麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2010年12月23日(木)
友成純一「聖獣都市 土竜の聖杯」読了。新興宗教団体「至福教団」が新宿にある超高層ビルに拠点を築いて以来都内で続発する異常な事件の数々。通り魔殺人やポルターガイスト、果ては人間が突如炸裂する超カマイタチ。そんな中教団の正体を暴く為陸自中央調査隊の陣内と内調の氷室が手を組んだが……。
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posted at 11:00:01
断言しよう。これは陣内の陣内による陣内のための物語である。本作はいたるところでグチャグチャドロドロのスプラッターとエロが展開するが、陣内にとってはそんなこと「知ったこっちゃない」。全て「アカ」の陰謀と疑わず、暴走機関車の如く破壊の限りを尽くす陣内の姿は正に痛快至極!
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posted at 11:01:11
そして、そのあげく言う台詞が「えいクソッ、間違えたあ!」である。これで痺れるなと言うのが無理な話というものだろう。繰り返すが、これは陣内の陣内による陣内のための物語だ。難しいことは考えず、ただひたすら陣内の活躍に対し「ウヒャヒャ!」と笑いながら読むのが吉である。
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posted at 11:02:09
小泉喜美子「死だけが私の贈り物」読了。発端は山田刑事が愛妻の入院した病院で偶然耳にした女とその担当医らしい男の不穏な会話だった。女は自分の病状について言葉を濁す男に対し全てを悟ったらしい、ならば自分のするべき事をするだけだと言い残しその場を立ち去る。数日後、連続殺人が起きて……。
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posted at 18:01:03
粗筋からだいたい察しがつく通り、物語は女や被害者たちの回想を交えつつ、ただひたすら悲劇的な結末に向かって一直線に突き進んでいくことになる。一見、それは全て予定調和のように見えるだろう。だが、最終章に至った瞬間、物語は思わぬ展開を見せる。
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posted at 18:02:11
そこで明らかになる事件の構図は、ある本格ミステリのテーマを浮かび上がらせると同時に物語の悲劇性を更に高めることに成功している。また悲劇の中心人物である女の職業が女優である点も暗示的なものを感じずにはいられない。ともあれ、本作が作者の最後の贈り物に相応しい傑作なのは間違いない。
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posted at 18:03:10