麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2022年12月30日(金)
ただ後半に色々なネタを詰め込み過ぎたせいでやや描写不足に感じてしまう部分も多々あるし過去と現在の事件に関してはもう少し決定的な繋がりが欲しかった気もするがネタの物量や某有名探偵のゲスト出演、公権力に対する毅然としたメッセージ性など全体的に何とも言えない熱量が感じられる力作である。
タグ:
posted at 19:23:21
だが一方で特殊知識に依存しすぎてイマイチ謎解き興味が薄い……と思っていたら後半にこれでもかとばかりに怒涛の密室殺人三連発をぶちこんでくるのがなんともこの作者らしい。しかもいずれの密室もネタ自体はシンプルかつ原理は同じものであるにも拘わらず、そうとは思わせない謎の見せ方が実に秀逸。
タグ:
posted at 19:22:57
弁護士・森江春策シリーズの三作目にして後に「時の密室」「時の審廷」と続いていく過去と現在が交錯する社会派本格ミステリ三部作の第一弾。現代の誘拐事件での身代金奪取の方法と過去の連続絞殺事件でのアリバイトリックにはそれぞれ当時の最新技術や鉄道事情が駆使されており読み応えがあるのは○。
タグ:
posted at 19:22:28
芦辺拓「時の誘拐」読了。府知事候補の娘・樹里が誘拐された。身代金運搬に指名されたのは全く無関係の青年・阿月。だが大阪の都市構造を利用した犯人に金を奪われ疑いの目は阿月自身に。彼を救うため捜査に乗り出した森江春策だったが、やがて半世紀前の大阪で起きた連続絞殺事件の謎も絡み始めて――。
タグ:
posted at 19:22:19
2022年12月29日(木)
そして何より計算された謎解きの順番によって過去の因縁が積み重なり凄惨さを増していく動機が素晴らしい。本作は「人狼城の恐怖」ほどではないにしろ、壮大なスケールの伝奇ロマンと本格ミステリの謎解きが詰まった傑作である。
タグ:
posted at 19:25:52
とはいえロジックやトリックをないがしろにしているわけでは決してなく、例えば犯人を特定するロジックは抜かりがないし、犯人が駆使した猟奇的なトリックにしても普通にやったら明らかに不自然な部分をオカルト要素が絶妙な隠れ蓑になっている点が実に秀逸。
タグ:
posted at 19:25:32
むしろ本作は散りばめられた大小様々な謎を魔女伝説が絡む壮大な伝奇ロマンで纏め上げたプロットこそが最大の見所であり、そこに作者の持論である「ロジックよりもトリック、トリックよりもプロット」が存分に活かされていたことが最後まで読むと良く分かるだろう。
タグ:
posted at 19:25:16
名探偵・二階堂蘭子シリーズの四作目。本作は予告されながらも書かれることがなかった高木彬光「甲冑殺人事件」を作者なりに書いてみた作品であり、確かに密室を始め様々な局面で甲冑が出てくるもののそれを活かしたトリックに期待すると良くも悪くもシンプルすぎてやや肩透かしを覚えるかもしれない。
タグ:
posted at 19:24:59
二階堂黎人「悪霊の館【完全版】」再読了。不気味な逆五芒星の中央に捧げられた二重鍵密室の首なし死体、邸内を徘徊する西洋甲胄姿の亡霊……呪われた遺言を機に資産家一族・志摩沼家の住む大邸宅で続発する血みどろの惨劇。そして真実を追う名探偵・二階堂蘭子にも遂に殺人者の魔の手が……!
