麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年05月23日(水)
小杉健治「東京‐岐阜Σ0秒の罠」読了。詐欺商法でのし上がった悪徳会社の会長が殺された。捜査陣は対立していた専務・工藤をマーク。しかし彼には鉄壁のアリバイがあった。工藤有罪を信じる刑事の沢月は執念の捜査の末、アリバイを崩し工藤を逮捕するが、その後の法廷で思わぬ展開が待っていた。
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posted at 21:47:58
前半はアリバイ崩し、後半は法廷ミステリという異色作。解説によると本作で作者は初めてアリバイ崩しに挑んだとのことだが、そうとはとても思えない二重三重に考え抜かれたトリックが事件を追う刑事の沢月と共に読者をこれでもかと翻弄してくれる。
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posted at 21:48:17
それだけでも充分満足度は高いのだが、驚いたことにやっとアリバイが崩れたと思ったら次は法廷でまさかの第二ラウンドの始まりである。しかも凄いのは裁判が進むにつれて何が真実なのか分からなくなってくるところであり、ここでも読者はいいように翻弄されることとなる。
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posted at 21:48:33
そして終盤、意外な裁判の結果と共に明かされる真相はびっくりするほど哀愁に満ちたものであり、思わず前のページを読み返さずにはいられなくなる絶妙な構成には脱帽と言わざるを得ない。何よりこの内容を文庫本にして約360頁ほどの長さで纏めあげた手腕は驚愕の一言に尽きる。
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posted at 21:48:58
いかにもトラベルミステリっぽいタイトルからは想像がつかないかもしれないが(そういう意味では深谷忠記「南房総・殺人ライン」を彷彿とさせる)、騙されたと思って是非読んでほしい傑作である。
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posted at 21:49:13