麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年10月29日(月)
阿津川辰海「星詠師の記憶」読了。謹慎に限りなく近い長期休暇をとらされた刑事・獅堂は気分転換に訪れた山間の寒村・入山村で香島と名乗る少年から紫水晶を使った未来予知の研究をしている〈星詠会〉で起こった殺人事件の真相を探ってほしいと頼まれる。捜査を始めた彼を悩ませる「未来の映像」とは?
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posted at 09:14:41
新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」でデビューした作者の二作目。良くも悪くも逆転裁判シリーズを作った巧舟オマージュが目立った前作「名探偵は嘘をつかない」同様、本作にもまた特殊設定が盛り込まれているが、前作よりも特殊設定が緻密に作り込まれており小説としても地に足がついた印象がある。
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posted at 09:14:58
また前作とは異なり本作は裁判物ではないものの「未来の映像」をもとに推理を進めていく点は「逆転裁判6」を彷彿させる。そしてこれを活かした事件の構図もまた逆転裁判的でミステリではお馴染みのある趣向と相俟って非常に面白くはあるが肝心の手掛かりが出てくるのがかなり後半なのが気になる。
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posted at 09:15:07
加えて気付きの部分が映像向きで分かりにくいのが難。肝心と言えば、ミスディレクションに力が入っているのは分かるが、もう一つ力を入れなければならない何故これだけ凝った仕掛けをやらなければならなかったのか、そこに至る心理描写がほとんどないため、いまいち説得力に乏しいのはいただけない。
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posted at 09:15:19
同様に真相を踏まえると終盤に明かされる趣向を実行した犯人の行動原理に疑問があり、トリックを支えるはずの感情の流れがおろそかになってしまっているきらいがあるのが残念。とはいえ、前作よりも格段に良くなっている部分が多く、作者の成長が感じられる作品である。
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posted at 09:15:30