麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2013年05月15日(水)
井沢元彦「謀略の首」読了。天下統一を目前にした織田信長は目下の最大の敵である本願寺を壊滅させるべく鉄甲船の建造に着手。だがそれ妨害しようと本願寺と組む毛利家は密かに間者を送り込み事件を画策する。衆人監視下で起こった殺人、間者が残した暗号、首なし死体……怪事件に信長の推理が冴える。
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posted at 17:50:54
本作はタイトルにもあるように織田信長と毛利家もとい小早川隆景の「謀略戦」がメインの作品だが、その模様を本格ミステリではお馴染みのガジェットを活かした事件を通して描いている点が非常に面白い。特に首なし死体が出てくる事件に関しては首切りの動機含め謀略と巧く融合しているのが素晴らしい。
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posted at 17:52:07
事件によってはすぐに仕掛けが分かってしまうものもあるが、手に汗握る謀略戦の面白さがそれを見事に補っている。ある意味、本作は名探偵対怪人(もとい天才犯罪者)のノリを歴史上の人物に置き換えたとも言える秀作である。
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posted at 17:52:44
石持浅海「わたしたちが少女と呼ばれていた頃」読了。青春は謎に満ちている――新学期、横浜にある女子高の特進クラスで上杉小春は碓氷優佳という美少女と出会う。おしゃべりな小春とクールな優佳はやがて親友になるが……。名探偵・碓氷優佳の高校生時代を七つの日常の謎を通して描く連作ミステリ。
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posted at 21:44:05
これまでの碓氷優佳が探偵役を務める一連のシリーズからは想像もつかない可愛らしい表紙と「青春は謎に満ちている」という帯の言葉から「これはホントに石持浅海の本なのだろうか?」と不安に思う人もいるかもしれないが、安心してほしい(?)。結論からいうと石持浅海は何を書いても石持浅海だった。
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posted at 21:44:32
本作について作者は「ごく普通の学園日常の謎ミステリ」と語っているが、まず一編目の「赤信号」から倫理のアクロバットが炸裂し、「ごく普通」という概念を根底から打ち砕いてみせる。正直たわいもない赤信号に纏わる言い伝えからこんなホラーめいた真相に着地するとは思ってもみなかった(汗)。
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posted at 21:44:58
だが、続く二編目からは作者もまずいと思ったのか(?)倫理のアクロバットはなりを潜め、「登場人物の考え方がちょっとおかしい」程度の日常の謎ミステリに軌道修正が図られる。そうして、そのまま最後まで何事もなくいくのかと思いきや、まさか連作のまとめをあんなオチでしめるとは……。
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posted at 21:45:32
恐らくこのオチに関してはシリーズ読者であればニヤニヤし、そうでなければ唖然となるに違いない。ネタバレになるので詳しくは語れないが、これこそ石持浅海、これこそ碓氷優佳である。とりあえず米澤○信の○典部シリーズのノリで読むと、色々な意味でびっくりする作品と言えるだろう。
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posted at 21:46:28