麻里邑圭人
- いいね数 9,797/10,375
- フォロー 1,028 フォロワー 1,647 ツイート 91,937
- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2012年07月14日(土)
幡大介「猫間地獄のわらべ歌」読了。猫間藩下屋敷の鍵のかかった書物蔵で御広敷番が絶命した。不祥事を恐れた藩主の愛妾和泉ノ方は御使番である俺に「密室破り」を命じる。一方、利権を握る銀山奉行の横暴に手を焼く国許では、不気味なわらべ歌どおりに次々と人が殺されていく事件が発生し――。
タグ:
posted at 16:50:35
時代小説の書き手として知られる作者がお江戸が舞台の本格ミステリに挑んだ野心作と内容紹介にある通り、確かに本作には密室、館もの、見立て殺人、読者への挑戦状とその手の趣向がてんこ盛りではあるものの、どちらかというとノリは正統派本格というよりメフィスト系バカミスに近い。
タグ:
posted at 16:51:22
しかしながらバカミスとしてみると個々の仕掛けはイマイチ振り切れていないように感じる。また各事件が一つに纏まることなく完全にバラバラのまま終わってしまうのもかなりマイナス。とはいえ時代小説であることを活かした点は悪くないので、またこの路線で本格に挑むようであればその時に期待したい。
タグ:
posted at 16:52:09
栗本薫「黒船屋の女」読了。沈丁花の匂いが漂う古びた洋館から突如聞こえてきた女の悲鳴。通りがかりのイラストレーターが駆け付けると、そこには床の上に転がる二つの死体と竹久夢二の描く「黒船屋」から抜け出したような魔性の女の姿があった……。彼女を巡り次々と起こる死の連鎖の先に待つものは?
タグ:
posted at 16:52:43
退廃的な魅力を持った女と、そんな女に惹かれてやまない男たちを描いた物語の傑作。本格ミステリとしてみた場合、差ほど優れたネタを使っているわけではないが(むしろ手垢がついたネタであるとすら言える)、それが却って物語に絶妙な深みを与えている。
タグ:
posted at 16:53:39
もっとも作者自身はあとがきで百パーセント成功したとは思っていないと語っているが、それでも作者が描きたかった狂った花のような女の魅力は充分感じ取ることができる。若干最後が呆気ないような気がするが、美しくもけだるい夢の終わりとはそんなものなのかもしれない。
タグ:
posted at 16:54:24
乾くるみ「カラット探偵事務所の事件簿2」読了。《あなたの頭を悩ます謎を、カラッと解決いたします》「謎解き専門」の探偵事務所に持ち込まれた七つの日常の謎を、探偵・古谷が鮮やかに解決する連作短編シリーズの第二弾……なのだが、何か前作よりも更にスケールダウンしている印象。
タグ:
posted at 20:25:13
前作もかなり小粒な短編揃いだったが、本作はそれに輪をかけて小粒……というか、もはや微粒(?)レベルのものもあり、考えようによってはそんなネタで短編を書いてしまったことが凄いのかもしれない。
タグ:
posted at 20:26:21
唯一例外なのは最後の書き下ろし短編「つきまとう男」で、真相は途中で読めるかもしれないが、実に乾くるみらしいオチがついている。とはいえ、帯の「『イニシエーション・ラブ』に並ぶ面白さと驚き!」という文句はさすがに○AROに訴えてもいいレベルだと思う。
タグ:
posted at 20:26:58