麻里邑圭人
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- 現在地 涅槃
- 自己紹介 ミステリ初心者。非実在探偵小説研究会所属。 【好きな作家】飛鳥部勝則/梶龍雄/殊能将之/早坂吝/麻耶雄嵩 【好きな作品】「カルロッツァの翼」「殉教カテリナ車輪」「竹馬男の犯罪」「翼ある闇」「魍魎の匣」 【好きな映画】「キルビルVol.1」「サスペリア」「サンタ・サングレ/聖なる血」「ダークナイト」「リベリオン」
2019年05月26日(日)
ポール・アルテ「金時計」読了。1911年冬。森に聳える山荘に一癖も二癖もある男女が揃った朝、森の中で山荘の主の死体が発見される。現場は完全な雪の密室だった。一方1991年初夏。劇作家アンドレは子供の頃に観たサスペンス映画を探していた。やがてそれは少年時代のある記憶と繋がっていく。
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「あやかしの裏通り」に続く名探偵オーウェン・バーンズシリーズの邦訳第二弾。本格ミステリではお馴染みの雪の密室を扱った本作だが、特筆すべきは何といっても八十年の時を経た二つの物語が平行して語られる、その異様な構成だろう。
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探偵役のオーウェン・バーンズが活躍するのが1911年冬であるのに対し、もう一つの物語の舞台は1991年初夏という言うなれば未来の話であり、一見するとそこに何の繋がりもなさそうに思えるが、それがまさかの繋がりを見せた瞬間、本作は忘れ難い異形の作品と化する。
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正直どうしてこんな話になったのか作者の頭の中を覗いてみたくなるが、そのせいで雪の密室のトリックがどうでもよくなってしまうのが本作の最大の欠点かもしれない(爆)。とはいえこの構成を採用したからこそ、本作はいい意味で怪作として読者の記憶に残るだろう。
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柄刀一「或るエジプト十字架の謎」読了。トランクルームの密室。白い粉が舞い散る殺人現場。足跡なき泥濘の逃亡者。案内板に磔にされた首のない死体。法医学の実地見聞のため事件現場に赴く法医学者エリザベスのガイド役として付き添う南美希風は神の悪戯としか思えない四つの事件を解明できるのか?
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posted at 23:43:40
タイトルからも分かる通りクイーンの国名シリーズをテーマにした四つの事件に作者の看板探偵の一人・南美希風が挑む連作ミステリ。特筆すべきは全編ハズレなしと言っていい高いクオリティーを維持しており、ロジックミステリが好きな読者にとってはこの上ない贈り物となることだろう。
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posted at 23:43:53
ベストを選ぶなら「或るフランス白粉の謎」で、犯人の行ったある工作から展開されるロジックによって導き出される意外な犯人とその目的は驚愕の一言に尽きる。次点は「或るオランダ靴の謎」で、犯人の周到な策略もさることながら、それが逆に犯人を追い詰める致命的な一手となる展開が実に秀逸。
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posted at 23:44:18
その他「或るローマ帽子の謎」は不可解な死体の状況が一瞬で腑に落ちるロジックとそれを支える登場人物や舞台設定の妙に、表題作は大胆な隠蔽工作と事件の最大のヒントとも言えるある人物の台詞に唸らされるに違いない。
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