麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則／梶龍雄／殊能将之／早坂吝／麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年03月15日(木)
しかもそれを成立させる為の仕込みも抜かりなく、人物設定もさることながら次第に混迷を極めていくプロットが実に秀逸。更に終盤で明かされるあるネタに至っては「成る程、だからこのシリーズで書いたのか！」と大いに唸らされた。本作は作者らしい企みが遺憾なく発揮された誘拐ミステリの傑作である。
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「交換殺人はいかが？」で登場したじいじこと元刑事の君原とその孫の樹来が過去に起きた二つの誘拐事件の謎に挑む長編ミステリ。作中でクリスティーの某作に触れる場面から察しがつく人もいるかもしれないが、本作にはそのクリスティーが得意としたある錯誤が何とも大胆な形で盛り込まれている。
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深木章子「消えた断章」読了。葛木夕夏は十年前、実の叔父に誘拐されたことがあった。当時は身内のトラブルと片づけられたが最近になって警視庁がなぜか再捜査に乗り出す。しかもそれは最近発見された、同じ十年前に別の誘拐事件で行方が分からなくなっていた男児の白骨遺体と関係があるようで……？
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次々と起こる不可解な事件の繋がりもさることながら本作の真骨頂は何と言っても犯人当てであり、特に犯人を絞り込む三つの条件のうち二つに巧さが感じられる。読者への挑戦こそ挿入されていないものの後に読者への挑戦入り本格推理シリーズ「名探偵チビー」に続く作者のルーツが垣間見える佳作である。
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講談社児童文学新人賞を受賞した作者のデビュー作。 作中でも触れられているホームズの某短編をベースにしつつも、それを更に一捻り、二捻りした内容に仕上がっている。
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新庄節美「二丁目の犬小屋盗難事件 夏休みだけ探偵団」読了。ワトソンこと和戸尊は探偵小説好きの双子・冴と麗が結成した探偵団のナンバー３。塾仲間のトンの愛犬ペッタンの犬小屋が消えた事件を調べてみると驚いたことに近所で同様の事件が三つも発生していたことが発覚、事態は思わぬ方向へ……。
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2018年03月14日(水)
むしろ本作の一番の見所は因縁の事件に執念を燃やす槙野の姿であり、それを踏まえた終盤のある人物の言葉が実に胸に沁みる。過去作のネタバレはないのでシリーズ未読でも読めなくはないが、どちらかといえばシリーズ読者の方が楽しめる作品である。
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私立探偵・槙野康平と鉄仮面と渾名される女性刑事・東條有紀が活躍するシリーズの五作目。複雑に縺れた事件を解きほぐしていく警察小説の面白さと凝った殺人トリックというこのシリーズの持ち味は本作でも健在だが、後者に関しては過去作に比べると謎の演出と解決の仕方がやや粗く物足りなさを覚える。
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吉田恭教「亡霊の柩」読了。探偵・槙野の許に舞い込んだ依頼は単なる人探しだった。すぐに解決すると思われたが、事態は徐々に大きな犯罪の痕跡を匂わせる。やがてそれは二件の未解決殺人事件へと繋がるが、そのうちの一件――五年前の暴力団幹部射殺事件は刑事時代の槙野が担当するはずのものだった。
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2018年03月13日(火)
また少年助手と怪盗の対決の内容に関しては基本的にお約束に沿ったものであり、こうきたか！ という意外性に乏しいのがやや物足りないものの、物語の展開と共にひょんなことから偽探偵を演じることになった俳優・山田大作が少年助手に勝るとも劣らない魅力あるキャラになっていくのがいい。
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亡き名探偵の仇を討つため、助手の少年が残された者たちと共に怪盗に立ち向かう冒険活劇物。「キャラクターの立った作品」という編集者のリクエストに応えただけあって、登場人物は皆生き生きと描かれており、特に主人公である少年助手の成長に名探偵不在という設定が巧く活かされているのは○。
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我孫子武丸「怪盗不思議紳士」読了。戦後間もない日本。孤児の瑞樹はひょんなことから探偵・九条響太郎探偵の助手を務めることになる。だが九条の宿敵である謎の怪盗・不思議紳士の追跡に協力することになった矢先、九条は爆殺されてしまう。百戦錬磨の怪盗を相手に少年の孤独な闘いが幕を開ける――。
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2018年03月12日(月)
とはいえ本作をミステリ風青春小説としてみれば評価はまた変わってくる。例えば登場人物が嘘をついていたからこそ見えてくる苦みなどはミステリ風にしたからこそ際立つものだろう。本作は最初からミステリの枠組みだけ借りた青春小説として読んだ方が楽しめる作品である。
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第１９回えんため大賞特別賞受賞作。粗筋だけ見ると日常の謎系ミステリのように思えるが、ミステリとして見た場合、肝心の手がかりが不充分だったり、登場人物が故意に嘘をついていたりと、純粋な推理だけでは絶対辿り着けない真相ばかりなのが残念。
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かめのまぶた「エートスの窓から見上げる空 老人と女子高生」読了。ひょんなことから秘密を共有することになった老教師の豊橋厳蔵と女子高生の瀬宮憂海。二人の昼食時の話題はいつも学校で起こる小さな謎。果たして彼女は学校一美人の先輩が抱える悩みや部室密室事件の謎を解決することができるのか？
