麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年03月26日(火)
井沢元彦「六歌仙暗殺考」読了。不可解な心中事件から始まった連続殺人の現場には、僧正遍昭、在原業平といった六歌仙の歌仙絵が残されていた。犯人を追う鍵は六歌仙の秘密にあるのか。捜査陣を嘲笑うかのように殺人を繰り返す犯人の正体と被害者たちを繋ぐミッシングリンクに名探偵・南条圭が迫る。
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posted at 17:19:27
ミッシングリンクテーマを扱った連続殺人物。犯人の正体よりもミッシングリンクの謎に特化しているのはいいが、そのネタが一本の長編を支えるほど優れているのかと言われると正直疑問と言わざるを得ない。
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posted at 17:19:59
とはいえ、犯人が六歌仙に拘る理由にはそれなりの説得力があるし、殺人計画にしても毎回よく練られている。少なくとも作者の目指した「現代的な舞台設定と懐かしい探偵の世界の融合」という点では成功しているのではないだろうか。
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posted at 17:20:23
法月綸太郎「ノックス・マシン」読了。ノックスの十戒とタイムトラベルを絡めた表題作を始め古典ミステリの語り手たちがクリスティを抹殺しようとする「引き立て役倶楽部の陰謀」、前代未聞の脱獄物「バベルの牢獄」、電子テキスト炎上事件と『シャム双子の謎』の意外な関係「論理蒸発」の四編を収録。
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posted at 22:28:34
本格ミステリをテーマにしたSF作品集。故に本作は本格ミステリに対するある程度の知識がないと間違いなく楽しめないだろう。収録作はどれも、どうしてそれをSFに持ってこようと思ったのかとツッコみたいものばかりであり、そういう意味では奇想SFを目指した作者の狙いは成功したと言えるだろう。
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posted at 22:29:06
唯一「引き立て役倶楽部の陰謀」はSFとは言えないが、個人的にはこの作品が一番のお気に入りで、「アクロイド殺し」を読んだワトスン役たちの会『引き立て役倶楽部』が危険思想(!)と見なしクリスティを拉致、それがクリスティ失踪事件の真相という時点でバカとしか言いようがない(誉め言葉)。
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posted at 22:30:00
「名探偵の掟」を彷彿とさせるパロディ的内容もさることながら、本作は作者による秀逸な評論として読むこともできる。尤もそれは表題作や「論理蒸発」も同様であり、特に「論理蒸発」から溢れ出る作者のクィーン愛には読んでいて思わずほっこりとしてしまうこと請け合いである(笑)。
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posted at 22:30:32
その他「バベルの牢獄」に関して言えば、法月綸太郎が倉阪鬼一郎みたいなことをやったらこうなったというバカSFであり、法月ファンの中には「パズル崩壊」における某短編を思い出して思わず遠い目をしてしまう人もいるに違いない。本作は「おやまあ!」と叫びたくなる作者の新境地的作品である。
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posted at 22:31:13