麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年02月21日(木)
大倉崇裕「福家警部補の報告」読了。とぼけた見た目に反して切れ者な福家警部補と犯人の対決を描く倒叙ミステリシリーズの三作目。かつての同人仲間を殺害した漫画家「禁断の筋書」、誘拐にまで手を出した外道を始末したヤクザ「少女の沈黙」、銀行強盗を爆殺した老夫婦「女神の微笑」の三編収録。
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前作「福家警部補の再訪」から約三年。相変わらず面白いと言えば面白いのだが、これまでの二作と比べるとミステリのキレよりも物語としての面白さを優先した印象を受ける。特にそれが顕著なのは「少女の沈黙」で、例えるならば任侠小説に倒叙ミステリ要素を足したような感じと言えばいいだろうか。
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posted at 01:26:37
また「禁断の筋書」「少女の沈黙」の二編に関しては何が決め手となるかがかなりあからさまな形で書かれており、その辺りの意外性を期待すると些か肩透かしを覚えるだろう。残る「女神の微笑」にしてもミステリ的な面白さより、どちらかというとあるキャラの顔見せ感が強い。
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井上ひさし「十二人の手紙」読了。キャバレーのホステスになった修道女の身も心もボロボロの手紙、上京して主人の毒牙にかかった家出少女が弟に送る手紙など、書簡のみで構成された十二編の短編にエピローグを付け加えた、仕掛けの書簡小説集。
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posted at 16:30:16
本作に収録された十二編全てが必ずしもミステリとは限らないものの、そのうちの幾つかはミステリ的などんでん返しであっと驚かせてくれる。中でも最も人を食っているのが酒乱の父を抱えた娘がある日突然金持ちの紳士に見初められる「玉の輿」で、最後に書かれた作者の注釈には唖然とさせられる。
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posted at 16:31:39
その他、二転三転する強盗殺人の顛末を描いた「鍵」や推理作家を殺害する周到な計画に皮肉なオチがつく「里親」も捨て難いが、何と言ってもミステリをやりつつも十二の物語を綺麗に纏め上げたエピローグが素晴らしい。本作はミステリ読みの琴線に何かしら触れるであろう遊び心に満ちた短編集である。
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posted at 16:32:03