麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2018年10月30日(火)
鵜林伸也「ネクスト・ギグ」読了。ライブの最中、ステージ上で倒れたボーカルの胸には千枚通しが刺さっていた。衆人環視の中でのボーカルの怪死によりロックバンド〈赤い青〉は活動休止に追い込まれる。事件直前、カリスマ的なギタリストが演奏中に犯したあり得ないミスは事件と何か関係があるのか?
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posted at 23:47:23
学園ミステリ・アンソロジー「放課後探偵団」に収録されている短編「ボールがない」の作者による長編デビュー作。本格ミステリを書くきっかけになったのが有栖川有栖の「月光ゲーム」と語る作者だけにその内容も正統派の犯人当てであるわけだが、本作は更にそこに題材のロックが大きく関わってくる。
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posted at 23:47:39
本作で執拗に描かれる「ロックとは何か?」というテーマは犯人当てに集中したい読者にとっては一見余計なもののように思えるかもしれないが、本作にとってはそれが必要不可欠であり、最終的にホワイダニットやハウダニットと密接に繋がることで犯人の行動に大いなる説得力を齎している点が実に秀逸。
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posted at 23:47:52
その一方で作者は現在のロックを取り巻く閉塞感を描いた上で登場人物の一人に「ロックとミステリは似ている」と言わせているが、それは裏を返せばあえて本格ミステリの多様化が著しいこの時代に正統派の犯人当てをやろうという作者の本作に賭ける意気込みと見做すこともできるだろう。
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posted at 23:48:15
そういった新人作家に見られる情熱を感じさせつつも、本作はロックと本格ミステリを高い次元で融合させることに成功した、極めて完成度の高い傑作と言っていいだろう。
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posted at 23:48:37