麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年03月13日(水)
石沢英太郎「視線」読了。強盗にピストルを突きつけられた時に銀行員が向けた視線が原因で、非常ベルに手をかけていた同僚が射殺された。何故、彼は同僚に視線を向けたのか? 推理作家協会賞を受賞した表題作含む七編収録。
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posted at 02:06:48
些細な出来事から事件の裏側に迫る短編集。全体的に真相の意外性や謎解きに至る論理性はほとんどなく、どちらかと言えばサスペンス寄りの内容ではあるが、収録作の中には女性レポーターに降りかかったある災難を描く「ガラスの家」のように意外な伏線の繋がりでみせるものもある。
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posted at 02:07:26
また捻ったオチとしては、一人の男が正当防衛を利用した殺人計画を立てる倒叙物「ある完全犯罪」も悪くない。謎解きよりもサスペンス性や事件が浮き彫りにする心の機微が見所の作品である。
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posted at 02:08:25
石持浅海「カード・ウォッチャー」読了。ある事故がきっかけで研究所に労働基準監督所の臨検が入ることになった。突如決まった立入検査に所内が騒然とする中、研究総務の小野は倉庫で職員の死体を発見する。しかも死体には外傷がないことから咄嗟に過労死を疑った小野らは一時的な隠蔽を図るが……。
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posted at 22:49:11
石持浅海の十八番(?)である特殊な理由により警察を介入させないミステリの秀作。本作の探偵役はタイトルにもなっているカード・ウォッチャーこと労働基準監督官の北川という男なのだが、物語の前半はこの北川と死体を隠蔽したい小野らによる、倒叙ミステリを思わせる頭脳戦がメインとなる。
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posted at 22:50:09
しかしながらこの北川というキャラ、碓氷優佳に負けず劣らずのロジカル・ターミネーター(!)であり、どんな些細な矛盾も見逃さない徹底した追及は読んでいてかなり怖いものがある。
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posted at 22:50:30
そして後半からは一転して北川が事件の解明に本格的に乗り出すことになるが、恐らくある事実が判明した瞬間、大抵の読者が真相は読めたと思うことだろう。だがそれは錯覚に過ぎず、そこから作者は更に一捻り入れて、この状況下ならではのロジックで読者をあっと言わせてみせる。
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posted at 22:50:58
正直、警察を介入させない前提からして好みが激しく分かれるだろうが、それを受け入れることができれば、かなり密度の濃い推理劇が楽しめる。そして何よりも碓氷優佳、座間味くんに続く新たなシリーズ(を予感させる)探偵の登場を喜びたい。
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posted at 22:51:18