麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年04月22日(日)
根本尚「怪奇探偵・写楽炎」1~3巻読了。蛇神の祠周辺で度々目撃される蛇人間による連続殺人、不思議の国の女王の仕業としか思えない誘拐事件、床一面が大量の蝋で埋め尽くされたシェルターの中の死体……次々に巻き起こる奇怪な不可能犯罪にJC探偵の写楽炎と後輩の「空手くん」が挑む。
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posted at 01:54:16
怪奇探偵のタイトルに相応しい怪人たちが跋扈するおどろおどろしい事件の数々を美少女探偵が鮮やかに解決するミステリ漫画シリーズ。元々は同人で発表されたものであり、今回文藝春秋により電子書籍化するにあたり1巻には芦辺拓、2巻には有栖川有栖、3巻には二階堂黎人の推薦が付け加えられている。
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posted at 01:54:33
そして実際読んでみると何故各氏がその巻を推したのかよく分かるのが実に微笑ましい。中でも出来が際立っているのが「妖姫の国」と「蝋太郎」で、前者は不思議の国のアリスを模した大がかりな誘拐が起きた理由が一瞬で腑に落ちる犯人の正体と堂々と書かれているのに気付かせないある大胆な伏線が秀逸。
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posted at 01:54:45
一方後者はハッタリのきいた演出がトリックの絶妙な目眩ましになっている点と犯人を否定するはずのロジックが反転し意外な犯人を導き出す点が素晴らしい。他にも猟奇的トリックが強烈な「幽霊の刃」やシンプル故に却ってバカトリックぶりが強調される「死人塔」など読みどころが非常に多い連作である。
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posted at 01:54:59
長井彬「パリに消えた花嫁」読了。ヨーロッパへ旅立った和泉亮の婚約者・佐野理沙が「これからパリに行きます」という西ドイツからの絵葉書を最後に音信が跡絶えた。亮は女友達の三橋啓子とパリへ飛び、理沙を探すが足取りは杳として掴めない。そうこうしているうちにパリ―東京で連続猟奇殺人が……。
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posted at 17:10:41
「最初に死体がころがって……式のものはさけたかった」という作者の言葉通り、事件が発覚するのをとことん引っ張った作品。その結果、事件が起きるのはほぼ終盤で、作者としてはそこから冷酷きわまる犯人の姿が浮かび上がってくる予定だったのだろう。
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posted at 17:11:03
だが、いかんせんページ数が圧倒的に足りておらず、残念ながらその目論みが成功しているとは言い難い。せっかく事件が起きずとも合間に消えた婚約者の手紙を挿入するなどして巧く緊張感を持続させていただけに、些か勿体ない作品である。
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posted at 17:11:12