麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年08月20日(月)
霞流一「パズラクション」読了。この物語は謀り屋(Faker)ホームズ&殺し屋(Killer)ワトソンによる謎解き仕掛けの冒険譚、あるいは逆本格ミステリ、あるいは転倒倒叙探偵小説、あるいはメイクパズラー、そして殺しと推理のキルージョン(Kill Illusion)。
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posted at 01:24:42
一言でいえばロジックによる必殺仕事人、あるいは霞版虚構推理。殺し屋ワトソンが悪人を成敗しようとすると何者かに先を越されたり偶然の悪戯で現場が不可能犯罪化したりとハプニングが続発、その状況を打開すべく謀り屋ホームズが偽の手掛かりとロジックを駆使して説得力のある解決をでっちあげる。
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posted at 01:25:10
そこには極めて現代本格らしいテーマとこの作者らしいセンスが感じられるが、その一方で幾つか欠点も孕んでいる。例えば事件によってロジックの出来にばらつきが見られる(結局ロジックが一番きれいなのがでっちあげではない最初の事件の真相というのがどこか皮肉的ではあるが)、
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posted at 01:26:00
見取り図なしだと分かりづらい場面が多々ある、見立てが都合よく使われすぎなきらいがある、エピローグがやや蛇足、ギャグとはいえ本格において奇跡的な偶然が多すぎるのも気になる。とはいえ本作が多重解決や偽の手掛かり問題など現代本格らしいテーマに挑んだ労作なのは間違いない。
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posted at 01:26:24
ポール・アルテ「あやかしの裏通り」読了。ロンドンのどこかにある霧の中から不意に現れ、そして忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」。ある晩、名探偵オーウェンの許に駆け込んできた旧友のラルフはその「あやかしの裏通り」から逃げ帰ってきたばかりか、そこで奇妙な殺人を目撃したと言い……。
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posted at 21:51:10
ツイスト博士と並ぶ作者の看板探偵・オーウェン・バーンズシリーズの翻訳第一弾。シリーズの四作目にあたる本作は神出鬼没の通りとそこで目撃される過去や未来の殺人風景という何とも幻想的な謎を扱っているが、その謎解きに期待すると些か肩透かしを覚える所はいつも通り(?)のアルテ作品と言える。
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posted at 21:51:34
むしろ本作の見所は魅力的な謎がある構図の絶妙な目眩ましになっている点であり、加えてクリスティを思わせる人間ドラマの技巧を盛り込むことで更にそれを強固なものにしている。もっとも探偵役の魅力としてはツイスト博士に劣るものの、アルテといえばプロットというのが再確認できる良作である。
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posted at 21:52:07