タグ:
posted at 19:24:30
2022年12月24日(土)
加えて謎を盛り上げるよりも策謀の方に筆が割かれているせいで謎解きの印象が薄い上に事件を構成するにあたって必要な人物描写が稀薄なのも相俟って驚きもないただの説明に感じてしまうのが痛い。更に古風な言い回しが多用されているのも読み辛さに拍車をかけており個人的にはただただ辛い読書だった。
タグ:
posted at 14:57:03
そしてかくいう自分がシリーズ未読だったりするわけだが、その上で本作を読んだ感想を率直にいうと徹頭徹尾面白くない。謎だけ取り出せば魅力的だし色々事件が起こっているはずなのに文章は勿論描写一つとっても淡々としていて全く盛り上がらない。
タグ:
posted at 14:56:19
アンソロジー&評論書「短編ミステリの二百年」の著者による異世界本格ミステリ。まず冒頭で作者は本作についてランドル・ギャレット「魔術師が多すぎる」のシリーズにインスパイアされた作品であり、シリーズを全く知らなくても本作を読むのに支障はないと語っている。
タグ:
posted at 14:55:59
小森収「明智卿死体検分」読了。その男は四阿いっぱいの雪に埋もれて凍死していた。明らかに魔術を使った犯行。だが魔術を使って人を殺めるとその証が術者の相貌に顕われるにも拘わらず関係者にはその気配はなかった。この不可解な謎に権刑部卿・明智小壱郎光秀と陰陽師・安倍天晴の二人が挑む。
タグ:
posted at 14:55:11
「ナイブズ・アウト グラス・オニオン」観了。名探偵ブノワ・ブランが活躍するシリーズの二作目。孤島を舞台にした今回は前作とはまた違った二重構造の物語がまず秀逸でそれが明かされて一変する事件の様相と映像ならではの大胆な犯人の手口もさることながら舞台装置を活かした終盤の展開が実に痛快。
タグ:
posted at 10:25:36
2022年12月22日(木)
その他、構図の反転の後に浮き彫りになる隠された想いがタイトルと共に沁みてくる「片思い」や、家族だからこそ解ける日常の謎が秀逸な「白い言葉」も捨て難い。総じて作者の最後の作品集として見逃せない作品集である。
タグ:
posted at 11:18:20
収録作で特に印象に残ったものだと目まぐるしいまでに二転三転する展開の表題作や「裁かれる女」も捨て難いがやはりオチの切れ味では「過剰防衛」が掌編ながら頭一つ抜きん出ている。また個人的な偏愛作で選ぶならカムフラージュでそこまでするかという異様な構図が強烈な「ひとつ蘭」になるだろう。
タグ:
posted at 11:17:54
これまで単行本未収録だった恋愛ミステリ物の短編と掌編計十四編を収録した作品集。連城作品に造詣が深い浅木原忍氏の解説でも語られているように本作は単なる落ち穂拾い集とは思えないクオリティーの作品が揃っており、いずれもこの作者ならでの愛憎劇と構図の反転が堪能できる内容となっている。
タグ:
posted at 11:17:28
連城三紀彦「黒真珠 恋愛推理レアコレクション」読了。一人の男を巡る二人の女の対決を描いた表題作の他、弁護士が奇妙な依頼人に振り回される「過剰防衛」と「裁かれる女」、妻の轢き逃げ事件が思わぬ展開を見せる「紫の車」、旅館の美しき女将に隠された驚きの秘密「ひとつ蘭」など全十四編を収録。
タグ:
posted at 11:17:07
2022年12月20日(火)
しかしながら本作の時点でその設定が十二分に発揮されているかというとやや疑問が残るところではあるものの、それでも後半の展開からはこの世界の謎やコンゲーム要素が絡んできて面白くなりそうな気配は感じるので、引き続き2巻以降に期待したい。
タグ:
posted at 21:08:35
とはいえ名探偵らしさが全くないわけではなく推理は基本的にバトルもとい《闘争裁判》を通して得られた手がかりを元に大罪人たちの罪に隠された秘密を看破するのに活用されており、しかも《闘争裁判》のルールではそれによって相手が本当の罪を認めると報い=死を迎えるようになっているのが興味深い。
タグ:
posted at 21:08:15
異世界で名探偵が推理を武器に大罪人たちと戦うバトルロワイヤル物。推理が武器ということでミステリ的ノリを期待する読者もいるかと思うが生憎本作の名探偵は被害者が短時間のうちに悲鳴も上げず滅多刺しにされた謎に対し犯人がそういう能力だったの一言で片付けるため大いに肩透かしを覚えるだろう。
タグ:
posted at 21:08:00
輝井永澄「名探偵は推理で殺す 依頼.1 大罪人バトルロイヤルに潜入せよ」読了。絶命した高校生名探偵・明髪シンは気が付くと様々な世界から大罪人が送り込まれてくる世界【監獄界】にいた。そこでとある依頼を引き受けたシンは大罪人たちが命を懸けて殺し合う《闘争裁判》に参戦することになり……!?
