くというシチュエーションにもちゃんと必然性があるのが素晴らしい。言うなれば石持浅海「相互確証破壊」の先駆的作品である。

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posted at 23:00:48

2015年04月09日(木)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月9日

滝田務雄「捕獲屋カメレオンの事件簿」読了。写真を撮ってはいけない絵、檻の中のワイン、廃ビルの幽霊、脅迫者〝夜行奇人〟……ひょんなことから実体のない『タブーの捕獲』を請け負う捕獲屋の仕事をすることになった元刑事の浜谷。彼は持ち前の超空間認識力を駆使して次々と怪事件を解決していく。

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posted at 23:40:58

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月9日

脳の中に3Dプリンターを持つ男・浜谷良和(はまやらわ)と捕獲屋の女社長・阿過沙多菜(あかさたな)のコンビが活躍する連作ミステリ。但し活躍といっても普通に探偵役を務めるだけではない。時には事件の仕掛人として読者に謎解きを挑んでくるのが面白い。

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posted at 23:43:59

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月9日

そういう点ではこの捕獲屋という設定は非常に便利で、更に三話目から浜谷の知り合いの女刑事・御小曾殿歩(おこそとのほ)が加わることによりコンゲーム的面白さも出てくるのがいい。ベストを挙げるなら「前日譚 夜行怪人」でフーダニットに仕掛けられた構図と伏線の妙に唸らされる。

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posted at 23:44:19

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月9日

特に推理の積み重ねにさりげなく織り込まれたあるミスディレクションが秀逸。次点は「試作車の鍵」でシンプルなロジックによる構図の反転が○。本作は様々な趣向が凝らされたユーモア本格ミステリの良作である。

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posted at 23:44:48

2015年04月10日(金)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月10日

小林泰三「幸せスイッチ」読了。恋人に財産や将来への希望を奪われ絶望した少女が出会った、全ての苦痛から解放してくれる「幸せスイッチ」とは? 表題作の他、メリーさんと名乗る謎のストーカーを退治すべく超限探偵Σが編み出した驚くべき秘策「怨霊」など六編を収録。

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posted at 19:46:43

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月10日

「セピア色の凄惨」「惨劇アルバム」に続く光文社文庫書き下ろし短編集第三弾。これまでの短編集同様、邪悪で奇妙な物語ばかりが収録されているが、「怨霊」「哲学的ゾンビもしくはある青年の物語」の二編を除くと、他の短編集でも読んだことがあるような話ばかりなのが残念。

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posted at 19:46:59

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月10日

その良かった二編のうち「怨霊」は作者の作品ではお馴染みのキャラ・超限探偵Σがストーカー退治をする話なのだが、毒は毒を以て制すというその撃退法が実に奇抜で面白い。しかもそこからあの有名なオチに繋げるとは一体誰が思うだろうかw

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posted at 19:47:09

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月10日

一方「哲学的ゾンビ~」はSF的発想から新たなゾンビ物を生み出してみせた点が秀逸。個人的にはこの二編だけでも読む価値がある作品である。

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posted at 19:47:29

2015年04月11日(土)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月11日

笹沢左保「日曜日には殺さない」読了。越前大野の旧家・野路家ではこの十年の間に八人も身内が変死を遂げていた。数少ない生き残りである真利子は「我が家は柴田勝家の怨霊に祟られている」と怯えるが、彼女の想い人の御園生光也はそれを受け入れず、真利子に対し呪いの謎を解くことを提案する。

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posted at 17:03:40

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月11日

この作者にしては珍しい、オカルト的題材を扱った作品。相次ぐ変死事件を一つ一つ検証し、呪いではないことを論理的に証明していくという展開自体はいいのだけど、いかんせんこれが何者かによって巧妙に仕組まれた連続殺人というわけでもないので、ミステリとしてはいまいち盛り上がりに欠けるのが難。

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posted at 17:03:49

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月11日

ミステリとしての一番の見所は密室殺人の真相だが、それにしても後に作者が同じネタで書いた某作品の方が優れているのがアレだし、タイトルの意味も取って付けた感が否めない。とはいえ作者が書いた数少ない伝奇ミステリという点では興味深い作品である。

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posted at 17:04:07

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月11日

菅原和也「さあ、地獄へ堕ちよう」読了。SMバーのM嬢・ミチはある日、再会した幼馴染みのタミーから残虐な死体写真が集められた《地獄へ堕ちよう》という裏サイトを教えられる。それから間もなく身体改造に凝っているミチの同僚・リストと思われる他殺体の写真が問題の裏サイトにアップされて――。

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posted at 23:43:04

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月11日

第32回横溝正史ミステリ大賞受賞作。裏サイトの目的自体は分かりやすいものの、身体改造を巧く絡めることにより説得力を高めているのは○。また最後の捻りも定番ながら意外性があるし、何より陰惨な内容とは裏腹に爽やかなラストが印象的。

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posted at 23:43:19

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月11日

仕掛けそのものよりもむしろ伏線の張り方に見るべきところがある、ダーク系青春本格ミステリの良作である。

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posted at 23:43:56

2015年04月12日(日)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月12日

日影丈吉「孤独の罠」読了。肺炎にかかり生後6ヶ月で亡くなった我が子の火葬に立ち会った仰木はそこで奇怪な事件に巻き込まれた。火葬に付した息子の棺から二体の乳児の骨が出てきたのだ。それからしばらくして妹に縁談話が持ち上がったのも束の間、今度は毒殺事件が……。

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posted at 19:08:49

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月12日

文学色の濃い作品。事件そのものはミステリらしい不可解なものだが、推理よりも登場人物たちの心理描写に重点がおかれているため、あまりミステリらしさは感じさせない。とはいえその心理描写があるからこそ真相に説得力があるのも事実。

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posted at 19:09:09

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月12日

またあえて一部の真相を早い段階で明かすことにより犯人に感情移入できるような構成になっている点もどこか文学的。ある意味、道尾秀介あたりが目指している作品と言えるかもしれない。

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posted at 19:09:29

2015年04月17日(金)

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月17日

小島正樹「浜中刑事の妄想と檄運」読了。癇癪持ちの妻と自分を告発しようとしている女を一遍に始末する方法を思い付いた骨董屋の店主。妻に横領の罪を着せ自殺に見せかけて殺した憎き犯人に対する復讐計画を実行に移した男……二つの事件に村の駐在所勤務を夢見る強運の持ち主・浜中刑事が挑む。

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posted at 22:16:13

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月17日

倒叙形式の二編「浜中刑事の強運」と「浜中刑事の悲運」を収録した中編集。まず「~強運」に関していえば浜中刑事が持ち前の強運で万事解決してしまうのがかなり微妙。一応犯人の計画の一部を伏せることで意外性を出そうとはしているものの、肝心の情報まで伏せてしまっているのはいただけない。

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posted at 22:16:33

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月17日

むしろ本作のメインは「~悲運」の方で、こちらは強運をあまり表に出すことなくちゃんと推理に徹しているのがいい。そして何よりこの形式と作者の持ち味の一つであるどんでん返しが巧く融合している点が秀逸。尤も構図の一部は今年度出た某作品と被る部分があるものの、こちらの方が捻りがきいている。

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posted at 22:16:55

麻里邑圭人 @mysteryEQ

15年4月17日

個人的には近年の作者のやり過ぎ系ミステリより評価したい作品である。

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posted at 22:17:04

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