麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年05月21日(月)
山崎洋子「横浜秘色歌留多」読了。頽廃に酔う高級娼館、悪魔主義の大作家、灰青色の瞳の美少女を巡る男達の死闘、そして蓄音機から「黒い瞳」が流れる中、自動人形に囲まれたベッドに横たわるピンク色に染められたロシア人の毒殺死体――横浜の町で失踪した父親を探す娘が巻き込まれた惨劇の真相とは?
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編集者の許に送られてきた老婆の手紙から始まる、ロマンに満ちた歴史ミステリ。大正期の横浜を舞台に繰り広げる登場人物たちの愛と毒の宴は鮮やかの一言であり、それに加えて不可解な装飾が施された死体という魅力的な謎と世界史におけるある有名なテーマが実にいいアクセントとして機能している。
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posted at 00:10:04
ミステリとしてみると真相よりもむしろ犯人を示す伏線や手掛かりの出し方に見るべきところがあり特に構成を巧く利用してある登場人物の特徴をさりげなく描いている点が秀逸。また最後まで読んで何故こういう構成にしたのか納得がいくと同時にそこから恐ろしくも悲しい人間性が見えてくるところもいい。
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posted at 00:10:34
氷桃甘雪「六人の赤ずきんは今夜食べられる」読了。森に住む「赤ずきん」と呼ばれる少女たちは赤い月の夜、狼の化け物に喰い殺される運命にあった。彼女たちを守り抜くと決意した猟師の私は森の外れの塔に六人の「赤ずきん」と共に朝まで籠城することになるが、彼女たちの中には裏切り者がいた――。
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posted at 22:17:27
第12回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。童話の赤ずきんをベースに人狼ゲームの要素を盛り込んだ今時の作品ながら、なかなかどうして異世界本格ミステリとしてもきちんと成立しているのがいい。但し冒頭にある塔の見取り図からその手のトリックを期待すると、やや拍子抜けを覚えるかもしれない。
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posted at 22:18:01
本作のミステリ的な見所としては「誰が裏切り者なのか?」というフーダニットと「どうやって裏切り者が狼に情報を伝えていたのか?」というハウダニットの二点であり、どちらも読者の思い込みを巧く逆手にとった発想であっと驚かせてくれる。
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posted at 22:18:19
加えて作者の遊び心を感じさせてくれる結末も○で、やや粗削りなところもあるが、それ以上に盛り込まれたアイディアの面白さが光る異世界本格ミステリの良作と言っていいだろう。
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posted at 22:18:30