タグ:
posted at 21:07:40
2022年12月17日(土)
そして二つ目は第二の事件の状況から導き出される犯人特定のロジックで、この探偵役の性格だからこそ気付けたという点も相俟ってシンプルな巧さがある。ただ惜しむらくは全体としてみると有機的な繋がりは一切なく構図としての美しさは欠片もない点だがそこに目を瞑れば部分的に評価できる快作である。
タグ:
posted at 22:33:36
新製品の香水を巡る殺人事件の顛末を描いた長編ミステリ。いかにも昭和らしい通俗的なキャラクター描写や文体は好みが分かれるものの、それでも本作にはミステリとして見るべきポイントが二つある。まず一つ目は死体に香水が振りかけられていた理由で、これはちょっとした盲点をついた面白さがある。
タグ:
posted at 22:33:14
ルディー和子「ピンクのおもちゃネコ殺人事件」読了。罪をバラされたくなかったら三千円寄付しなさい――奇妙な脅迫状が事件の発端だった。化粧品会社で発見された全裸死体にはなぜか新製品の香水〝ピンクのおもちゃネコ〟がたっぷり振りかけられていた。更にその香水の発表会で絞殺死体が発見されて――。
タグ:
posted at 22:32:32
「かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-」観了。氷かぐや編の映画化。原作では評判が悪いとされる話ながらアニメで通して観てみるとこれはこれで悪くないと思う(とりあえず医者と藤原家には笑ったw)。基本的にはTVシリーズと変わらないが映画だけあって演出がゴージャスなのは○。
タグ:
posted at 20:37:52
2022年12月16日(金)
また警察に逮捕されてしまったおばさんを一刻も早く助けなければいけないというタイムリミットサスペンスが物語のアクセントになっているのもいい。そして何より亡き作者に代わり別の人間が執筆しているにも拘わらず全く違和感のない物語が秀逸で前作が好きだった人こそ是非読んでほしい良作である。
タグ:
posted at 23:51:40
ミステリとしてみると前作よりも謎の難易度は上がっており、犯行が可能だった人物=犯人というシンプルな構造ながらも巧く捻りを入れて(とはいえ似たような前例がなくはないが)、おいそれと犯人に辿りつけないように工夫が凝らされているのは○。
タグ:
posted at 23:51:08
前作「ロンドン・アイの謎」に続き自閉スペクトラム症の少年テッドが謎を解き明かすジュブナイルミステリ。前作が衆人環視からの人間消失がメインだったのに対し今回は美術館から名画を盗んだ犯人捜しが物語の主軸となっており誰に犯行が可能だったかの検証は地味ながら相変わらず丁寧で好感が持てる。
タグ:
posted at 23:50:22
ロビン・スティーヴンス/ シヴォーン・ダウド原案 「グッゲンハイムの謎」読了。母と姉と一緒にグロリアおばさんといとこのサリムが住むニューヨークを訪れた12歳のテッド。おばさんが主任学芸員を務めるグッゲンハイム美術館へ赴いたのも束の間、火事騒動と共に名画が盗まれ、おばさんに嫌疑が……。
タグ:
posted at 23:49:53