麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2017年07月30日(日)
有栖川有栖「濱地健三郎の霊なる事件簿」読了。心霊探偵・濱地健三郎には鋭い推理力と幽霊を視る能力がある。事件の加害者が同時刻に違う場所にいる謎、ホラー作家のもとを訪れる見知らぬ幽霊の謎、突然態度が豹変した恋人の謎……リアルと眩惑が絡み合う不可思議な七つの事件に心霊探偵が立ち向かう。
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怪談短編集「幻坂」にも登場した心霊探偵・濱地健三郎が探偵役を務める連作ホラーミステリ。あとがきによると作者が目指したのは「怪談やSFを利用したミステリではなく、ミステリの発想を怪談に移植した上で、両者の境界線において新鮮な面白さを探すこと」だったらしい。
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そして収録作の中でそれが最も巧く達成できているのは事件の加害者が同時刻に違う場所にいる謎を扱った「分身とアリバイ」だろう。作者のファンであればその粗筋から国名シリーズの某作を思い出すだろうが、本作はその某作の成功版(爆)と言ってもいいかもしれない。
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「(前略)今回の事件は、難攻不落の鉄壁のアリバイを崩せって感じですね。ミステリーなら生霊のしわざという結末はあり得ませんけれど」という作中の台詞には苦笑を禁じ得ないが、本作に関してはミステリでは定番のネタを扱いつつも怪異を気付きとして用いることで新鮮な驚きを与えてくれる。
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posted at 14:29:13
次点はこれまた定番の首切りネタに対し怪異を決め手として持ってきた演出が冴える倒叙物「黒々とした孔」で、読み終わると雑誌掲載時のタイトルから一部改題した理由にも納得がいく。その他の収録作もちょっとしたネタを巧く捻っており、全体的にハズレがない良作と言っていいだろう。
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岡田秀文「帝都大捜査網」読了。死体が発見される度に何故か刺し傷の数は一つずつ減ってゆく。殺された男たちの間に交友関係などは一切見つからず、共通しているのは全員が多額の借金を背負っていたことのみ。警視庁特別捜査隊は奇妙な連続刺殺事件の謎を追い、帝都全体に捜査の網を広げてゆくが――。
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時代ミステリを多く手掛けてきた作者による、昭和11年の東京を舞台にしたノンシリーズ物の長編ミステリ。本作の作中で某古典ミステリの名前が挙げられているが、読み終わってみると本作はその古典ミステリの作者の代表作三つを合体させたような印象を受ける。
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posted at 18:09:49
ミッシングリンク物とコンゲーム物を掛け合わせたような本作の構成は帯にある「全体像を最後まで掴ませない」という言葉通りではあるものの、その反面どんでん返しを優先し過ぎてフェアさという点では大いに疑問が残る。
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posted at 18:10:06
また最後のサプライズも必要性があったかと言われると微妙なところで、どちらかというと本格ミステリではなくサプライズ重視のサスペンス物として読むのが吉な作品である。
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posted at 18:10:18