麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年06月26日(金)
芦辺拓「鶴屋南北の殺人」読了。「わたしが取り返してほしいものとは……鶴屋南北なのです」不可解な依頼から事件に巻き込まれた森江春策。大道具の上に突如現れた男、振り子のような死に様、紙吹雪の中の女……鶴屋南北に操られているかのような連続死と芝居自体の謎を追い森江は奮闘するのだが……。
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posted at 16:54:56
発表から刊行までおよそ十年という作者渾身の力作であると同時に極めて人を選ぶ作品。そもそも題材である鶴屋南北を分かっている人向けに書かれているため、歌舞伎や当時の時代背景にある程度精通していないと間違いなく置いていかれること請け合いなのが難。
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posted at 16:55:14
加えて起こる事件にしても謎だけ取り出せばそれなりに魅力的なはずなのに見せ方が悪いのかどうにも地味な印象が否めず、どちらかと言えば作者の社会批判の方が印象に残る。ちなみにトリックに関してはかなり無茶なので、そこでまたかなり人を選ぶだろう。
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posted at 16:55:26
そして更に終盤の謎解きが歌舞伎とクロスするというこれまた敷居の高い内容で読者を篩にかけるため、結果として選ばれた読者しか楽しめない欠点を抱えている。但し本作が作者にしか書けない作品であるのは紛れもない事実であり60歳を過ぎてもぶれない作者のスタンスこそ評価すべきなのかもしれない。
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posted at 16:55:40
2020年06月30日(火)
小林泰三「ティンカー・ベル殺し」読了。夢の中では間抜けな蜥蜴のビルになってしまう大学院生・井森はある夜、海賊と妖精の国ネヴァーランドへとやってくる。だが、そこで彼を待っていたのは無邪気で邪悪な少年・ピーター・パンによる連続殺人だった。更に現実世界でも謎の連続死が起きて――。
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posted at 20:10:59
「アリス殺し」から始まる御伽の国を舞台にした本格ミステリシリーズの四作目。現実と夢の世界が交互に語られる構成はこれまでと同様ながら特筆すべきはメインとなる妖精ティンカー・ベル惨殺事件を追うのがカジュアル感覚で人を殺害する、根っからの殺人鬼(!)ピーター・パンであることだろう。
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posted at 20:11:30
それにより作者らしい不条理とブラックユーモアに満ちた、一筋縄ではいかない捜査になっているのが何とも面白い。ただその反面ミステリとしての仕掛けは目新しさに乏しいが、本作のモチーフとなった「ピーター・パンとウェンディ」のある要素を巧く活かしているのは○。
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posted at 20:12:21