麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年03月06日(水)
伴野朗「殺意の複合」読了。旧正月元旦の香港で日本総領事館に勤める男がアパートの自室で刺殺体となって発見された。机の上の毛沢東選集に残された血染めの手形は何を意味するのか? 表題作含む七つの事件に食通で大食漢の中国人探偵・陳展望が挑む。
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香港を舞台にした連作ミステリ。「旨い、この味だ」と言いながら次々と料理をたいらげ、ついでに食べている料理に纏わる蘊蓄を披露する探偵の姿は嵯峨島昭の作品に登場する酒島警視と被るが、中国の歴史や文化が事件と密接に繋がる構成はさながら現代における鯨統一郎作品を思わせる。
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ベストは一人の日本人旅行者の急死に暗号やバラバラ事件が絡む「禁断の罠」で、何が起こっているか分からない五里霧中な状況から導き出される異形な真相が堪らない。次点は表題作で事件と史実の重なりが秀逸。犯人当てとして書かれた「バラはなぜ赤い」もタイトルが象徴するシンプルなロジックが○。
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松本寛大「妖精の墓標」読了。信州の名家・新羽家で起こった連続怪死事件。末期癌患者の先代が毒殺されたのを皮切りに妖精が見えると主張する画家が崖から転落死し、更に当主の妻が謎の失踪を遂げる。この奇妙な事件に巻き込まれた桂木は米国ボストンに暮らす心理学者・トーマに事件の調査を依頼する。
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posted at 23:28:04
傑作。第一回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作である前作「玻璃の家」から約四年ぶりの本作だが、こうして読み終わってみるとそれだけ時間がかかったのも仕方ないと思えるほど、厄介な代物であることがよく分かる。
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posted at 23:29:21
旧家で起こる連続殺人という王道のシチュエーションを扱いつつもそこに前作同様島田荘司が提唱する21世紀本格を取り入れただけでなく構図の反転と異形の論理からくる毒殺トリックを盛り込み、更に奇想の光景を現出させた後「殉教カテリナ車輪」を思わせる哀愁に満ちたエピローグで物語に幕を下ろす。
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posted at 23:29:37
本作が凄いのはそれらの要素が全て有機的に結び付いていることでありこれを成立させるのは並大抵の苦労ではなかっただろう。思えば前作の選評で島田荘司は「この作風では量産がきかないであろう」と心配しており事実それは的中したわけだがとりあえず待たされただけのことはある作品なのは間違いない。
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posted at 23:30:04