麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2020年06月30日(火)
それにより作者らしい不条理とブラックユーモアに満ちた、一筋縄ではいかない捜査になっているのが何とも面白い。ただその反面ミステリとしての仕掛けは目新しさに乏しいが、本作のモチーフとなった「ピーター・パンとウェンディ」のある要素を巧く活かしているのは○。
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posted at 20:12:21
「アリス殺し」から始まる御伽の国を舞台にした本格ミステリシリーズの四作目。現実と夢の世界が交互に語られる構成はこれまでと同様ながら特筆すべきはメインとなる妖精ティンカー・ベル惨殺事件を追うのがカジュアル感覚で人を殺害する、根っからの殺人鬼(!)ピーター・パンであることだろう。
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posted at 20:11:30
小林泰三「ティンカー・ベル殺し」読了。夢の中では間抜けな蜥蜴のビルになってしまう大学院生・井森はある夜、海賊と妖精の国ネヴァーランドへとやってくる。だが、そこで彼を待っていたのは無邪気で邪悪な少年・ピーター・パンによる連続殺人だった。更に現実世界でも謎の連続死が起きて――。
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2020年06月26日(金)
そして更に終盤の謎解きが歌舞伎とクロスするというこれまた敷居の高い内容で読者を篩にかけるため、結果として選ばれた読者しか楽しめない欠点を抱えている。但し本作が作者にしか書けない作品であるのは紛れもない事実であり60歳を過ぎてもぶれない作者のスタンスこそ評価すべきなのかもしれない。
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posted at 16:55:40
加えて起こる事件にしても謎だけ取り出せばそれなりに魅力的なはずなのに見せ方が悪いのかどうにも地味な印象が否めず、どちらかと言えば作者の社会批判の方が印象に残る。ちなみにトリックに関してはかなり無茶なので、そこでまたかなり人を選ぶだろう。
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posted at 16:55:26
発表から刊行までおよそ十年という作者渾身の力作であると同時に極めて人を選ぶ作品。そもそも題材である鶴屋南北を分かっている人向けに書かれているため、歌舞伎や当時の時代背景にある程度精通していないと間違いなく置いていかれること請け合いなのが難。
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posted at 16:55:14
芦辺拓「鶴屋南北の殺人」読了。「わたしが取り返してほしいものとは……鶴屋南北なのです」不可解な依頼から事件に巻き込まれた森江春策。大道具の上に突如現れた男、振り子のような死に様、紙吹雪の中の女……鶴屋南北に操られているかのような連続死と芝居自体の謎を追い森江は奮闘するのだが……。
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posted at 16:54:56
2020年06月25日(木)
シリーズ三作目。前作で未回収だった謎が無事回収されたのはいいが美しい伏線回収には程遠い、悪い意味で何でもあり感が加速した印象が強く、しかも作者自身開き直ったのかただでさえ無駄な設定が多いのにそこへ更にあまり深く考えてなさそうな設定が次々と盛り込まれていくのが読んでいて非常に辛い。
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二語十「探偵はもう、死んでいる。3」読了。今は亡き名探偵シエスタの助手だった俺・君塚君彦は誘拐された先で見せられた過去の映像によりシエスタの死の真相を知らされる。呆然とする俺の前に生前のシエスタそっくりの謎の少女が現れ、今の過去映像にはとある間違いが含まれていると語り出す。
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posted at 20:33:08
2020年06月24日(水)
しかしながら本作の本領はその後でアンフェアだと思っていたものが論理のアクロバットにより見事にねじ伏せられてしまう点であり、更にトドメとばかりに用意された最後のある仕掛けには脱帽と言わざるを得ない。本作は「The unseen見えない精霊」以来のマジシャンらしい企みが炸裂した傑作である。
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posted at 23:39:14
本作はまず事件現場がどこなのかを突き止めるところから始まる時点でただならぬものを感じさせるが、何より衝撃的なのは多重推理を展開した後に示される意外過ぎる犯人の正体だろう。但しその段階では意外を通り越してアンフェアだと怒る人が大半かもしれない。
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posted at 23:38:40
「The unseen見えない精霊」以来十八年ぶり(!)の長編二作目。「The unseen見えない精霊」は極めて人工的な舞台で離れ業を決めた作品だったが、それは大企業の本社地下にある密室と化した巨大な迷宮を舞台にした本作も同様――いや、トリッキー度で言えば「The unseen見えない精霊」以上かもしれない。
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posted at 23:38:06
林泰広「オレだけが名探偵を知っている」読了。ある理由をきっかけに大企業「ブッシュワッカー」本社地下の密室と化した巨大な迷宮で何かが行われているらしいことを突き止めた秋山が、あらゆる手を尽くしてそこへ足を踏み入れると五人の男女の射殺体が転がっていた。地下迷宮で一体何が起こったのか?