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2018年03月11日(日)
クトゥルー要素を盛り込んだジュブナイルホラーもとい、好きな女の子を化け物から守る話。王道過ぎて捻りが全くないのがやや物足りないが、主人公タイキが想いを寄せる少女ミムがカワイイので守らなければいけない使命感（？）がより一層感じられるのが○。 pic.twitter.com/GlkDEznKqV
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新庄節美「地下道の悪魔」読了。オカルト好きの少女ミムが、古書店で見つけた「暗黒の魔道書」。そこに挟まれていたメモには、驚くべき内容が書かれていた。ミムはサッカー少年のタイキと一緒に、クモの悪魔の謎に挑む。
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2018年03月09日(金)
またミステリとしてもよく練られていて、特に見立てにおけるある逆転の発想とも言うべき使い方と、予想外のところからくる犯人の決め手が素晴らしい。本作は隠れた見立てミステリの秀作であると同時に、シリーズ読者にとってもシリーズ屈指の難事件として見逃せない作品である。
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名探偵チビーシリーズの六作目。本作は見立てというテーマもさることながら、シリーズ中最も容疑者候補が多い点、そして何より名探偵が初めて敗北を余儀なくされる物語であるところが実に熱い。
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新庄節美「名探偵チビー 一角ナマズの謎」読了。町外れにあるネコネ家で門や彫刻、インテリアに使われている一角ナマズが次々とイタズラされる奇怪な出来事がおこった。チビーは一連の事件はこの地方に伝わる童謡の見立てであることに気付く。だが犯人の目的はまるでわからないまま新たな事件が……。
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2018年03月08日(木)
そして何より犯人がしぶといのが好印象で、最終的に探偵が冷静に事件の状況を分析することが犯人を追い詰める最善の策となっているのもいい。全体的にトリックとロジックのバランスがいい佳作と言っていいだろう。
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名探偵チビーシリーズの五作目。今回は何故犯人がカボチャを盗んだのかというホワイダニットと容疑者たちの鉄壁のアリバイが同時に攻略されるカタルシスもさることながら、トリックが分かってもおいそれと犯人の正体に繋がらないように一工夫されている点は○。
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posted at 20:29:53
新庄節美「名探偵チビー 黄金カボチャの謎」読了。「カボチャが一番亭」から消えたカボチャの謎を調査しにチビーたちが黄金カボチャ村へ来た次の日、村の運命を左右する書類が盗まれチビーたちは事件捜査を依頼された。犯人は村の者か、それとも外部の者か？ そして二つの事件に繋がりはあるのか？
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2018年03月07日(水)
名探偵チビーシリーズの四作目。大掛かりな物理トリックもさることながら何よりタイトルにもなっている首なし雪だるまという謎の使い方に本格ミステリ作家としての作者のセンスが感じられるのがいい。加えて犯人当てとしても一筋縄ではいかない発想の転換が求められる点がなかなか心憎い佳作である。
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新庄節美「名探偵チビー 首なし雪だるまの謎」読了。ケーキコンクールの会場、ウォルナットホテルに脅迫状がとどき、チビーたちの警戒の目をくぐってコンクールに出品するケーキがこわされた。厨房は密室だったのにどうやって？ そしてホテルの庭にあった雪だるまの首がなくなっていたのは、なぜ？
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名探偵チビーシリーズの三作目。事件が次々と新展開を見せるプロットの転がし方が楽しい一方で、何気に無駄なところがほとんどないのが○。また単純明快なトリックを最後まで隠し通した技巧も素晴らしく、それが解かれると同時に犯人も判明する鮮やかさが実に心地いい良作である。
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posted at 22:19:14
新庄節美「名探偵チビー 泣き虫せんたく屋の謎」読了。ジブザブクリーニング店の物干し場が荒らされて、せんたくものがばらまかれた夜、近所のオライリー音波エネルギー研究所では軍事機密の設計図が盗まれていた。国家存亡にかかわるスパイ事件を前に、チビーの脳細胞がフル回転しはじめる……。
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2018年03月02日(金)
勿論この二編をセットにした作者の意図は理解できるが、作者のことを何も知らない人が本作を読んだら怒り出すのではないかと他人事ながら心配せずにはいられない（爆）。ある意味、究極の悪ふざけである本作は、作者を知る人ほど混ぜるな危険的スリリング（？）が楽しめる作品である。
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posted at 21:37:48
バレエをテーマにした芸術探偵シリーズの中篇集。「ドンキホーテ・アラベスク」が派手さはないがそつなく纏まった芸術探偵シリーズらしい一編であるのに対し、「グラン・パ・ド・ドゥ」は……正直、これを「ドンキホーテ・アラベスク」とセットにしてしまった作者の度胸（！）には恐れ入る。
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深水黎一郎「虚像のアラベスク」読了。名門バレエ団に届いた創立十五周年記念公演の中止を要求する脅迫状。要人警護に当たる海埜警部補は甥の芸術探偵・神泉寺瞬一郎に協力を求める――「ドンキホーテ・アラベスク」他、不可解な盗難事件と圧死事件の真相に迫る「グラン・パ・ド・ドゥ」を収録。
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