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posted at 23:37:17
2020年06月23日(火)
それでも前作よりは幾らか見せ方がマシにはなっているし、幾つか回収されていない謎もあるので、次巻ではそれらがきちんと回収され、かつ物語としての完成度もぐっと上がっていることを期待したい。
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posted at 21:35:01
とはいえ今回はちょっとしたミステリ的仕掛けを入れてそれなりに意外性を出そうと試みてはいる。しかしながら前作に引き続きジャンル全部載せだがどっち付かずの悪い意味で軽い作風のせいであまり巧く機能していないのが残念。
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posted at 21:34:32
第15回MF文庫Jライトノベル新人賞《最優秀賞》を受賞した前作に続くシリーズの二作目。前作も設定の割りに名探偵感ゼロだったが、それは本作も同様……というかむしろ敵対する組織の正体が明らかになったことでますます拍車がかかっており、正直探偵である必要はなかったのではと思ってしまう。
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posted at 21:34:05
二語十「探偵はもう、死んでいる。2」読了。かつて名探偵の助手だった高校三年生の俺・君塚君彦はある日、夏凪たちと共に誘拐される。その先で語られるのは俺が『忘れている』らしい名探偵の死の真相。まだ誰も知らない真実――どうして探偵がもう、死んでいるのかを。
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posted at 21:33:20
天樹征丸/さとうふみや「金田一37歳の事件簿」7巻読了。函館異人館ホテル新たなる殺人完結。舞台を活かした仕掛けと細やかな気付きもさることながら、適度に高遠の介入を匂わせた手口や社会人編になりよりエグくなった動機が印象に残る良作だった。新たに始まった騒霊館殺人事件にも期待したい。
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posted at 08:55:58
2020年06月22日(月)
加えて展開にしても良く言えばテンポがいいが、悪く言えばいまいち緩急がなく、しかもずっと同じ調子で続くので物語の深みがほとんど感じられないのも難。できれば、どれか一つでも突出したものがほしかった。
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posted at 23:25:29
あとがきで作者は本作についてジャンル全部載せのエンタメ小説と語っているが、確かに本作を読むとだいぶ色々な要素を詰め込んだなとは思う。しかしながらそれが結果としてどっち付かずの中途半端なものになってしまっているのが残念。
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posted at 23:25:18
第15回MF文庫Jライトノベル新人賞《最優秀賞》受賞作。まず最初に断っておくと本作は名探偵が出てくると言ってもミステリではない。どちらかというと某漫画を彷彿とさせる設定を使った冒険活劇+特撮ヒーロー物のノリに近いだろう。
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posted at 23:25:06
二語十「探偵はもう、死んでいる。」読了。高校三年生の俺・君塚君彦は、かつて名探偵の助手だった。三年にもわたる目も眩むような冒険劇を繰り広げた後、名探偵は死に一人生き残った俺は日常という名のぬるま湯に浸っていた。だがある時、夏凪渚と名乗る少女が俺に人探しの依頼をしてきて――。
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posted at 23:24:51
2020年06月18日(木)
それを作者が意図的にやっているのかどうかは定かではないが少なくとも本作は本格ミステリというより本格ミステリ的構造を楽しむ作品とみるべきだろう。なお本作は最後の最後でちゃぶ台返し的展開を用意しており、それが続編でどう活かされるか次第で本作に対する評価はまた変わる可能性を秘めている。
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posted at 21:43:21
その魅力的な設定もさることながら「平成最多の密室構築」「令和最短のアリバイ崩し」といった目次に並ぶ章題にはワクワクさせられるが、その反面、肝心の真相(と思われる仮説)は悪い意味でこじんまりとしており、そこに期待するとかなり肩透かしを覚えるかもしれない。
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posted at 21:41:36
第14回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作。謎は解かれない方が美しい――とは時折見かける主張だが、その謎の神秘性を守るために探偵よりも先に真相に辿り着き、それを基にした工作によって探偵の推理を潰すという本作の設定はある意味現代本格の多様性が生み出した一つの形と言えるだろう。
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posted at 21:40:32
小林一星「シュレーディンガーの猫探し」読了。とある事件をきっかけに訪れた洋館。そこで探偵嫌いの僕は迷宮落としの魔女と出会った。三十六重密室事件。瞬間移動と同時存在。有り得ない盗難事件――世界を神秘で埋め尽くしたいと語る魔女は事件を迷宮入りにすべく探偵たちと対決することになる。
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posted at 21:36:52
2020年06月17日(水)
尤も犯人の動機に関しては専門知識がないと解けないものではあるが「C.M.B.」らしいものに仕上がっているのは◯。長編ならではの読み応えとトリックの面白さが両立した佳作である。
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posted at 12:26:38
シリーズ完結直前を盛り上げる久々の長編作品。次々と起こる不可能犯罪と主人公が容疑者として疑われるシチュエーションも魅力的だが、肝心のトリックの方もシンプルながら意外性があり、特に最初の密室トリックがその設定でしかできない独創性のあるものになっているのがいい。
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posted at 12:26:17
加藤元浩「C.M.B.森羅博物館の事件目録」44巻読了。大英博物館の発議によって「榊森羅から三つの指輪を剥奪する」という話が浮上し、森羅と共に新たな指輪の継承候補者となる五人の研究者たちが集められる。だが彼らの一人が密室で殺され、森羅に殺人の嫌疑が――。「C.M.B.殺人事件」完全収録。
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posted at 12:25:56
一方「マドモアゼル・クルーソー」は「時計塔」とは打って変わってコミカルな一編で、事件の真相自体はうっすら読めるものの(とはいえ不可能状況の演出やプロットの転がし方はいつもながら巧みだが)それ以上にタイトルにもなっているクルーゾー警部の活躍を引き立てる構成が秀逸の一言に尽きる。
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posted at 09:13:06
事件の内容からラストの一言まで見事なまでに好対照な二編が揃った。次々と人が消える時計塔の謎に迫る「時計塔」はホラーじみた導入部から大風呂敷な謎の演出で読者の関心を惹きつつ盲点を突いたシンプルなトリックと何とも言えない人間の業を浮き彫りにした完璧なラストで唸らせてくれる傑作である。
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posted at 09:12:28
加藤元浩「Q.E.D.iff」16巻読了。テナントが不自然なほど頻繁に変わる時計塔。そこでは過去に幾度も殺人や失踪事件が起きていた「時計塔」、パリの小さな美術館で起きた絵画盗難事件に、おっちょこちょいな女性警部が挑む「マドモアゼル・クルーゾー」の二編収録。
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posted at 09:12:09